異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第75話 アダーモ・ウベルティ

 アダーモさんは申し訳なさそうに頭を下げる。ふむ、あれだけ希望していたのになんで急に心変わりしたんだろう。こういう場合、直接、ストレートに聞くに限る。

 

「何か、理由があるのでしょう?その理由を聞かせていただけないですか?」

 

 アダーモさんは頷き、頭を下げながら言った。

 

「ガイウス殿、いや、ゲーニウス様の臣下として雇っていただきたいのです。家臣団に加えていただきたい。」

 

 おっと、僕が言おうとしたことアダーモさんから言ってくれた。これは、幸先がいいねぇ。僕は笑顔になりながら、

 

「僕からお願いしたいぐらいです。2級冒険者であるアダーモさんが家臣となってくだされば、地域の治安も守れるでしょう。ところで、アダーモさんのご家族は?大丈夫なのですか?」

 

 すでに知っている情報を、さも知らないように聞き出す。でも、結婚しているかどうかまではわからないからね。

 

「自分は独身です。そして、黙っていて悪いと思ったのですが、ウベルティ伯爵家の三男なのです。ですので、改めまして自分の名前は、アダーモ・ウベルティと云います。」

 

「なるほど、因みにお父様は何をされているのですか?普通に領地経営でしょうか?」

 

「いえ、我が家は代々の当主は近衛として(つと)めてきました。領地経営は基本的に兄や家臣団と親族が行っています。そして、私の父ですが、現在、近衛第1軍の軍団長を務めさせていただいております。」

 

 えっ、第1軍って僕と模擬戦をした軍団だよね。正確には第1連隊第1歩兵小隊だったけどね。一応伝えておこう。

 

「実は今日、アダーモさんのお父様の配下の方々と模擬戦を、国王陛下の前で御前試合を行いまして、蹂躙してしまいました。」

 

「ふむ、勝った負けたというのは、戦うモノの宿命でしょう。そこは、父は気にしていないと思います。」

 

「そうですか。それは良かった。しかし、なぜアダーモさんは冒険者に?」

 

「ああ、それはですね、当家では“国は民、民は国。民あっての貴族であり、民を守ってこその貴族である。”と幼少より教えられるのです。ですから、自分は国王陛下や王都を重点的に防衛する近衛兵ではなく、様々な状況の国民を助けることのできる冒険者となったのです。一番上の兄は領で次期領主として仕事をしております。次兄は、領軍に属しております。また・・・。」

 

「あ、もういいですよ。ありがとうございます。ウベルティ伯爵家が民の味方ということがわかりましたから。ふむ、そうですね、採用ですね。ただし、仮です。僕もまだ仮の貴族証しかもらっておりませんし、授爵はありましたが、叙任式は予定が狂ったので明日になるそうです。明日、もう1度お会いしましょう。僕の仲間にも紹介したいので、貴族街のアルムガルト辺境伯家のお屋敷にお越しください。時間は昼過ぎが良いでしょうから、14時ごろとかはいかがでしょうか?」

 

「わかりました。明日の依頼(クエスト)は、その時間までに終わらせるようにしましょう。ところで、アルムガルト辺境伯のご当主はお越しなのでしょうか?」

 

「いえ、アルムガルト辺境伯家では、御令孫(ごれいそん)のクリスティアーネ様がいらっしゃいます。」

 

「わかりました。ありがとうございます。貴族のやり取りは難しいものがありまして、お屋敷にお伺いする場合は、先触れを必ず出すのがマナーとなっておりますので。」

 

「はあ、そうなんですね。僕もそういうことを学ばないといけないですね。」

 

 アダーモさんは僕の言葉に頷き、

 

「親しい貴族家の次男以降の男子や女子は基本的に家を継ぐことはありません。ですから、そういう者の中から家臣をお選びし、家臣団を形成すればよろしいかと。アルムガルト辺境伯家と親しい付き合いをされているのであれば、紹介をしていただくことができますね。」

 

「なるほど、その手がありましたね。インシピットの町に戻ったら、アルムガルト辺境伯様にお願いしましょう。それで、ナーノモン領改めゲーニウス領には、受け入れの準備ができてからお越しいただきたいのですが、お知らせはどちらにお送りすればよろしいでしょうか?」

 

「王都のウベルティ伯爵家の屋敷までお願いいたします。自分も準備をしてお待ちしておりますので。」

 

「それでは、よろしくお願いします。」

 

 僕は右手を差し出す。彼はその手を両手で包み、

 

「どうそ、よろしくお願いいたします。」

 

 と、深々と頭を下げたのだった。そして、もちろん、ギルド内では2級冒険者のアダーモさんに頭を下げさせた子供として騒がれるのだった。いや、もう慣れたよ。うん。その後、アダーモさんと色々と話した。5月には領地経営を始めること。それに必要な人材、国境の守備など。

 

 すると、アダーモさんは、

 

「文官は、取り敢えず文字の読めるものと計算のできるものなら貴族はもちろん、平民でも試験をして取り立てるべきでしょう。ウベルティ伯爵領ではそのようにしております。また、領軍も農家や商家、寄子(よりこ)貴族家の次男以降の男子が志願してきます。平民、貴族の区別はありません。まあ、家を継げない彼らにとってはよい就職先でしょうな。」

 

「なるほど、参考になります。ただ、僕には奥の手がありますので、取り敢えず、現地に赴任して確認してから、どうするか決めてみます。あ、アダーモさんは有無を言わさず、領軍の指揮官になってもらいましょうかね。」

 

「ハハ、自分が指揮官ですか?大出世ですな。」

 

 2人してハハハハと笑い、今日はここでお開きとなった。

さて、明日の正式な叙任式の準備をしないと、辺境伯への叙任式だから、きちんとした服装をしないと、と云うことは、またメイドさんたちの着せ替え人形になるのかなぁ。




見てくださりありがとうございました。
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