異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

152 / 196
第152話 ピーテル・オリフィエル

 5月13日の日曜日はエドワーズ空軍基地の【召喚】と飛龍王(ワイバーンロード)ヘラクレイトス率いる飛龍(ワイバーン)の群れを手に入れることができたのが大きな成果だった。ちなみに、ギルドで受けた依頼(クエスト)も達成したよ。ハイオークリーダーに率いられた100体前後の群れの討伐だったけど、【召喚】無しで僕とクリスの2人だけで殲滅した。そのおかげでクリスは9級から8級へと昇級した。

 

 そうそう、ギルドマスターにも会えたんだよね。レンニ・マルッキさん。法衣貴族マルッキ子爵家の3男。35歳。妻子有り。僕に挨拶に行かなかったことを凄く謝られた。僕とクリスは書類の山に埋もれている彼に気にしないで仕事を続けてくださいと言って、簡単な挨拶だけをすませて帰宅した。いやあ、やっぱりどこでも管理職って大変なんだねぇ。

 

 翌日の5月14日月曜日は通常通りに行政庁舎は開庁していたけど、登庁してきたヘニッヒさんに早速呼び出されてエドワーズ空軍基地と飛龍(ワイバーン)のことについて聞かれたよ。龍騎士(ドラグーン)の編成とかを詳しく説明すると大きなため息をついて、

 

「閣下はこの領を独立させるおつもりですか?87体の飛龍王(ワイバーンロード)が率いる龍騎士(ドラグーン)など王国にはおろか帝国にもいませんよ!?」

 

 すみません。レナータさんはさらにその上の赤龍(レッドドラゴン)なんですとは言えないし、言わない。僕は笑顔を作りながら、

 

「でも、そういうことなら国軍が退去した後でも十分な防衛戦力になるということですよね?」

 

「確かに、ある程度の防衛力は必要でしょう。しかし、今回は過剰です。強大な防衛力は言い換えれば強大な攻撃能力を有していることにもなります。」

 

「では、どうすれば?」

 

「幸い、閣下は武勇伝に事欠きませんし、武功で今の地位を手に入れられた方です。そして、現役の冒険者です。そこを内外に強調していきましょう。それで、龍騎士(ドラグーン)となる人物の募集ですが、出自や出身地、性別、種族、身分を問わずに行いましょう。少しでも有能な人材を領内に集めます。そのために、閣下のお名前を使いますが、よろしいでしょうか?」

 

「ええ、存分に使ってください。」

 

 そんなこんなで月曜日は過ぎて行った。

 

 5月15日の火曜日、この日は意外な来客があった。ピーテル・オリフィエル侯爵いや男爵が僕に会いに来た。すぐに行政庁舎の領主用応接室に案内して話しを始める。

 

「裁判では、減刑に口添えをなさってくださり有り難うございます。また、陛下との事前協議で私への罰を減らしてくださったとか。家も残すことができました。妻や子にも侯爵時代のような生活はさせてやることはできませんが、それでも男爵として残りました。感謝いたします。」

 

「ふむ。お気持ち有り難く。しかし、なぜわざわざこちらへ?」

 

「閣下の(もと)で文官として登用していただけないかと思いまして。」

 

「なるほど、確かにピーテル殿は当主の座をご子息にお譲りするよう陛下がお命じになられておったな。」

 

「はい、それと、閣下に我が領を治めていただけないかと思いまして。聞けば、陛下は私から領地を召し上げ、閣下に下賜することを決められていたとか。しかし、裁判当日になり、閣下が陛下に対して領地は必要ないと仰られたとお聞きしました。」

 

「あー、あれか、うむ。確かに陛下にオリフィエル領を授けると言われ、私も承諾し文書まで作成して戴いた。しかし、裁判当日になり気づいたのだ。“ゲーニウス領さえまだ治めていない私に、2つの離れた領地を治めることができるのか”と。自問自答したが答えは否だった。だからこそ、陛下にお会いして、オリフィエル領を戴くことを撤回したのだ。」

 

「なるほど、そのようなことですか。簡単な解決策があります。私をお使いください。私がオリフィエル領を代官として治めます。」

 

「ご子息には()がせないのかね?」

 

「息子にはもちろん話しをしました。すぐに断られましたけどね。“領地など自分自身を縛るモノなどいらない。学園(アカデミー)を卒業したら法衣貴族として衛兵隊への入隊を目指す。男爵家の当主という肩書きさえ足枷(あしかせ)だ。”と言われてしまいまして。」

 

「ご子息の気持ちはよくわかる。この件について陛下はご存知なのだろうか?」

 

「宰相閣下にお伝えしているので、ご存知のことかと。」

 

「外堀を埋められて、籠城戦をする気分だ。オリフィエル領のことは私の一存では決められん。時間を(いただ)きたいのだが?」

 

「それはもちろんです。閣下。」

 

「では、その間はニルレブに滞在するといい。我が屋敷に来るかね?」

 

「いえ、宿の手配はしておりますので。ご配慮感謝いたします。」

 

「どこの宿かね?決まったら連絡しよう。しかし、私がすぐに断るとは思わなかったのかね?」

 

「思いませんでした。閣下は自覚なされていないようですが、人を()きつけ動かす何かを持っていらっしゃる。私はそれに賭けたのです。」

 

 恥ずかしいことを言ってくれるなあ。とりあえず今日は宿の名前を聞いてお引き取り戴いた。さて、どうするかな。新しい領。しかも、国の端から端。【空間転移】のある僕には難しくはないけど、防衛力の強化、領民の先代領主への思いなどもあるし、兎に角、今は龍騎士(ドラグーン)の選抜試験が重要事項だ。

 

 ジョージに聞いたところでは、アメリカ陸・空・海軍ではブートキャンプと呼ばれる新兵基礎訓練を行うそうだけど、この世界では海兵隊の訓練が一番いいかもと言っていた。シンフィールド中将は“フォート・ベニング”の施設とレンジャー連隊?の要員を【召喚】してレンジャー訓練を施せばよいとも言っていたね。

 

 とりあえず明日は、海兵隊の訓練要員を【召喚】して、選抜試験までにこの世界のことについて深く知ってもらおう。ジョージやシンフィールド中将みたいな陽気で優しい人たちだといいね。




見てくださりありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。