スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


予選開始

しばらくして、イベント本選の詳細な内容が公開された。

 

『ガオ~!今日は第八回イベントの説明ドラ!本選は時間加速で三日間行われるドラ。前回イベントのように難易度ごとに分かれてるドラから、この前説明した予選結果の順位で参加できる難易度と得られる報酬が変わってくるドラよ。本選はモンスターが蔓延る専用エリアを探索しつつ生き延びることが目的になるドラ!探索では希少なアイテムだけでなく、銀のメダルも手に入るドラ。もちろん生き残るだけでも銀のメダルは得られるドラから、頑張って生き残るドラよ?』

 

どうやら第八回イベントは第六回イベントの改良版みたいのようだ。銀のメダルも最高難易度であれば、最大で五枚も得られるから、探索次第では十枚入手も不可能ではない。

 

『予選は前にも説明した通り、モンスターの撃破数と一デスするまでの時間で順位が決まるドラ。予選の舞台となるフィールドには、特定の攻撃が軽減されるエリアもあるドラ。中には数体分の撃破に数えられるレアモンスターもいるから、一筋縄ではいかないドラよ?それじゃ、またね~。ガオ~!』

 

「特定の攻撃が軽減されるエリア……か」

「詳細を見る限り、アイテムや属性、武器攻撃といったあらゆる攻撃手段がエリアごとに軽減されるみたいね」

「それに加えて、撃破数を稼げるモンスターもいるみたいだからね。狩場探しも重要になってくるかな?」

 

今回のイベントも面白くなりそうであることに、一同は期待を胸に寄せていく。

 

「最高難易度に全員参加したいね!」

「そうだね」

「ああ。それが目標でいいと思うぞ」

 

メイプルの提案に全員が揃って賛成する。とは言っても、最高難易度に参加できるかは予選の結果次第。今回は個人戦となるので、全員がベストを尽くして結果を待つしかないのである。

 

「皆のモンスターと一緒に戦うのも、そこが最初になるのかなぁ?」

「それが妥当だろうな。相棒達のレベル上げや連携を考えるとな」

「同じ難易度に挑めるよう、頑張ります……」

「一人なのは心細いですけど」

 

普段は二人一組で行動しているマイとユイは、初めての個人戦に不安そうに呟く。シアンも口にこそしないが、二人と同様に不安な顔となっている。

それだけではなく、イベント中はモンスターを呼び寄せるアイテムは使用不可能と明記されているのだ。一人であれこれ考えて予選を突破しなければならないから、余計に不安を感じているのだろう。

そんな三人を、他の者たちが励ましていく。

 

「大丈夫大丈夫!三人とも強くなってるし!」

「そうよ。それに頼れる相棒もいるしね」

「そうだよー。一人じゃないから大丈夫だよー」

 

励ましを受けた三人は意思表示を示すようにギュッと拳を握り締める。

 

「それに本選はプレイヤーの直接戦闘はないみたいだからな。予選さえ乗り越えればのびのびとやれるだろう」

「メイプルの【身捧ぐ慈愛】があれば、対モンスターは簡単になるからな」

 

モンスターは臨機応変に攻撃を変えてこないタイプが多いので、すぐに貫通攻撃のみに切り替えてくるプレイヤーより遥かにやりやすいのである。

 

「どちらかと言うと、どれだけ探索できるかね。今回公開されているイベントフィールドのマップは、相当広いからね」

「かなり広いから、全部を探索するのは厳しいだろうな」

「私達だと尚更キツイですね」

 

AGI0の極振りメンバーには確かに厳しいかもしれないが、STR極振りのマイとユイの相棒であるツキミとユキミは人一人乗せられる程度の巨大化スキル獲得し、シアンの相棒のモルフォも移動を助けるスキルを獲得したので、今までよりは楽になりそうである。

 

「じゃあ皆でレベルを上げて、予選を待つって感じでいきますっ!」

 

メイプルのその言葉に全員が賛成するように頷く。こうして一同は次のイベントを楽しみにしつつ、イベント当日までそれぞれの相棒のレベル上げに勤しむのであった。

 

 

――――――

 

 

予選当日。

 

「よーし!皆で本選行こうね!」

「もちろん。メイプルこそ、頑張ってね」

「本選は予選から幾ばくか日が経ってからだから、回数制限のあるスキルも出し惜しみしなくていいからな」

 

