スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

100 / 147
てな訳でどうぞ


七階は銀世界

六階のボスを三人が持っていた【樽爆弾ビックバン】を全て使って倒した後、下見だけでもという理由で三人は七階に来ていた。

 

「ここって……」

「またすごいとこに出たね……」

「今までもそうだが、本当に塔の中なのか疑いたくなるな……」

 

視界を白く染める吹雪と膝下まで積もった雪、一歩先の断崖絶壁を前に三人は息を呑んでいた。

吹き付ける雪のせいか装備の一部は凍りつき白い光を放ち始めていく。

同時に、【クラスタービット】が光となって消えていった。

 

「あれ?CF、なんで【クラスタービット】を解除してるのよ?」

「……いや、俺は解除していない。強制的に解除されたんだ」

「え?」

 

そこで三人はそれぞれのステータスを確認すると、【破壊成長】や【破壊不可】、ステータス補正といった一部を除き、装備のスキルは封印されて使用不可能となってしまっていた。

 

「装備の効果がほとんど全滅だな」

「そうね。【大海】や【蜃気楼】、【刃竜ノ演舞】が見事に封印されてるわね。《信頼の指輪》も同様ね」

「私も【悪食】や【暴虐】、【毒竜(ヒドラ)】が……」

「というか、CFが大幅に弱体化されたんじゃない?」

「……仰る通りです」

 

サリーの指摘にコーヒーは肩を落としながら頷く。

装備のスキルスロットに付与していた【雷帝麒麟】、【魔槍シン】、【クラスタービット】等の強力なスキルが封じられてしまっているため、サリーの指摘通り大幅な弱体化である。

 

「取り敢えず、【ワイルドハント】は使えるから移動は役立……」

 

コーヒーはそう言って後ろに待機していた小舟に目を向けると、小舟は氷の刺に滅多刺しとなって光となって消えているところであった。

 

「…………」

「……ズルしたらこうなるということね。この階は普通に進むしかないわね」

「飛び降りたりは?」

「絶対何かしらの手痛い仕掛けが待ってるわよ」

「だよねー。アハハ……」

 

メイプルは防御力に任せて飛び降りようと考えていたが、サリーの一言で素直に諦めた。

この七階の特性を把握した三人は一度塔から出て、クロム達の進行状況を聞いてみようとギルドホームへと向かっていく。

ギルドホームの扉を開けると、丁度クロム達も攻略から戻って休んでいるようで全員寛いでいた。

 

「お、そっちも一段落ついたか?」

「はい!今日はここで終わりです」

「メイプルちゃん達は今どこまで進んだの?」

「六階が終わって、七階に足を踏み入れたところです!」

 

三人はイズが追加で出してくれた飲み物を受け取って、椅子に腰掛ける。

クロム達は八階まではクリアしたとのことだった。

 

「以外とそんなに進行速度は大差ないんだな」

「まあ、どの階も癖が強いし、ボスも同様だったからな」

 

そのままコーヒー達に合わせてネタバレを避けて塔の話題で盛り上がり始めていく。

 

「基本はマイとユイ、シアンの攻撃で終わらせているけど……二階は一度引き上げたんだよね。最初にボス部屋に入ったクロムのスキルが全部コピーされちゃって」

「そのせいで全然倒れないし、鐘の音が響いたかと思ったらHPが全回復してたしー」

 

イズはそう言ってジト目でクロムを見つめる。対するクロムはそんなイズから顔を逸らしている。

 

「次の日の挑戦ではイズに最初に入ってもらって……最大強化した三人の一撃で倒したがな」

 

どうやらクロム達もあの巨大本に一回痛い目を見たようである。

 

「そっちはどうやって倒したんですか?」

「《信頼の指輪》でコーヒーくんの【孔雀明王】を二人で使って、コピーされたサリーのスキルも奪われた私のスキルも全部封じて倒しました」

 

メイプルがそう告げた瞬間、コーヒーとサリーを除くメンバー全員がニヤニヤ顔で二人を見つめていく。

 

「夫婦の共同作業ねー♪」

「共同作業だねー」

「ああ、夫婦の共同作業だな」

「そうだね。新婚夫婦の共同作業だね」

 

満場一致で夫婦扱いされた二人は頬を赤く染めて気まずそうに顔を背ける。今は怒りより羞恥が勝ってしまっているようだ。

 

(写真・話題・絶対・ダメ・強制・消去・後・焼き増し・渡した・写真・頂戴)

 

その間にメイプルが事前に決めていた秘密のジェスチャーで、先日の写真を話題にしないように注意しつつ後でその写真を渡してほしいと伝える。

 

((((((((了解))))))))

 

クロム達も同様にジェスチャーで了承の意を伝え、件の二人には気付かれずに秘密のやり取りを終える。

コーヒーとサリー?当然知りませんが?

