異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第30話 日常へ

 さて、「鷹の止まり木亭」で迎える3回目の朝だ。昨日はクリスティアーネ様が「泊まっていかれないのですか?」と潤んだ瞳で言って来たのを断腸の思いで断った。だって、何故(なぜ)か、ユリアさんにローザさんとエミーリアさんの機嫌が悪かったのだ。なので、その日のうちに“インシピット”に戻ってきた。因みに服はプレゼントということで、貰った。

 

 上等な服なので【収納】してある。女性陣もドレスを送られ喜んでいた。機嫌が良くなって良かったと思っていると、帰りの馬車の中で、クリスティアーネ様とのことについて色々と聞かれたけど、交流会でダヴィド様が言った通りだと説明すると、“ふーん”といった感じでジト目にて僕を見てきた。一体僕が何をしたっていうんだ!?

 

 まぁ、そんなことがあったのも既に昨日という過去だ。今は、今日の予定を考えないとね。取り敢えず朝食だ。食堂に下りると、ローザさんとエミーリアさんは、既に席につき朝食を食べているところだった。挨拶をして、僕も同じ席につく。すぐにアンゲラさんが朝食を持ってきてくれる。

 

「今日の予定はどうしようかしらね。討伐依頼(クエスト)で儲けて森に狩りに行く?それとも、護衛依頼みたいなちょっと日数のかかる依頼(クエスト)にする?」

 

 ローザさんが聞いてくる。僕は気になることがあったので、

 

討伐依頼(クエスト)にしましょう。実は、先日、ゴブリンの巣を殲滅したときに、気になることがあったので。」

 

「なにからしら?」

 

「オークです。それも数体いて、うち一体は他のオークよりも体躯が立派で、命令をしているように見えました。もしかすると、ゴブリン同様にオークの巣ができているのかもしれません。」

 

「なるほどね。確かに気になるわね。エミーリアはどう思う?」

 

「ガイウスの考えが当たっていた場合、早急に対処した方がいいと思う。一応、ギルドマスターにも報告すべきかも。」

 

 確かに、アンスガーさんの耳には、入れておくべきかもしれない。そうと決まれば、ギルドへ向かおう。各々が部屋に戻り装備を整える。とは云っても、僕の場合は昨日の模擬戦で、上半身の革鎧が使い物にならなくなっているから、動きやすい服装に着替えて、長剣を腰に佩き、弓と矢筒を装備し、手に短槍を持つだけだ。あとは、偽装魔法袋。これで、準備完了。

 

 「鷹の止まり木亭」の一階には既にローザさんとエミーリアさんが待っていた。その傍には、アンゲラさんと娘のフランキスカちゃんがいて談笑しているようだった。

 

「遅れてすみません。それと、おはよう。フランキスカちゃん。」

 

 と声を掛けると、「おはようございます。ガイウスさん。」と明るい声で挨拶を返してくれた。ちなみにフランキスカちゃんは年下で10歳だ。ローザさんとエミーリアさんは、「私たちも準備が終わったばかりでそんなに待ってないわ。」と言ってくれた。アンゲラさんとフランキスカちゃんに見送られながらギルドに向かう。

 

 そのギルドに向かう途中で、やっぱりというべきか、上半身の装備について2人から突っ込みを受けた。仕方ないじゃないか。昨日は戻ってきてから買いに行く暇は無かったし、今までも、お金に今ほど余裕が無かったから、防具を揃えられないでいた。でも、今ならそれなりの防具を買うこともできるし、辺境伯様から貰ったヒヒイロカネ製の鎧一式がある。2人にそう説明すると、確かにという表情をして頷いた。

 

 そんな雑談をしていると、すでにギルドに着いた。扉を開けて中に入ると、空気が変わるのがわかった。「おい、ギルドマスターとサブギルドマスターに勝ったシュタールヴィレの3人だぞ。」「ガイウスさんは辺境伯様の騎士団にも1人で勝ったらしい。」「竜騎士(ドラグーン)もいたそうだぞ。」「あの軽装でよく・・・。」などと、前にも一昨日の朝もこんなことがあったなぁと思っていると、アントンさんが近づいて来て、

 

「おはよう。ガイウス。お前さんはすげぇな。ハハハ。」

 

 と、笑いながら背中をバシバシと叩いてきた。僕はため息をつきながら、

 

「どこまでの内容が、町のどこまでに広がっているかわかります?」

 

 と聞いた。ガイウスさんは頷きながら、

 

「お前さんが辺境伯様の竜騎士(ドラグーン)含む騎士団相手に1人で勝ったという内容で、今はまだギルド内だけだ。ちなみに情報の流出源は・・・。」

 

 そう言って、アントンさんは、己の背中の向こうを親指で指し示す。すると受付カウンターに座っているユリアさんが、笑顔で手を振っていた。僕はアントンさんにお礼を言うとカウンターに向かって歩いていく。一昨日と同じように、冒険者たちが左右に分かれ道ができる。

 

「おはようございます。ガイウス君。」

 

「おはようございます。ユリアさん。早速ですが、どうして昨日のことを、もう広めたりしたんですか?」

 

「それについては、ギルドマスターから直接の説明がありますので、どうぞ執務室へ。もちろん、後ろの2人もですよ。」

 

 ユリアさんに案内され、アンスガーさんのもとに向かう。ふむ、何か厄介なことが昨日の模擬戦ないしは交流会であったのかな。「ユリアです。ガイウス君たちを連れてきました。入りますよ。」ノックと同時に、ユリアさんは返事を待たずに、扉を開け執務室に入る。僕たちも後に続く。アンスガーさんは、「呼び出して悪かったね。」と言いながら、椅子を勧めてきたので、腰掛ける。

 

「さて、昨日は本当にありがとう。昨日の模擬戦のことが、すでにギルド内で話題になっていて驚いただろうが、考えがあってのことなんだ。」

 

 僕は頷き、先を促す。扉はすでにユリアさんが閉めており、歩哨のように扉の前に立ち、第三者が入らないように警戒している。

 

「実は、昨日、君が竜に使用していた【リペア】という能力なんだが、調べてみたら、“邪神”征伐の際に選ばれた“聖女様”しか今まで使用した記録が無いんだよ。これは、驚くべきことだし、危ないことだ。あとは、クリスティアーネとの婚約について大事にならないように、そうするために、模擬戦の話題だけを早くわざと漏らした。申し訳ない。」

 

「いえ、アンスガーさんの考えはわかりました。【リペア】について、今後はあまり使用しないようにします。クリスティアーネ様とのことも、もともと言いふらす気はありませんでしたから。」

 

「そうかね。話が速くて助かる。」

 

「厄介ごとに巻き込まれるのは嫌ですからね。病院や診療所をやるなら【リペア】は良い能力なんでしょうけど。」

 

「まぁ、確かに欠損部位が治るというのは、素晴らしい能力だと思う。だから、国や他の貴族家、あるいは他国に他のパーティが君を囲い込むために、何かしないか心配なんだよ。」

 

「僕の身近な人に危害を加える(やから)がいたとき、その時は、徹底的に(あらが)ってみせますよ。後悔するほどね。」

 

 笑いながら答えてみせると、「ほどほどに頼むよ。」とアンスガーさんは少し顔を青くして、引いていた。




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