異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第120話 書状

 ツルフナルフ砦に戻ると、すぐにみんなが集まった。パーヴァリさんの先導で応接室に入る。僕は、条約文書を偽装魔法袋から取り出して言う。

 

「イオアン・ナボコフ辺境伯殿との話し合いはまとまった。国境線は以前の通りに、その代価としてイオアン殿から毎年、白金貨150枚の支払いを10年間。帝国関所の税を5割減とされることが決まった。条約の施行は6月1日、つまり来月よりとなる。我々もうかうかしてはいられないぞ。帝国関所の税が5割減ということは今まで以上に人の流れが増えるであろう。また、我々のほうでも税の軽減措置を取るべきだな。民衆の不満が溜まってしまう。税率は帝国と同程度にすべきだな。ま、これはここで話していても仕方がない。行政庁舎のあるニルレブで話すべきことだな。ともかくだ、国境線は早いうちに元に戻し、誠意を見せんといかん。パーヴァリ卿、前進させた部隊を砦に退()かせたまえ。」

 

「了解しました。閣下。」

 

「すまんな。」

 

「いえ、閣下。帝国との戦争が回避できただけでも儲けものです。将兵の命をいたずらに失わずにすみます。」

 

「そう言ってもらえると助かるな。ありがとう、パーヴァリ卿。そういうわけで、アルヴィ卿、ニルレブに戻るぞ。煮詰めんといかん用件ができたからな。」

 

「はっ、閣下。すぐに準備を致します。」

 

 そう言うと、アルヴィさんたち護衛の4人は部屋を出て行った。クリスたちもそれぞれの装備に異常が無いかを確認し、僕たちはパーヴァリさんと共に部屋を出る。

 

 砦の外には、アルヴィさんたちによって僕たちの馬が並べられていた。全員が騎乗したのを確認し、再度パーヴァリさんにお礼を言う。

 

「パーヴァリ卿、貴殿には迷惑をかけたな。何かそれに報いることができればいいのだが。」

 

「でしたら、領が閣下の統治下に移管してからも私をお使いいただければと思います。」

 

「ふむ、わかった。軍務大臣閣下にかけあってみるとしよう。」

 

「ありがとうございます。閣下。」

 

「それではな、パーヴァリ卿、(しば)しの別れだ。」

 

 そう言って、僕は騎乗しアルヴィさんの先導でツルフナフル砦をあとにした。領都ニルレブに着いたのは、途中で昼休憩をとったので16時を過ぎた時間だった。行政庁舎に着くと何やら慌ただしい。すると、文官の1人が戻ってきた僕たちに気が付いて、

 

「ガイウス閣下がお戻りになられました!!」

 

 と大声で叫んだ。何だろうと思っていると、2階から代官のヘニッヒさんと駐留国軍総司令官のベレンガーさんが慌てて下りてきた。

 

「ガイウス閣下、王都より使者が参っております。2階の応接室でございます。さっ、参りましょう。アルヴィ卿たちは護衛ご苦労だった。本日はもう業務終了だ。」

 

 ヘニッヒさんはそう言うと、ベレンガーさんと一緒に先導するような形で2階の応接室へと案内してくれた。ヘニッヒさんがノックをして扉を開けると、軍装を身に(まと)った男性が1人座っていた。

 

「ハンジ・エルプ男爵、お待たせした。ガイウス・ゲーニウス辺境伯閣下がお戻りになられた。」

 

 ヘニッヒさんが言うと、ハンジさん立ち上がり頭を下げた。

 

「ハンジ・エルプ男爵であります。国軍総務局に属しております。」

 

「うむ、ガイウス・ゲーニウス辺境伯である。頭を上げて欲しい。軍の総務局ということはアンスガー・アルムガルト殿とは・・・。」

 

「はっ、学園(アカデミー)での学友であります。」

 

「なるほど、苦労をかける。」

 

「いえ、閣下のご要請など、他の問題に比べれば大したことではありません。それで、閣下、本題に入ってよろしいでしょうか?」

 

「ああ、頼む。とっ、その前に立ち話もなんだ、腰掛けようじゃないか。」

 

「はっ、ありがとうございます。それで、今回のご用件なのですがこちらになります。」

 

 そう言って、ハンジさんが取り出したのは一通の封筒だった。受け取り、表と裏を確認する。表には僕宛であることが書かれており、裏には差出人は書かれていないが王家の封蝋印がしてあった。厄介事かなと思いつつも、ハンジさんに尋ねる。

 

「開封してもよろしいかな?」

 

「はい、問題ありません。」

 

 では、開封しようじゃないか。中身を取り出し確認する。は?

 

「ハンジ卿、この内容で確かに合っているのかね?いや、君は内容が何か知っていたかね?」

 

「いえ、存じ上げません。ただ上役から急いでお渡しするようにとのことでしたので、丸3日間、昼夜を問わず護衛と共に馬を駆けさせてきました。」

 

「内容を読むといい。」

 

「拝見いたします。・・・。これは・・・。しかし、こんなこと・・・。ありえません。このような事は・・・。」

 

「だが、実際に文面として存在している。王城への召喚。しかも、5月4日金曜日の朝、つまり明日の朝ときたものだ。そんなにこの平民上がりで子供の辺境伯が気に入らんのかな。」

 

「いいえ、閣下。他はどうかわかりませんが、軍では閣下の評価はかなりのものです。軍務大臣閣下も評価をされております。」

 

「では、それ以外の者が動いたということか。ま、確かに、軍総務局の人間が届けた文書が、召喚日時を過ぎて届けられたら軍の責任にできるからな。考えたやつは狡賢(ずるがしこ)い奴だ。私か軍かのどちらかが陛下からの信用を落としてしまうわけだからな。だが、そうはさせん。私も軍も陛下に忠誠を誓う仲間だ。こんな姑息な手に()まってしまってなるものかよ。よし、クリスティアーネ嬢。」

 

 僕の背後に立ち並ぶ仲間の中からクリスを呼ぶ。彼女は「はい、閣下。」と答え近くに来てくれた。僕は、万年筆と紙を【召喚】して頼む。

 

「アルムガルト辺境伯家の王都でのお屋敷を今日から明日までお借りしたい。一筆貰えるかね?」

 

「もちろんでございます。閣下。」

 

 そう言ってクリスはスラスラと文面をかき上げてくれた。

 

「ユリア卿、シュタールヴィレをよろしく頼む。それと、条約の件をヘニッヒ卿とベレンガー卿に説明をしておいてほしい。」

 

「かしこまりました。閣下。」

 

「うむ、では王都ヌレクに行ってくる。」

 

 さーて、この書状を出した連中の度肝を抜いてやろうかね。ニヤリと嗤う。あ、ヘニッヒさん達そんなに驚かないでくださいよ。僕、これでもフォルトゥナ様の使徒なんですから。

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