とある特殊小隊の日常前線(デイリーフロントライン) 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
ここまで投稿してきた1話からの中で、1番長い文字数です。
本当はもっと短くなる予定だったのにどうしてこうなった。
とまあ裏話は置いておいて、どうぞ、ごゆっくり、見ていってください。
あの生還劇…と言うと少し大袈裟だが、無事に基地に帰投して、早くも1週間が経った。
大きな怪我はM14以外していないとはいえども、墜落した機体に乗り、墜落の衝撃で全身を酷く打っていた事には変わりなく、指揮官の気遣いで、1週間の有給休暇となった。
その分有給休暇が1週間分無くなったのだが、滅多に使うことも無いし良かっただろう。
まあ長期休暇と言えども、人形と違う俺は身体を動かさなければだんだん鈍ってきてしまうので、休暇の間も射撃場やトレーニングルーム等で身体は動かし続けていたのだが。
しかしこの1週間、いや、正確に言うと1週間と数日なのだが、まさか自分たちが乗る機体が墜落し、即死したパイロットは除いて、重傷者が1名で済んだのは奇跡なのだと改めて思わされる出来事があった。
休暇に入り始めて聞いたことなのだが、他のPMCのヘリが何者かに襲撃され墜落。
乗員は全て爆発により、ミンチより酷くなっていたそうだ。
俺たちはまだ飛行時にコクピットに1発貰い、その後も燃料タンクなどに直撃せずにバランスを崩して落ちれていただけマシだったということだ。
まあ、後にも先にもこんなことは二度とあって欲しくないのだが。
とまああの時のパイロットは残念だったが、代わりに2人、メンバーとしてのパイロットが着くことになったのは良かっただろう。
今までのパイロットは一応専属だったが、宿舎も別で会話も少なかったのだ。
その点、今回はチームのメンバーとして入ってきてくれたため、任務も円滑に今までより進むはずだ。
それにあの2人は自律人形なので、バックアップがあればすぐに復帰出来る。
わざわざステルスホークのパイロットを育成し直すよりもコストの面でもいい事は明らかだ。
ちなみに2人から聞いたのだが、一応、いざと言う時の戦闘要員にも数えられるように、コアが搭載されているらしい。
烙印システムとダミーリンクシステムは組み込まれていないそうだが、それでもコアが搭載されているということは、戦術人形と同じという事だ。
それに烙印システムとダミーリンクシステムの容量が別の事に当てれるように、2人のAIは自動学習特化型らしく、様々な事を学び、覚えていく事に特化しているそうだ。
今の自律人形のように、システムをインストールするのではなく、自分で学んでいく、人間と同じ知能なのだと、2人は誇らしげに語ってくれた。
そして今日、休暇の最終日なのだが、俺は指揮官に呼ばれ、みんなとの楽しいひと時を中断させられ、渋々指揮官室へと向かっていた。
コンコンとノックし、中から返事が帰って来たのを聞いてからドアを開け、中へと入った。
「叢雲です、なんですか?手短にお願いしますよ」
「イチャイチャしとったのにすまんな、ほな簡単に言おか、今から荷造りを始めて欲しい」
「……は?」
…何を言っているんだコイツは。
確かに『手短に』とは言ったが、何も結論から言えと言った訳では無い。
さてはバカなのか。
難しいと言われるグリフィンの戦術指揮官の立場なのにさてはバカなのか。
そう思っていると、
「まあアレや、宿舎とシグマの本部が移転する、俺はここから移動せんけどな」
と、補足説明を入れてきた。
「つまり…俺たちの宿舎と待機室が別の場所に移動になると?」
「まあそういうこっちゃ、俺はこのままいつも通りグリフィン本部から定期的に指示するだけやけどな」
「任務は変わらず…ですか?」
「せやな、今まで通りや」
「…ちなみに転移予定地を聞いても?」
そう聞くと、指揮官は1枚に束ねられた、物件情報をこちらに渡して見せてきた。
読んでみるとどうやら、前回無線を使った、あの基地のようだった。
「え、まさかここにひとつの部隊だけでとか言いませんよね?流石にそれは良待遇すぎるような…」
「今のところはひとつの部隊だけや、近々ほかの部隊も入ることになっとる…まあそれまで自分らだけでゆっくりできるっちゅーわけや」
「なるほど…」
