スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


テスト勉強と悲劇(笑)

テイムモンスターの実装の翌日。浩はいつも通り学校に来ていた。

 

「おはよう新垣君!」

「おはよう、新垣」

「ああ、おはよう。白峯さんに本条さん」

 

最早お馴染みとなった朝の挨拶。もし非リア充の面々がいたら歯軋りし、血涙の如く涙を流していたであろう。

そんな事は露知らず、浩は二人と普通に会話していく。

 

「二人はテスト勉強は大丈夫か?特に白峯さんは前科ありだしな」

「アハハ……私は大丈夫だよ」

「去年の話を持ち出さないでよ!二度も同じ轍は踏まないわよ!!」

 

浩の問い掛けに本条は苦笑しながら返し、白峯は怒鳴るように返す。

白峯も勉強を疎かにしてゲーム禁止になるのは勘弁なので、その辺りはちゃんと注意しているのである。

 

「そういう新垣はどうなのよ!?普段から勉強しているからって油断してるんじゃないの!?」

「ちゃんと復習してるし、重要なところはちゃんと覚えてるぞ」

 

白峯の言いがかりに近い指摘に対し、浩はあっさりと返す。

 

「ちなみに過去問の実力テストの点数は八十から九十以上だぞ?それも一発でだ」

「ぐぬぬ……!」

 

過去の実力テストの問題集で高得点を叩き出した事を浩がドヤッたように少し意地の悪い笑みで告げると、白峯は悔しげに唸る。

何せ、自身の指摘をこれでもと言わんばかりに返されたのだ。反論のしようがないのである。

 

「結構頭が良いんだね、新垣君。何か勉強にコツでもあるのかな?」

「コツって言われてもな……強いて言うなら普段からノートを取ることくらいか?」

「それでテストの点数取れるなら誰も苦労しないわよ!!」

 

浩のその言葉に、白峯はキレ気味に両手で机を叩く。

浩の言葉は毎日勉強している人からすればイラッとくる台詞だ。それで実際に高得点を叩き出しているのだから、余計に腹立たしいのである。

 

「そうは言ってもなぁ……」

 

白峯の怒り具合に、浩は困惑しながらもそう返すしかない。実際に浩はそれで九十点前後の点数を取っているのだから。

そんな中、本条は思いついたように二人に提案する。

 

「それなら今日は三人でテスト勉強しない?」

「「は?」」

 

本条の提案に浩と白峯は間が抜けた声を洩らす。

 

「いやいや。何で三人でテスト勉強することになるのよ」

「そうだぞ本条さん。何がどうなったら三人で勉強することになるんだ?」

 

しかし、それも一瞬。二人はすぐに真顔となって問い質す。

テスト勉強をすること自体は別にいいのだが、何故ここにいる三人でやるという発想になったのかが本当にわからないのである。

そうやって問い質す二人に、本条は笑顔で告げた。

 

「一人でやるより一緒にやった方が捗りそうだし……それに一緒なら分からないところがあっても教えられそうだし!」

 

本条のその言葉に浩と白峯は反論できずに口ごもる。

確かに複数人で勉強した方が確かに捗りそうだし、本条の笑顔の提案を頭ごなしで否定することもできないからだ。

……裏で二人の仲を進展させようと画策しているとは思わずに。

その結果、放課後は三人で勉強会を開く事が決定するのであった。

 

 

――――――

 

 

「ただいまー」

「おかえり浩」

 

浩は家に帰ると、いつものように母親が出迎える。いつもの光景だが、今日は少々違うのである。

 

「あら?女の子のお友達を連れて来たの?それも二人も」

 

浩の後ろにいる二人―――白峯と本条に浩の母親はニヤニヤしたように笑みを浮かべると、二人は母親に向かって自己紹介した。

 

「初めまして新垣君のお母さん。私は本条楓と言います」

「同じく白峯理沙です。今日はテスト勉強の為、新垣の家に来ました」

「あらあら、そうなの。改めまして、浩の母です」

 

二人の軽くお辞儀しての自己紹介に、浩の母親は納得したように言葉を返し、同じように自己紹介する。

何故二人が此処にいるのか。それは帰り道で、何処でテスト勉強をするのかに対して浩は自分の家を提案したからだ。そう提案した理由は、さすがに女の子の家で勉強するのは浩の心理的なハードルが高かったからだ。

白峯と本条も、ゲーム仲間で学校の友人とはいえ男の子を自分の家に上げるのは何となく恥ずかしかったので、浩の提案をすんなりと受け入れたのである。

そういった経緯で浩の家に上がった白峯と本条の二人は、浩の部屋へと案内される。

 

「それじゃ、テーブルと座布団を持ってくるから少し待っててくれ」

 

浩はそう言って、二人を残して部屋の外に出る。残された二人は改めて浩の部屋を見渡す。

小説に参考書、辞書にレトロなゲーム機……結構色々ある。少し散らかっているが。

 

