スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


報酬、動画、七層

最終ボスを倒し、三人は魔法陣に乗って塔から出ると、運営からメッセージが届いた。

 

『ガオ~!最高難易度の塔のクリアおめでとうドラ!!パーティーでの攻略ドラから、報酬の銀のメダルは一人五枚渡されるドラ!!メダルは前回同様、十枚でスキル、もしくはアイテムを一つだけ交換できるドラから、今回の報酬で十枚手に入れたら報酬期間中に交換すると良いドラよ!!後、今回のイベントも後日動画で公開されるドラから、楽しみに待ってるドラよ!!それじゃあ、今後も楽しくプレイしてね~。ガオ~!!』

 

運営からの通知を閉じると、三人は今回の報酬について話し合った。

 

「これでギルド戦の時と合わせて十枚ね」

「じゃあ、さっそくスキルを選ぶか?」

「賛成!!どんなスキルがあるか早くみたいし!!」

「じゃあ、選び終わったらギルドホームに集合ね……五層の」

「……うん」

「……了解」

 

三人は十枚のメダルを使用すると、スキルとアイテムを選択する空間に転移した。

 

「やっぱり全部更新されているな……」

 

空間に転移して数分、ざっくりと今回の報酬を確認したコーヒーはそう呟く。

 

「今回はどのスキルにすっかな……」

 

コーヒーはスキルの一覧とにらめっこしてしばらく、取得するスキル決めたのかをパネルを操作して新しいスキルを取得する。

 

スキルを選び終わったコーヒーは五層のギルドホームへと足を運ぶ。

ギルドホームには、すでにスキルを選び終えていたメイプルとサリーがいた。

 

「二人はもう選び終わってたのか」

「うん!!」

「大体の方針は決まっていたしね。CFはどんなスキルにしたの?」

「今回はこれだ」

 

コーヒーはそう言って今回選んだスキルを二人に見せる。

 

 

===============

【レディアント】

魔法以外での攻撃が当たる度に、MPが1回復する。

===============

 

 

「なるほど。今のCFにぴったりのスキルね」

「ああ。【結晶分身】と【ミラートリガー】で矢を連続かつガンガン撃てるから、他のスキルとも合わさればMPがすぐに回復してさらに魔法が撃ち易くなるからな。二人は何にしたんだ?」

「私はこれ!」

「私はこれかな」

 

そう言うと二人は揃って今回得たスキルをコーヒーに見せる。

 

 

===============

【不壊の盾】

30秒間ダメージ半減。

三分後再使用可能。

===============

 

===============

【水操術】

水を操るスキル。I~Xレベル。レベルごとにスキルを一つ取得。

===============

 

 

【不壊の盾】がメイプル、【水操術】がサリーがメダルで得たスキルである。

 

「なるほど。確かに二人に合ってるな」

「うん!本当は無効があったら良かったんだけどね」

「私は面白いスキルになりそうなのと、【氷結領域】や【水神陣羽織】とも相性が良さそうだったからね」

 

そんな会話を続けていると、ギルドホームに残りのメンバーが入って来る。

 

「お、三人とも。十階はどうだった?」

「一発でクリアしたぞ。そっちは?」

 

クロムの言葉にコーヒーはピースサインと共に答えながら、質問する。対するクロムは苦笑いの表情だ。

 

「あれを一発で倒したのか……俺達の方は様子見だったとはいえ、十数分で負けたのに」

「そうか……あのボスはかなり鬼畜だからなあ」

「カスミの妖刀のスキルを奪って、こちらの火力を下げてきたしね」

「勝ち筋としては、麻痺を加えて動けなくなったところを三人の攻撃で一気に倒す方向だが……」

「その戦法は取らない方がいいぞ。最後に手痛い反撃を受けかねないからな」

 

ボスの最後の戦いを脳裏に浮かべながらコーヒーはそう言う。下手したらマイとユイが倒される危険性があるからだ。特に魔法メインのシアンとカナデの二人は完全な戦力外となってしまう。

 

「そ、そうなのか……そうなると作戦を練り直す必要があるな」

「まあ、イベントはまだ数日は続くから期間内にクリア出来ればいいからな」

「ちなみに、三人はどんなスキルにしたの?」

 

イズの質問に、三人はスキルを見せることで返す。

 

「ちなみにイベントが終わったら、今回のイベント動画が公開されるようだぞ?」

「マジか……どこまで公開されるんだろうな?」

「そうねえ……PvP要素がないから、イベント中の珍行動集みたいな感じかしら?」

「それはそれで恥ずかしいような……」

 