つまるところアレか、使い勝手の良い基地かどうか判断する材料として移動するという事か。
まあそれでも、しばらくの間だけとは言え自分たちしかいない基地に配属されるという事は、他人の目も気にせずにのびのびとできることには変わりない。
この安全な土地が少ないとされているこのご時世に自分たちだけの基地を割り当てられただけでもいい事ではないか。
そう思っていると、
「ああ、崩壊液の汚染区域近いらしいからELIDには気ぃつけてな」
「え"っ」
……安全なんてものはなかったらしい。
~~~
~~
~
「ジンさーん、これどこ運んだらいいのー?」
「それは…そうだな、休憩室にでも置いといてくれ」
「はーい」
俺たちは今、訓練などの合間を縫って荷造りし、約2週間ぶりに、あの基地へとやって来ていた。
荷物の大半はイチとニコの操縦するオスプレイに載せて運んでもらい、俺たちは手空きだったグリフィン所属のUH-1のパイロットに乗せてもらって、基地までやって来ていた。
イチとニコはこんな時や大量の人を運ぶためにオスプレイも乗れるよう、俺たちが荷造りしていた時に習熟訓練をしてくれていたらしい。
それにしてもこの1週間程度でもう乗れるようになっているとは、流石としか言いようがないものだ。
「えーと、あと荷物は…M14、そこのダンボールをスコーピオンと一緒に地下の射撃場に運んで少し整理してきてくれないか?」
「了解です!任せてください!」
「すまん、頼んだ、えーと…あとは…」
そう言いながら持ってきたもののチェックリストに目を通し、運び終わったものの隣にチェックをつけていた。
つけ終わってから未だに山積みとなっているダンボールや家具へと目を向け、大きくため息をつく。
「……まさか基地に何も無いからって家具まで買うことになるとは思ってなかったな」
そう呟いてから2度目のため息をつき、チェックリストを置いてから『道具』と書かれた大きなダンボールを運ぼうと持ち上げようと手をかけた。
……しかし、何が入っているのかわからないが、とてつもなく重く、少し持ち上げて運ぶのが精一杯だった。
「……なんでこんなに重たいんだこれ」
そう思い荷物をあけてみると、大量に任務で使うマガジンなどの金属製のアイテムが入っており、そりゃあ重たくなるわな…と思わざるを得なかった。
しかしこの程度運べないと流石に日頃から鍛えてる男としてどうなんだと思い、必死に持ち上げては進んで下ろしを繰り返していた。
「はぁ…疲れた…」
そう部屋の前まで着いた時、唐突に後ろでガタッと音がした。
今はまだM14とスコーピオンは射撃場で片付けているはずだし、M500もC96も今は自室にものを運んでいるはずだ。
ならゲパードか416、それかイチかニコかと思ったが、その4人は今別のところで掃除をしているはずだ。
そう思い気になって振り向いてみるが、誰もおらず、ただ積み重なっているダンボールがあるだけだった。
気のせいかと思いそのまま片付けを続行していると、416とゲパード、イチとニコが帰って来た。
「ジンさん、あらかたの汚れやホコリは完璧に掃除してきましたよ」
「お疲れ様、まだ体力に余裕があるなら家具を搬入して指定した位置に置いていってくれ」
「わかりました、ほら、行くわよゲパード」
「ええ…ワタシ休憩したい……」
「ははは、各自で自由に休憩は取ってくれよ」
そう言いながら運んできたダンボールの中身を整理し、俺はふぅと一息ついた。
一息ついた…のはいいものの、まだ山積みな荷物を見ると、ため息をつかざるを得なかった。
まあ、残る大半のものはメンバーのそれぞれ持ってきた荷物ではあるのだが、あと残っているダンボールには絶対に重たいであろう『弾薬』と書かれたものに『食器』と書かれたものなどだった。
食器はまだしも、大きなダンボールにぎっしり入った弾薬を持ち運ぶのは、ひょっとしたらバカなのではないだろうか。
危ない上に重たいではないか。
そんな事を考えながらどう運ぼうか悩んでいると、射撃場の片付けが終わったM14とスコーピオンが帰って来た。
「射撃場の片付け、終わりました!」
「お疲れ様、あとはここにある荷物だけなんだが……どれも重たそうでな」
「あー…じゃあこの『弾薬』って書かれたの運びますね」
「えっ、いや流石に―――」
無理だからやめとけ、そう言おうとした時、M14は普通に「よいしょっと」などと言い、いとも簡単に持ち上げてしまった。
