異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第185話 海戦への準備・その2

「そういえば、今日から7月になりましたでしょう。学園(アカデミー)が9月まで夏休みになりますので息子が帰ってきますの。是非とも閣下にお目通りいたしたいのですけれど、大丈夫でしょうか?」

 

 お昼を食べていたらマヤさんからそう言われたので、僕は首肯し、

 

(いくさ)と時期が被らなければいつでも大丈夫ですよ。予定を()けておきます。ところで、ご子息のお名前などを今までお聞きする機会が無かったので、教えていただけますか?」

 

「まぁ、あなた、お話ししていなかったの?」

 

「あー、うむ。学園(アカデミー)に息子がいるということのみでしたな。申し訳ありません。閣下。」

 

 ピーテルさんがマヤさんに責められて頭を下げる。

 

「我が息子の名は“タンクレート”と申します。学園(アカデミー)の官吏科を修了したのち騎士科にて学んでおりますが今年で修了する予定です。歳は今年で19になります。」

 

「そうなんですね。19歳となるとお2人が17歳と15歳の時のお子さんになりますね。」

 

「はい、その通りです。しかし、閣下に私共の年齢をお教えしましたでしょうか?」

 

 あ、【鑑定】で知っていたからついポロっと言ってしまった。ここは上手く嘘をつかないと。

 

「えーっと、先日の事件の時に資料を読みましたので。」

 

「ああ、なるほど。愚姉(ぐし)の件ですな。」

 

 どうやら納得してくれたらしい。

 

 その後は、普通に昼食を歓談しながら楽しんだよ。やっぱり干物よりも新鮮な魚介類は美味しいね。流石は港町。

 

 午後からは一度、【空間転移】でニルレブに戻って飛龍王(ワイバーンロード)のヘラクレイトスと共にシントラー領々都ネヅロンへと向かう。あ、勿論、ヘラクレイトスに騎乗してだよ。飛龍王(ワイバーンロード)だけあって、力強い羽ばたきは通常の飛龍(ワイバーン)の2倍近い速度を出している。

 

 アドロナ王国の端から端への移動になるから時間は随分とかかってしまう。仕方ないね。迷惑にならない時間のうちにネヅロンの門に着いた。今回は飛龍(ワイバーン)用の発着場へと下りる。衛兵さんはすぐに僕だと気付いたようで貴族証を確認されたらパパッとネヅロンへと入れた。ついでに馬も借りたよ。

 

 行政庁舎と海軍司令部のどちらに行こうか迷ったけど、取り敢えず行政庁舎に向かう。でも、いなかったよ。今日は、お休みをとって自宅にいるらしい。だから、すぐにシントラー邸に向かう。守衛さんに貴族証を見せて用件を伝えるとすぐに通してくれた。そして、当然のように案内の使用人さんがすぐに来てくれる。

 

 玄関に向かう途中で馬車止めにシントラー家以外の馬車があるのが目に入る。お客さんかな?使用人さんの案内で応接間に通されたけど誰もいない?お客さんじゃ無かったのかな。マナー違反かもと思いながら【気配察知】を鋭敏に展開する。すると、2階の一室、おそらく執務室にツァハリアスさんの気配を感じる。そして家令さんともう1人。この気配は!?

 

 すぐに僕は「急用を思い出した。」と使用人さんに言って、屋敷から出ようとしたけど一歩遅かった。

 

「おお、その姿はガイウス殿ではないか。久しいな。息災であったかな?」

 

「・・・えぇ、ゲラルト殿もご健勝のようで。」

 

「なに、寄る年波には勝てんよ。ところで、(けい)もツァハリアス殿に用事だったのでは?何故、帰ろうとしているのだ?」

 

 満面の笑みの軍務大臣のゲラルトさんがそこにはいた。これは絶対に厄介事だと無意識下の思考が告げている。

 

「いえ、なに、急用を思い出しまして。ツァハリアス殿とお話しすることは至急の事ではないので、次回の訪問時でもよろしいかと思い・・・。」

 

「ほう、帝国艦隊の集結。そして、それに伴い予測される南下侵攻を“至急の事ではない”と言われるのか。」

 

「・・・優れた間諜をお持ちのようで。」

 

「軍務大臣たるもの情報収集をおざなりにできるものかね。して、(けい)はツァハリアス殿に今後、起こりえるであろう海戦について相談、もしくは何らかの情報、決定事項を持って来たのではないのかね?」

 

 僕が驚いていると、

 

「ふむ、もうちっと表情を隠すようにするべきだ。よいかね、ガイウス殿。(けい)は、いや、(けい)の保有する領地の戦力は日増しに拡大している。特に私兵部隊と、現在、育成中の600を超す龍騎士(ドラグーン)。その気になれば王国の北東部を根こそぎ奪うことができる戦力を中央でただ傍観しているかと思ったのかね。」

