スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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最新刊では弓使いが登場……どうなるかな?
てな訳でどうぞ


運営と【炎帝ノ国】

「……メイプル達は本当に相変わらずだな」

「そうだな。四階、五階のボスの瞬殺劇よりは遥かにマシだが」

 

運営は相変わらずのバグとイベントの進行状況をチェックしながら、公式動画にピックアップする映像候補を暇を見て確認していた。

 

「【集う聖剣】のペイン達は現在、十階の最終ボスに挑戦してますね」

「ああ。にしても十階のボス、少しおかしくないか?予定していた強化と違うというか……」

「実はあの後、十階のボスの修正案がギリギリで変更となったんですよ。今までのボスの特徴を部分的に追加したようですよ」

「……何を追加したんだ?」

「爆雷、スキル強奪、溶岩、水の支配、斬鉄剣、結晶光線、地面の棘、見えない攻撃、空間転移ですね」

「……大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。それらは基本一回しか使えませんから……たぶん」

 

まさかの十階のボスの更なる強化の変更に二人は頬を若干引き攣らせるも、もう実装してしまったものは仕方がないとして諦める。

 

「にしても、ペイン達は結構善戦しているな」

「ですね。あ、サクヤの【英雄の協奏曲】をボスが奪いましたね」

「これで例の無限強化コンボを見事に封じたな。あれはちょっと想定外だったよな。パーティーでしか発揮できず、演奏の難しさと戦闘中という状況から妥当だと考えてたが……」

 

「フレデリカの【多重全転移】のバフ移動のコンボは普通にまずかったですからね。それでもメイプルに負けましたが」

 

あの時はついにメイプル敗北か!?と拳を握りしめたが、あの逆転劇に深い溜め息を吐いたのは言うまでもない。

そして、カナデの無限増殖コンボによる蹂躙劇で遠い目となったことも言うまでもない。

 

「【影ノ女神】だって、最初の一割切ってからの二分待ちは回復有りでもハードルが高かった筈なのに……メイプルだとそのハードルがガクンと下がったから修正する羽目になったし」

「それを言ったらCFもですよ。超絶強化された【グロリアスセイバー】の威力は相変わらずぶっ飛んでますし」

「……現在の最高威力は?」

「単純な威力でスキルを総動員したら……今回のイベントのボスが一撃で吹き飛びますね」

「……残りのボスでその犠牲者は出るか?」

「八階と十階のボスはともかく……九階のボスが犠牲となる可能性が高いです」

「…………他のパーティーの七階攻略の映像を確認しておくか」

「そうですね。迫力重視でボスエリアからピックアップしましょう」

「とりあえず……【炎帝ノ国】を確認するか」

 

運営は現実逃避のようにモニターを操作し、【炎帝ノ国】の攻略映像を確認していくのであった。

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「出たぞ!ボスだ!!」

「道中のものが大きくなったみたいですね!」

 

ミザリーがそう言っている間にも、ボスは体を丸めて氷の針玉モードとなり、凄まじい速度で回転してミィ達へと迫っていく。

 

「【遠隔設置・岩壁】!!」

 

マルクスが咄嗟に罠を設置して岩の壁をボスの進行上に出現させるも、氷の棘に簡単にバラバラにして勢いを衰えさずに迫ってくる。

 

「【挑発】!!【ヘビーボディ】!!」

 

カミュラがスキルを使ってボスのヘイトを自身に向けさせ、ノックバックを警戒して【ヘビーボディ】を発動し、大盾を構えて受け止める体勢を取る。

ボスの突撃でカミュラは吹き飛ばされこそしなかったが、氷の棘の幾つかがカミュラの体を抉ってHPを大きく減少させる。

 

「癒せ、【ヒール】!!」

 

ミザリーがボスの攻撃で大きく減少したカミュラのHPをすぐさま回復させる。

 

「くっ……あの氷の棘は防御貫通効果が付与されているのか」

「けど、ボスの氷の棘が先ほどの攻撃で折れているところを見る限り、耐久値はそこまで高くなさそうだよな」

「なら、ミィの攻撃を軸として攻めるのが至極妥当だな」

「任せろ兄上!!【ファラリスの雄牛】!!」

 

ミィは六層で手に入れたスキルを発動させる。するとミィのすぐ後ろに現れた魔法陣から金色の牛が現れ、その金色の牛はその姿を炎へと変え、ミィの体へと纏わりつく。

 

「爆ぜろ!【炎帝】!!」

 

