【完結】シルヴァリオサーガRPG実況プレイ   作:ライアン

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当作に於いてですが軍事帝国アドラーの北西側にあるドイツ+ポーランドの交戦マークが付いている国を極東黄金教を奉じている親カンタベリーにしてアマツが君主やっている国、プロイシア王国としています。理由としては地理的にここが親カンタベリー国でもないとカンタベリーがプラーガに騎士団を送り込めないからです。
下記のURLにある公式サイトの地図を確認して貰えれば何となくイメージが出来るかと思います。
http://www.light.gr.jp/light/products/vendetta/wor_10.html

また西部は交戦マークがついておらずゼファーさんも西部配属を希望していた事からスペインの位置にある国は親アドラーの国で第十二西部征圧部隊・ピスケスはライブラ同様いざという時に動かす予備戦力的な立ち位置だと設定しております。


主導権

 タツヤ・奏・アマツが第38代総統へと就任して半年が経過した。現状その統治は至って順調であった。

 各地で連勝を収める帝国軍は英雄が消えても未だ帝国が健在である事を示した。

 ヴァルゼライドという英雄の逝去を逆用してまんまと文官達の権限を拡大する事に成功した。

 そして中央を統括する近衛白羊(アリエス)深謀双児(ジェミニ)裁剣天秤(ライブラ)の隊長たる三大将とは十全な信頼関係が存在する。

 タツヤ・奏・アマツはクリストファー・ヴァルゼライドという英雄の喪失によって生じた巨大な空白を埋めて着実に体制を固め始めていた。

 このまま何もかも上手く行くのではないかーーーと、そんな()()を帝国の上層部に抱かせるほどに。

 

 その日軍事帝国アドラー総統タツヤ・奏・アマツは久方ぶりに自らの屋敷へと戻り家族との休日を満喫していた。趣味らしい趣味を持たず真実その生涯を国家へと捧げた前総統ヴァルゼライドと比較すると、タツヤ・奏・アマツの生活は至って絢爛な物と言えた。広大な屋敷には常時50人もの使用人がおり、食事の際には新鮮な旬の食材を一流の料理人達がその腕を凝らして振る舞い、広大な浴場があり、果ては植物園まで兼ねた温室までもがその屋敷には存在する。ヴァルゼライドが総統へと就任した際に保有する私財の多くを朧や漣共々国庫に自主的に献上し、保有していた芸術品の多くを公的な施設へと寄贈したものの、それでもその生活には貴種と呼ぶにふさわしい華やかさが健在であった。

 

 とはいえ総統に就任してからの半年はそうした生活を満喫する余裕など当然なく、政府中央棟(セントラル)で働きづめの日々が続いていた。屋敷に帰るのは月に一回程度で帰った際も夫として父としての家族サービスではなく、()()()()としての務めを優先しなければならない日々が続いた。しかしそうした慌ただしさもようやく一段落しつつあった。故にその日のタツヤは軍事帝国総統としての務めも、貴種(アマツ)の名門足る奏家当主としての務めも脇に置いて父として夫としての自分で居てやるつもりだった。久方ぶりに家族揃った状態での昼食を終えると、午後は愛する我が子達を相手に父親らしく遊興の相手でもしてやり、夜には家族揃ってのオペラ鑑賞を予定していた。公人として務めを果たすのではなく、私人としての心の洗濯の時間。それをタツヤ自身も楽しみにしていた。

 

「旦那様、ご歓談中のところ大変失礼いたします。漣様より危急の事態が発生したため至急政府中央棟(セントラル)へとお越し頂きたいとの事です」

 

 しかし世界とは個人のそうした事情をいちいち慮ってくれる程に優しくはなく、如何に傑出している人物だろうと一人の人間の思惑通りに何もかもが進む程に単純でもない。さあ、今お前たちがそうして豪奢な暮らしを送れている事に伴う責務を果たせと容赦なく告げてきたそれにタツヤは珍しく大きなため息を一回吐き出して

 

「わかった。すぐに政府中央棟(セントラル)へと向かう。車の手配を頼む」

 

 惜しむように我が子を抱きしめ詫びて、アドラー第38代総統としての務めを果たしに屋敷を後にするのであった。

 

