一体この作者は何をどうしたら全3話で終わるなどと思ったのでしょうね?
おはこんにちばんは。前回は落ち込んでいたおっちゃんを励まし、ヴァルゼライド閣下といつものように模擬戦をやって負けたところまででした。今回も続けていきたいと思います。とりあえず裏切り者の炙り出しの調査のポイントですが大体2か月でおおよそのポイントが溜まりました。ちなみにその2ヵ月で二人のお兄様が光に焼かれました。人を妬まぬ者は運がいいだけだ。出会った事がないだけだ。神々の寵愛を一身に受けたものに。まあ出自や才能で言えばこれってどっちかというとお兄様の方なんですけどね。
とりあえずポイントが溜まったことでイベントですね。お兄様、おっちゃん、ムラサメ伍長で取引現場を抑えて征圧です。
「貴様は!?何故此処が!」
未来のジェミニ隊長と副総統閣下のコンビだからね。まあ相手が悪かったって奴だよ。
「そうだ、私と組む気はないか少佐。悪い話ではないはずだ、協力してくれるならば君にも相応の見返りを用意させてもらうぞ」
悪い話だよ。人は金で買える、犬は餌で飼える、だが壬生の狼……じゃなかった誇り高き真の貴族はそんなもので買収されないのだ。お兄様と手を組みたかったら光の英雄張りに輝いて出直してどうぞ(無茶ぶり)。というわけでまあわかりきってますが此処は「否定」と「冷」です。普段熱血なノリの人が激高するんじゃなくて淡々と冷静に罪を糾弾してくるのって、相手からすると滅茶滅茶怖そうだね。
「ク、おのれ分からず屋めが……ならば仕方ない。君には不幸な事故にあってもらうとしよう!」
あ、経験値の山が出てきましたね。戦闘になりますがまあいつものようにムラサメ大尉が無双してバッタバッタとなぎ倒していくのでその間にこっちは本命が逃げないように抑えます。ぶっちゃけこの貴族士官は糞雑魚ですので、プレイヤースキルが余程の糞雑魚ナメクジでもない限りはまず後れを取りません。一撃叩き込むだけでHPが呆気なく半分になって、イベントです。
「わ、わかった……降伏する。だから頼む殺さないでくれ!」
立ちなさい、貴族士官。まだ一撃貰っただけでしょう?コールレイン少佐はガンマレイを喰らったのに立ち上がったぞ?コールレイン少佐はガンマレイを喰らったのに立ち上がったぞ?というのはさておいて、選択肢が出ましたので剣を突き付けながらアルバートに拘束してもらうを選びます。この際「そのまま惨めに死ぬがいい」を選んでしまうと情報を搾り取れませんし、剣を納めるを選んでしまうと逃げられます。
短慮に駆られて殺してもいけないですし、無力化していないのに油断してもいけません。オラ、死にたくなかったらとっととお前の護衛共に退くように言うんだよ。まあほとんどムラサメ大尉に斬り殺されたけどね。ちなみにアナウンスするのを忘れていたんですが、以前殿を務めたイベント終了時にムラサメ大尉には【ムラサメの忠義】が芽生えました。その為今のムラサメ大尉はガチで最強です。伊達にチトセネキやヴァルゼライド閣下差し置いて、新西暦最強の剣士って明言されていません。これでエスペラントの素質さえあれば、大虐殺の時も頼もしい相方となってくれるだろうに、世の中ままならないものですね。原作のムラサメ大尉の主君もムラサメ大尉にエスペラントの適性がないとわかったときは凄いガッカリしたんだろうね。
とりあえずこれで任務は終了です。カイト隊長に報告です。
「見事だ。これほどの短期間に犯人を特定し、拘束するとは。流石に少佐になって早々に中佐へと昇進させるわけにはいかないが、それでも相応に報いさせてもらうつもりだ。奏少佐ーーー貴官には私の副官となってもらう。これよりは君が、第六東部征圧部隊・
はい、というわけでお兄様東部戦線に来て、というか幼年学校を卒業して1年と数ヵ月で副隊長に就任です。トントン拍子のスピード出世ですね。ちなみに副官というのは一般の会社で言うのならばいわゆる秘書的なポジで、NO2ポジである副司令官とはまた立場が違います。アドラーに於いて各部隊の副司令官ではなく、司令官である隊長の副官を副隊長と称するようになった理由は不明ですが、原作に於いても隊長の階級は中将などの将官であるのに対して副隊長の階級は少佐で部隊のNO1とNO2と考えるには階級の格差が余りにも大きいため、No2である副司令官は別に存在すると思われます。チトセネキとか糞眼鏡とかヴァネッサの姐御が戦死のリスク覚悟でホイホイと前線に出て自ら戦っているのも、自分に万が一何かあったときには代わりに指揮を執ることのできるNO2である副司令官が存在しているからなのでしょう。なぜ隊長の副官が副隊長と呼ばれるようになったかですが、副官の方が副司令官よりも常に司令官である隊長と一緒に行動しているものなので、兵士の間で隊長といつも一緒に居る副官を副隊長と呼ぶようになってそれが定着した、みたいな感じかもしれませんね。
