異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第106話 海軍

「お嫌でしたか?」

 

「いえ、びっくりしただけです。でも、いきなりで大丈夫なのですか?」

 

「ええ、大丈夫ですよ。王国海軍もシントラー領海軍も、最小限ではありますが、それぞれ巡洋艦を中心とした警戒艦隊が遊弋するようになっていますので、勤務中は気が緩んでいることは無いと私は思っています。いわゆる、常在戦場ですね。」

 

「それなら、お言葉に甘えて少しだけ見学させてもらいましょう。みんなもそれでいいかな?」

 

 クリスをはじめ全員が首肯したので、僕たちはツァハリアスさんの案内で海軍港を見学することになった。ツァハリアスさんは着替えなどの準備があるらしく、10分ほど待って欲しいと言われた。

 

 その間は、ドゥルシネアさんと歓談を楽しんだ。どうやら、僕とクリスの事をダヴィド様達からの手紙で知っていたようで、どんな人物かを早く知りたかったらしい。ツァハリアスさんが叙任式での僕の姿を語ったら、ますます会いたくなったらしい。それで、念願かなって本日、会えたわけだ。

 

「クリスティアーネの将来の夫に会えて、本当によかったわ。このシントラー領とゲーニウス領は、それぞれ王国の端ですからね。会いに行くのも時間が掛かるわ。本当に今日、来てくれてありがとう。感謝しています。ガイウス閣下。」

 

「あ、いえ、そこまで感謝されるほどのモノではありません。それと、閣下も必要ないのですが・・・。」

 

「いえ、そこはしっかりとしませんといけませんわ。(わたくし)たちはクリスティアーネやアントン殿たちのように冒険者としての仲間ではないのですから。」

 

「はあ、わかりました。貴族社会とは面倒ですね。」

 

「あまり、はっきりと言われない方がよろしいですわ。閣下の足元をすくおうとする貴族は多いですから。」

 

「あの辺境が欲しいという貴族がいるのですか?」

 

「というより、平民から武功で成り上がった閣下が気に食わないのでしょう。」

 

「なるほど。ご忠告ありがとうございます。気を付けておきましょう。」

 

 そこで、扉がノックされ軍装に身を包んだツァハリアスさんが入室してきた。

 

「それでは、海軍基地に行きましょう。移動はどうしましょうか。私は馬で移動しますが、閣下方には馬車を用意が必要でしょうか。」

 

「いえ、馬で来ましたので我々も馬で移動します。」

 

 そして、シントラー伯爵邸から護衛の衛兵隊の騎兵付きで馬で軍港へ移動する。街中を移動していると、今まで嗅いだことの無い匂いがしてきた。怪訝な顔をしていると、ツァハリアスさんが馬を寄せてきて言った。

 

「潮の香りがしてきましたね。これが海の匂いです。内陸では嗅いだことが無い匂いでありましょう?もうすぐで海が見えます。」

 

「うむ、初めて嗅いだ。何とも言えない香りだな。・・・。おお、これが海か。凄いな。雄大な景色だ。」

 

「お気に召されたようで何よりです。海軍の施設はこちらになります。」

 

 海の想像以上の雄大な景色を横目に見ながら案内されたのは、レンガ造りの2階建ての庁舎だった。“アドロナ王国海軍シントラー基地司令部庁舎・シントラー海軍司令部庁舎”と入口に書いてあった。

 

「入り口から見て右側が王国海軍の司令部に、左側が我が海軍の司令部になります。そして、丁度真ん中にあるあの部屋が、両海軍の司令官執務室、ようは私の仕事部屋となります。」

 

「なるほど。因みに軋轢(あつれき)とかは?」

 

「ありませんね。北が帝国の領海ですから、それぞれの海軍で連携することはあれど、争うことはありません。予算も別々に出ておりますので、艦船もそれぞれのモノを使います。どうぞ。執務室からの眺めもいいものですよ。」

 

 そう言われて、執務室に入り、みんなで窓辺に寄る。ガラスの窓なのでよく見える。昔、絵付きの本で見た軍艦らしきものが、何隻も港に係留されている。それぞれ、マストに掲げる旗が違うようだ。王国海軍の軍艦は国旗と王家の紋章旗、シントラー領海軍の軍艦は国旗とシントラー伯爵家の紋章旗を掲げている。

 

 従兵さんが人数分のお茶を応接机に置き、礼をして退室する。あー、やっと、普通の口調で話せる。

 

「ツァハリアス殿、凄いですね。海も軍艦も初めて見ました。因みにどんな風に海上では戦うのでしょう?」

 

「基本は弓矢と弩、【魔法】による遠距離戦です。それでも決着がつかなければ、全艦艦首に衝角というモノを装備しておりまして、それで敵艦の横っ腹に破孔をつくり浸水させ沈めます。特に小型艦は高速性を生かし敵に体当たり攻撃を仕掛けます。最後の手段は、接舷しての移乗攻撃ですな。ま、これは互いに被害が大きくなるので、哨戒での遭遇戦程度ではあまり行いません。通常は魔法と弓、弩の撃ちあいで終わりです。」

 

「ふむ、なるほど、ためになります。」

 

「おや、閣下は海戦にご興味がおありで?」

 

「不謹慎かもしれませんが、あのように巨大なモノがお互いに戦う姿を想像するとワクワクしますね。」

 

「ああ、そのお気持ちはよくわかります。私も閣下の年齢の際にはそう思ったものです。閣下がお望みなら艦を見ることのできるように手配をしますが、いかがいたしましょうか。」

 

「魅力的なお誘いですが、今回はやめておきます。みなさんのお仕事の邪魔になるといけませんし。それに、今回は、まあ、なんといいますか遊行(ゆうこう)で来たようなものですので、できれば海を楽しめるところや街のオススメのお店をご紹介いただきたいですね。」

 

「それなら、海水浴場があります。4月末なのでまだ海水は冷たいですが、海というモノに触れることができますよ。オススメの店についてですが、地図を書きましょう。少々お待ちください。」

 

「ありがとうございます。お願いします。」

 

 ツァハリアスさんに、海水浴場と街のオススメのお店などを簡単な地図に書いてもらって、僕たちは海軍基地をあとにした。生まれて初めてあんなに大きな艦を見たなあ。来ることができて良かった。

 

 今夜は、ツァハリアスさんが是非にというので、シントラー伯爵邸に泊まることになった。それまでは、自由に海と街を見てまわろうかな。




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