・・・

 

 その日急遽召集された軍の高官達は一様に静まり返っていた。

 

「……以上が第九北部征圧部隊・魔弓人馬(サジタリウス)隊長ケレルマン中将が戦死へと至った理由となります」

 

 それは栄光ある黄道十二星座部隊(ゾディアック)の一角を担っていた勇者が星座へと列せられたという報告。すなわちヴァルゼライドが総統の座に就いて以降築き上げられたアドラーの常勝神話がついに終わりを告げたという事であった。

 

「よもやケレルマン中将程の方が……」

 

 かつての時代ならばいざ知らず鋼の英雄クリストファー・ヴァルゼライドの信認を受けた栄光ある黄道十二星座部隊(ゾディアック)の隊長に無能が居ようはずもない。魔弓人馬(サジタリウス)隊長クロード・ケレルマンは紛れもない名将であり高い実力を誇る星辰奏者(エスペラント)でもあった。油断も慢心もその身には皆無。着実に北部戦線を押し上げていた。そんな人物が何故戦死に追いやられたかと言えばーーー

 

「まさか総代聖騎士と第一軍団の隊長が直々に出陣とはな」

 

 敵の想定がアドラーの想定を上回ったからに他ならない。

 

「問題はそこではない。わずか半年足らずで皇国がエスペラントの実用化に成功したという点だ。それもケレルマン中将程の方を戦死に追いやる程の完成度のだ。いくらなんでも早すぎる」

 

 焦りと共に飛び交う高官達の発言、それは此度の事態がアドラーにとって完全に慮外の事態であったことを示すものであった。そう何かもアドラーにとっては想定外だった。

 ーーーたった半年足らずでカンタベリーがエスペラント技術の実用化に成功した事も。

 ---帝国となんら遜色のない完成度のエスペラントを生み出した事も。

 ---しかもその被検者に総代聖騎士と金剛騎士団(ダイアモンド)の団長という要人が真っ先に名乗りを挙げて出陣してきた事も。

 その、総てが。

 

「見くびっていたな、カンタベリーという国の力を。私はエスペラント技術を一番早くに実用化させるとするならばアンタルヤだと認識していた。そのアンタルヤが未だエスペラントとは到底呼べない()()を作るのでやっとだという点から実用化にはもうしばらくかかると踏んでいた」

 

 タツヤの語る内容、それはその場にいる者達の総意であった。他国の中でエスペラント技術を真っ先に実用化するのならばアンタルヤ、それが帝国の上層部の認識であった。何せアンタルヤという国は三国の中で国民の命が最も軽い。ほんのわずかな金銭と引き換えにその身を差し出す者が溢れかえっている。そしてアンタルヤを牛耳る十氏族は凡そ悪党と呼んで差支えのない連中だが、決してケチではない。コストに見合うだけのリターンが見込めるというのなら大金を投資するだけの度量がある。そしてエスペラント技術の実用化にいち早く成功した氏族が今後のアンタルヤのイニシアチブを握れるのは火を見るよりも明らかである以上、どの十氏族も躍起になってそれに投資するのは目に見えている。そうした観点からエスペラント技術を真っ先に実用化するとすればアンタルヤだという認識の下、諜報と防諜もそちらに力を注いでいたわけなのだが……

 

「申し訳ございません総統閣下。此度の一件は私の責任です」

 

 そうアルバート・ロデオンは自らの不手際を陳謝する。此度の一件、戦死に追いやられたケレルマン中将の責任にするのは酷というものだろう。何せエスペラント技術は流出しつつあるが未だ他国のそれは実用化には程遠いというのが深謀双児(ジェミニ)が下した結論だったのだ。前提としていた情報が根底の部分で食い違っていては正しい判断など降せようはずもない。

 

「貴官一人の責とは言えまい、私自身エスペラント技術の実用化に真っ先に成功するとすればそれはアンタルヤだという先入観を抱いていた。ケレルマンには申し訳ない事をした。遺族には厚く報いてやらねばな」

 

 自らの()()()()によって散った部下への陳謝と黙祷をタツヤは捧げる。しかしそれをしていたのもほんのわずかな間、考えなければならないのは()()()()()と第38代総統は速やかに思考を切り替える。