 

 僕は気を持ち直し、ゲラルトさんの目をしっかりと見て、言う。

 

「私は、いえ、僕は、この国に住む人達を(まも)りたいだけなんです。そこに貴賤の差はありません。だからこそ、僕は(まも)るためには強引な手段であろうが、疑われようが、それが最善と考えればその手段をとります。」

 

 ゲラルトさんはジッと僕を、僕の眼を見て、その後、笑顔を浮かべ、僕の両肩に手を置き、

 

「ハハハ。(けい)が私人の顔を見せるとはな。王都から出張った甲斐があったというものだ。(けい)の領地での戦力増強については国王陛下も気にしてはおられんよ。むしろ、好きにさせるべきと言っておられる。」

 

 そう言われて、僕がポカンとしていると、

 

「私がツァハリアス殿を訪ねたのは、国軍海軍の指揮権を一時的に譲渡するためだ。指揮系統が2系統あれば混乱する可能性が高いからな。国軍艦隊司令は次席指揮官に任じた。シントラー領の海軍は全てがツァハリアス殿の指揮下に入ることになる予定だったが、ツァハリアス殿から詳しく話しを聞いたらオリフィエル領の両海軍も参戦予定ということで全体の指揮は(けい)が執ると云うではないか。であるから、今ここで(けい)にシントラー領、オリフィエル領に展開する国軍海軍の指揮権を譲渡する。上手く使ってくれ。それでよかったかなツァハリアス殿?」

 

「はい、ゲラルト殿。先程、部屋で申し上げた通り、作戦の立案者であるガイウス殿に全ての指揮権を(ゆだ)ねたいと思っています。」

 

「うむ、これでオリフィエル領まで行く手間が省けたというものだ。ガイウス殿。こちらが指揮権移譲の書類になる。」

 

 ゲラルトさんがそう言って書類の束を渡してくる。僕は両手で受けとり、中身を軽くだけど確認をする。ホントにシントラー領とオリフィエル領に展開する国軍艦隊の指揮権を一時的に僕に渡すというモノだった。

 

「帝国に痛い目を見せてやってくれ。それではな。」

 

 ゲラルトさんはそう言って、僕とツァハリアスさんを残して玄関ホールを後にした。外から馬車の動く音が聞こえてくる。その音で、僕は一気に現実に引き戻される。

 

「え・・・、国軍を指揮・・・?」

 

「大丈夫ですよ、ガイウス殿。私とピーテル殿も補佐しますので。それにシントラー領に駐留している国軍艦隊司令官のホベルト殿、オリフィエル領の国軍艦隊司令官のマヌエル殿は平民出身ですが、優秀な人材です。頼りに出来ますよ。」

 

「そうじゃないと、私の神経が持ちませんよ。」

 

「ところで、私に何かご用があったのでは?」

 

「ああ、実はですね。・・・。」

 

 救助隊の件について話しをすると、ツァハリアスさんも賛成してくれて、明日にでも教会に要請してくれると約束してくれたよ。船の準備も間に合わせてくれるとのことで今日の話しはそこでおしまい。時間がね。オリフィエル領に一度、帰らないと。

 

 ヘラクレイトスの所へ戻り、そのままオリフィエル領に向かって飛ぶように指示を出す。

 

「ガイウスよ、いくら我が普通の飛龍(ワイバーン)よりも速いといっても日没前に着くのは難しいが。」

 

「ああ、大丈夫だよ。この場所、高度ならそう人目にはつかないね。【空間転移】」

 

 【空間転移】を使ってナドレンの近くの空に瞬時に移動する。

 

「おお、これが神より授かった力か。一挙に移動するなど素晴らしい。しかし、この能力があるのであれば、今回の移動で我は必要無かったのではないか?」

 

「いや、あまり他人には話してないからね。秘密にしているんだよ。そんで、まぁ、移動時間の辻褄(つじつま)を合わすためにヘラクレイトスに飛んでもらったというわけ。」

 

「なるほどな。ほれ、もう着くぞ。」

 

「うん、発着場はあっちだね。」

 

「うむ。」

 

 ヘラクレイトスは旋回しながら降下を始める。ヘラクレイトスに気づいた衛兵さんが着陸誘導をしてくれる。ふわりと音もたてずに優雅に着地したヘラクレイトスから降りる。衛兵さんはすぐに僕と気づいたようで、貴族証を確認したらすぐに馬を貸してくれた。そのまま、オリフィエル邸へと向かう。1日で色々しすぎたね。疲れたー。




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