異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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1週間投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

今年も拙作をよろしくお願いします。


第172話 闇夜の狩人

『エコー1(P-8AGSだよ)よりガイウス卿へ。聞こえますか?』

 

「『こちらガイウス。大丈夫だ。よく聞こえる。』」

 

『先鋒を搭乗させたMH-60L“ブラックホーク”と“MH-47チヌーク”、露払いのMH―60L“DAP”とAH-6“キラーエッグ”が離陸をしました。各コードをお知らせします。MH-60は“ゴルフ”、MH-47は“ホテル”、MH-60Lは“インディア”、AH-6は“ジュリエット”です。現在、本機が誘導をしています。』

 

「『わかった。少し待ってほしい。』ルプス、オーガの集落まではまだかかる?」

 

「もう少しだ。このまま飛べば10分くらいで着くだろう。」

 

「ありがとう。気づかれないように手前で下りてその後は走ろう。」

 

「承知した。」

 

「『エコー1へ。10分後に敵に気付かれないために森へと降下し、そこからは走って目標近くまで移動する。』」

 

『エコー1了解しました。我々も気づかれないように高度を上げます。』

 

 さて、黒魔の森のかなり深い所までやって来た。道中では遠距離攻撃のできるゴブリン系やオーク系の魔物が出てきたけど、【風魔法】のウィンド・バレットで見つけた瞬間に排除していった。でもオーガ系の魔物とは一度も会わなかったなあ。集落ができつつあるのと関係があるのかもね。

 

 森の中に下り立ち、ルプスの乗っていた籠を【送還】する。再度、装備を確認して無線機とMk17の入った背嚢(はいのう)を背負いルプスの先導で森の中を駆け抜ける。ボア系やウルフ系の魔物も出てきたけど短槍で薙ぎ払いながら進んだ。

 

 しばらくしてルプスが足を止めた。【気配察知】には沢山の魔物気配が引っかかる。これがオーガの気配なのかな。僕のその考えが顔に出ていたのか、ルプスがこちらを振り返り言う。

 

「気づいておるだろう?そろそろ、奴らの造っておる集落が見えてくる。」

 

「うん、気配が今まで出会った魔物と段違いだ。」

 

「うむ。ゴブリンやオークなどオーガにとっては食料と同じだからの。だが、奴らは嗅覚も聴覚も視覚もどれも優れているわけではない。」

 

「ということはまだ近づけるということ?」

 

「うむ。」

 

 短槍を構え直して歩みを進める。気配まであと500mほどのところでルプスが立ち止まる。

 

「あと少しで森が開ける。オーガ共が伐採しておるのでな。」

 

 僕は眼に魔力を集中させて視力を強化する。それで先を見ると確かに図鑑で見た絵姿に似ている生き物“オーガ”がいた。木を石斧で切り倒し、杭状にして地面に差し込み並べている。防壁を造っているようだ。

 

 さらにその周囲には物見櫓があり、集落の中心部らしき所には住居ができつつある。早いね。魔法を使って身体を強化しないと切り倒した木を運搬できない人間と違って、1体で2~4本担いで作業を進めているから当たり前か。

 

「どうだ、ガイウスよ。見えたか?」

 

「うん、見えた。『エコー1、こちらガイウス。攻撃目標地点より西側に約500mの地点にいる。確認できるか。』」

 

『こちらエコー1。ビーコンの確認ができました。また集落であろう空き地も確認しました。攻撃部隊にもその情報を送ります。』

 

「『頼む。到着時刻は?』」

 

『部隊の展開時刻は1920を予定しています。“インディア”と“ジュリエット”の編隊が上空からの攻撃を行い牽制している間に、“ゴルフ”と“ホテル”から隊員が降下し、安全地帯を確保します。』

 

「『了解した。降下地点は私の近くにして欲しい。援護ができる。』」

 

『了解しました。しかし、シンフィールド中将、コールドウェル大佐、レドモンド大佐3名の決定によりますと攻撃対象から200m離れた場所を降下地点としています。』

 

「『ならば、あと300m前進する。』」

 

『了解。お気をつけて。』

 

 通信を終えて音を出さないように静かに前進を開始する。目標地点まで進むと短槍を【異空間収納】し、背嚢からはMk17を取り出して装備品を付けていく。ルプスも伏せた状態で待機している。

 

 時計を取り出し時間を確認する。19時5分。あと少しだ。

 

 そして、その時がやって来た。

 

『こちらインディア1。ガイウス卿、応答を。』

 

「『ガイウスだ。』」

 

『目標地点を捉えました。これよりインディアとジュリエットの全機で空襲を開始します。伏せておいてください。』

 

「『了解した。』」

 

『インディア1よりオール・インディア、オール・ジュリエット。ハイドラロケット弾による攻撃の後は集落を囲むように展開し、機関砲、ガトリング、ドアガンで制圧射撃をかける。・・・攻撃開始!!』

 

 頭上を発射されたロケット弾が光の尾を引きながら束になってオーガの集落へと吸い込まれていく。ロケット弾の航跡を追うようにバタバタと羽音を立ててインディアとジュリエットのヘリコプターが通過していく。ロケット弾の着弾したオーガの集落ではあちこちで火の手が上がっている。