 

「ロデオン大将、北部戦線の状況はどうなっている?」

「は、ケレルマン中将以下部隊の中核を担う多くの人員を失った魔弓人馬(サジタリウス)はやむなくこの半年の間に征圧した地域を総て放棄。瞬圧山羊(カプリコーン)が駐屯する帝国北部まで撤退したとの事です。幸い皇国の側も自らの領土を奪還した事で一先ずは善しとしたようでそれ以上の動きは現状見えないとの事です」

「ふむ……」

 

 齎された情報を下に帝国有数と謳われる太陽神(アポローン)の頭脳が目まぐるしく回転し出す。この状況に於いてどうすれば帝国にとっての最善を手繰り寄せる事が出来るか、()()に陥らずに済むかそれらを考えた末に……

 

「まずは撤退を成功させた魔弓人馬(サジタリウス)の面々に叙勲の用意を。司令官の戦死という非常事態に際して彼らは的確な判断を下した。兎にも角にもそのことを評価してやらねばな」

「は、早急に手配いたします」

 

 勝ち戦で戦果を拡大させる事だけではなく、負け戦に於いて傷口が広がるのを最小限に抑えた事、それも評価してやらねばならない。混乱した部隊を立て直し、血気に逸らず冷静に撤退の決断を下すというのは並の将に出来る事ではない。部隊を率いていた将が名将と謳われるような兵士からの信認が厚いような人物であれば尚の事。見事それを成し遂げた魔弓人馬(サジタリウス)の者達は賞賛に値した。

 

「朧大将、部隊を率いて北部へと向かってくれ。こちらから攻め込む必要はない。だが皇国が勝利に酔いさらなる戦果を求めて仕掛けてくるようであれば相応の代償をくれてやれ。わかっているとは思うが、貴官だけは絶対に敗北する事は許されない」

了解(ポジティブ)、総統閣下。しかとその任拝命致しました」

 

 ケレルマン中将の戦死によってアドラーの常勝神話は終わった。ならばこそ此処で付け入る隙を与えるわけにはいかない。最精鋭と名高い天秤を北部へと派遣する事で皇国を牽制する意をタツヤは示した。

 そしてこの状況下でヴァルゼライド亡き後帝国最強と名高いチトセ・朧・アマツが敗北する事は決して許されない。万が一に彼女も敗北するようであればアドラーを倒す事はもはや容易いと諸国に舐められかねないからだ。

 

「更に早急に近衛白羊(アリエス)潜咬双魚(ピスケス)を動かす用意を整えろ。準備が整い次第私自ら率いてプロイシアを攻める」

 

 総統自らの出陣という言葉にその場に居合わせた者達へと動揺が広がる。

 

「総統閣下……自らですか?それもカンタベリーではなくプロイシアを?理由をお聞かせいただけますか?」

 

 当然の事ながら過去ならばいざ知らず電信の技術が発達してからは、国の最高指導者が自ら軍を率いて前線に赴くという機会は圧倒的に減った。理由としては実に簡単な事だ。戦場と言うのは常に戦死の危険が伴うものであり、また前線に赴くという事はすなわち国政の場が空になるという事だからだ。まして軍事帝国アドラーは半年前に最高指導者を失い、ようやくその穴が埋まりつつあるという状況。この状況下で最高指導者がそのような危険を冒そうとしているのならば止めようとするのは当然の心理と言えるだろう。

 

「まずプロイシアを攻める理由から述べよう。現状エスペラント技術の実用化に成功したとはいえカンタベリーはその量産にまで成功したわけではない。ならばプロイシアへの援軍として派遣されている第三軍団にまでエスペラントを配備するには至っていないか、あるいは配備されるにしても少数に限られる。だが、それも今の内だけだ。遠からず皇国はプロイシアへと精鋭を送るだろう。友邦であるプロイシアへの技術供与とてあり得るかもしれない。そうなる前にプロイシアの領土を一気に削り取る。その上でカンタベリーとプロイシアの双方へと和睦を申し出る。プロイシアに対しては和睦を申し出る際の情勢にもよるが、最大限譲歩した場合で削った領土を返上し賠償金も求めないという形で。亡国寸前にまで追い詰めた状態でそれを跳ね除ける程にプロイシアの首脳部も愚かではあるまい」