スキルの効果でHPが減少したミィが炎球をボスに放ち、ボスの氷の棘を一気に溶かしていく。

加えて、【ファラリスの雄牛】の効果で炎の継続ダメージが追加されており、氷の棘は炎によって溶かされ続けている。

 

「譲渡せよ、【MPパサー】!!」

「与えよ!【炎陣】!!」

 

ミザリーからMPを譲り受けたミィはスキルを発動。自身を中心に赤い魔法陣が展開され、地面を炎が伝っていく。

範囲内にいるプレイヤーの与えるダメージを増大させ、炎属性を付与するスキルによって全員の能力を底上げする。

 

「穿て!【炎槍】!!」

「【遠隔設置・槍衾】!!」

「【崩剣】!!」

「彼方の敵を攻撃せん―――【飛撃】!!」

 

カミュラとミザリーを除く【炎陣】内にいるメンバーはミィを筆頭に攻撃を仕掛けていく。

上空から炎の槍が、地面からは幾つもの炎を纏った棘が、両側からは炎を纏った大量の剣が、正面からは二つの炎の斬撃が飛来し、ボスを容赦なく攻撃していく。

 

そのままHPを残り三割まで削ったミィ達だが、ボスは地面の雪を掻き分けて地面の中へと潜ることを許してしまう。

当然、地面から無数の氷の棘が襲いかかるも……

 

「守り癒せ、【神の息吹】!!照らせ、【癒しの光】!!」

 

ミザリーが咄嗟に範囲ダメージカットと持続回復、HP回復スキルを発動させる。

地面からの氷の棘でダメージを負ったミィ達のHPがぐんぐんと回復していく間に、巨大な氷狼と化したボスが辺り一帯に冷気を放ちながら現れる。

 

「三階と同じ形態変化かよ!」

 

シンがそう叫んだ直後、氷狼へと姿を変えたボスが強靭な前足で地面を叩き、地面から無数の氷の棘を再び発生させ、そのままミィ達に迫るように放っていく。

 

「荒れろ!【豪炎】!!」

 

ミィが業火を氷の棘と氷狼に向かって放つも、その火勢は明らかに下火となっている。それに良く見れば、【炎陣】によってシンとテンジアの剣に纏わりついている炎もいつの間にか小さくなっている。

 

「【シールドハウリング】!!」

 

カミュラが大盾専用の攻撃スキル【シールドハウリング】を発動。地面に叩きつけた盾から凄まじい衝撃波が、炎と共に全体に広がるように発生し、地面から目前まで迫っていた無数の氷の棘を溶かす、または吹き飛ばした。

 

ちなみにこの【シールドハウリング】。リア充打倒の為に数え切れないほどの【シールドアタック】を繰り返した結果である。

 

「助かったよカミュラ……」

「……男の礼はいらん。ギルドマスターとミザリーからの礼しか受け付けない」

 

マルクスのお礼にカミュラがそう返している間に、シンは【崩剣】で、テンジアは【飛撃】で氷狼に攻撃を仕掛けるも氷狼の氷の体は思うように削れてない。

 

「このままだと悪戦苦闘は必須……どうする、ミィ?」

「……“陣羽織”を使う。【炎陣】の魔法陣自体は縮小されていないから、強化自体は問題ない筈だ」

 

未だに発動している赤い魔法陣を確認したミィがテンジアの言葉に対してそう答える。

つまり、火力によるごり押しである。

 

「【炎神陣羽織】!!」

 

ミィがスキルを発動した瞬間、ミィの身体から深紅の陣羽織が紅い粒子を放出しながら辺りを舞い、そのまま上から被るようにミィの身体に纏わりつく。

 

杖で幾ばくか戦い易かったとはいえ、135回の敗北の末にあの鬼を辛うじて倒して手に入れたスキル【炎神陣羽織】。

その苦労に見合う強力なスキルを、ミィはここで切った。

 

「【紅蓮ノ金棒】!!」

 

ミィが【炎神陣羽織】に内包されているスキルを発動させると、ミィの右側に煌々と燃える真紅の炎で構成された金棒を持つ、金棒と同じように炎で構成された巨大な腕が現れる。

 

「ハァッ!!」

 

ミィが叫び声と共に右腕を振るう。

同時に、炎の腕はミィの右腕と連動するように動き、三度放ってきた地面の氷の棘を溶かしながら、巨大な氷狼と化したボスに迫っていく。

 