 

 Mk17を構えてオーガの動きを警戒していると、上空にゴルフのブラックホークが到着した。他の機体も一定の間隔を開けて、集落を半円状に囲むように空中に(とど)まりながら両側の扉を開きロープを垂らす。

 

 上空のブラックホークからすぐに1人目のレンジャー隊員がロープで降りてきて素早く配置につく。すぐに1班分のレンジャー隊員が揃った。みんな暗視ゴーグルを付けていて口元も覆っているので表情がよくわからない。軽く敬礼をした彼らは集落へ向けて前進を開始する。

 

 ゴルフのブラックホークが飛び去ったと思ったら重い羽音と共にホテルのチヌークが現れた。後部ハッチと胴体下部からロープが落とされ次々とレンジャー隊員が降下してくる。最後に降下した隊員が暗視ゴーグルをはね上げて敬礼をする。銃声が響き渡る中で大声で話しかけてくる。

 

「特殊作戦大隊大隊長のバイロン・ノーランド中佐です。ご挨拶が遅れて申し合わけありません、ガイウス卿。今回の作戦での現場指揮官を拝命しています。」

 

「よろしく、中佐。では、現在の展開状況を教えてくれるかな。」

 

 僕も銃声に負けないように大声で返答する。

 

「はい、地図をご用意しました。手書きなので少々、(いびつ)ですがご了承ください。現在、森の淵に沿ってこのように半円状に我々特殊作戦大隊と第1大隊が展開し攻撃を開始しています。フレンドリーファイアを避けるために反対側には展開はしません。代わりに上空のヘリ部隊で包囲網を敷きます。1体たりとも逃がしません。」

 

 一度、そこで説明を区切る。僕は了承の意を込めて頷く。

 

「また、インディアとジュリエットの弾薬がそろそろ底をつくはずです。その前に第2大隊と第3大隊をゴルフとホテルの残りの機体が運んできます。全大隊が展開完了後に森より集落へと前進し本格的な制圧行動に移ります。なお、ゴルフとホテルは弾薬の補給のために一時帰投するインディアとジュリエットに代わり上空からの支援及び包囲網の封鎖を行ないます。」

 

「インディアとジュリエットが抜けてしまったら火力の低下が著しいのではないかな?」

 

「ガイウス卿のご懸念もわかりますが航空攻撃の初撃が上手く決まりましたので、我々レンジャー連隊とゴルフとホテルで十分な火力が確保できます。」

 

「わかった。銃撃戦では君達がプロフェッショナルだ。それで問題がなければよろしい。」

 

「ありがとうございます。それでは、我々指揮本部も前進を開始します。」

 

 中佐はそう言うと暗視ゴーグルを下ろして前線へと前進を開始する。僕とルプスも一緒に移動をする。中腰でMk17を構え周囲を警戒しながら森の切れ目で射撃をしているレンジャー隊員達の元へと着いた。

 

「軍曹。状況は?」

 

「はい、中佐。目標は初撃から立ち直りつつありますが、こちらの攻撃を防ぐ手立てがありませんのでその場に釘付けという状態です。ただし、相当にタフです。5.56mmですと頭部以外はそれなりに撃ち込まないと死にません。7.62mmも射殺時間が少し短くなるという程度です。軽装甲車を相手にしている気分です。」

 

「カール・グスタフをもっと持ってくるべきだったな。」

 

 ノーランド中佐が歯ぎしりをしながら言う。

 

「中佐、この世界での初実戦だ。しかも相手は人間ではないからな。仕方ないだろう。」

 

「それはそうですが、我々のモットーはRangers lead the way(レンジャーが道を(ひら)く)ですからこの状況は何とも言い難いですね。」

 

「私は“命を大事に”を常々考えている。部下の死で切り(ひら)かれた道は必要ない。そのことを覚えておいてほしい。」

 

「ハッ!!胸に刻んでおきます。しかし、オーガと云うモノがここまでタフだとは・・・。っと失礼。通信がありました。第2、第3大隊到着しました。現在降下中です。」

 

「それでは、本格的に狩りを始めようじゃないか。万が一、捕らえられている者が居た場合は生死を問わず救出するように。」

 

「了解しました。『指揮本部よりレンジャー各班に通達。森から出て狩りを始めろ。情けは無用だ。捕まっている者が居た場合には生死は問わずに救出を優先しろ。』ガイウス卿、我々も動きます。」

 

「わかった。私とルプスは好きなようにさせてもらおう。私には気にせず射撃をするように伝えておいてくれたまえ。」

 

 そう言いながら銃剣を付ける。今付けている弾倉を全て撃ち切り新しい弾倉に交換して初弾を装填する。

 

「ルプス。それでは行こうか。僕が前衛、君が後衛ね。」

 

「うむ、背後は任せるがよい。」

 

 そして、僕とルプスは勢いよく森から飛び出し、燃え盛るオーガの集落へと突撃を開始した。




読んでくださりありがとうございます。
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