異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第186話 海戦への準備・その3

 動きまわった昨日は本当に疲れた。今日は日曜日だから公的機関は基本的に休みだ。行政庁舎の日曜窓口や軍、衛兵隊とかは別だけどね。軍は別といっても中の人は違う。基本的に司令部の人員は最低限とは言わないまでもほとんど休むし、司令官も隔週で休んだりする。ま、国軍か領軍かによっても違うんだけどね。

 

 そんなわけで、各艦隊の司令官さんに会うのは明日にして今日は戦艦“霧島”に乗って、【召喚】した4隻の実力を見せてもらおうかな。【召喚】した時は接岸していたけど、今は少し沖の方で錨を下ろして停泊している。一度離れた岸壁に接岸するにはタグボートっていう曳船が必要みたい。岸壁には各艦の内火艇という小さな船が係留されている。これを使って、乗員の人達は陸と艦を行き来している。

 

 僕たちもそれに乗って、“霧島”に向かう。内火艇から舷側タラップを上がり乗艦すると、艦長の岩淵大佐が敬礼しながら出迎えてくれた。僕は答礼をして気楽に言う。

 

「今日はよろしく頼むよ。」

 

「はい、閣下。では、艦橋へどうぞ。」

 

「ありがとう、その前に、ヘラクレイトス下りてきて!!」

 

 【風魔法】で言葉を“霧島”の上空を旋回しているヘラクレイトスへと届ける。すぐにヘラクレイトスは緩降下しながら僕の隣で羽ばたきながら滞空する。岩淵大佐達は風圧で帽子が飛ばされないように押さえている。ゆっくりと着艦する。

 

「彼も、飛龍王(ワイバーンロード)のヘラクレイトスも一緒に乗せたいんだけど、どこか場所はあるかな?」

 

「ふむ、それならば、4番主砲塔の後方ならば大丈夫かと。速水少尉、案内したまえ。」

 

「はっ。どうぞ、ヘラクレイトス殿、こちらです。」

 

 速水少尉の言葉にヘラクレイトスは大きく頷き、彼の後をゆっくりと着いて行く。すれ違う水兵さん達が驚いているようだ。

 

「では、閣下、改めて艦橋へどうぞ。」

 

 “大和”の時も思ったけど、艦橋からの眺めは圧巻だね。港内の軍船を一望できる。こんな高さの建物なんてそれこそ、王国内だと王城の見張り塔ぐらいじゃないかな。

 

「出港準備、揚錨機用意。艦内警戒閉鎖。」

 

 岩淵大佐の命令が復唱や伝令によって伝えられていく。僕たちは門外漢なので艦橋の隅っこでじっとしているけど、みんな、興味深そうに見ている。ちなみに今日はピーテルさんとマヤさんも一緒に来ているよ。

 

「しかし、閣下もこのような時間のかかる作業が見たいと言われるとは。」

 

「迷惑だったかな?」

 

「いえいえ、とんでもない。ただ、今している作業は本来ならば閣下が乗艦される前に終わらせるものでしたので。」

 

「ああ、なるほど。」

 

 僕が頷いて、同意を示すとピーテルさんが、前のめり気味に言う。

 

「横から入って申し訳ないが、この艦は魔法を一切使用せずに30ノット出せるとは本当なのかね?」

 

「ええ、本当です。港内を出たら全開航行をしましょう。」

 

「ありがたい。」

 

 その後を、色々と雑談(主に主砲の威力とか防御力、機関について)をしていると、航海長さんが岩淵大佐に報告する。

 

「艦長、出港準備整いました。僚艦の青葉、夕立、綾波からも“出港準備ヨシ”の発光信号を確認しました。」

 

「ご苦労。閣下、今回は貴方が艦隊司令官です。ご命令を。」

 

「うむ。全艦、港外に向け前進。進路を西にとり、魔物などに接敵した場合は各艦で対応するように。」

 

「通信士、今の命令を各艦に発光信号。機関長、前進微速。航海長、面舵10、港外に出る。」

 

「「「了解。」」」

 

 ゆっくりと“霧島”の巨体が動き出す。

 

「両舷半速。」

 

「両舷半速。」

 

