【完結】シルヴァリオサーガRPG実況プレイ   作:ライアン

55 / 69
当作時空におけるバレンタイン家及びミステルさんについて

ダニエルおじさんのせいで原作同様に没落している。焦ったバレンタイン家当主は帝国に於いて自家と縁戚関係にある奏家を表向きは客人として訪ねながらもエスペラント技術を盗み出そうとする(原作で奏家がどでかい手土産を用意しようとしたのになんで落ち目のバレンタイン家をわざわざパートナーとして選んだかを考えた結果まあ政略結婚で親戚関係にあったんだろうなというアレ)。
しかし当然のようにお兄様の目を盗んでそんな事が出来るはずもなく潜ませていた自分のところの手の者を軒並み始末された後ににこやかな微笑を浮かべながら「今回は特別に見逃してやるけど次はないからな?」(落ち目になったとはいえ曲がりなりにも自家と縁戚関係にある聖教国の貴族を始末したとなると血統派という内憂との争いをしている最中に聖教国との関係がメンドイ事に成りやすいし、外交のパイプがいくつか潰れると考えたが故の判断9割+まあ妹と仲良くしてくれている友達の一家を殺すというのは避けたいという情が1割)とぶっとい釘を刺されて本国に帰りましたとさ(子どもだったミステルさんはその辺の事情を知らずに原作同様ナギサちゃんたちと仲良くなって別れる時は号泣するナギサちゃんにつられて自分も泣き出しちゃったよ)
そうして順当に落ち目になったバレンタイン家だったが英雄の落日でエスペラント技術が流出。息女であるミステルさんが見事高い適性を示して一族みんな狂気乱舞、一族の期待を一身に背負ってミステルさんは聖地プラーガという表向きは栄誉ある、されど実態は激戦地故に左遷先に近いところへと配属されて順当に功績を挙げて副団長にまで成りましたとさ。

そんなわけでミステルさんの性格諸々が原作と若干変わっています(原作のミステルさんは天涯孤独に成った後孤児院で想いの外悪くない暮らしを送ってこのままシスターにでもなるかなぁと思っていたらエスペラントの素質がありましたという波乱万丈だったがこの世界でのミステルさんは落ち目と成った自らの一族の期待を一身に背負っているホープ)


愛は憎しみより高く、 理想は怒りより高く、 平和は戦争より気高い

 

 その日、聖地プラーガに駐屯する聖教皇国軍第四軍団・紅玉騎士団(カーネリアン)は常ならざる緊張下にあった。

 無論普段が弛緩しているというわけではない。第四軍団団長を務める聖騎士ブラザー・ガラハッドは傲慢さとは無縁の大らかで慈愛と寛大さに満ちた人物でおおよそ上官に持つならば最上と呼べる部類の人種であったが、同時に団長を務める以上は決して()()人物というわけではない。

 自他共に認める敬虔な信徒でもある彼は誇りを以て己が職務に精励しており、当然己が部隊の統率という団長として課せられた使命を忘れたりなどはしない。寛容なれど締めるべき時はきっちりと締める、それがブラザー・ガラハッドという人物であった。

 ならばこそ、第四軍団が常ならざる緊張を強いられているという事はすなわちブラザーにとってその日は締めるべきだと判断した日という事に他ならなくて……

 

「皆、出迎えご苦労様。この場所を会談の場所に選んだことで君たちには色々と苦労を懸ける事に成っただろうが、今日という日を笑顔で締めくくる為にどうかよろしく頼むよ」

 

 現れた人物、それは紅玉騎士団(カーネリアン)がなぜそのような空気になっているかを総て証明する存在に他ならなかった。カンタベリー聖教国の頂点に立ち、カンタベリーのみならず各地に住む極東黄金教の信徒達を導く尊き存在、教皇スメラギが柔和な笑顔を浮かべながら聖地プラーガへと降り立ったのだ。

 

「は!もしも大和に仇為す不届き者が現れた際にはこの身に代えましても教皇猊下をお守り致します!」

 

