異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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小説家になろうさんやカクヨムさんには、3話に分けて投稿したモノなので、少し長くなってます。


第5話 冒険者になる前に一仕事

 村が見えなくなるまでさほど時間はかからなかった。村から一番近い町『インシピット』は、歩きでは朝に村を出れば日が落ちるまでには着く。もちろん、道中で何にも出くわさなければだけど。道の両側は大人の膝丈ぐらいの草原が続き、右側は途中で森へと変わっていて、左側は見渡す限り草原が続いている。

 

 そろそろ、お昼にしようと思いほかの通行人の邪魔にならないよう少しだけ森側に道から外れ、背嚢から折り畳み式の椅子と母さんの作ってくれたご飯を出した。さて、食べようとしたとき森の中から鉄と鉄がぶつかる音と男と女の声が聞こえてきた。周囲の通行人には聞こえて無いようだ。おそらくチート能力の【ステータス5倍】で聴力が強化された僕だけに聞こえているんだろう。

 

 僕は急いで広げたものを片づけて森の中、音のする方へと走った。強化されてから初めて走ったせいか、最初はうまく走れず木の根に躓いたり藪を飛び越えようとして木の枝に頭をぶつけたりした。それでもすぐに慣れてスピード以外はいつも通りに走れるようになった。さぁ、あとは急ぐだけだ。僕はさらに加速した。

 

 2分と少ししてから音と声の発生場所にたどり着いた。近くの藪に身を隠し見てみると、5人ほどの男たちと、2人の女が対峙していた。どちらに加勢すべきかと思い、とりあえず鑑定を使った。すると男たち全員に【職業:盗賊】と表示されていた。女の方は1人が【職業:冒険者・剣士】、もう1人が【職業:冒険者・魔法使い】と表示された。これならどっちに加勢するかなんて答えは簡単だね。僕は藪から勢いよく飛び出し、冒険者の方に

 

「加勢します。」

 

と声をかけて手近な盗賊その1にパンチした。お腹にパンチが命中した盗賊その1は「うぐゎぁっ!?」と勢いよく吹き飛んでいき木にぶつかりそのまま倒れた。一瞬の静寂がその場を支配したけどすぐに冒険者の剣士さんが、

 

「助かる!!」

 

 と返事をして自分の目の前の盗賊に向かっていく。魔法使いさんも魔法陣を出現させ魔法の詠唱を始めていた。

 

「ふざけんな!!このガキが!!」

 

 盗賊側も立ち直りかけていた。僕に向かって剣を振りかざして盗賊その2がやって来た。今度は剣を持つその手にハイキックをお見舞いした。ボキッという鈍い音と共にその2の手から剣が零れ落ちた。すかさず僕はその2の顔を掴んで思いっきり後頭部を地面に叩きつけた。「んがっ!?」と白目を剝いて気絶した。たぶん。

 

 その1もそうだけどその2も死んでいないと信じたい。僕は動物を狩りで殺したことはあるけど、人に暴力を振るったことなんて今まで無い。だから、もちろん人を殺したことなんて無いんだ。そんな僕の思いをよそに頭の中に声が響く「【経験値が貯まったのでLv.12となりました。剣術がLv.2になりました。格闘術がLv.34になりました。防御術がLv.21となりました。】」経験値が入ったということは殺してしまったのかな・・・。

 

 それでもこの状況を切り抜けるにはやるしかない。剣士さんと魔法使いさんがそれぞれ1人ずつ倒して盗賊は残り1人となった。

 

「な、こんなはずじゃあ・・・。どうにか逃げてお頭に報告しねぇと。」

 

 後ずさりしながらブツブツ言っているけど、まだ他にも仲間がいるみたいだね。それならこの盗賊その3にはそこまで案内してもらって殲滅したほうがいいのかもしれない。倒す気満々の剣士さんと魔法使いさんの傍に行って僕の考えを提案する。2人ともすぐ傍に来た僕の速さに驚いていたみたいだけど、すぐに僕の提案を了承してくれた。

 

 僕は逃げようとしていたその3に接近してまずは膝の骨を折り、次に肘の骨を折った。これで魔法でも使わない限り逃げられなくなった。そのあとは首を折らないように喉を握り声が出せないようにした。僕は殺さないことを示すために安心させるように笑顔をつくりながら、

 

「僕たちをおじさんたちの残りの仲間の所まで案内してくれる?」

 

 と聞いた。その3は物凄い速さで首を縦に振った。さぁ、もう一仕事だ。

 

「大声出したら首を折らせてもらうからね。」

 

 そう言いながら盗賊その3の喉の拘束を緩める。その3はしばらく咳き込んでいた。落ち着いたころを見計らってもう一度だけ質問をする。

 

