異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第178話 式典

 6月25日日曜日、クレムリン大宮殿で陞爵と授爵の式典とパーティが始まる。儀仗兵が配置され各地から来た貴族と代官が並ぶ。そして、僕は一段高い所に座り、家族の皆は僕の後ろに座っている。勿論、正装だよ。ちなみにクリス達は貴族と代官の列の端に並んでいる。

 

 ゲオルギーの間の扉の両脇に立つ儀仗兵が陞爵と授爵する人達の名を1人ずつ告げて先導して僕の目の前まで軍靴の音を響かせ歩いてくる。まずは僕の護衛騎士であるグイード・シャルエルテ騎士、アルト・ベンヤミン騎士、ロルフ・エフモント騎士の3人に対して騎士爵から男爵位への陞爵を告げる。その後にジギスムント・クンツ男爵を子爵へと陞爵し、最後にピーテル・オリフィエル元侯爵へ準男爵位を授ける。それらが無事に終わると一旦参加者全員をウラジミールの間へと移動させ、ゲオルギーの間では立食形式のパーティの準備をする。使用人のみんなと僕の【異空間収納】を使用して15分ほどで完了した。

 

 そして、また招いた人の全員をゲオルギーの間へと案内する。短時間で綺麗に様変わりしたのを見て驚いているようだね。

 

「どのようにして短時間でこのような量のテーブルと料理を準備されたのだ・・・。魔法袋など誰も持っていなかったぞ。」

 

 帝国のイオアン・ナボコフ辺境伯がポツリと呟いた。

 

「我が家の使用人達は優秀であろう?イオアン殿。」

 

「まことに。新興の貴族家とは思えないほど優秀な人材がそろっていらっしゃるようですな。」

 

 本当は例の事件でとり潰された貴族家の中で良識を持っている使用人さんをかき集めていたらこうなったんだけどね。

 

「さて、今回は我が配下の目出度い場にお越しいただき感謝申し上げる。礼と言っては何だがささやかな(うたげ)の席を用意した思い思いに寛いでくれたまえ。それでは、乾杯。」

 

「「「「「乾杯!!」」」」」

 

 乾杯が終わるとすぐにイオアンさんが僕の所にやって来た。隣にいるのは奥さんだろうか?こういう挨拶的なのは位階が高い順だったかな?

 

「先程はとんだ失礼を。思わず口に出てしまいました。ご壮健のようでなによりです。ご家族の皆様にはお初にお目にかかります。アイソル帝国に属しておりますイオアン・ナボコフと申します。また、ガイウス殿にもお初にお目にかかると思いますが妻のキーラです。」

 

「キーラ・ナボコフと申します。」

 

 2人とも僕の家族にもしっかりと挨拶をしてくれる。

 

「お2人とも今回はご参加感謝します。」

 

「質問をよろしいでしょうか?」

 

「答えられるものでしたら。何かありましたかイオアン殿?」

 

「この屋敷の壁外を守備していたのは噂の私兵でしょうか?」

 

「ああ、私兵も混じっていますが錬成中の龍騎士(ドラグーン)候補もおりますよ。」

 

「どうりで。すこし、動きがぎこちない分隊が目についたものでして。そうですか、龍騎士(ドラグーン)候補ですか。規模などは教えていただけますか?」

 

「ええ、どうせすぐにお耳に入ることでしょうし。候補だけで連隊規模。正式に龍騎士(ドラグーン)となれば約600騎です。」

 

「・・・それは、何とも。600騎を超す龍騎士(ドラグーン)ですか。攻め寄せられでもしたら我が領では対応できませんな。」

 

 そう言って笑うイオアンさん。話しの内容が聞こえる範囲内にいた人達は眼を剥いている。そんなに驚くことなんだね・・・。またやってしまった・・・。

 

「イオアン殿とは例の約定がありますからそこまでご心配なさらずとも。」

 

「ですな、それとガイウス殿。」

 

 そう言って僕のさらに近くに寄ってくる。儀仗兵が止めようとしたが手で制す。イオアンさんは小声で、

 

「中央の動きが怪しいです。陸軍はまだしも海軍が。物資の動きからみて侵攻作戦を考えている可能性があります。」

 

「わかりました。警戒しましょう。情報ありがとうございます。」

 

「いえ、此処で恩を売っておけばガイウス殿は何らかの形で返してくださるでしょう?」

 