 年若き教皇に確かな畏敬を捧げ、その場に跪きながらブラザー・ガラハッドは告げる

 

「いやいや、その気持ちは嬉しいけどそれじゃ困るよ。この身に代えてではなくちゃんと生きてくれないとさ」

 

 一国の頂点に立つ人物とは思えない気さくさで教皇は苦笑を浮かべながら応じる。今代の教皇スメラギは若くして教皇の座に就いた人物だ。無論流石に見た目通りの年齢というわけではない。彼が10代前半の少年にしか見えない外見なのは幼き頃に政敵によって盛られた毒で成長が止まってしまったことが原因だと聖教国に於いては知られている。それでも未だ28という国家の頂点に立つ人物としては破格の若さと言える年齢であったが、その手腕は卓越していた。

 自らの肝いりで行った数々の施策は次々と成功を治め、クリストファー・ヴァルゼライドという大和へ仇名す魔人が猛威を振るう中で就任したばかりとは思えない統率力と判断力で以て聖教国を見事守り抜いた様は政に疎いガラハッドをして畏敬を抱かざるを得ないものであったし、何よりも「教皇とは信徒と民へと寄り添うもの」という信条により信徒たちにも気さくに接して寄り添うその姿はガラハッドにとって好感を抱くに十分すぎるものであった。

 

「教皇猊下の仰る通りだガラハッド卿。貴殿のような人物こそ聖教国の宝というものーーー簡単に死なれては困る。これからも貴殿の事は容赦なく()()使()()()()()つもりなのだからな。何、貴殿のみが身体を張る必要はないとも。そのために私がいるのだからな」

 

 そしてスメラギに続いて降り立ったのは聖教国軍の頂点に立つ人物、新西暦最強と謳われた帝国軍に初めて土をつけた武神の生まれ変わりと讃えられし聖教国の英雄、総代騎士グレンファルト・フォン・ヴェラチュールに他ならなかった。その身に纏う覇気は見る者総てに畏怖を与える威厳に満ち溢れたものでありながらも、浮かべる笑みには春の日差しの如き柔らかさが存在した。

 

「おお、これは吾輩とんだ心違えをしておりました。いざという時にこの身を盾にしてでも猊下をお守りするという想いに変わりはありませぬが、その上でしっかりと生き残って見せましょうぞ」

「うん、それで良い。君が死んだら哀しむ人間が大勢いるという事を忘れないようにね。ーーーしかし()()()、これからも「こき使うつもり」はないだろう?もう少し言い方というものがあるだろうに」

 

 教皇スメラギと総代騎士グレンファルト・フォン・ヴェラチュールの蜜月関係は有名だ。未だ年若い頃に毒殺されかけた教皇の騎士となり守り続けたのが他ならぬグレンファルトであったのだから。

 20という破格の若さでスメラギが教皇へと就任する事が出来たのは老齢であった前教皇直々の指名を受けた故だが、そんな彼が()()()をせずに済んだのは偏にグレンファルトという剣がいたからこそだ。それ故スメラギはグレンファルトの事を「我が兄も同然」と公言し、公的な場以外では()()()という愛称で呼んでいた。

 

「これは失礼いたしました。つい本音が零れてしまいまして」

「おいおい本音じゃダメだろう本音じゃ」

 

 冗談めかしながらされるやり取りは伝え聞いていた話が違わず真実である事をその場にいる者達に知らしめて、暖かなものが自らの胸を満たすのを感じながらブラザー・ガラハッドはより一層の気合を入れて職務に精励するのであった。

 

 

・・・

 

 無論、何の用事もなく出張ってくるほどに総代騎士と教皇の地位は軽くない。なぜ聖教国の政と軍、それぞれの頂点に君臨する両名がプラーガへとわざわざ出張ってきたかといえばそれはそれだけ聖教国にとっても重要な事がプラーガで行われるからに他ない。それは紛れもない慶事、軍事帝国アドラーとアンタルヤ商業連合国の間で行われていた8年にも及ぶ戦争、その正式な終結を宣言する講和条約の調印式が今日この場で執り行われるのだ。

 