今回の予選はモンスターの討伐だけでなく、プレイヤーの妨害も行わなければならない。もっとも、メイプルに近づくプレイヤーは一人もいないだろうが。

ちなみにコーヒーの現在のステータスはこうなっている。

 

===============

コーヒー

Lv.80

HP 475/475(+132)

MP 238/238(+67)

 

STR 47(+120)

VIT 5(+40)

AGI 115(+146)

DEX 85(+120)

INT 55(+118)

 

頭装備 幻想鏡のサングラス・夢幻鏡 【HP+50 MP+20 AGI+40 DEX+30 INT+15】

体装備 震霆のコート・雷帝麒麟 【VIT+25 AGI+50 INT+25】

右手装備 雷霆のクロスボウ・閃雷・魔槍シン・結晶分身 【STR+100 DEX+55 INT+45】

左手装備 カレイドエピラー・ミラートリガー 【DEX+5】

足装備 黒雷のカーゴパンツ・クラスタービット 【HP+22 MP+22 DEX+30】

靴装備 迅雷のブーツ・疾風迅雷 【AGI+56 INT+28】

装飾品 絆の架け橋

    ブルーガントレット 【HP+30 MP+15 STR+20 VIT+15 INT+5】

    信頼の指輪 [【雷帝麒麟の覇気】【氷霜】【遺跡の匣IV】]

 

スキル

【狙撃の心得X】【弩の心得X】【一撃必殺】【気配遮断X】【気配察知X】

【しのび足X】【雷帝麒麟の覇気】【無防の撃】【弩の極意X】【避雷針】

【聖刻の継承者】【フェザー】【雷炎】【連携】【クイックチェンジ】

【ソニックシューター】【フレアショット】【フリーズアロー】【砕衝】【地顎槍】

【アンカーアロー】【流れ星】【扇雛】【パワーブラスト】【チェイントリガー】

【雷翼の剣】【彗星の加護】【羅雪七星】【氷霜】【永久凍土】

【遺跡の匣IV】【雷神陣羽織】【百鬼夜行I】【孔雀明王】【アイアンメイデン】

【ジェネレータ】【ワイルドハント】【爆雷結晶】【跳躍X】【壁走りX】

【体術IX】【連射X】【魔法の心得IX】【遠見】【暗視】

【鷹の目】【スナイパー】【狩人】【毛刈り】【攻撃強化中】

【射程距離強化大】【釣り】【水泳IX】【潜水IX】【水中射ちVII】

【採掘X】【HP強化小】【MP強化中】【皐月の加護】【深緑の加護】

【冥界の縁】【死霊の助力】【レディアント】【毒耐性中】【属性強化】

【口上強化】【名乗り】【詠唱IX】【口上詠唱】【MPカット中】【MP回復速度中】

===============

 

『ガオ~!そろそろ第八回イベントの予選が始まるドラ!みんな、頑張って上位を目指すドラよ!』

 

いつものマスコットドラゴンが予選開始の合図をしたことで、【楓の木】はもちろん、ログインしている全プレイヤーは気持ちを引き締めていく。

 

「それじゃあ、ファイトー!」

「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」

『それでは、予選開始ドラ!!』

 

メイプルの掛け声に全員が返すと、マスコットドラゴンによって予選の火蓋が切って落とされる。

それぞれがバラバラに専用フィールドへと転送され、コーヒーも平原が広がる場所へと転送される。

 

「他のプレイヤーの姿はなし……か。じゃ、さっさとモンスターを狩りに行くか」

 

今回は生存時間だけでなくモンスターも多く狩らないといけない為、コーヒーは【クラスタービット】に【遺跡の匣】、【結晶分身】を使い、メタルボードに乗って空からモンスターを探していく。

個人戦だから【孔雀明王】を使えばいいのかもしれないが、【系統:雷】ではない【遺跡の匣】や【レディアント】等といった有用なスキルが使えなくなるのは少々痛いのである。

 

ちなみに【遺跡の匣】のレベルは四に上がり、攻撃モーションに全耐性ダウンの音波攻撃が追加された。効果の方は風属性と30%の確率で更なる追加攻撃である。

なので、匣の現在の追加効果は属性光とHP回復、ダメージカットに追加攻撃追加の四つである。

 