話が脱線しましたが基本副官というのは司令官の手足となって働く秘書のような立場です。当然司令官が働き者であればあるほどその副官の仕事量も増えますし、激務になります。血統派と改革派の抗争が激化していて鋼鉄の女時代のチトセネキの副官だったゼファーさんがどれほど酷使されたかは推して知るべしという奴ですね。「お前なら出来る出来る……ほら出来た。じゃあ頑張れ」がひたすら続く生活、そりゃ給料がいくら良くてもこの仕事辛い、もう辞めたいとなりますわ。まあそんなワークライフバランスの大切さのわかる顕著な例は於いておいて、お兄様は仕事大好き人間ですので素直にこの抜擢に喜んでおきます。
「これからの君の活躍に期待しているよ、奏副隊長」
さて晴れて副官になりましたがこれからしばらくは大きなイベントもないのでキングクリムゾンです。毎日毎日仕事をしてたまの休日は鍛錬をして、3ヵ月に1度は実家に帰省するという日々のルーティンです。毎日コツコツ、初志貫徹、それが出来るのはどの分野でも一握りですが、お兄様の心が折れる事はありません。光にはしょっちゅう召されますが。そんなわけであるイベントが起こる2年後までキンクリです。ちなみにこの2年の間に18人のお兄様が光に召されて旅立ちました。
「やあ我が盟友、これより我が部隊はニルヴァーナの本拠地へと強襲をかける。無論先陣を務めるのは我らが英雄たるヴァルゼライド中尉だーーーついてはその許可を得るべく彰隊長への説得を行って欲しい」
通信機越しにこの二年の間に少佐に昇進したギルベルト君が頼んできましたのでもちろん「肯定」と「燃」を選んでおきます。ニルヴァーナ終焉のお知らせ。巣穴に轟く断末魔、邪悪な魔性は露と散り、英雄譚が幕開けたという奴です。
「ニルヴァーナの本拠地への襲撃か……良いだろう。許可してやる。だがこちらに援軍を割く余力はない。やるのであればあくまでハーヴェス少佐の部隊のみで実行させるように」
あ、できればこれでヴァルゼライド閣下が死んでくれないかなーとか思ってますね隊長。でも無理っすよ隊長、そんなんで死ぬ程度の方なら神祖の方々が光狂いとか称して遠い目を浮かべたりしないっす。
「なるほどなるほど、相も変わらず彰隊長はよほど我が英雄に死んでもらいたいようだな。ーーー尤もそんな程度を物ともする我らが英雄ではないがね。とりあえず我らが英雄の凱旋を称えるべく祝杯の準備をしておいて欲しい。頼めるかな?」
OKOK、ヴァルゼライド閣下はお酒好きじゃないからジュース用意して待っているよーというわけで「肯定」と「燃」を選んでおきます。あー何かの偶然で本気おじさん邪竜になることなく蜥蜴のまま死なないかなー(叶わぬ願い)。まあこの段階で本気おじさんが死んでしまうと、三作目主人公のラグナ君が鍛えてくれる師匠を失う事になるから困ったことになるんだけどね。ラグナ・ニーズホッグはファブニル・ダインスレイヴの愛弟子だからね。
「……よもや、本当にニルヴァーナ殲滅を成し遂げてしまうとはな。化け物めが」
この頃になるとスラム上がりの塵が思ったよりも使えるから利用しよう位のノリだったカイト隊長もヴァルゼライド閣下にある種の恐ろしさを感じるようになって来ています。ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ?というずっ友の言葉が何やら聞こえてきそうだね。
「まあいい所詮は匹夫の勇、戦場での英雄が後方に下がっても英雄で居られるかどうか見ものだな」
あ、ごめんなさい。ヴァルゼライド閣下そんな程度で封殺できる程甘い人じゃないんですよ。帝都に飼い殺しにしようとした結果運命に出会ってしまうんですよ。しかもこの時空だとツーカーな仲なアマツの嫡男も居ますし。スラム出身の英雄と仲が良いアマツ……一体何・奏・アマツなんだ……