「今日この日を迎えられた事、まずは偉大なる大和へと感謝を捧げます」

 

 先ほどしていた気さくな様子とは打って変わった謹厳なる様子で講和の仲介という功績をまた一つ挙げた教皇スメラギは極東黄金教に於いての決まり文句(大和への感謝)を行う。

 

「続いて今日この日を迎えるにあたって尽力された方々への感謝を捧げます。8年間ーーーそれは言葉にすれば一瞬ですがその間に生まれた涙を考えれば余りにも永い時間でした。

 等しく大和の恩寵を受ける同じ世界に生きる兄弟である我々は、不幸な行き違いから争い合う事と成りました。多くの哀しみが生まれました。今もなお忘れ難い痛みを抱えている方もいる事でしょう。それを忘れろとは言いません。許せとも言いません。なぜならばその痛みは、聖職者としては戒めなければならない誰かを恨み憎むその想いはそれだけの“愛”があった事の証だからです。とても痛く、辛く、苦しい事でしょう。私もまた幼き日に大切な家族を奪われました。

 ーーーもしも、時計の針を戻せるのならば。

 ーーーもしも、あの時自分がもう少し強ければ。

 時間は戻らないとわかっていながらも今もなおそのような想いが過ぎります。

 ですがその上でどうか、どうか忘れないで頂きたい。

 愛は、憎しみよりも高い!理想もまた、怒りよりも高い!!そして平和は戦争よりも気高い!!!

 戦争はーーー終わったのです。これからまた皆で目指しましょう。遍く人が笑顔で居られる世界を。

 子ども達が怒りと憎しみに駆られて武器を取るのではなく誰かへその手を差し伸べられる優しさを育めるように。

 今日この場で交わされる“平和”という何よりも尊く気高い誓いを不断の努力を以て護っていこうではありませんか」

 

 演説が終わり盛大な拍手が鳴り響く。無論拍手を行っているものは何も人目も憚らず号泣しているブラザー・ガラハッドのように教皇の演説に感銘を受けたものばかりではない。

 中には当然ただ儀礼的な態度として行っているものとている。だが、それで良いのだろう。たとえそれが儀礼的な心を伴わぬものだとしても、教皇スメラギの行った平和を訴える演説にその場に集った者達は皆国を問わずに拍手をしたこと、それこそが戦争が終わった事の何よりの証なのだから。

 ーーーそも演説を行ったスメラギ本人とてその演説に一体どこまで()()が込められているのかは極めて怪しいものなのだから。

 

 

・・・

 

 突如として襲撃をかけてきた謎の勢力によってその場に集った要人たちが殺害され、平和な未来どころか再び戦争再開の狼煙が上がるーーー等というフィクション染みた出来事が起こる事もなく、式典は無事に終わった。

 当然と言えば当然の話だろう、何せ今回の式典には帝国、商国だけではなく仲介を行った聖教国の威信がかかっている。それを襲撃等したらそれはすなわち新西暦に於いて大国と謳われる三国を総て同時に敵に回す事を意味する。唯一そんな無謀を平然と敢行したであろう強欲竜が亡き今、波乱が起きる事もなく教皇の演説後、帝国の代表である総統と商国の代表であるマドロックの当主は事前の取り決め通り条約への調印を行い、ともに笑顔を浮かべながら握手を交わすと盛大な拍手が浴びせられ、滞りなく幕を閉じた。

 そうして堅苦しい式典が終われば開かれるのは遺恨を水に流して親睦を深めるための晩餐会ーーーという名目の下行われる政治を主戦場とする海千山千の妖怪共の腹の探り合いであった。

 

 酒も料理も、更には料理を載せる皿も、部屋を彩る調度も、そして給仕を行うスタッフも、その空間内に存在するものに超一流あるいは最高級が付かぬものはないというのにーーー何故だろう、警備の副責任者を務める第四軍団副団長のミステル・バレンタインにはそれらよりも部下や同僚達と行きつけの酒場で呑む酒や料理の方がはるかに美味しそうに感じられた。

 