それを呆然とした表情で見ていると、M14はにっこりと笑い、
「えへへ、あたし、力だけはほかの人形と同レベルですから、このくらい余裕ですよ♪」
と言って、荷物を運んでいってしまった。
「そうか…自律人形って人間の代わりとして作られてるからそういうの得意なのか…」
「みんながみんな、って訳じゃないけどねー、まあ多分あれくらいならあたしでも多分運べるよー」
そうスコーピオンにも言われ、もう俺が力仕事をしなくてもいいんじゃないかと思ってしまっていた。
…いやまあ、416たち4人に家具配置を頼んだ時点で軽々と運んでいたので予想はできていたのだが。
まあそんな事を気にしても仕方ない。
俺はただの人間で、彼女らは自律人形なのだから。
まあ俺はそんな差別をしようとも思わないし、なんならそんな差別をしているやつには嫌悪感を覚える。
彼女らにもそれぞれ、心があるし、性格だってある。
たとえそれらがプログラミングされた仮想のものだとしても、俺達が紡いできた友情は本物だと思っている。
そんな柄でもない物事にふけっているうちに、どうやら家具の配置が終わったらしく、なにやら楽しそうな声が聞こえてきた。
「どうした?何か楽しそうだが」
「あ、お兄ちゃん!今テレビ見てたら昔の動物番組やってたんだ!」
そう言われてテレビを見ていると、今では貴重となっている、可愛らしい動物たちの姿が映し出されていた。
「へーぇ、こりゃいいな、で、みんなはどの動物が好きなんだ?」
「あたいは猫!」
「ボクは犬…かなぁ」
「ワタシも猫…かなぁ、昼寝してたいし」
「あたしはワンちゃんかなー、一緒に走れるし!」
そう4人がそれぞれ言うが、416は顔を赤くしたまま、俯き、何かを言おうとはするが言えない状態になっていた。
「…?416はなんなんだ?」
「………ネコです」ボソッ
「ん?すまない、声が小さくて聞き取れなかった、なんだって?」
「……ネ!コ!で!す!」
「…お、おう、そうか」
そう恥ずかしさのあまりか顔を真っ赤にし、少し涙目になりながら、416はそう叫んだ。
どこか申し訳ない気分になりながら返事し、俺たちはそのまま番組を見続けていた。
やがてM500やM14、C96たちも片付け終わって休憩室へとやってきて、一緒に番組を見ることになった。
「うーん…ネコの生体とか見てるとなんか私他人事に感じないんだよねぇ…なんでだろ?」
「M500、鏡見てみろ、理由がわかるだろ」
「私猫ちゃんじゃないもーん!」
そんな会話をしていると、入口の方からカタッと物音がし、ふと見てみると、そこには、銀髪をツインテールに束ね、黒いワンピースのような服を着た少女が、両手にレーションを抱えて、こちらを見て固まっていた。
「……誰?」
そう言うと、少女はハッとした表情を浮かべ、レーションを投げ捨てて逃げ出してしまった。
「…とりあえず待てぇ!」
そう言って追いかけ始め、基地の中を走り回る。
やがて、少女が何も無いところで躓き、ダイナミックに転んでしまった。
「……大丈夫?」
そう言って手を差し伸べると、少女はビクッとし、そのまま怯え始めてしまった。
どうしたもんか…そう思っていると、後からM500が追いついてきた。
「…M500、変わってくれ、どうやら俺だと怯えられるらしい」
「はーい、やってみるね」
そうM500に少女を任せ、俺は遠くから廊下の壁にもたれ、その姿を見守っていた。
やがてM500の差し伸べた手を少女が取り、M500と少女は徐々に打ち解けてきたようだった。
「ジンさん、この子、お腹すいてるみたい」
「ああ…それでレーションを…」
そう言い、手招きして少女を休憩室まで連れ込み、とりあえず適当なレーションを温めて出してやる。
すると少女は嬉しそうにしながらも、少し申し訳なさそうにし、レーションに手をつけようとはしなかった。
「どうした?食べてもいいんだよ?」
「…本当にいいの?あたし、人間じゃないよ?」
「…なら自律人形か、それでも食べれる時に食べた方がいいだろ、ほら、食べな」
そう言うと、少女は嬉しそうに、レーションを食べ始めた。
…そこはレーションじゃなくてもっといいのを食わせてやれよと言われそうなものだが、この時の俺らにはそんな気の利いた事は片付けの疲れからかできなかった。
