さてそんなわけで今回はもしもスフィアルーラーを打倒するスフィアが誕生する事無く人類史上初となる世界統一達成まで行った場合、スフィアルーラーが宣う至上天界、そして極楽浄土とはどんな世界の事を指すのかを描いていきたいと思いますが、前話でも言及したように実際はここにたどり着く可能性はまずないと思います。これは光狂いにとっては確率が1%でもあれば実質100%と同じという類の話ではなくその手の気合と根性ではどうにもならないお話です。
何せ光狂いはスフィアルーラー自身がそうであるようにつける薬のないとんでもないバカですが、決して考えなしというわけではありません。むしろ“勝利”を得るためには考えて考えて考えて準備して準備して準備してその上で足りない分は精神力でゴリ押してくるという敵に回すと死ぬほど厄介な、実際作者も描いていてどうやったら死ぬんだよこいつ……と辟易させられた存在が光狂いという人種です。
当然スフィアルーラーという絶対者に挑む数多の光狂いはスフィアルーラーと同じ土俵に上がるためにスフィアへの到達を目指すでしょう。そして立ちはだかるスフィア到達のための三つの条件ですが、まずオリハルコンの所有については寿命が削れる?安いもんだの精神で平気で自分の身体を改造する上にその秀でた能力から往々にして権力者とのコネクションを有しているか当人自身が権力者にまで昇り詰める光狂いにとってないに等しい難易度でしょう。
続く特化した性質(ゼファーさんが干渉性Aで到達しているのでおそらく最低A以上)も全人類がエスペラントになっている上にその精神性が反映されて往々にして何かしらA以上の素質を持っている事が常なのでこれまたないも同然でしょう。
必然的に立ちはだかるのは「お前が居たからこそ」とお互い思う事が出来る運命の相手ですが、原作で誕生した7つのスフィアの内過半数である4人が光狂いである事からも決して光狂いがその手の相手を持ちにくいという事もありません。むしろ日々をなんとなく生きているだけの僕達凡人よりも、そんな凡人が及びもつかない位に情熱的に生きている光狂いの方が、他ならぬスフィアルーラーとその比翼連理である審判者のようにそうした同じ情熱を抱く存在と巡り合い比翼連理と言える関係に成る可能性は余程高いのではないかと思っています。
なのでまあ一番あり得るのは光と光の最終決戦である聖戦の勃発によって地獄と化した世界毎吹き飛んでリスタート、次点で銀の運命を背負いし存在による打倒、大穴で光の宿痾を越えた平和を希求する光狂いに打倒されるといったところだと思われますが、此処ではせっかくなのでそれらが発生せず勝って勝って勝ち続けた果てにどういう世界を築くのかを示していきたいと思います。
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まずスフィアルーラーが掲げる
どういう事かと言いますと絶対神を打倒した時のバカの極みみたいなロジックを思い出して欲しいのですが既にスフィアルーラーの極晃は神天地と同様に地球そのものを覆い、人だけではなくあらゆる空間とかそういうものを強化出来る段階になっており、
それは例えば航空機というものを使えなくして当然宇宙開拓なんてものは夢のまた夢とした
更に正史に於いても人類の未来を拓く事となるであろうアストラルの結晶体である
・世界統一の達成
さてなんだかんだでこれぞという運命の相手というものはそうそういないものだったのか、あるいはスフィアルーラーを打倒するには至らない極晃ばかりだったのかは不明ですが、兎にも角にも勝って勝って勝ち続けた末にスフィアルーラーはついに世界統一を達成します。人類史的にはこういう偉業を達成した指導者は往々にして国名を改めて、自らをその国の初代皇帝と位置付けるのが常なのですが、スフィアルーラーは自分は軍事帝国アドラーの第38代総統である事に拘りつづけます。自らは偉大なる英雄第37代大総統クリストファー・ヴァルゼライドの跡を継ぎし者であるという事こそが彼の誇りだからです(尚特異点のケラウノスはもはや渋面を越えた形容しがたい表情を浮かべている模様)。そして世界統一を達成したという事で燃え尽きるような事もなくこの世に真なる理想郷である
どういう流れで以て最終的にそうやって落ち着かせていくかは作者の脳みそではいまいち予測しきれない部分がありますが、まあその辺は極晃という絶対的な力、不死者となった人類史でも最高レベルの才能を持った光狂いのツインドライブ、そんな光の意志に感化されている多くの臣民、色々と人類にとって都合よくなった世界という事でそこにこぎつけたものと思ってください。