横薙ぎで振るわれた炎の金棒はボスへと直撃し、直撃した箇所から氷の体を容赦なく溶かしながらボスを吹き飛ばしていく。

それだけに止まらず、炎は氷の体に残ったまま容赦なく溶かしていっている。

 

「大炎上になりましたね」

「あれは普通の炎上より強力なんだよね……通常の【炎上耐性】だとランクを一つ下げた状態になるみたいだし……」

「爆せろ!【炎帝】!!【連続起動】!!」

 

ミザリーとマルクスがそう呟く間にも、ミィは炎球を連続でボスに向かって放っていく。炎の弾幕を受けながらもボスは飛び上がり、背中の氷の棘をミィに叩きつけようとする。

 

「【超加速】!!」

 

それを【超加速】を発動したテンジアが駆け抜け様にミィをお姫様抱っこしてその場から離脱したことで難を逃れ、ミィはテンジアに抱かれたまま炎球を放っていく。

 

(お兄ちゃんにお姫様抱っこされちゃった!!このままわざと長引かせ……って、流石にそれはダメだよね!だけどこのチャンスをもう少し……)

 

……内心の顔は凄くだらしないものとなっていたが。

 

「チッチッチッチッチッチッチッチッチッ」

「……カミュラ、舌打ちをマシンガンのように繰り返さないで下さい」

 

その光景に舌打ちを連続でかましているカミュラに、ミザリーは嘆息しながら諌めることともなったが。

シンとマルクスはその光景に苦笑いしたり溜め息を吐いている間に、ボスの氷の体が綺麗になくなり、今までと同じように針のないネズミが仰向けでワタワタと暴れている。

同時に地面とシンとテンジアの剣に纏っていた炎の勢いも元に戻り、煌々とした紅い炎が辺りを照らしていく。

 

「止めだ―――【炎神燃焼】!!」

 

ミィが特定の属性スキルの使用回数分だけ威力が強化される、【炎神陣羽織】の内包スキル【炎神燃焼】を発動させる。

 

直後、仰向けとなったボスを中心に盛大な火柱が炸裂し、ボスの残りHPを全て刈り取り、ボスは光となって消えた。

同時に、人数分のスキルの巻物がボスがいた場所に落ちる。

 

「お、スキルの巻物だな」

 

その巻物の一つをシンが取り、その内容を確認していく。

 

 

===============

【百花氷乱】

自身を基点とした半径五メートル内に防御貫通効果のある氷の棘を発生させる。

氷の棘の威力は自身のSTRの二倍。10%の確率で貫通無効を無視できる。

使用してから三分後に再使用可能。

取得条件:【属性:氷】が付与されているスキルを三つ以上取得していること。

===============

 

 

「こいつは現時点ではテンジアしか使えないな」

「確かにそうですね。その分強力ですが」

「そうだね……」

「相変わらず悲リア充には優しくないな」

「範囲攻撃スキルか……私個人としては一点突破のスキルが欲しいところだが……」

「それは今回のメダルスキルで得たら大丈夫の筈だ、兄上」

 

どちらにせよ、【百花氷乱】は強力なスキルであることに違いないので条件を満たしているテンジアは【百花氷乱】を取得した。

もちろん、お姫様抱っこはそこで終了。ミィは内心でもうちょっと堪能したかったと思うのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「相変わらず火力が凄いな」

「そうですね。“陣羽織”でさらに強化されましたしね」

 

炎帝様も陣羽織スキルを得たことに運営一同は一瞬だけ遠い目となったものの、135回敗けた先で得たことからすぐに祝福ムードへと変貌したのは記憶に新しい。

コーヒーとサリー?悟った表情で意気消沈してましたが?

 

「ピックアップは……【炎帝】を放つシーンだな」

「ですね。第四回イベント以降で得たスキルの公開はまずいですからね」

「お姫様抱っこは?」

「“陣羽織”を使ってるからダメですね。カスミの妖刀モードと同じく」

「だよな。その意味ではCFとサリーのあのハプニングはナイスだったな」

 

運営は動画で流しても(スキルに関しては)問題のない範囲で映像をピックアップするのであった。

 

 

 




『メイプルが大きな蛙を召喚できるようになった。それもほとんど同じステータス』
『は?』
『え?』
『ちょっと待って』
『メイプルちゃんとほとんど同じステータスの大きな蛙?何その理不尽』
『メイプルちゃんが増えた』
『盾が四つになった。どうしろと?』
『しかも喰う』
『まんまメイプルちゃんじゃないか!!』

見守り隊の一部スレ抜擢。

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