「こういう形で貴方と会えたことを心より嬉しく思います、奏総統殿。そしてこの度の貴方の御決断に改めて感謝を。貴方が戦い続ける道ではなく平和という何よりも尊い道を選んだからこそ今日のこの光景がある。天より我らを見守ってくださっている偉大なる大和もさぞお喜びの事でしょう」

「礼を言うのはこちらの方ですとも。此度の講和の仲介をいただいた事、感謝の念に堪えません。多くのすれ違いと悲劇は御座いましたが、よりよき未来を築いていくためにもこれからは手を取り合って行きたいと私も、いいえ我ら帝国もまた願っております」

 

 暖かな笑みを浮かべながら談笑する祖国の指導者と十年程前に自分も何かと良くして貰った親友の兄、それはミステルのみならず多くの者にとって喜ばしい光景のはずだ。両名の容姿の端麗さ、気品に満ち溢れた立ち振る舞い、それでいて浮かべる表情の柔らかさには多くの者を魅了する人の上に立つ者に相応しい風格が宿っている。

 だがミステル・バレンタインは目の前の二人がこの場にいる()()()も恐ろしかった。何故ならばバレンタインという没落した一族の期待を一身に背負うミステルは知っている、若くして国の頂点に立ち、周囲の雑音をねじ伏せるかの如き実績をたたき出すという事がどれほどに怪物染みた所業なのかを。ーーーそして政治と呼ばれる分野が決して理想だけでは動かぬ事も。多くの者の期待をその身に背負うという事がどれだけ重たい事かもーーーブラザー・ガラハッドという得難き上司に出会う事がなければ当の昔に潰れていたであろうミステルからすると敬意を越えた畏れを抱かざるを得ないのだ。

 特に帝国の総統の地位にあるタツヤ・奏・アマツはどうしても敬意よりも恐れが勝る。何故ならばミステル・バレンタインは聖教国の騎士として知っている。敵に回した時に太陽神と謳われる男がどれほど恐ろしい存在なのかを。幼少期に妹の友人として優しく接して貰った記憶があるからこそ猶更それは加速する。優しく朗らかに笑いかけてくれていた()()()()()()()は親類縁者でもこれから作りあげる新時代に不要だと判断した者は容赦なく切り捨て*1、敵対者を焼き尽くした冷徹無比の太陽神(アポローン)でもあるのだから。

 無論自分がその辺りの事をとやかく言う資格がない存在だという事をミステルは自覚している。自分もまた聖騎士として自らの星を振るい敵兵を殺してきたのだから。それが軍人の、上に立つ者の逃れられぬ宿痾であるという事も。

 

「私は思うのです、平和を維持するために必要なのは国というものを越えた枠組みを作る事ではないかと。世界をよりよい形にする為にもかつての歴史に学び我々は国際機関を作り上げるべきなのだと」

「流石にこの場での即答は致しかねますが、実に興味深いご提案です。前向きに検討をさせて頂きたい」

 

 ただそれでもかつてのようにカッコよくて優しいタツヤお兄さん等と無邪気に慕う事は今のミステルには出来そうもないのであった……

*1
タツヤ・奏・アマツは途中まで血統派として振舞いながらアリエスを掌握し、奏家の当主の座に就くや否や改革派へと鞍替えを行った。それはすなわち相応の親交があり縁戚関係にもあった血統派の面々を容赦なく切り捨てて潰したという事でもある




神祖の厄介さ、それはブラザーみたいな偉い立場にいて裏の事情とか知らずに真実国の為民の為を思い職務に精励しているような人たちからの支持や敬意とかもきっちり勝ち取っている点だろうと思います。

総統は根っこの部分で目的の為に他者を切り捨てるという行為及びそれを出来てしまえる自分を嫌悪しておりますが、お兄様はその辺出来ていながら自己肯定精神に満ちているので総統よりも冷徹です。そんな権利は誰にもないのだと思っている総統に対して言うて誰かがやらなきゃならんし俺は大体の人間よりもそれを上手くやれる自信あるしなと根っこの部分で思っているナチュラル貴種です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。