スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


探索再開

合同会議が一度お開きとなった直後、マルクスが設置したスクリーンに再び強化モンスター達が映った。

 

「規模はさっきと変わらねぇな。物量による強引な突破も相変わらずのようだし」

「またここまで来そうですね」

「じゃあ今度は私が行くっすよ!ギルドマスターとして負けられないっすから!」

「じゃあ、俺も行くか。おんぶに抱っこも気が引けるし」

 

コーヒーもそう言って参加を表明し、ベルベットと共に迎撃エリアへと赴く。……サリーが鋭い視線を向けていた事はスルーしつつ。

 

「私も参加するね!我は妖と鬼の頭領 我が呼び掛けに応えて此処に集え―――【百鬼夜行】!」

 

メイプルが意気込みながら【百鬼夜行】を発動すると、妖怪の大群と身の丈程の大きさを有した金棒を持った赤鬼と青鬼の二体が姿を現す。青鬼は腰にしめ縄を、赤鬼は上に袖無しの着物を羽織って。

 

「……メイプル?鬼の姿が以前と違うんだけど?」

 

明らかに第七回イベントで見た時と見た目が変わっている事に、サリーは疑問を露にメイプルに問い掛ける。

 

「えっと、実は……前回のイベントの後、一人の時に七層が実装されるまでの間で鬼と戦ってました。せっかく手に入れたスキルのレベルを上げないのも、もったいないかなーって……」

「……今の【百鬼夜行】のレベルは?」

「七だよ」

 

メイプルがそう答えた瞬間、数名を除く【楓の木】と【炎帝ノ国】、【thunder storm】の面々の口があんぐりと開く。【楓の木】はスキルレベルに唖然とするのに対し、【炎帝ノ国】と【thunder storm】は白鬼との勝利回数に唖然としたからだ。【百鬼夜行】のスキルレベルの上げ方は白鬼の勝利。つまり、スキルレベルがそのまま勝利回数に直結するのだ。

まあ、今のメイプルなら白鬼を瞬殺できるので苦行でも何でもなかっただろうが。

 

「あ、あれに七回も勝ったのか……?」

「いやいや。さすがにあの理不尽レベルじゃないにしても七回は……」

 

その中でもミィとジェラフの動揺が激しかった。その理由は簡単、白鬼―――特に理不尽レベルの強化を施された裏ボスの厄介さを肌身に感じて知っていたからだ。

 

「メイプルちゃんの鬼、あの時より強そうなんですけど……」

「イエス。明らかにストロングな見た目ですよ」

 

強化前の鬼を見たことがあるフレデリカとサクヤも、今の鬼の姿に引き攣った表情をする始末である。

 

「「「さすがメイプルさんですー!」」」

「すごいねー」

 

極振り三人衆とミキは普通に感心していたが。

 

「本当にすごいっすね……」

「……そろそろ団体様が来るだろうから、集中するぞ」

「……はいっす」

 

またしても予想を超えていたメイプルに複雑な気持ちを抱きながらも、コーヒーとベルベットは現実逃避も兼ねて迎撃準備を始めていく。

 

「【雷神再臨】」

「ブリッツ、【界雷】【渦雷】【拡散雷針】」

 

ベルベットは基点となるスキルを発動させて全身に雷を纏い、コーヒーはブリッツに指示を出して攻撃態勢を整えていく。そのタイミングで、強化モンスターの第二波が到着した。

 

「【嵐の中心】【稲妻の雨】【落雷の原野】【雷公爵の離宮】!!」

「迸れ、蒼き雷霆(アームドブルー)!踊る狂雷 駆けて残すは怒りの雷狼 その荒き舞踏で蹂躙せん―――荒め、【レイジングボルト】!昇るは助力を願う晃雷 降り注ぐは裁きの雷雨 咎ある者達に神罰を―――降り注げ、【ディバインレイン】!!」

 

ベルベットは目が眩む程の落雷をこれでもかと言わんばかりに降らせ、コーヒーも地面と空の両方から雷撃を迅らせていく。ペインとミィのような直線上の殲滅ではない、円形状の範囲殲滅。モンスター達は通路から飛び出してすぐに大量の雷撃に晒され、メイプルが呼び出した鬼二体による蹂躙も相まって一方的に消し飛ばされていく。

 

「こっちもすごいね……」

「威力と範囲だけなら、コーヒーよりも上だぞ。あれ」

「長期の継戦に難があるみたいだけどね」

「安定性で言えば、CFとレイドに軍配が上がるだろう。だが、火力の方は彼女が上と見ていいだろうな」

 

ペインの見立てでは、バリエーションの豊富さはコーヒー、瞬間的な火力はレイド、範囲と総火力はベルベットに分があると考えている。メイプルが呼び出した鬼は一先ず無視して。

 

「ベルベットもそうだけど……君たち二人も相棒がいないよねー?厳密に言えば、装備したくても装備できないんだろうけどー」

「変に不信感を抱かれても困るから正直に言うけど……ヒナタは当たりだよ。装備が優秀すぎるから、下手に外せないんだよ」

「そっちは違うってことー?」

「そうだよ……【覚醒】」

 

ジェラフがテイムモンスターを呼び出すスキルを発動させると、網笠を被った(いたち)が彼女の足元に現れる。

 

「この子があたしの相棒。名前は太郎丸だよ」

「まるで犬みたいな名前だねー。二人と違う理由は装備関連なのかな?」

「さあ、どうだろうね?」

 

フレデリカの質問に対してにこやかな笑みで煙に巻くジェラフ。情報の出し隠しは彼女の方が上であるようだ。

 