「今からおじさんは自身の命と引き換えに仲間のいる場所まで僕たちを案内する。それでいいよね?」

 

「あぁ、こうなっちまったからには仕方がねぇ。」

 

 その3は首肯した。後ろを振り向き冒険者のお姉さん2人にも確認をとる。

 

「お姉さんたちもくるでしょう?」

 

「えぇ、問題ないわ。」

 

「私も問題ない。魔法もまだ撃てる。」

 

「魔法使いのお姉さんには、この盗賊の膝を治してもらっていいですか?」

 

「わかった。それと私の名前はエミーリア。」

 

「わかりました。エミーリアさん。それではヒールのほうをお願いします。剣士のお姉さん「ローザよ。」ローザさんには倒した盗賊の生死の確認と遺体の片付けを一緒にしてもらっていいですか?」

 

「いいわよ。」

 

 ということで、エミーリアさんがヒールでその3の膝を治している間に僕とローザさんは倒した盗賊の生死確認と遺体の片付けを開始した。ローザさんとエミーリアさんが倒した盗賊は死んでいたので使えそうな装備やお金を回収してから死体を【収納】した。もちろん、能力がばれないよう魔法袋代わりに持ってきていた普通の麻袋に【収納】するようにみせた。

 

「あら、魔法袋を持っているのね。羨ましいわ。」

 

「祖父から譲ってもらったんです。入る容量も小さな平屋1軒分ぐらいしか入らないみたいですよ。」

 

「おじいさまは冒険者だったの?」

 

「いえ違います。普通の農業と畜産をしている農民ですよ。魔法袋は若いころ助けた冒険者からお礼として貰ったみたいです。」

 

 そんな会話をしながら僕の倒したその2の場所へとやって来た。気絶したと思っていたけど口からは血を流し、脈も触れなかったので死んでしまったみたいだ。その1も同じく死んでいた。どちらも殺すつもりなんて無かったんだけどな・・・・。

 

「人を殺したのは初めてかしら?少し顔色が悪いわよ。」

 

 どうやら、表情に出ていたらしい。僕は頷き、

 

「気絶させるだけですませようと思ったんです。殺すつもりなんて・・・。」

 

「私も初めて人を斬ったときはことが終わってから震えたわ。でもね、すぐ慣れたわ。いえ、慣れざるを得なかったというところかしら。魔物には人型のゴブリンやオーク、オーガなどがいるわ。それに護衛依頼で盗賊に襲われることもあったわ。そうすれば嫌でもね・・・。」

 

「そうですね・・・。慣れないといけないことですよね・・・。」

 

「すぐに慣れなくていいのよ。ゆっくりとね・・・。さて、湿っぽい話はここで終わり。エミーリアの治療も終わっている頃でしょうから戻りましょう。」

 

「はい。」

 

 エミーリアさんとその3が居る場所に戻ると治療はすでに終わっていた。

 

「それじゃあ、おじさん残りの仲間の所まで案内をお願いね。それと人数って何人くらいかな?」

 

「残りの人数はお頭も含めて18人だ。アジトの場所までは俺が先導して案内する。」

 

「もし、大声出したりしたら命の保障はしないからね。」

 

「わかってるよ。命あっての物種だ。」

 

「しかし、残り18人かぁ。3人で相手するには少し多いかな?どう思います。ローザさん、エミーリアさん。」

 

「確かに私たち3人だけでは厳しいかもね。町に行ってギルドか衛兵に伝えるのも1つの手よね。」

 

「ローザに同じ。」

 

「もし、さっきの盗賊5人分の強さを持つ人が助っ人としていたらどうですか?」

 

「それなら話は別ね。いけると思うわ。」

 

「でも、そんな人は何処にもいない。なにか考えがあるの?」

 

「じつは僕、【召喚】ができるんです。それでいけるかなって思って。とりあえず見ていてもらっていていいですか?」

 

 2人とも頷いたのを確認して僕は【召喚】をおこなう。なるべく強い人。それこそ誰も並び立つ人がいないほどの強い人。そういう人を【召喚】することを思い浮かべる。すると地面に魔法陣とともに光があふれた。光が収まるとそこには2m近くの大男が立っていた。

 

 男の格好は黒い鎧に腰に剣を佩き、矢を携え。右手には槍の穂先の根元に刃がついているモノ。左手には身の丈ほどの立派な大弓を握っていた。そして、その双眸は僕を見ていた。

 

「僕が召還者のガイウスだ。召喚されし者よ名を述べよ。」

 

 すると男は片膝をついて持っていた武器を置き、握りこぶしを胸の前で片方の手で包むと頭を垂れ、

 