 

 本来ならばそれはもう半年後に帝国最強と名高い裁剣天秤(ライブラ)の投入を以て為す予定だった。しかしやはり世の中甘くはないという事だろう。ケレルマン中将が戦死するという慮外の事態が起こった以上当初の計画は大幅に変更せざるを得ない。そして帝国の常勝神話を打ち砕き勢いに乗る皇国がそのままの勢いでこちらに攻め込んでくる可能性は大いにあり得る。そうした状況で重要なのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と皇国側に思わせる事だ。ならばこそ此処で投入すべきはヴァルゼライド大総統亡き後帝国最強と名高き裁剣女神(アストレア)率いる最精鋭部隊裁剣天秤(ライブラ)を措いて他にはない。

 

「カンタベリーに対しては……そうだな、極東黄金教の聖地とされるプラーガ。その領有を全面的に認める。更に聖地を脅かす神敵足るアンタルヤ商業連合を追い払う為に全面的に協力するーーーとまあその辺りだろう」

 

 どよめきが再び会議の場へと広がる。

 

「そもプラーガが何故東部戦線の火薬庫となったか。それは帝国、商国、皇国の三国総てがそれぞれの思惑からかの地を手中に収めんとして睨み合いをする状況に陥ったからだ。何せかの地には大和の遺産があるからな」

 

 大和が残した遺産技術(ロストテクノロジー)、それを手に入れて解析する事は国力の増大に直結する。そこに地政学的な事情と宗教的事情が加わった結果プラーガは東部の火薬庫と称される三国が睨み合う地になった。

 

「左様です。故に我ら帝国にとってもかの地の獲得は悲願の一つで……」

「それで、エスペラント技術を独占し、ヴァルゼライド大総統という不世出の英傑が指導者を務めるという圧倒的に優位と言える状態で帝国有数の名将であるハーヴェス中将とヴィクトリア中将が指揮を執るという最高と言える布陣をぶつけて我らはそれを達成できたか?」

「それは……」

「結局我ら帝国は圧倒的な優位を誇っていた時代でさえかの地を獲得する事が出来なかった。ならばどうしてその優位が消え去ろうとしている状態で無策なままかの地を手に入れる事が出来ようか?一時的に奪取してもそれこそ皇国は死に物狂いで奪還を試みる。商国と手を結ぶ事も厭わずにな」

 

 それこそが圧倒的優位を誇っていたアドラーがついぞかの地を手に入れる事が出来なかった理由。アドラーの進撃を前にして元々かの地を巡り争っていた皇国と商国は手を結び対帝国の共同戦線を張ったのだ。

 

「そう、もはや時代は変わったのだ。我ら帝国軍の常勝神話はついに終わりを告げた。戦えば我ら帝国が必ず勝利するとはいかなくなった。ケレルマン中将がその命を以て我らにそれを教えてくれた。故に我らはその死を無駄にする事無くその事実をしかと受け止めねばならない!」

 

 もはやエスペラントは帝国の専売特許ではなくなった。ついに他国も未だ極少数ながらも実用化に成功してそれを戦場へと投入してきた。

 

「我ら帝国が商国と皇国その双方を同時に相手取りながらも勝利し続けていたのは偏にエスペラント技術を我らが独占していたからこそ。だがもはやその優位は崩れ去った。このままいけば我が国は包囲網を敷かれて袋叩きに遭いかねない」

 

 当然だが侵略という行為は多くの恨みと憎悪、つまりは()()を生む。それらはたかだか数年程度の善政で消える程に軽いものではない。無論()()()()()はそれを直接支配者にぶつけようとは思わない。一時の激情に駆られて軽挙に走った場合の末路がどうなるかを知っているが故に。

 だがそれでも確かにそうした不満は燻っているのだ。軍事帝国アドラーはこの5年の間に急激に領土を拡大させた。それはつまり大量の火種を抱えているという事と同義でもあるのだ。そして極東黄金教の聖地足るプラーガというのは特大の火種だ。よしんば獲得する事が出来たとしても極東黄金教の信徒達の怒りと憎悪を買う事となる。それはもはや黄金時代が終わろうとしている今のアドラーにとっては逆に破滅への呼び水となりかねないのだ。