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まず大前提として極楽浄土に於いて全ての人は生まれた瞬間には平等です。元祖アドラーの人間であったからだとか、親が偉かったり金を持っていたりと、そういう当人自身の努力に依らない部分で人に差が出来る事をスフィアルーラーと審判者は共に好みません。人の価値は自らの生き様によってこそ決まるものであると信じているが故に生まれた瞬間は誰もが社会の未来を担う希望の存在として臣民としての権利が与えられています。
そしてその上で審判者の場合は人類の過半数が振るい落とされるようなハードルがどんどん上がっていく地獄がお出しされるわけですが、スフィアルーラーの中に残ったほんの少しの人間性の残骸として彼がかつて人間であった頃に大切だと思っていた家族は基本的にそこまで彼及び審判者好みの人間ではなかったというのがあります。また流石に人類の過半数を切り落とすような社会にするのは指導者として堕落だよね?とかつて偉そうに言った言葉があります。ある意味でとっくに堕落し果てているわけですがまあ例によってその辺は一見すると雄々しい感じの信念とやらで誤魔化すのが光狂いですので当然のようにその辺はスルーです。まあ兎にも角にもそうしたスフィアルーラーの中に残った一片の理性と人間性により、善良なる他の臣民を明確に害したりする、社会にとって明確に不利益となる行為を働く、といった行為を働かなければその権利はやむを得ない場合を除けば基本的に保障されるという形で落ち着く事となるでしょう。
一方スフィアルーラーと審判者が奉じるのは英雄のように社会に貢献する姿勢を見せる人間です。その上で審判者の場合は加点要素が多ければ悪党に分類される本気おじさんやミツバのババアみたいなタイプもセーフとなる究極の結果主義だったわけですが、この辺スフィアルーラーは内心で共感出来る部分もあったものの審判者と違って両者のようなタイプは普通に嫌いでしたので審判者程極端な結果主義とはならずに社会へと貢献する姿勢を有して努力しているような善良な人間が基本的には評価対象となるわけです。その結果下記のような階層社会が構築されると思われます。
・エインフェリア
スフィアルーラーと審判者により特別に認められた優れた才幹と功績を有する人類社会を先導するに相応しいと判断された者達。進化を続ける魔人であるスフィアルーラーと審判者は当然のようにかつて存在した神祖のように洗礼を施す技法も確立。
洗礼を施されたエインフェリアはスフィアルーラーと審判者のように不老不死とまではいかずとも老化速度が極めて低下して常人の2~3倍程度を生きる事になる。スフィアルーラーはエインフェリアに対して定期的に意識の共鳴を
・指導者階級
臣民の中でも特別優等かつ敬虔なる者と判断された者達が区分される階級。公職の中で一定以上の地位に就く者達や優れた才知を持つその道でも最高峰の学識を持つ学者等が該当する。この階級に至った者達の中でも特別スフィアルーラーと審判者好みの精神性を有したものがエインフェリアへと選ばれる。社会的に多くの特権を有しており通常の司法では裁かれないが、
・高等臣民
公職に就いているものや大企業の社長等が該当する。一般臣民と比較して多くの特権を有しているが罪を犯せば法によって裁かれる。ただしその罪を裁くための論議をする裁判官、検察官、弁護士といった司法に携わる者達もこの階級に位置するので一般臣民と高等臣民同士が法の場で争い合うと両者の有する社会的信用の差などもあって高等臣民の方に有利な判決結果が出る事が常である。ただし汚職などといった私利私欲のためにその権利を用いた場合は厳しく罰せられる。有した力を正しく社会の為に用いればこそ偉いのだから、それを濫用する者には特権を持つ資格は無しーーーというわけである(なおある意味で誰よりも光の為に未来の為にと嘯きながら己が私利私欲のために権力を濫用しているのが他ならぬスフィアルーラーと審判者なのは原作でヴァルゼライド閣下に対しても言われたように散々言及された通りである)。
・一般臣民