「我が名は呂布。字を奉先と申す。召喚主よ何なりとご命じられよ!!」

 

 召喚した呂布に軽い自己紹介とこれからのすることを説明した。ちなみに呼び方は「呂布」でよいということだった。説明を聞いた呂布はニヤリと笑うと、

 

「その程度の賊ならば、拙者1人で十分でござる。ガイウス殿とローザ殿、エミーリア殿には拙者の戦働きを見ていただければと思いまする。」

 

 僕は呂布のステータスを確認していたので、この言葉はおそらく本当だと思った。なにしろ体力が945、筋力が1054、知力が783、敏捷が887あり、能力は【剣術Lv.987】【槍術Lv.1012】【弓術Lv.1000】【防御術Lv.975】【回避術Lv.956】というまさしく人外じみた数値となっていたからだ。僕は呂布の提案に頷き、

 

「それじゃあ、呂布に任せるよ。道案内はそこのおじさんがしてくれるから。」

 

「ガイウス殿の信頼に存分に応えてみせましょうぞ。さて、賊よ仲間の所まで案内せい。大声を出したり、逃げたす素振りを見せたらその首、斬り飛ばすぞ。」

 

 大男で迫力のある呂布に脅された盗賊その3は、顔を青くさせながら首を何度も縦に振った。そうしてその3を案内役として盗賊のアジトに向かって進み始めた。

 

「そういえば、呂布のその槍みたいな武器は何ていう名前なの?」

 

「これは戟と申します。突く、斬るの両方に対応しております武器です。」

 

「へぇ~。面白い武器だね。」

 

「そうね。まるでハルバードみたいね。」

 

「その、ハルバードとは?」

 

「簡単に言うと槍の穂先に斧とその反対に突起が着いたものよ。」

 

「ほぅ、それは興味深い武器ですな。一度使ってみたいものです。」

 

「今度、召喚するときに準備しておくよ。」

 

「おぉ、是非ともお願いいたします。それとわが愛馬「赤兎」もお願いいたします。」

 

 しばらく雑談をしながら進むと先導していたその3が立ち止まった。

 

「この先の森が途切れた広場と洞窟の中がアジトだ。」

 

 その言葉に僕たちは姿勢を低くしながらしばらく進み木が途切れる手前で止まった。確かに洞窟があり、その入り口に見張りだろうか2人ほど盗賊が立っていた。

 

「呂布いける?」

 

「無論。」

 

 呂布が弓に矢を2本つがえて構える。まさか2人同時に射止めるつもりなのかな。弓を引き絞る音が聞こえたと思った次の瞬間には、呂布は矢を放っていた。矢は狙いを違えることなく2人の盗賊の眉間に深々と刺さった。

 

「す、凄い・・・。」

 

 思わず声が漏れてしまった。冒険者の2人も驚きのあまり声が出ないみたいだ。そんな僕たちをよそに呂布は洞窟に向かって大声で、

 

「賊ども出てこい。征伐に来てやったぞ!!」

 

 しばらくすると、洞窟からワラワラと武装した男たちが出てきた。数は16人。先に倒した2人も含めて18人だからこれで全員だ。最後に出てきた周りの男たちよりも少し立派な装備を見つけた男が盗賊の頭だろう。

 

「どこに居やがる出てきやがれ!!」

 

「おう、今出てきてやる!!」

 

 言うが早いか呂布は森から飛び出し盗賊の頭めがけて走る。走りながら弓で4人仕留め、盗賊の頭を守るように立っていた2人を戟で薙ぎ払い、これで6人仕留めた。盗賊の頭が反応する前に一瞬で間合いを詰め、腰の剣を抜きざまに首を刎ねた。

 

 辺りが一瞬の静寂に包まれるがすぐに「か、頭がやられた・・・」「逃げろ!!」「コイツは化け物か!?」と残りの賊が慌てだす。その隙を逃す呂布ではない。逃げようと背を向けた賊には弓で、向かってくる賊には、戟と剣で斬り捨てていた。しかし、何事にも不測の事態が起こるようで、1人の賊が僕たちの隠れている方へ逃げてきた。僕はすぐに飛び出した。

 

「ガキがぁ!!邪魔だあぁぁぁ!!」

 

 賊が剣を振り下ろす、その剣の腹に手を当て軌道を逸らして呂布を真似て抜刀と同時に斬り上げた。その衝撃で賊が倒れたのでそのまま首を刎ねた。呂布のほうを見ると最後の賊の首を刎ねたところだった。

 

 その後は、死体を一カ所に集め、洞窟の中に捕らわれている人がいないか捜索した。結果として誰もいなかったけどそれなりの財貨があった。これはあとでみんなで山分けだね。こうして僕の初めての実戦は幕を閉じた。




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