ドールズフロントライン(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第72話

次の日の朝、通常通りに業務をしていると、保護した人形が目を覚ましたと連絡が来た。 司令室に連れてくるように言うと、すぐにきたようだ

 

「昨日はありがとうござました」

 

そう言ってペコリと頭を下げるM1918。 相変わらず表情は死んだままだが、喋るようになった分まだマシか

 

「気にしなくていい。 ()()()()、あそこ周辺で仕事があったんでな」

 

「たまたま、ですか」

 

含みを持たせて言うも、深く聞いてくることはなかった。 一応、利口なようだ

 

「さて、今居るこの基地だが、S9地区の基地だ。 君がどこの所属か言って貰えれば、速やかに君を基地に帰すことが出来るが?」

 

「所属基地ですか? 私が所属していたのはー」

 

基地を聞いてエルピーダ指揮官に調べてもらうも、やはり捜索依頼などは出されていないらしい。 カタログで見た限り、上位の人形だったはずだが

 

「特に捜索依頼などは出ていないらしい」

 

「そうでしたか」

 

俺の答えに納得した様子のM1918。 その淡々とした様子に少し違和感を覚える

 

「まるで解っていたかのような反応だな。 もしかして、心当たりでも?」

 

「ちょっと指揮官」

 

俺の失礼な質問にFALが声を上げるも、それを遮ったのはM1918だった

 

「いいんですよFAL。 心当たりも何も、私は隊員を見捨てて逃げるような無能ですから」

 

「・・・・・・」

 

淡々と言うM1918に顔を顰めるFAL。 隊員を見捨てて逃げる、無能ね。 コレだけでは意味がわからない

 

「詳しく説明しろM1918」

 

「貴方も物好きな指揮官ですね」

 

口元を緩めるM1918だが、淡々と説明を始めた。 どうも、彼女の所属している基地のパトロール範囲でハイエンドモデルが出たらしく、その殲滅に当たったらしい。 ハイエンドモデルが潜んでいるとされる地区に行くも、通信が遮断され各隊との連携が取れなくなった。 M1918が率いる隊は、支援隊であったため辛うじて基地の司令と連絡が取れたらしい。 隊長として隊員の安全を考え、司令に撤退を提言するも、却下され進軍を命令された。 それで結果があの姿と言うわけだ。 一応、隊員たちと引き換えにハイエンドモデルにはとどめをさせたらしいが

 

「別に貴女のせいじゃないじゃない」

 

FALがそう言うものの、M1918は口元を緩めるだけだった

 

「責任の是非は、この際何も言わん。 言った所で変わりないようだしな。 だが、問題はこれからだ。 はぐれ人形がどうなるかは知っているだろう?」

 

「捜索依頼が出ていなかった場合、その基地の所属となる、ですよね」

 

「その通りだ。 お前は戦う気があるのか?」

 

俺の問いに目をそらすM1918。 まぁ、あんな話をした後で、聞くものでもないが働かないやつを置いておけるほど、俺は優しくないのだ

 

「戦う気があるなら良いが、ないのなら解体して民生品に戻ることになるが」

 

「それも、いいかもしれませんね。 こんな思いをするくらいなら......」

 

「それで、お前がいいのならな」

 

民生品と聞き顔を下げるも、俺の言葉に顔を跳ね上げるM1918

 

「お前の話を聞く限り、確かに鉄血のハイエンドモデルは倒せただろう。 その場はな。 グリフィンの人形も一部は除くが、鉄血のハイエンドモデルもメンタルをアップロードできる。 今はお前の倒したハイエンドモデル、アルケミストの活動は確認されていないが、いつかは」

 

「またアイツが出てくるってことですか?」

 

驚いたことだが、無表情とは一変して憎しみの表情をするM1918。 なんだ、まだそんな顔ができるとは、諦めるのがもったいないと思うがな

 

「すぐに、とはいかんだろうがな。 どのハイエンドモデルも活動再開まで一定の期間を置いていると報告があるしな」

 

「・・・・・・」

 

俺の言葉を聞き、そのままの表情で俺を見続けるM1918。 たぶん、俺の言う言葉は予想はついていて、それでもなおその表情をしているということは......

 

「それで、どうする? このまま、隊員たちや基地の仲間たちの敵を討たず民生品に戻るか? それとも」

 

「彼女らの仇が取れるなら、貴方の指揮下に入ります、指揮官」

 

「良いだろう、M1918。 これからは、俺の指揮下に入ってもらう。 まず初めの任務だが、デールのところに行って改修を受けろ。 それが終わり次第、任務に従事してもらう。 もちろん、アルケミストを見つけたときは好きにしてもらって構わん」

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