 

「ちなみに道中は?どの階もそれなりに苦労したんだよね」

「はい。私達は一階の罠によく引っ掛かってしまって……」

「五階は……二人一組に分断されてしまって……」

「そこで現れた黒い巨大な幽霊はスキルを封じていたしね」

「え?あれ幽霊だったの?普通に【機械神】の物理攻撃が効いてたから……」

「……マジか」

「本当に質が悪いな。運営の悪意を感じるよ」

「そうだね。あの見た目じゃ物理攻撃は効かないと普通は考えるからね」

「サリーは……メイプルにしがみついてたか?」

「いえ。コーヒーくんの背にしがみついていました」

 

メイプル再びカミングアウト。サリーは顔を真っ赤に俯き、コーヒーは顔を明後日の方向へと向ける。

その後も塔の話題で盛り上がっていくのだが……話し終わる頃、コーヒーとサリーの二人は羞恥で机に突っ伏してしまっていた。

 

「そう言えば四階の蛙は地味に嫌だったな」

「ですよね。サリーも食べられて、その後―――」

 

その瞬間、コーヒーとサリーは机に突っ伏したまま得物をメイプルへと向けた。完全に話すな!という意思表示だ。

そんな二人の行動に、一同はこの話題は二人がいる時には出来ないと改めて思うのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

翌日。

コーヒー達は再び七階へと降り立っていた。

 

「相変わらず吹雪が凄いな」

「そうね。崖の足場も悪いし、【ワイルドハント】の浮く舟は氷の棘ですぐに駄目になったしね」

「空が飛べない以上、サリーの【糸使い】を使ってメイプルを引っ張るしかないか」

「だからメイプル、悪いけど……」

「ううん、仕方ないよ。下手に飛び降りて痛い目に合うのは嫌だしね」

 

メイプルはサリーの言葉に頷いて、すべての装備を外して久々の初期の格好となる。

メイプルは装備無しでもVITは四桁なので大概のザコモンスターの攻撃はもろともしないので貫通攻撃が来ない限りは大丈夫の筈だ。

 

そうしてサリーが蜘蛛の糸でメイプルの体を繋ぎ、STR強化の指輪を二つはめた状態で狭い足場の先頭を進んでく。

それを糸で繋がれたメイプルが続き、コーヒーが殿を務めて先を目指して進んでいく。

そうして慎重に進んでいくと、少し広くなった足場の手前でサリーが立ち止まった。

 

「……あの足場にも赤い靄が見える。多分、魔法トラップが仕掛けられてる。CF、試しに彼処に矢を撃ってみて」

「了解」

 

【魔力感知】状態の左目で罠を見つけたサリーの言葉にコーヒーは頷き、サリーが指で指し示す足場に向かって矢を放つ。

すると足場が一瞬光り、巨大な氷の棘が突き出した。

 

「うわぁ……凄く痛そうだなぁ……」

「間隔は分からないけど……あれが消えたらすぐに移動しましょ」

 

サリーの言葉にコーヒーとメイプルは頷き、氷の棘が消えてすぐにその足場を通り過ぎていく。

最初の罠を突破した三人だが、次の罠に遭遇して何とも言えない表情となった。

 

「壁から氷壁が突き出し、崖の下へ落とすトラップか……」

「絶対、崖の下に何か用意してるわね。ただ落とすだけなら、普通の大盾使いならギリギリ耐えきれる筈だからね」

「あはは……」

 

そうして、スキルによって事前に魔法による罠を見抜き、磨き続けた恐怖センサーで簡単に崩れる足場といった物理的な罠にも気付けるようになったサリーの活躍で、彼等は崖の中へ伸びる洞窟へと辿り着いた。

 

「今回はサリーに頼り切りだな」

「そう思うなら、この洞窟内はキビキビ働いてよね?勿論、メイプルは程々で大丈夫よ」

「俺への当たりが本当にキツいよな!?」

「別に良いでしょ!!……事故とはいえ、私の初めてを奪ったんだから……」

 

サリーが小声で何かを呟いたが、コーヒーは聞いたらまずい気がして敢えて追及しなかった。

メイプル?装備を元に戻してニヤニヤ顔で二人を見守っていますが?