「せっかくだからベッドの下を調べてみようか。一体何が隠れているかな~?」

「もう理沙ったら……」

 

人の部屋のベッドの下を調べ始めた白峯に対し、本条は呆れながらも止めようとしない。本条もベッドの下に何があるのか気になるお年頃であるからだ。

そんなお約束の行動を取り……白峯はベッドの下から一つの箱を取り出した。

 

「お、ベッドの下のお約束をはっけーん。さ~て、中に何が入っているのかな~?」

 

白峯は悪い笑顔でその箱の蓋を取る。エロ本であれば弄りのネタにできると内心でニヤニヤしながら。

そんな悪どい思考で開けた箱の中には……黒いノートが数冊入っていた。

 

「なにこれ?ノート?」

「何かの切り抜きでも張ってあるのかな~?」

 

本条は首を傾げる中、白峯はニヤニヤしながらノートを開く。

もし本当にそういったモノであったなら、白峯は顔を真っ赤にしながら食らいつくように凝視していただろう。しかし、見つけたノートはそういった類いのモノではなかった。

 

「ん?文字ばっかりね。内容は―――」

 

『閃塵裂光破:光のごとき速度で無数の突きを放ち、最後の一撃で吹き飛ばす必殺剣技。属性は光』

 

「ぶふぉっ!?」

「理沙ッ!?」

 

予想だにしてなかったカウンターパンチに白峯はノートを手放しながら吹き出し、そんな白峯の反応に本条は驚きの声を上げる。

 

「どうしたの理沙!?ノートには何があったの!?」

「い、いや……このノートの内容が私の黒歴史にダイレクトに突き刺さって……」

 

胸を押さえながら答えた白峯の言葉に、本条はそのノートの内容を何となく察する。

一応本条も他のノートの内容を確認していくと、どのノートにも痛々しい名称の技や無駄に難しい言葉を連ねた詠唱、それも中身と動き、世界観といった設定が詳細に記されている。

 

「これ、理沙のあのノートと同じだね……」

「それは言わなくていいからぁ……」

 

見事に黒歴史に突き刺さった白峯は、羞恥を誤魔化すようにゴロゴロとカーペットが敷かれた床を転がっていく。

エロ本探して浩を弄るつもりが、自身の黒歴史を抉る内容のノートが隠れていたのだからそれなりのダメージを受けてしまった。

そのタイミングで、部屋の主が戻ってくる。

 

「テーブルと座布団を持ってきた、ぞ……」

 

組立式の簡易テーブルと三つの座布団を持って部屋に戻ってきた浩は、蓋が取れている箱と数冊の黒いノートを見て固まる。落としこそしなかったが、その内心は穏やかじゃなかった。

 

「まさか、見たのか……?」

 

浩のその質問に、本条は気まずそうに目を逸らす。それがむしろ答えだった。

 

「見られた……俺の恥ずかしい黒歴史の象徴たるノートを見られた……」

 

自身の黒歴史の象徴たるノートを見られたことに、浩はその場で膝から崩れ落ちる。処分していないのは、処分そのものに勇気がいるからである。

そんなメンタルにダメージを受けた浩に、本条は慌てたように話しかける。

 

「だ、大丈夫大丈夫!このくらいなら理沙の『私の考えたカッコいい技名』を書き連ねたノートと同じように微笑ましいから!!」

「「ぐはぁっ!?」」

 

フォローどころか傷口に塩、否、辛子を塗るような本条の言葉に、浩と流れ弾を受けた白峯は胸を押さえて苦悶の声を上げる。

二人のメンタルに2000のダメージ!!一歩間違えれば即死級のダメージである!

その後、浩と白峯は黒歴史からのダメージから何とか復活し、本来の目的であるテスト勉強へと没頭していく。

 

「えっと……ここの問題は……」

「その問題はこうした方が解けやすいぞ」

「あ、ホントだ!」

「確かにこうした方が解きやすいわね……」

 

意外としっかり勉強する中、白峯は誰もが思うであろう疑問を口にする。

 

「これだけ勉強しても、思うように点が取れないのはどうしてかしらね?」

「興味や関心の有無じゃないか?興味のあることはすぐに覚えられるし」

「「あー、確かに」」

 

浩のその回答に、心当たりのある二人はあっさりと同意するのであった。

ちなみに夕食は母親の厚意で一緒にカレー(甘口)を頂く事になった。

 

 

――――――

 

 

テストも一段落し、サリーは久々のゲームにテンションが上がっていた。

 

「さーて、目新しい情報が出てないか調べてみようかな」

 

身体の動作を確認するようにサリーが背伸びしていると、ある意味天敵とも言えるプレイヤー―――サクヤが話しかけてきた。

 

「グッイブニング、サリーさん。調子はいかがですか?」

「あ、サクヤ。今日は一人なの?」

「イエス。今日はサリーさんに御披露目する為にソロで来ました。―――(なき)、【覚醒】」

 