「【覚醒】」

 

そうしてブリッツも呼び出して肩に乗せ、何時でも戦える状態で進んでいると、ジャッカルのようなモンスターを発見する。

 

「迸れ、蒼き雷霆(アームドブルー)!ブリッツ【界雷】!穿つは閃槍 迸るは闇夜に煌めく雷光 雷槍と成りて敵を射し貫け―――穿て、【サンダージャベリン】!」

 

コーヒーはクロスボウの矢を放ちながらブリッツに指示を出し、【サンダージャベリン】を放つ。

矢が突き刺さり、光線に貫かれ、星に襲われ、最後に雷の槍に穿たれたジャッカルは光となって消えていく。

 

「うげ……STRとINTが低下するデバフがかけられた……」

 

コーヒーはステータスに表記されたデバフに顰めっ面となる。詳細を確認すると、どうやら今回のバフデバフはモンスターを撃破する事でかけられるようだ。

 

「【無防の撃】でダメージ自体は与えられるが……10%の火力低下は地味に痛いな」

 

コーヒーは貰ってしまったものは仕方ないと諦め、次のモンスターを狩る為に探索を続けていく。

牛、ゴブリン、猪、大きな雛……多種多様なモンスターを手当たり次第に駆逐していく。その為、様々なバフデバフがコーヒーに降り注ぐが、コーヒーはお構い無しとばかりにモンスターを狩っていく。

 

「ピギャアアアアアアアアアッ!!」

「うるさっ!?」

 

その内の一体であるマンドラゴラのようなモンスターを倒した瞬間、耳をつんざくような悲鳴が響き渡る。コーヒーは両耳を押さえながらステータスの表記を確認し……目を丸くした。

 

「……は!?十五分間、凶悪なモンスターに追いかけられる?マジで?」

 

コーヒーがそう呟く間にも、恐竜モドキやグリフォンモドキ……見た目からして凶悪そうなモンスターが次々とコーヒーの下へと向かって来ている。

周囲を取り囲むように迫ってくるモンスターの軍勢であれば、普通であれば危機的状況だ。だが、コーヒーにとっては嬉しい誤算である。

 

「ブリッツ【拡散雷針】!【渦雷】!【乱れ稲妻】!」

 

コーヒーはブリッツに指示を出し、迎え撃つ体勢を整えていく。ブリッツが放って地面に突き刺さった無数の針は、稲妻を受ける度に放電するかのように更なる電撃を放って周囲を攻撃していく。

 

「瞬け、【ヴォルテックチャージ】!踊る狂雷 駆けて残すは怒りの雷狼 天地を統べるは雷皇(らいおう)の責務 空を支配せし万雷の稲妻は満に足らず 戯れに狂い乱れる(あか)い稲妻を地に堕とす 赫と蒼の雷慟の化身による演舞 その荒き舞踏で蹂躙せん!限界を超えし蒼き雷霆よ荒め!【レイジングボルト】!!!」

 

コーヒーは【ヴォルテックチャージ】と【口上詠唱】で威力と効果を大幅に上げた【レイジングボルト】を発動させる。詠唱の通り赫と蒼の二種類の雷撃が踊り狂う地面を前に、集まっていた地上のモンスターはダメージを受ける。そこから【渦雷】と【遺跡の匣】の追加攻撃、【拡散雷針】によって放たれた電撃で地面に落ちた空のモンスター達も二つの踊る雷撃の餌食となっていく。

コーヒーも次々と矢を放ってモンスター達に攻撃を当て、【レディアント】の効果でMPを素早く回復させていく。

 

「迸れ、蒼き雷霆(アームドブルー)!輝くは不屈の雷光 残響する雷吼は反逆の証 雷呀の鎖と為りて一切合切を打ち砕け―――迸れ、【リベリオンチェーン】!サンダー!!昇るは助力を願う晃雷 降り注ぐは裁きの雷雨 咎ある者達に神罰を―――降り注げ、【ディバインレイン】!!」

 

コーヒーは【雷帝麒麟】の広範囲魔法を連続で発動し、次々と集ってくるモンスター達を追加攻撃も合わせて葬っていく。

当然、様々なバフデバフを受け、他のプレイヤー達にも居場所を特定されてしまっている。だが、雷の集中豪雨と降り注ぐ星、絶え間なく放たれる光線を前に、プレイヤーのほとんどは回れ右して去っていた。