 岩淵大佐の命令を伝声管に向かって航海長さんが復唱する。速度が少し上がる。僕はみんなに向かって、「ヘラクレイトスで上空から随伴する。」と言ってヘラクレイトスの所に向かう。

 

 港外を示す、ブイを過ぎたら“霧島”がさらに加速するのを感じる。ヘッドセットを付けてジョージと通信がしっかりと出来るのを確認する。

 

「やあ、ヘラクレイトス。待たせたね。」

 

「なに、これぐらい、待たせられたとも思わんよ。さて、上から見るのであろう?」

 

「うん、君にとっては退屈だろうけど。」

 

「こうしてジッとしているよりは、ずっと良いさ。」

 

 そうして、僕が騎乗したヘラクレイトスは空へと舞い上がる。高度計を取り出し、大体150mくらいを維持してもらう。それと、飛行帽とゴーグルをかける。通常、龍騎士(ドラグーン)は鎧を身に付けるからこんな装備は要らないんだけど、飛龍(ワイバーン)便とかを運用するようになれば必要になるかもね。っとジョージから通信が。

 

『ガイウス卿。岩淵大佐と青葉の久宗大佐から水上偵察機と弾着用の観測機を発艦させたいとのことですが、許可を出しますか?』

 

『うん、許可するよ。そう伝えて。』

 

『了解。』

 

「ヘラクレイトス。航空機が上がってくるみたい。あ、あれかな?航空機を乗せているみたいだし。射出機(カタパルト)って言っていたけど、あれでどうするんだろう?」

 

 興味深く見ていると、“ボンッ”と音がしてプロペラ機が射出機(カタパルト)の上を滑り発艦した。青葉からも発艦して、霧島からは3機、青葉からは1機の計4機の偵察機と弾着観測機が発艦した。北東から北西をカバーするように飛び去っていく。

 

 眼下に見える艦隊も面舵で進路を北北西へととる。4つの航跡と黒煙の軌跡が綺麗だね。さてさて、何が見つかるかな。

 

 偵察機たちの発艦から40分が過ぎたぐらいかな、ジョージから通信が入る。

 

『船を発見したようです。ガイウス卿から戴いた敵艦隊の図表の帆船に似ているようです。どうされますか。』

 

『1隻だけ?』

 

『いえ、少し待ってください。・・・3隻だそうです。北からシントラー領を避け回り込むようにオリフィエル領を目指しているように見えるとの事です。』

 

『危険だけど、低空飛行で相手の旗を確認してもらって、帝国の所属艦と判明したら、迎え撃つ。そう伝えて。』

 

『了解です。』

 

「魔物じゃなかったかぁ。」

 

 そして数分後、

 

『帝国の旗を確認したそうです。敵船隊は南下を中断し、北へと逃走を開始したようです。』

 

『岩淵大佐へ、最大船速で追撃。絶対に逃がさないように伝えて。間に合いそうにないようなら、すぐに連絡を僕とヘラクレイトスで()る。』

 

『了解。』

 

 眼下の艦隊の速力が上がったのが吐き出す黒煙と船首が切り裂く波でわかる。各艦の各砲塔が旋回したり、砲を上下に動かしたり、各銃座に配置して戦闘準備を整えている。僕も鎧を取り出し、着込む。右手には短槍を持ち。背中には長弓と矢筒を背負う。

 

 数十分後、僕の強化された眼は、こちらに背を向けて全速で北上している帆船を捉えた。あれは、ダーニャ級中型帆船、偵察型巡洋艦に分類される船だ。1,000m上空には霧島と青葉の偵察機が張り付いている。

 

 さらに十数分が過ぎて、ジョージから通信が入る。

 

『“霧島”の主砲射程内に入りました。砲撃を許可しますか?』

 

『勿論、外してもいいから相手の船速を鈍らせれば御の字だね。』

 

『了解。』

 

 “霧島”の1番、2番主砲塔が旋回し、砲が上下し照準を合わせる。

 

「ヘラクレイトス、轟音がするよ。」

 

「うむ、覚悟しておこう。」

 

 そのやりとりをしてすぐに全身を震わせるような轟音が響き渡る。開戦の合図だ。




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