異世界の神様からチート能力?を貰いました。   作:名無しの兵六

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第9話 初めての依頼

 窓から差し込む光と共に冒険者生活の2日目が始まった。この「鷹の止まり木亭」は窓の一部に高価な透明のガラスがはめられていて光を入れるのに窓を開けなくていい。僕が冒険者として稼げるようになったら実家にもガラス入りの窓を付けるようにしよう。寝起きの頭でそんなことを考えながら着替えて一階に下りる。併設されている食堂で給仕をしていた女将のアンゲラさんが僕に気がついて、

 

「おはよう、ガイウス君。朝食を持ってこようか?」

 

「おはようございます。朝食の前に顔を洗いたいのですが、井戸はどちらに?」

 

「井戸ならそこの扉から出た場所にあるわよ。桶は置いてあるのを使っていいから。」

 

 アンゲラさんが指さした扉から出て、井戸で水を汲み桶に溜め顔を洗う。冷たい水で目が覚め頭もしゃっきりとする。食堂に戻り朝食をお願いし席につく。どうやらローザさんとエミーリアさんはまだ起きてきてないみたいだ。朝食はパンとスープ、ベーコンエッグとサラダといったもので、昨夜の夕食までとはいかないが十分以上の内容だった。

 

 ローザさんとエミーリアさんが食堂に下りてきたのは、僕がちょうど食べ終わるころだった。

 

「あら、おはよう。ガイウス君は朝早いのねぇ。」

 

「おはよう。私はまだ眠い。」

 

「お二人ともおはようございます。実家にいたときは飼っている動物にエサをやったりするんでもうちょっと早かったんですけどね。」

 

 2人が席についてから少しすると朝食が運ばれてくる。2人と昨夜のパーティの件について話をする。

 

「パーティの件ですが、僕は受けます。よろしくお願いします。」

 

「本当?ありがとうね。」

 

「でも、お二人だけでも十分やっていけていたんじゃないですか?」

 

「そうだけど、やっぱり昨日の賊の件で2人だけでは上の級の依頼(クエスト)を受けるとき、苦戦するのは目に見えていると思ってねー。」

 

「私もローザと同じ思い。2人だけでは限界がある。それにガイウスの能力は頼もしい。」

 

「そうですかねぇ。僕そこまで強くないですよ。」

 

 声を少しひそめて言う。

 

「それこそ、昨日召喚した呂布の足元にも及びませんよ。」

 

「あの人が召喚された人だからじゃないの?」

 

「そんなもんですかね。」

 

「そんなもんじゃないの?召喚士である貴方がわからないことが私たちにわかるわけないじゃない。それに、昨日のテストでの模擬戦を見ても召喚士じゃなくても剣士でも射手でもやっていけるじゃない。羨ましいわよ。」

 

「たしかに、私から見てもガイウスの能力は凄いと思う。」

 

「なんか、人から褒められるとこうムズ痒い感じですねー。まぁ、でもこれからはパーティメンバーとして頑張らせてもらいます。」

 

 こうして、僕たち3人はパーティを組むことになった。朝食を終え、装備を整えた僕たちはギルドへと向かった。パーティ登録と依頼(クエスト)を受けるためだ。

 

 朝のギルドはとても人が多かった。みんな条件の良い依頼(クエスト)を受けようと依頼(クエスト)が張り出されているボードに群がっている。受付にも列ができている。あとは併設されている酒場で朝から酒を呑んでいる人たち。

 

 しかし、僕たちが入ると誰かが「あっ、ドルスさんを倒したヤツが来たぞ。」と言うと、ザッとギルド内のみんなが僕たち、いや僕を見た。「あいつが?」「まだ、子供じゃないか。」「あのドルスさんがやられたなんてウソだろ!?」などなど色んな言葉が聞こえる。おぉ、なんか凄い。こんなに注目されるなんて。

 

 すると、僕たちを見ていた冒険者の中から1人歩み出てきた。鎧を着込む立派な体に背中に大剣を背負い腰にも長剣を佩いている。左頬と左目に傷痕があるせいか凄みがある男らしい風貌だ。

 

「お前に1つ聞きたい。」

 

「ガイウスです。」

 

「ふむ、すまなかった。俺はアントンだ。改めてガイウスに聞きたい。衛兵隊長のドルスを倒したというのは本当か?」

 

「本当です。しかし、それはテストという名目の模擬戦の中でのことです。ですから、真剣勝負というわけではなかったと思いますので多少は手を抜いていてくれていたのかと。」

 

「ドルスは模擬戦だからと手を抜くようなヤツじゃない。ガイウス、俺と勝負してくれないか。お前の力をしっかりと見極めたい。」

 

「なぜですか?それに僕には何のメリットもありません。僕たち3人はこれからパーティ申請をして依頼(クエスト)を受けるんです。退いてもらえないですか。」

 

「ふむ。それならそれを依頼(クエスト)にしよう。」

 

「は!?どういう意味ですか?」

 

「そのままの意味だ。俺との勝負をガイウスへ指名の依頼(クエスト)として出すから、それを受けてくれ。」

 

「ちょっと待ってください。僕は構いませんけどパーティの仲間に聞いてみないと・・・。」

 

