異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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更新が遅れてしまい申し訳ありません。


第129話 控えの間にて

 3度目の王城だけどいつも通り控えの間に通された。人数が多いから控え“室”ではなく控えの“間”なんだろうね。従者と言っても騎士爵に衛兵隊。しかも副司令官が率いているのだから一緒の部屋なのは特別措置なのだろう。メイドさんも複数人配置してくれたし。

 

「皆、適当に寛(くつろ)いでおこうではないか。」

 

 僕がそう言って、適当に腰掛けると、各々が好きなところに腰掛け始める。メイドさんはそれを確認し、各自に飲み物を配膳していく。僕は紅茶をストレートでお願いした。さて、それじゃあ、ピーテルさんから貰った書状でも読みますか。

 

“これが開封されているということは、私は捕縛されたか死んだのであろう。まずは、ガイウス・ゲーニウス辺境伯に謝罪と感謝を。貴方のおかげで国を食い潰す“貴族閥”という名の害虫の駆除が上手くいった。ありがとう。

 

 そして、貴殿の身に危害を加えたことを申し訳なく思う。しかし、王宮での“貴族閥”の急先鋒である私の姉、ベアトリース・オリフィエルをその他の追従する側室、官僚の排除。そして、この私を御輿(みこし)として担(かつ)ぐ貴族の捕縛。どれも、貴殿という存在が居なければ、難しかったであろう。

 

 それこそ10年近い歳月をかけ潰していくしかなかったはずだ。それが、おそらくは、貴殿のことだから1週間も経たずに終わらせることができたであろうな。民に被害が出る前で本当に良かったと思っている。

 

 もし、息子が私の後を継げずに、所領が他の貴族のモノになる場合。ガイウス殿、貴殿に領地を治めてもらいたい。幸いと言って良いのか、我が領はシントラー伯爵領の南だ。海に面しているので、海産物の収益も期待できる。海軍の保持に多少の金がかかるが、クラーケンを打ち倒した貴殿ならば、驚く方法で整備ができるだろう。勿論、私は領の運営に手は抜いていない。しかしながら、貴殿から見れば足りぬところが多いであろうな。うむ、これは蛇足であった。

 

 ここから先は読まなくても結構だ。しかし、貴殿に私を哀(あわ)れだと思う心があれば読んでいただきたい。私のこの計画をしっているのは妻と唯一の子供である息子だけだ。2人は身を守るために領地と学園(アカデミー)の寮にいる。

 

 どうか、私の家族と領にいる臣下には連座制が適応されないように国王陛下を説得してもらいたい。厚かましいお願いだとはわかっている。しかし、フォルトゥナ様の使徒である貴殿にしか頼めないのだ。私の身はどうなってもいい。切り刻まれながら死のうが犯罪奴隷になろうが構うものか。

 

 ああ、妻と息子は“貴族閥”のような貴族中心主義の持ち主ではないので安心してほしい。2人には貴族としての矜持(きょうじ)と義務が備わっていると私は思っている。おかげで、世間からは思想の違う、家族仲の冷え切った家だと思われているがね。

 

 臣下についてもだ。私は臣下の諫言(かんげん)をこの数年間、無視し続け、貴族に阿(おもね)る愚か者共の言葉にのみ耳を傾けていた。ま、聞いていただけで実行はしていないのだがね。だが、奴らにとって私の耳に入るということは、それだけで実績になっていたようだ。侯爵という地位がそうさせたのであろう。

 

 なので、王都の屋敷にそのような輩(やから)は集めた。領に居るのは民の事を考えられるまともな者ばかりだ。王都の屋敷にいる輩(やから)は、“貴族閥”の次男・次女以降の者ばかりだ。料理人でさえ平民であったのに、雇ったら数カ月で他の王都の民を見下すようになった。“貴族閥”の思想は危険だ。あってはならないモノだ。

 

 長々と語ってしまったが、私の言いたいことはこれで全てだ。“貴族閥”はこれで勢いを失くすだろう。上手くいけば消滅するであろう。なに、領地を持たぬ法衣貴族が多い。領民への影響は最小限に内務大臣閣下が抑えてくれるであろう。

 

 さて、他に何か書くことが無いだろうか。これで筆を終えると思うと名残惜しい。できれば、貴殿とこの国の将来について語りたかったものだ。それでは、最後まで読んでくれて感謝している。貴殿のこれからに幸(さち)多からんことを。

 

           アドロナ王国 侯爵 ピーテル・オリフィエル”

 

 ふーむ、中々に重い内容だねえ。人に全てを押し付けて退場なんて、なんともまあ身勝手なものだ。まあ、僕のできる範囲で善処はするけどさ。

僕は此処に来ることになったもう1通の書状を取り出し、改めて読む。

 

“ガイウス・ゲーニウス辺境伯に告げる。貴殿に帝国との内通の疑いがあるとの報告があった。真偽を明らかにするために5月4日までに王城へ出頭せよ”

 

 他にも長々と書いてあるけど、要約するとこの短文に収まる。それで、5月1日の日付と国王陛下の署名と捺印。封筒には封蝋印。しかし、本文だけは陛下の署名と字体が違う。恐らく、ベアトリース・オリフィエルに組みする“貴族閥”の誰かが書いたのだろう。しかし、陛下は文書の内容がおかしいとは思わなかったのかな。ま、これから会うわけだから直接聞けばいい。

 

 紅茶を飲みながらそう思っていると、控えの間の扉がノックされた。「どうぞ。」と声をかけると近衛兵さんが「失礼します。」と入室してきた。

 

「ガイウス・ゲーニウス辺境伯閣下、準備ができましたので、謁見の間へどうぞ。護衛の方々はこちらで待機を願います。」

 

「うむ、わかった。グイード卿、セム卿、寛(くつろ)いでいるといい。何、問題を起こしたわけではないのだ。大丈夫だ。」

 

 そう言いながら、控えの間を出て謁見の間へ向かう。謁見の間の扉の前に立つと、案内してくれた近衛兵さんが大きな声で、

 

「ガイウス・ゲーニウス辺境伯閣下のご到着!!」

 

 と告げる。そして、装飾された重厚な扉が開かれる。目の前の壇上にはいつも通りの玉座に国王陛下と王妃様が座っておられる。そして、少し顔色が悪い宰相さんと軍務大臣さん、凄く顔色の悪い内務大臣さんが1段低いところに並んでいる。

 

 お偉い皆さんにはもう少し顔色を悪くしてもらおうかな。僕はそう思いながら一歩を踏み出した。




見てくださりありがとうございました。
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