 そう言って元の場所まで戻り、

 

「ではガイウス殿、ご家族の皆さま、失礼いたします。」

 

 一礼して下がっていった。あ、父さん達の紹介ができなかった・・・。ま、いいか。

 

 その後はツァハリアス・シントラー伯爵夫妻がやって来た。

 

「お久しぶりです。ガイウス殿。」

 

「こちらこそ。遠方よりお越しくださりありがとうございます。ツァハリアス殿。ドゥルシネア殿。私の後ろにいるのが祖父母に両親、弟と妹となります。」

 

「そうでしたか。ご家族の皆さま、私はツァハリアス・シントラーと申します。伯爵位を賜わっております。我が領は海に面していますので是非ともいらしてください。」

 

 そうツァハリアスさんが挨拶をすると父さんが一歩前に出て、

 

「エトムント・ゲーニウスと申します。ガイウスの父です。爵位を持っていない私から挨拶に(おもむ)かなければならないところを・・・。」

 

「ああ、エトムント殿。ご子息であるガイウス殿が辺境伯という侯爵に匹敵する地位を持ちながら慢心しないその御心は真に素晴らしいものではありますが、辺境伯のお父上となれば爵位を賜わってなくとも辺境伯と同等と扱われるという不文法があるのです。」

 

「そうなのですか?」

 

 ツァハリアスさんの言葉に思わず口に出てしまった。

 

「ええ、そうです。ただし、同等に扱われるだけであって権力等は一切ありませんがね。」

 

 へー、そうなんだ。知らなかった。

 

「ツァハリアス殿、父の事について感謝申し上げます。辺境伯となってから日が浅いので、不文法などはまだまだなのです。」

 

「いえいえ、ガイウス殿。お気になさらず。それでは、我々はこれで失礼いたします。また、領地にいらしてください。」

 

「ありがとうございます。ツァハリアス殿。食事を楽しんでいってください。」

 

 シントラー伯爵夫妻が下がるとヘニッヒさんが奥さんと共にやって来た。ここからは僕の部下となる貴族の人達からの挨拶となるみたいだね。顔合わせならしている人たちが順繰りに挨拶に来るので楽でいいね。

 

 最後に準男爵となったピーテル・オリフィエル元侯爵がやって来た。騎士爵の人達よりも位は高いのにだ。

 

「貴方が最後に来たというのは何かがあってのことだろう。挨拶なんて省いてしまって構わない。」

 

「それでは、お言葉に甘えまして。オリフィエル領がシントラー領の南に位置しているのはすでにご存知の事と思います。私が提案したいのは来る帝国の侵・・・。」

 

「ピーテル卿!!・・・その件は後で別室に関わる人間のみで話そう。」

 

「はっ。」

 

「それでは、食事を楽しんでくれたまえ。」

 

「はい、失礼いたします。」

 

 ピーテルさんが一礼してから下がる。

 

 しばらくは参加者それぞれが雑談に興じていた。そして、僕としてはあまり歓迎したくないダンスの時間がやって来た。軍楽隊が音楽を奏で始めると自然と広間の中央に空白地帯ができる。そこにホストである僕と婚約者として周知されているクリスが手を繋ぎ踊り始める。徐々に踊る人が増えてくると僕とクリスは元の場所へと戻る。

 

「あ~、疲れた。合わせてくれてありがとうクリス。」

 

「フフフ、いいえ。大丈夫ですわ。」

 

 そう言いながら微笑んでくれるクリスに改めてお礼を言う。ちなみに父さん達は今日は見学だけだ。ダンスの練習もしていたけど流石にこの短期間では無理があったみたい。

 

 最後の曲が終わると自然と参加者みんなの視線が僕に集まる。立ち上がり、

 

「みな、最後までありがとう。ささやかながら手土産を用意した。どうか受け取ってほしい。帰路は気を付けてくれ。」

 

 こうして、なんとか式典とパーティが終わった。疲れたー。ちなみに用意したお土産は【召喚】した地球のフランスという国で作られた“ロマネ・コンティ”というワインだよ。シンフィールド中将に聞いたらこれがオススメって言われたからね。

 

 さて、それじゃ辺境伯としてイオアンさんとピーテルさんが言っていた件についてのお仕事に取り掛かろう。




読んでくださりありがとうございます。
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