「受けなさいよ。実力を自分よりも上級の冒険者に見せるのも今後の依頼(クエスト)受注の際に有利になるわよ。」

 

「たしかにそうですね。アントンさん依頼(クエスト)受けます。ところで貴方は何級なんですか?」

 

「俺は、準3級だよ。」

 

「準3級!!僕は昨日登録したばかりで10級ですよ。勝負になんかなりませんよ?」

 

「俺はお前の実力が見たいんだ。級数なんて関係ない。」

 

「ですが・・・。」

 

「いいから受付に行くぞ。」

 

 アントンさんに腕を引かれ受付へと向かう。準3級の冒険者の肩書が凄いのかアントンさんが凄いのか、混雑していた人がサァッーと分かれ受付まで道ができた。受付に着くまでにアントンさんのステータスを鑑定した。

 

名前:アントン

性別:男

年齢:32

LV:45

経験値:47/100

 

体力:250

筋力:274

知力:281

敏捷:285

etc

能力

・識字 ・格闘術Lv.68 ・剣術Lv.78 ・防御術Lv.86・回避術Lv.85

 

 流石の準3級だ。でも呂布のステータスと比べると低い。どれだけ呂布が化け物じみた人物だったかがわかる。それに僕ともほぼ同等。能力については僕の方が優れている。チート能力のありがたみを感じる。これなら、なんとか一方的にやられるということはないはずだ。

 

 受付に着く。担当者はユリアさんだった。

 

「おはようございます。アントンさん、ガイウス君。それにローザさんとエミーリアさんも。ここまで聞こえていましたよ。書類の用意はできています。アントンさんにはこちらの依頼(クエスト)発注用紙を、ガイウス君とローザさんとエミーリアさんにはこちらのパーティ申請用紙でよろしかったでしょうか?」

 

 そう言いながら2枚の用紙をそれぞれに渡してきた。アントンさんは「おう」と言いすぐ受け取り内容の記入を始めた。僕たちもパーティ申請用紙を受け取り記入していく、少ししてパーティ名以外の記入が終わった。パーティ名考えて無かった・・・。

 

「ローザさんとエミーリアさん、パーティ名の案は有りますか?」

 

「無いわね。」

 

「無い。ガイウスに任せる。」

 

「・・・シュタールヴィレ(鋼の意志)とはどうでしょう?」

 

「良いと思うわ。」

 

「シンプルで良い。」

 

「では、シュタールヴィレで記載します。気に入らなければ途中で変更もできますしね。」

 

 申請書類に記載を終わるとユリアさんに渡す。一通り確認すると

 

「はい、たしかに。これで登録します。冒険者証にパーティ名を記載しますのでお預かりします。」

 

 僕たち3人分の冒険者証をユリアさんに預ける。隣を見るとアントンさんも記入をほとんど終えていたが一カ所だけ空白になっていた。依頼料のところだ。その空白を前に唸りながら悩んでいる。ふと彼と目が合うと、

 

「俺から振った話だ。いくらがいい?」

 

 などと聞いてきた。そんなことを聞かれても相場なんてわからない。とりあえず、

 

「金貨30枚で」

 

 と言ってみた。アントンさんは目を大きく見開くと大声で笑いだした。

 

「ハハハ、なんとも肝の据わった奴だ。よし!!お前への依頼料は金貨30枚だ。ただし、依頼(クエスト)に成功したらだがな。成功条件は俺に勝つか引き分けだ。」

 

 アントンさんはユリアさんに依頼申請書と手数料を渡し、僕がすぐその依頼(クエスト)を受けるということで処理をしてくれた。そして、僕たち3人の冒険者証もパーティ名が記載された状態で返ってきた。

 

「よし、練習場に行くぞ。だれかギルド職員に審判をお願いしたいのだが、手の空いているやつはいないか?」

 

「私が審判をしよう。準3級のベテランと10級のしかも昨日冒険者になりたての少年の勝負、興味を引かれない方がおかしい。」

 

 アントンさんの問いかけに受付の奥から了承の声が聞こえてきた。その声の主は、アントンさんなみの体躯をしていて、一目見てもただのギルド職員とは思えなかった。

 

「サブギルドマスター!?」

 

「アラムか。お前ならちょうどいい。頼む。」

 

 ユリアさんは驚き、アントンさんは言葉通り丁度良かったとアラムさんの肩を叩いている。僕たち3人はいきなりの偉い人登場にビックリして固まってしまった。アラムさんはそんな僕たちに気付いたようで、

 

「固くならないでいいよ。支部のサブギルドマスターなんてある意味で暇な役職だからね。それに、そんなに偉くないし。本部にいる方がよっぽど偉いよ。」

 

 と僕の肩を優しく叩く。がっちりとした手の平だった。

 

「さて、それじゃあ練習場へ行こうか。ギャラリーも移動したみたいだしね。」

 

 アラムさんがそう言ったので後ろ振り返るとギルド受付の前にあれだけ大勢いた冒険者がみんないなくなっていた。併設の酒場の方も呑み潰れている人以外はいなくなっていた。彼の言葉を信じるなら、みんなアントンさんと僕との勝負を見に練習場に行ったことになる。僕の初依頼(クエスト)は何だか凄いことになりそうだ。

 




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