 

「覚悟しろCF―――ぎゃああああっ!?」

「同士!?うぎゃああああああっ!!」

 

そんな地獄を無視してコーヒーを倒そうとしたプレイヤーもいたが、地面と空の雷撃によって対峙する前にフィールドからおさらばする結果で終わっていた。

 

「あれが【蒼き雷霆】か……少しばかり()()しようかな」

 

そんな中、如何にも(くらい)が高そうな見た目の服に身を包んだ緋色の髪の男性プレイヤーが、その地獄に向かって行く。

普通であれば今までのプレイヤーと同じ末路となるのだが、そのプレイヤーは背中に方翼の光の翼を生やし、空を飛んで迫っている。

飛行に慣れているのか、入り乱れる稲妻を軽々と避けていき、独りでに浮く大剣をコーヒーに向かって振り下ろした。

 

「っ!」

 

コーヒーは咄嗟にその大剣を右手のクロスボウで受け止めると、左手のクロスボウで直ぐ様撃ち抜こうとする。

しかしそのプレイヤーは受け止められた直後にすんなりと下がっており、互いに向かい合う形となる。

 

「やっぱりこの程度は防ぐか。さすが、【蒼き雷霆】といったところかな?」

「……誰だよ、お前は?」

 

二つ名にメンタルダメージを受けつつも、コーヒーは警戒しながら言葉を投げ掛ける。

 

「オレの名はジエス。上位ギルド所属のプレイヤーさ」

「……【集う聖剣】や【炎帝ノ国】とは別のギルドのやつか」

 

色々な意味で濃そうであるジエスと名乗ったプレイヤーに、コーヒーはそう呟く。見た目やらキザそうな雰囲気から、ギルドマスターの可能性も否定できない。

 

「悪いけどギルドマスターじゃないよ?オレもギルドを作ろうかなって思ったんだけど、ウチのギルドマスターが『あなたがギルドマスターだと、メンバーが女性オンリーになるので』と半ば強引に阻止されたんだよ?マスターの相方も同意する始末だったし」

 

どうやら顔に考えが出ていたらしい。色々とツッコミどころが満載のジエスの言い分に、コーヒーは苦笑いするしかなかった。

 

「このまま戦うのも面白そうだけど、長丁場になるのは間違いないからね。挨拶も済んだしここでおさらばさせてもらうよ」

 

ジエスはそう告げると、そのまま飛び去っていこうとする。

 

「リアルハーレム野郎は消え失せろっ!!」

「憎きリア充のCF共々、此処で消え果てろぉおおおおおっ!!」

「ゴートゥ・ヘルに限るぜっ!!」

 

そんなジエスの動きを遮るように、血涙を流していそうなプレイヤー達が襲いかかってくる。

 

「やれやれ……何でそんなに怒っているのか理解できなし検討もつかないよ……世界を照らせ、黄金の黎明(ゴールドトリリオン)!!【黄昏の花畑】!【沈まぬ太陽】!【瞬光ノ霊剣】!!」

 

ジエスは【名乗り】を使うと、光で構成された花畑を作り上げる。同時に光の速さと形容すべき速度ですれ違い様に襲ってきたプレイヤー達を斬り裂く。

斬り裂かれると同時に花畑は天へと昇る炎のような光を放つ。光は襲いかかったプレイヤーだけでなく、モンスター達も包んでいく。光に包まれたプレイヤーとモンスター達はHPを削られ、そのまま光となって消えていった。

あっさりと彼らを倒したジエスは、にこやかな笑みでコーヒーの方へと振り返った。

 

「それじゃ、今度こそお暇させてもらおうかな。次会う時を楽しみにしているよ」

 

ジエスはそう言い残し、今度こそ立ち去っていった。

明らかなトップクラスの実力を持つジエスを前にコーヒーは……

 

「理由に検討つかないって……普通に理由言ってただろ」

 

ジト目で見送ったのだった。

 

 

 




「怖いもの見たさで来てみたけど……」
「地獄過ぎてテラワロスwwwww」
「モンスターが大量に集まっているけど……ボーナスエネミーはもったいないけど、諦めるしかないね」

メイプルが作り出した地獄絵図に回れ右した者の図。
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