軽い休憩を終えた三人は洞窟の奥へと進んでいく。

 

洞窟は少しずつ下に向かって下がっており、天井には大量の氷柱が伸び、床も完全に凍りついている。

人が二人並べるかどうかの狭い通路を、メイプルが大盾を構えて先頭を進んでいく。

そんな三人に、洞窟の奥から飛んできた大量の白いコウモリが襲いかかってきた。

 

「【身捧ぐ慈愛】!!【全武装展開】!!【攻撃開始】!!」

 

メイプルがいつもの天使モードと機械神モードをすぐさま発動し、銃弾とミサイルを白いコウモリに向かって大量に放っていく。

 

コーヒーも【扇雛】や【パワーブラスト】、今日も使用料金を支払った【ワイルドハント】の大砲、サリーも火魔法を放ってメイプルを援護していく。

 

白いコウモリも負けじと氷のブレスを吐き出すも、メイプルのおかげでダメージを負うこともなく全てのコウモリを倒しきることができた。

 

「白いコウモリに防御貫通攻撃がなかったのは幸いだったな」

「ええ。こうも狭いと満足に避けることもできないからね」

「ここは私が頑張るね!!」

 

その後もメイプルが先頭となって白いコウモリを撃ち落としていき、三人は凍った地面にいくつも穴が開いている広い場所の手前に到着した。

 

「絶対あの穴から何か出てくるよな」

「私もそう思うわ。何となく、モンスターハウスの気がするし」

「天井の氷柱も落ちてきそうだよね……」

 

三階のボス部屋と六階のモンスターハウスの予感を感じた三人は、警戒しながら広場へと足を踏み入れる。

途端、その穴から小さなハリネズミが何匹も姿を現し、それらが鳴き声を上げるとこの広場の入口と出口が氷の壁で塞がれた。

 

「やっぱりモンスターハウス!!」

「氷柱も落ちてきたよ!!」

「下からも氷の棘が迫って来てるぞ!!」

「【ピアーズガード】!!」

 

メイプルは咄嗟に防御貫通無効スキルを発動して氷柱と氷の棘を防いでいる間に、サリーは昨日補充した【樽爆弾ビックバン】を早々に使用してハリネズミ達を爆風で吹き飛ばし、コーヒーも【爆雷結晶】を発動して結晶を次々と地面の穴の中へと放り込んでいく。

 

「それじゃ……爆破ー」

 

コーヒーは最後に【ワイルドハント】の爆弾を穴の中へと放り込むと、全ての地面の穴から雷柱が噴き上がり、穴の中にいたハリネズミ達を吹き飛ばし、光へと変えていった。

 

「ああ……可愛いハリネズミさん……」

「ハリネズミならブリッツがいるぞ」

「……後で撫でさせてね」

 

そんな約束を交わしつつ、三人は氷の壁が消えた出口へと向かい、先へと進んでいく。

 

「あれは雪男と……雪女?」

「何でまた幽霊が出てくるのよ!?」

「知るか!?」

 

その道中で、道を塞ぐほどの巨体を持つ雪男と、そんな雪男に寄り添う不気味な顔をした雪女(足が途中で消えているVer)と遭遇したが、メイプルの銃撃と、【雷炎】を使って雷属性を火属性に変えたコーヒーの攻撃で簡単に倒すのであった。

サリー?一組目はコーヒーにしがみつき、二組目が現れて以降はコーヒーに背負われましたが?

 

「うう……もう幽霊は出てこないと思っていたのに……何で……」

「……わりと有名だからじゃないか?」

「あ、また出てきたよ」

「早く倒してぇッ!!」

「ぐえっ!?」

 

……相変わらず幽霊相手だと戦力外となるサリーであった。

 

 

 




『二階と五階、七階が憎い』
『同じく』
『絶対CFはサリーさんに抱きつかれている』
『俺もゲーム内だけでもいいから、女の子と手を繋ぎたい』
『両手に華のCFは必ず非リア充の俺が倒す』
『言ってろ。【炎帝】と【聖女】と友好があるエセ非リア充が』

一部スレ抜擢。

感想お待ちしてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。