後日公開される動画を楽しみにしながら、【楓の木】の一同は会話に華を咲かせていくのであった。

ちなみにコーヒーとサリーは、例の記憶を片隅に追いやって強引に忘れようとしていたので、その可能性に気づくことはその日が来るまで気づくことはなかった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

第七回イベント終了の翌日。今回のイベント動画が早々に公開されていた。

無事に残りのメンバーも攻略した【楓の木】の面々もギルドホームでその動画を見ていたのだが……

 

「おおう……ほとんどが面白映像だな」

「だねー」

 

ホームの画面に流れる動画に対して呟いたコーヒーの言葉に、ジベェを頭に乗せて動画を見ているミキが頷く。

運営が今回公開した第七回イベントの動画は……バラエティーだった。

 

「あ、二階の走る幽霊から逃げてますね……ププッ」

「BGMのせいで笑いが……」

 

どこかの運動会を思わせるBGMをバックにして二階の幽霊から走って逃げるプレイヤー達の映像に、マイとユイは口元を押さえて笑いを堪えている。

サリー?動画から顔を背けていますが?

 

「バラエティー向けの音楽とたまに入るナレーションでどうしても笑いが……」

「フレデリカが本に食べられて……」

『救助成功!ただし、全身涎まみれドラ!!』

「本人としては頭を抱えていそうですね……」

 

本来なら切迫した筈のシーンもBGMとナレーションのせいでバラエティーに変わってしまっている。

 

「マイちゃんとユイちゃんの回転しながらの進撃も、音楽のせいでおかしく……」

「次はどんなシーン―――」

「「ぶふぅッ!?」」

 

そんな中で、とあるシーンが流れたことでコーヒーとサリーは揃って吹き出した。

何故なら、今映っているシーンは水に濡れたサリーがダガーを突き立ててコーヒーを押し倒しているシーンだからだ。そして小舟が揺れてサリーがバランスを崩し……そこで映像はブラックアウトした。

 

「「…………」」

『この後どうなったかは……神のみぞ知る、ドラ!!』

 

致命的なシーンこそ流れなかったが、分かる人には分かる。というか、邪推できるシーンだ。現に、周りのメンバーの視線がものすごく生暖かいのだから。

 

「サリーちゃん大胆♪」

「結構ギリギリを攻めたな……」

 

イズは楽しげに呟き、クロムは苦笑いしながら呟く。

 

「……ぁぁぁぁ……」

「……最悪……最悪よ……よりによってなんでこのシーンを……」

 

ある意味、最悪の黒歴史シーンにコーヒーとサリーは揃って机に顔を埋める。地味に言い訳できるのが逆に腹立たしいくらいだ。

【集う聖剣】では―――

 

「にゅふふー。しばらくはこのネタでサリーちゃんをからかえそうだねー」

「イエス。彼女の顔を赤めて否定する姿が容易にイメージできます」

「……ほどほどにな」

 

後衛二人が意地の悪い笑みを浮かべ、前衛の紅一点が呆れながら諌めていた。

【炎帝ノ国】では―――

 

「CF……やはりアイツは俺達非リア充の不倶戴天の敵だ……!!」

「……流石にないんじゃない……?どうせおでこがぶつかっただけというオチだと思うし……」

 

相変わらずリア充への憎悪を滾らせるカミュラを、マルクスが宥めるという珍しい事態が起きていた。マルクスの推測は外れていたが。

そして―――

 

「やっぱりかぁあああああああああああああッ!!!」

「押し倒された上でかぁあああああああああああッ!!!」

「映像は途中で切れたが、どう見ても()()なったに違いないじゃないかぁああああああああああッ!!!」

「なんて羨ま―――けしからんことをっ!!!!」

「次の!次のイベントにPvP要素を!!憎きリア充CFを討伐する機会を!!」

「それまでは(言葉の)闇討ちを続けるぞ!!」

 

彼らは本当にいつも通りであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

それからしばらく経って、メンテナンスが入り七層が実装された日。六層のギルドホームにて。

サリーはソファーの上で、ミノムシのようにローブにくるまってぶるぶると震えていた。

 

「やっぱりサリーは大丈夫ではないか……」

 

そんなサリーの姿をカスミが哀れむように見つめる。

今回は少しでも早くダンジョンを攻略するため、前日にメンバー分けを決めており、コーヒー、メイプル、シアン、戦力外のサリーがパーティーを組んで攻略することとなっている。

 

「それじゃ、手早く攻略するか」

 

ボスの能力を確認し終えて全員でフィールドに出ると、サリーを背負っているコーヒーは【ワイルドハント】を発動して宙に浮く小舟を召喚する。

その小舟にコーヒーとサリーはもちろん、メイプルとシアンの二人も乗り込む。

 