 

「故にそうして殴られる前に()()()に回らねばならない。それには聖地プラーガを皇国に()()()()()のが最も効果的だ。元々かの地を巡って争っていたのは商国も同様。ならば聖地守護の為()()()である商国を追い出すのに協力すると言えば無下にはされまい。幸い私もアマツだからな、国家方針を転換した理由として諸国も受け容れ易いはずだ」

 

 故に重要なのは殴られる側に回らない事。他国に主導権を渡さない事。()()()()()()()()を用意して袋叩き()()()に回る事こそが重要なのだ。

 

「……総統閣下のご方針は理解致します。我ら帝国はもはや今までのようにはいかず諸国への譲歩と配慮が必要だという事も。手を結ぶに際して皇国こそが有効だという事も。しかし総統閣下御自ら前線に赴かれるというのは余りに危険では?プロイシア攻めは漣大将とリサルディ中将*1の両名に任せ、閣下は政府中央棟(セントラル)に居られるべきかと」

「貴官の意見に理がある事は認める。戦場に絶対はない。どれほど盤石の布陣を整えようとケレルマン中将が戦死したように私が死ぬ可能性も十分にあり得る。そしてそれは絶対に避けねばならんという事も。だがその上で私は前線に赴かねばならんのだーーー私はアマツだからな」

 

 訝しがる高官達を説き伏せるべくタツヤは続ける。

 

「私がこれからするのは大総統閣下時代からの方針の転換だ。当然大総統閣下を崇敬する将兵や国民の多くが不満と疑念を抱くだろう。そして私の持つアマツの血はその疑念と不満を加速させる。血統派時代に逆戻りさせるつもりなのではないかーーーとな。それこそ大総統閣下を殺したのは私だと思う者さえいるかもしれないな」

 

 淡々とした様子でタツヤは自らが国民や将兵の多くからどう見えるかを述べる。崇拝という感情は厄介だ。自分こそが最もあの方を理解している等と()()()()暴走する者は歴史を振り返れば枚挙に暇がない。そしてスラム出身であったクリストファー・ヴァルゼライドに対してタツヤ・奏・アマツはアマツであり、外野から見る分には英雄の落日によって最も得をした人物に思える。()()の余地は十二分にあるのだ。

 

「故にプロイシアとカンタベリーと手を組む前にその辺の疑念を払拭するための人気取り(パフォーマンス)をしておく必要がある。私こそがヴァルゼライド大総統の意志を継ぐ後継者なのだとな。

 諸君らの懸念は理解しているつもりだ。だが総てのリスクを避ける事は出来ない。リスク覚悟でここは勝負に出るべき時だと()は判断した」

 

 リスクを重々承知の上でそれでもやるのだと確固たる意志と共にトップに言われてしまえばもはやそれ以上の抗弁は出来ず。

 

「諸君、今が帝国の分水嶺だ。私の方針に不満を抱いている者もいるだろう。極東黄金教等という血統派の跳梁跋扈を良しとさせた旧時代の遺物等粉砕して新たな時代を築くべきだと思う者もいるだろう。だがしかし我らは()を見据えなければならない。大総統閣下の逝去によって黄金時代は終わった。終わったのだ!そのことを我々はしかと認識しなければならない!ケレルマン中将がその命を以て残してくれた教訓を無駄にしてはならない!

 私は大総統閣下に遠く及ばない。私は閣下が築き上げた黄金時代を続ける事は出来ない。だがそれでも()()()()へとこの国を導いてみせる!そのためにもどうか諸君の力を至らぬ俺に貸してくれ!」

 

 大上段から宣うのではなく真摯に助力を求めるその姿は何よりも雄弁に祖国を思う気持ちを示し、ほんのわずか存在していた疑念を拭い去る。そしてそうなれば部下足る者達の答えなど決まっていた。

 

「「「「「「了解(ポジティブ)、総統閣下」」」」」」

 

 此処に帝国は動き出す。常勝の神話が崩れようと未だアドラーは此処に健在なのだと示す為に。

*1
潜咬双魚(ピスケス)の隊長




神祖側の思惑については次回か次回じゃなくてもその内描写予定。
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