生まれた瞬間は誰もがここからスタートする。基本的な権利を保障されているが、有事に際してはその権利が制限される。社会に於いて一番多い所謂“普通の人”が該当する階層である。直接上で接する事が多い高等臣民に対しては内心で不満と鬱憤を抱えているものが多いが指導者階級から上の存在となるともはや逆らおうという発想さえ湧いてこないものが大多数。特に世界統一そして世界の改変という大偉業を成し遂げ、自らが生まれる前から生き続けるスフィアルーラー等、一般人であればこそもはや現人神そのもの。その偉業に伴い発生した多くの嘆きと痛みも自分達が直接被ったものではない以上
・更正指導対象臣民
いわゆる犯罪を犯した者達が該当する階級。一時的に持っている権利を制限されるが禊を果たせば一般臣民へと復帰出来る。またもう自分は頑張れないきっと自分はまた誰かを傷つけてしまうと判断した者は安楽死を選択する事が認められている。この安楽死は逃避ではなく社会に害を与えないために出来ないものが自らの為せる精一杯の
・悪
重犯罪を犯した者、または更生指導対象臣民へと何度も堕ちたものが該当し臣民としてのすべての権利を剥奪される。もはや安らかな死を選ぶような贅沢は許されずその肉体はせめて社会の役に立てと言わんばかりに人体実験の道具にされる。
という感じの権威主義的かつ全体主義的な楽園のようでディストピアでもあるような、でも世界規模で見れば人類社会に本当に公平な社会なんて今まで一度だって訪れた事ないしなというのを思うと一概に否定しづらい感じの神祖!お前たちの失敗は裏に隠れてこそこそ人体実験をやった事だぜ!堂々と不死者として表舞台に立って神として君臨して臣民の過半数をこっちの味方にしちまえば良いんだよ!って感じの社会を作ります。基本的には社会の次代を担う子ども達への投資である教育、人類社会の未来を拓く事になる科学分野、公共性の高いインフラ投資などに予算が重点的に咲かれる事になります。高等臣民などが我が子にできる限りの事をしてやりたいと優秀な教師を雇ってやるみたいな事は親の子に対する愛情として咎められません(そこを否定するとスフィアルーラー自身の過去の否定に成っちゃうからね)が、基本的に親の持つ財産は子にほとんど引き継がれません。財を欲するならば自らの力で勝ちとれ、親は子どもに何かを残してやりたいと思うのであれば魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えろが基本方針です。
当然あの手この手で抜け道を使おうとする者は出ますが、その手の行為は愛情ではなく私利私欲による犯罪、悪と認識されるので大分重めの処罰が降ります。基本的にこの世界における臣民の有する権利とはスフィアルーラーという神が与えているものなのでスフィアルーラーとその朋友足る審判者、そしてそんな両名より認められたエインフェリアと指導者階級によって剥奪されてしまうものなのです。怖い怖い。外宇宙からの侵略者などが来た場合は極めて強力な体制と言えるでしょうが、作者みたいな人間にとっては滅茶苦茶息苦しそうだなぁというのが本音です。まあこれは作者が兵役の義務を負う事もなくずっと平和で衣食住に困ることのない豊かな経済大国で高等教育を受ける事も出来たという人類史でも稀に見るレベルで幸福な持てる側だから言える事だと言われれば否定できないところではあります。少数の嘆きを無慈悲にすり潰しながら多数の普通の人による消極的肯定と一部の出来る者達の喝采を受けてスフィアルーラーは君臨し続ける事に成るでしょう。此処まで来てしまうとスフィアルーラーを打倒せんとする者の方が今の社会を壊す破壊者になってしまうので非常に打倒しにくい状況と言えるでしょう。
ただ再三強調しておきますがスフィアルーラーは絶対神と異なり新たな極晃が生まれる事への対策をまるでしておらず、またその雄々しさから極晃という力を何としても自らが独占しようとする気持ちも薄いので、実際は此処にたどり着く前に何らかのスフィアによって敗れて至上天界を顕現させたという点のみ否定し得ぬ功績であったとされる魔王となるか、因果改変系のスフィアで存在そのものを消滅させられるか、あるいは光と光の最終決戦である聖戦によって世界がリスタートする事になるか辺りだと思われます。
地獄を作る事をまるで厭わない奴は結局地獄の先の花にたどり着く前に地獄を作るだけ作って逝く事になるのが定めという事でしょう。
IFルートまで描いた事で作者の中でタツヤ・奏・アマツがどういう人間だったのか?みたいなのがようやくつかめた気がするのでその辺りを記したあとがきを描いて本作は完全終了となります。