「じゃあメイプル、頼む」

「うん!!【身捧ぐ慈愛】!!【天王の玉座】!!」

 

メイプルは二つのスキルを発動させ、一気にアンデッド達に関しては無敵状態となる。

 

「取り敢えず、ボスは超強化した【グロリアスセイバー】で吹き飛ばすから、頑張って耐えてくれ」

「……うん」

 

コーヒーの背中にがっしりと掴まっているサリーは短く言葉を返す。

ちなみに【グロリアスセイバー】は再び下方修正され、武器が二つある状態で発動した際は必ず近接となるようになった。

 

つまり、クロスボウ二丁で【グロリアスセイバー】を発動しても、矢や弾丸のように発射できず直接斬りかかるしかできなくなったのである。

 

ちなみに近接での場合は維持時間は十秒、一撃与えたら終了というものだ。二回攻撃は変わらずだが、斬りかかるしかできなくなったので完全な弱体化だ。

まあ、スキルによる威力増加はそのままなのが救いだが。

 

「そういえば、シアンはどんなスキルを選んだんだ?」

「【MPターボ】というスキルです。消費MPが常時二倍になる代わりに効果と威力が三倍になるスキルです」

「おお!シアンちゃんにぴったりのスキルだね!!」

 

燃費が著しく悪くなったが、イズ特性のMPポーションと【漏れ出る魔力】のおかげで然したる支障がない。

そんな訳で、凶悪なミサイルとバリアを有した飛行機と化したパーティーは乗客一人を乗せ、アンデットだらけのフィールド、そしてダンジョンを駆け抜けていく。

 

サリー?コーヒーの背中にしがみついてぶるぶると震えていますが?

そうしてサックリとボス前についてしまえば後は簡単である。

 

「じゃあ、ここも予定通りに。【アイアンってぇ」

 

コーヒーはそう言ってHPが残り一割となるように【アイアンメイデン】を発動しようとするが、脇腹から走った痛みで中断される。

理由は単純。サリーがコーヒーの脇腹をつねったからだ。そのスキルは使うな!!という意思表示だ。

 

「……自己強化スキルのみを使うか」

 

コーヒーは【羅雪七星】コンボを諦め、自己強化スキルのみによる【グロリアスセイバー】で吹き飛ばすことを決める。

【ジェネレータ】以外の自己強化スキルをすべて使い、アイテムも使ってからボス部屋に入ると、巨大なゴーストがいた。

 

「うわー、真っ暗な眼窩から黒い涙を流してるよー」

「腕は透き通って長く、真下は黒い闇を広げて如何にもって感じです」

「何で言うのおッ!?」

 

メイプルとシアンの素の説明に、サリーは涙目で腕に力を込めて更にコーヒーへとしがみつく。

それでも、やることは変わらないが。

 

「輝け、【フォトン】!!【連続起動】!!」

 

シアンが光弾をガンガン撃ってボスを足止めしている間に、コーヒーは【グロリアスセイバー】の詠唱を可能な限り手早く済ませていく。

 

「―――限界を超えし蒼き雷霆よ集え!!【グロリアスセイバー】!!」

 

そうして【ジェネレータ】を除いて強化した雷の宝剣をボスに叩き込み、あっさりと爆散させるのであった。

 

「素材は全部回収しました」

「それじゃあ上に行くか……サリーも良いよな?」

「……早く六層から出たい」

 

コーヒーにおぶられているサリーはそれだけ返す。七層はホラーじゃないと自身に言い聞かせながら。

 

「次はどんな感じだろうね?」

「海……とか?」

「どっちにしろ被りはしないだろ」

「そ、そうよね!!」

 

そんな感じで七層へと足を踏み入れる。

そこで広がっていた景色は、広大な大地と自然、駆け回る多様なモンスター達の姿だった。

 

「これって……シロップみたいに仲間にできるってことだよね!!」

「そうみたいだな。七層はモンスターの楽園ってところか」

「どんな子がいるんでしょうか!?すごく楽しみです!!」

「そうだね。その為にも調べないとね」

 

そうしてそれぞれが期待に胸を膨らませるのであった。

 

「あ、CF。そろそろ降ろして。少し恥ずかしい……」

「お、おう……」

 

……少しだけ締まらなかったが。

 

 

 




「厨二野郎(ボソッ)」
「重症患者(ボソッ)」
「痛い台詞を吐く男(ボソッ)」
「厨二病を拗らせたやつ(ボソッ)」
「このラッキースケベが(ボソッ)」
「スケベ大魔王(ボソッ)」

「ぐふっ……また闇討ちが……」

例の動画で第四回イベントから発生した闇討ちが、パワーアップして再び発生した図。

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