「優秀な副官を手放す事は惜しいが……まあそれも致し方無いというものだな。下賤な者たちが中央へと栄転になるというのに、ご自慢の嫡男だけが東部に留まる等となっては君のご両親も納得しないだろうからな」
そうだね。パッパはまだしもマッマは滅茶苦茶抗議してくるだろうね。パッパはパッパで3年務めて中佐にまでなったなら次期当主の箔付けには十分と思っていそうだしね。うん、それに関してはパッパとマッマがごめんねカイト隊長。
それはそうとヴァルゼライド閣下達がもうじき凱旋しますので祝賀会の準備をする必要があります。隊長は出してくれませんのでお兄様のポケットマネーから出しておきます。このゲーム毎月、階級に応じた給料が支払われてその金を使ってアイテムを購入したり出来るのですが、お兄様の場合は給料とは別にマッマとパッパからお小遣いが貰えますのでお金に困る事がありません。貯めこんでいても仕方がないのでこういう時に使います。ケチな上司は部下からの人望を集める事は出来ません。この作品ネームドからの信頼度ではなくいわゆる名声値というものも設定されており、此処でお金をケチらず奮発する事で名声値とおっちゃん、ヴァルゼライド閣下、ずっ友からの信頼度が上がりますので迷うことなく最大値出します。
「やあ我が盟友、すまないね。本来であればこうして部下たちを労うのは隊長である私の役目なのだが」
なぁに気にするなよずっ友。パッパとマッマから支給されるお小遣いから出た金だ。それはそうと上層部いよいよヴァルゼライド閣下危険視して中央に栄転する事になったっぽいぜ。
「いよいよか……戦場の英雄も戦地から遠ざけて自分たちのホームグラウンドである政治の舞台へと引きずり込んでしまえば如何様にも料理できる、血統派のお歴々が考えそうな事ではあるな。だがそんなものであの方を止められると思っているなら大間違いだ、そうだろう我が盟友?」
クリストファー・ヴァルゼライドは不可能を可能にする不撓不屈の英雄だからね。政治という舞台に上げられたらそっちでの戦い方も学び始めるだけだからね。飼い殺しにするつもりが牙を研ぐための時間を与えちゃったというオチになる上に、運命の出会いによってロケットブースターが装着される始末。何もかもが裏目っていてちょっとだけ血統派の面々に同情しちゃうね。
「とはいえ血統派のお歴々がいかにその権力を国家の為ではなく自己の権益の為にばかり使っている唾棄すべき存在であるとはいえ、彼らが持つその力とその権勢を維持するために行っている“努力”だけは本物だ。しばらくの間は水面下で牙を研ぎ澄ます事になるだろうーーーならばこそ頼りにしているよ我が盟友。君ならば血統派の懐に潜り込み、その牙城に穴を穿つ事が出来るはずだ」
任せておけってずっ友という事で此処は肯定と「燃」を選んでおきます。
「ああ、これからも共に尽力するとしよう。清廉な者、正しき者、輝く者が報われる
なんだか不穏なワードが出てきましたがパッと聞く限りはそんなに間違っていないように聞こえるのが性質が悪いところですね。と此処で東部戦線時代が終了し、ヴァルゼライド閣下、アルバートのおっちゃん、ギルベルトの信頼度が全員A以上だった為に条件達成で一枚絵回収です。笑顔のおっちゃんにギルベルト、そして笑顔こそ浮かべていないもののどこか楽し気にしているヴァルゼライド閣下の若かりし頃が映った青春の一ぺージといった写真です。こういうのを見るとギルベルトもやはりおっちゃんとヴァルゼライド閣下にとって紛れもない盟友だったんだと実感できますね。
──とほんのりと切ない気持ちになったところで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
・・・
クリストファー・ヴァルゼライドは己が破綻者だと自覚している。
諦めや逡巡、そうしたものを持ち合わせず進むことしか知らぬ己は人としておかしいのだと理解している。だからこそ彼は自分に対する称賛の声を聞くたびに顔を顰めてしまうのだ。止めておけ、自分はそのように称賛して良い存在などではないぞとそう時には口に出して忠告する。しかし、そんな彼でもそうした言葉が無粋な時と場があるという事を弁えてもいる。
「勇士たちよ!ニルヴァーナの殲滅誠にご苦労だった!君たちの活躍によって帝国を蝕む堕落の都は焼き払われた!ヴァルゼライド大尉とそれに続いた君たちがそれを為したのだ!」