サリーの質問に答えつつ、サクヤは指輪が嵌まっている手を掲げてスキル名を告げる。

すると指輪―――《絆の架け橋》が光り、サクヤのテイムモンスターが姿を現す。町の中でもモンスターを呼び出せるのは、七層の実装と同時に追加された新要素だからだ。

そうして現れたのは―――

 

「…………え?」

 

ハロウィンの仮装によく出てくる紫色の魔女帽子。波線の糸目とだらしなく緩めた口。白い卵にちょっとした出っ張りが三つある可愛らしい見た目。

サクヤの《絆の架け橋》から出てきたのは……顔くらいのサイズがある、可愛らしい半透明のお化けだった。

 

「~~~~ッ!!!」

 

ほとんど不意討ちに近いお化け―――亡の登場に、我に返ったサリーは全力で目を背けながら声にならない悲鳴を上げる。

意図的にアンデッド系のテイムモンスターの情報を避けていたせいもあり、サリーはこの展開を避けることが出来ず、見事にぶち当たってしまったのである。

 

「どうしたのですかサリーさん?こんなに可愛いゴーストの亡にそんな悲鳴を上げるなんて」

「分かっててやってるでしょ!?」

 

ゆるゆるとした表情の亡を両手で抱え、間近で見せつけようとするサクヤに、サリーは顔を逸らしながら涙目で目を瞑った状態で叫ぶ。

そんな予想通りの反応をするサリーに、サクヤはニッカリとした笑みを浮かべていく。

 

「そんなこと言わず慣れましょうよ。こんなにキュートなんですから愛着が湧きますよ?」

「湧くわけないでしょ!?」

 

サクヤの言葉を、オカルト全般が駄目なサリーは全力で否定する。

メイプルやイズ、フレデリカ辺りなら可愛いと言ってその身体をつつくだろう。実際、亡は怖いよりも可愛いが真っ先に来る見た目なので、多少耐性があれば普通に受け入れられる。

しかし、耐性ゼロのサリーには亡のザ・幽霊な見た目の時点でダメなのである。

 

「シャアアアアアッ!」

「ひぃやぁああああああああああああっ!?」

 

そのタイミングで、オカルト系モンスターのお約束の行動である驚かしを亡が取り、声だけ聞いたサリーは全速力でその場から逃げ出していった。

 

「リアリーに大袈裟ですね。抱き心地もベリーグッドですのに」

 

サクヤは呆れるようにそう呟くと、亡を胸に抱いたままその場を後にするのであった。

 

 

――――――

 

 

890名前:非リア充の魔法使い

皆はどんなモンスターを仲間にする?

ちなみに俺は針鼠以外だ

 

891名前:非リア充の槍使い

亀と狐

 

892名前:非リア充の双剣士

あの二匹は第二回イベント限定のレアモンスターではないのかね?

 

893名前:非リア充の鎌使い

確かにそうかもなー

例の巨大な魚ちゃんも厨二病患者一号さんの針鼠ちゃんも同じだと思うし

 

894名前:非リア充のハンマー使い

くっ、お揃い作戦は無理か

 

895名前:非リア充の大盾使い

ふっ、甘い作戦だな

そんな事より自分のスタイルに合うモンスターを仲間にして、憎きCFを完封なきまでに勝利する方がずっと建設的だ

 

896名前:非リア充の槍使い

は!?確かにそうだ!

 

897名前:非リア充のハンマー使い

お近づきになろうとするあまり、本質を見失っていた!

ありがとう、同志よ

 

898名前:非リア充の鎌使い

オレっちもそうだけど、独り身は寂しいよなぁ

 

899名前:非リア充の斧使い

言うな

 

900名前:非リア充の魔法使い

彼女が欲しい

それが無理なら女の子のお友達が欲しい

 

901名前:非リア充の剣士

そういえば、仲間にできるモンスターには妖精もいたよな……?

 

902名前:非リア充の槍使い

待つんだ!同志!

 

903名前:非リア充のハンマー使い

それは行ってはならない領域だ!

 

904名前:非リア充の弓使い

空想に縋ったら、リア充になれなくなるぞ!

 

905名前:非リア充の双剣士

正気に戻れ!そこから二度と元へ戻れなくなるぞ!

 

906名前:非リア充の斧使い

おのれ、リア充!

 

907名前:非リア充の魔法使い

これがCFを始めとしたリア充達による、非リア充を苦しめる呪いの力なのか!?

 

908名前:非リア充の鎌使い

リア充パワーマジでヤベェ

 

スレはリア充憎しで盛り上がった。

 

 

 




「今回の大規模アップデートは今のところ好評だな」
「そうですね。苦労した介がありますね」
「変に優遇せず、バランスがちゃんと取れてますからね。レアモンスターもクセが強い性能ですし」
「バランス取っても、おもいっきり傾けるプレイヤーはいるけどな」
「「「「それは言わないでくれ」」」」

新要素が好評であることに一安心する運営の図。

「あ、メイプルがあの触手モンスターに捕まりました」
「「「「なにぃ!?」」」」
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