…まあ、このレーションのメーカーは美味しいから問題ないと願いたい。
そうしているうちに、少女はレーションを完食し、幸せそうにしていた。
「お腹は膨れたか?」
「うん!ありがとう!」
そう嬉しそうにしている少女を見ていると、髪に『鉄血工造』のマークの描かれた、髪留めのようなものが巻かれていた。
「もしかして君…鉄血の人形?」
「そうよ、あたしはデストロイヤー Prototype Mk.Ⅲ。もう少しでロールアウトされる最新鋭の戦術人形なんだから!」
「そんな子がどうしてこんな所に?ここは鉄血の技術局とかからも遠いはずだけど」
「うぐっ……そ、それは……」
そうデストロイヤーは言いよどみ、目を泳がせ始めた。
何か事情があることは確かだろう。
それを聞いてもいいのか悪いのか、そう考えていると、俺の隣にいたM500が、
「何があったの?私に教えてくれない?」
と、普通に聞いてしまっていた。
俺の悩みを返せよ…そう思っていると、デストロイヤーも決心が着いたようで、事の発端を話し始めてくれた。
「あたし…同じ鉄血のドリーマーってやつに、今考えたらまるっきり嘘の情報を教えられてさ…それを確かめてきてくれって言われたから1人でこっそりと鉄血を抜け出してここまで来たの。でも…途中で力尽きちゃって、目が覚めたらあんた達がこの建物に入っていくところを見たの、だからその時に連れて行ってもらおうとは思ったんだけど…なかなか言えずにいたらあんた達がここからヘリでどっかに行っちゃったんだ」
「そうか…なら今からでも鉄血に戻るか?送ってやるぞ?」
そう言うと、デストロイヤーは悲しそうな表情を浮かべ、
「ううん、いい」
と、拒否してきた。
「なんでだ?今からなら怒られるだけで済むんじゃないのか?」
「そうかもしれないけど……もうあたし、鉄血のデータネットワークとかから切り離されてるし、帰ったところで解体されるかどこかの変な店とかに送られるのがオチよ」
「そうか……」
そう言い、俺はどうにかできないものかと思い、みんなを呼び集め、話し合うことにした。
「……だそうなんだが、なにかいいアイディアはないか?」
「うーん…そう言われてもなぁ……」
「そもそも、あのデストロイヤーとかいう子を助けてこっちにメリットはあるのかしら?未だにPrototypeなんですよね?」
「416の言う通り、メリットは恐らくないに等しい…だが可哀想だろう?」
そう俺が言うと、全員が微笑んで、俺の顔を見てきた。
「…どうした?俺の顔になにか?」
「ジンさんって、昔と違って優しくなりましたよね、昔なんてテロリスト絶対殺すマンだったのに」
「そうか?今でもそうだと思うが」
「そうなんですけど…絶対、ぜーったい変わりましたよ!」
「うん…ワタシもそう思う……」
そうC96とゲパードに言われ、俺はどこか恥ずかしくなってしまっていた。
…まあ、言われてみれば、確かに昔に比べて丸くなった方だろう。
「…とにかく、デストロイヤーをどうするか…なんだが…」
「…それなら、指揮官にも説明して聞いてみるのはどうでしょう、私たちで決めるより、その方が確実かもしれません」
「そうだな、そうしよう」
そう416の案を採用し、俺は携帯端末で、指揮官へとメールを送った。
程なくして、返信が届き見てみると、『家族にしてやれ』と、短く書かれていた。
最初は返信の意図がわからなかったが、少し考えていると理由がわかり、みんなと楽しそうに話しているデストロイヤーの元へと向かった。
「デストロイヤー、一ついいか?」
「なに?あたしは鉄血には帰らないからね?」
「ああ、それはわかってる……俺たちの仲間になる気はないか?」
そういうと、デストロイヤーの顔がぱぁっと明るくなり、
「いいの!?なるなる!その方が楽しいもん!」
と、言ってきた。
それを見て少し微笑ましくなりながら、俺は指揮官に、『破壊者も家族だ』と、メールを送った。
いかがでしたでしょうか?
デストロイヤーちゃんって結構不遇ポジが多いですよね。
まあ私の知り合いはデストロイヤーちゃんいじめてレベリングしてますし、まあそういう事なんでしょう。(?)
まだ私はそこまで行ってませんけど。()
という訳で(?)また次回、お会いしましょう!
キャラ設定は
-
1.第1話のあとがきでいい
-
2.第1話の前に欲しい
-
3.別に要らない