ヴァルゼライドが心より尊敬し信を置く友人が手慣れた様子で今回のニルヴァーナ殲滅を為したヴァルゼライドの部隊の兵士たちを労う。
「細やかではあるがこうして君たちの功績を労うべく、宴の席を用意した!思う存分日ごろの疲れを癒して欲しい!それでは我らが英雄と我らが祖国に
合図と共にグラスをぶつけ合う音が響く。ヴァルゼライドもまた傍らにいる幼友達とグラスをぶつけ合い、グラス一杯に注がれたそれを一気に飲み干す。
「ふいーやっぱり任務が終わった後の一杯は格別だなぁ、おい」
「余り飲み過ぎるなよアル、お前は余りアルコールに強くないのだから」
「わーってるよ。自分の限界位いい加減に弁えているっての、そういうお前は馬鹿みたいに強いってのにまたジュースかよ。せっかくタツヤの奴が奮発して高い酒を用意してくれたってのによ」
「酒精は余り好かん。好んでいない者が飲む方がそれを用意してくれたものや作ったものに対する冒涜というものだろう」
「まあ確かにそうかもしれないけどよぉ……でも勿体ないぜ。この酒マジで滅茶苦茶高いのばっかりだってのに」
「気遣いには感謝するが、酒を嗜めないなりに楽しんではいるさ」
ニコリともしない状態で告げられたその言葉はヴァルゼライドの事をよく知らないものであれば単なる社交辞令と受け取っただろうが、長い付き合いであるアルバートはそれが目前の親友の本心から告げられたものであることを理解した。
「そうか?まあなんにせよタツヤの奴様様だな、ギルベルトの奴共々本当に世話になりっぱなしで頭が上がらないぜ」
「それについては同意だ。今のアドラーに於いてあの二人のような存在と巡り会えた事は僥倖という他ない」
心からの信頼と敬意を抱く友と敬意と同時にある種の警戒心を抱いている友、その双方を視界の端に映しながらヴァルゼライドは応じる。
「まあ出会えたことが幸運だって言うのなら俺にとってはまさしくお前がそうなんだけどな、クリス」
強かに酔い始めたのだろう顔を紅潮させながらアルバートは素面であれば言えないことを滑らかになった舌を用いて告げていく。
「お前と出会えたおかげで俺はその背中を追っかけて此処まで来れた、多分お前と出会えてなかったら俺はきっと今もスラムをさまよっていたか、それこそ文句言うばかりで現状を変えようと努力するでもない奴に成り下がっていただろうさ。だから、ありがとよ」
「礼を言うのはこちらの方だ、俺のような愚者の手助けをしてくれること、感謝の念に堪えん」
「お前……いい加減自分を愚者だの塵屑だのと卑下するの止めろよ。本人の口からとは言えダチを侮辱するような言葉聞いていていい気分になれるもんじゃねぇぞ、タツヤの奴にも言われただろ?」
「留意はしてはいるがそれでもこればかりは事実だ」
理解は出来るし留意もしている、それでもこれは決して揺るがない事実だとヴァルゼライドは断ずる。何故ならば自分はこれほどまでに尽力してくれるかけがえのない友でさえ、いざという時には斬り捨てて進み続けるのだから。湧き上がる尊敬の念も、信頼も決して嘘などではない。だがそれでも、親友の生家たる奏の家が祖国に害を及ぼそうとしていて、家族を守る為に親友が立ちはだかるような事があれば、ヴァルゼライドは親友を斬り捨てて進み続けるだろう。さらばだ友よ、お前の屍を超えて往く。決してお前の死は無駄にしないなどと嘯き、勝手に誓いながら。ならばこそ進むことしか知らぬ自分のような男は断じて他者の規範にしていい存在ではないのだとそうヴァルゼライドは己を断ずるのであった。
「やれやれ本当にお前って奴は……まあいいさお前がそういう奴だってことは長い付き合いで知っているからな」
そこでアルバートはグイっと酒を飲み干して
「そういう奴だと承知の上で俺はお前に付いていくって決めたんだからよ。これからもタツヤの奴と一緒にお前とギルベルトが馬鹿やらかさねぇようにしっかり付いて行って、いざという時にはぶんなぐって止めてやるさ。そんでいつか必ずその石頭を矯正してやっから、覚悟しておけよ?」
目前の幼友達から伝えられた熱い友誼の言葉、それにヴァルゼライドはそっと口元を緩めて
「そうだな、頼りにしているさ親友」
もしも道を別つ時が来たとしても今この時交わした友誼にきっと嘘はないーーーそう信じてヴァルゼライドもまた一杯だけ親友が用意してくれた美酒をあおるのであった。
友よ覚えているか、あの戦いの日々を。