(【過剰流動(オーバーフロー)】は確かに強力だったけど、風系統のスキルがしばらく使用不可能になるのが痛かったからね)

 

ジェラフの戦闘スタイルは手札の質の高さより数の多さに重きを置いている。ベルベットとヒナタが手札の質の高さで勝負している以上、それを埋める形というのもありジェラフは手札の数の多さへと舵を切っているのだ。

そんなジェラフを、サリーは注意深く見ていた。

 

(彼女は本当に割り切りと思い切りが良いわね。迷わず共闘を提案したり、自分達に不都合な情報も敢えて明かしてるし……その分、彼女の気苦労が絶えなさそうだけど)

 

サリーがチラリと視線を向けた先には、疲れたような呆れたような感じで溜め息を吐いているヒナタがいる。馬鹿正直なベルベットと割と自由人なジェラフの二人に挟まれれば、当然なのかもしれないが。

そうこうしている間に、コーヒーとベルベットの二人が戻ってくる。どうやら無事に殲滅できたようである。

 

「お疲れ、CF」

「ベルもお疲れ。無事に第二波も乗り切れたね」

「当然っすんんっ!当然です。同じ雷属性のプレイヤーとして、負けていられませんから」

「そっか。でも、この分だと罠を再設置するより、ローテを組んで迎撃した方が良いかもしれないね」

「そうね。幾つかの罠が無駄にされてるし、下手に再設置するより即座の迎撃の方が結果的に楽になるかも」

 

襲撃の間隔と規模、現在の戦力と今後の為から即座の迎撃へと切り替える。その後も三度、四度と何度か強化モンスターが襲撃してきたが、ローテを組んだ状態でも問題なく対処できていた。

 

「亡、【かごめ遊び】。打ち砕け、【破砕の音色】」

「太郎丸、【紅葉刃(もみじやいば)】【刻葉】。【一ノ風・秋風】【抜刀・十六夜(いざよい)】」

「【武者の腕】【血刀】!」

 

亡にデバフを振り撒いてもらいながらサクヤが貫通付与スキルで全ての攻撃を貫通攻撃に変え、ジェラフが太郎丸が生み出した大量の紅と緑の葉と共に居合の連続斬りで大量のモンスター達を斬り伏せ、カスミが両脇に携えた武者の腕と共に液状の刀で止めを差していく。

 

「ジェラフは抜刀……居合でスキルを放つのだな。同じ刀使いとして、非常に興味深いな」

「そっちも変わった刀を持ってるでしょ。格好がだいぶ刺激的だけど」

「イエス。女性は上半身サラシなら、男性なら上半身裸となるでしょうね」

「格好については何も言わないでくれ……」

 

刀を納め、普通の見た目に戻ったカスミは力なく呟く。

 

「それはともかく、やっぱり二日目の強化モンスターも倒せないことはないね」

「イエス。やはりリスクを覚悟でメダルをゲットすべきですね」

「ああ。私達もメダルは少しでも多く欲しいからな」

 

強化モンスターの強さも把握し、十分に対処可能と判断した一同は本格的な探索の段取りを立て始めていく。

 

「俺達が調べた限りでは、怪しい場所はこの辺りにあった」

「攻略した場所も含めると、ダンジョンはマップの隅の方に偏ってるね」

「ああ。私達もダンジョンは隅に偏っていると判断し、隅に近い場所で拠点を設立していたが……」

「私達もそうですが、それが裏目に出てしまっ……いましたね」

 

サリーが予選の時に目星を付けた場所と三ギルドの集めた情報を元に、ダンジョンが存在していそうなポイントを割り出していく。

照らし合わせた結果、ダンジョンと怪しいオブジェクトの場所はマップの隅に多く存在しており、今の内に集められるだけ集めるのが正解だと改めて確信する。

 

「メンバーはどうする?」

「まずは【楓の木】と【集う聖剣】、私達【炎帝ノ国】で四人一組のパーティーを六つ作り、その半分に【thunder storm】のメンバーが一人ずつ入るのが妥当だろう」

「それが良いわね」

 

こうして互いの能力と移動手段を元に編成したメンバーで、夜のエリア探索へと乗り出すのであった。

 

 

――――――

 

 

北と東の間にある岩山が広がるエリアにはミキ、シアン、カミュラ、レイド、ヒナタの五人がジベェの背に乗って向かっていた。この組分けにカミュラが内心で拳を握り締めたことは言うまでもない。

当然、空を飛べるモンスター達が群がるように襲いかかって来たが……

 

「えっと、【溶ける翼】」

「ジベェ、【波と共に】ー」

「輝け、【フォトン】【連続起動】」

 

ヒナタが飛んできたモンスターをスキルの効果で問答無用で落下させ、ミキの指示で全身に水を纏ったジベェが落下していくモンスターに体当たりをかまして吹き飛ばし、最後にシアンが連続で光球を放って止めを差していた。

 

「ペインのレイの時にも思ったが、やはり飛べるのは本当に便利だな」

「ああ。移動の際には大きく助けられる。ミィのイグニスの時もそうだった」

 

レイドとカミュラがそう呟く中、五人を乗せたジベェは目的の地点へと到着する。そこは不自然なまでの深い窪みが存在しており、その底は不自然なまでに捉えられない。

試しにミキがその窪みに爆弾を落としてみたが、爆破の光も見えず音も聞こえてこない。

 

「……怪しいな」

「怪しいねー」

「あ!彼処に階段がありますよ!」

 

シアンがそう言って指差す先には、壁づたいに付設された岩の階段が存在している。一同は人一人通れるような幅しかない階段をカミュラが先頭となり、最後尾は足止めが得意なヒナタが警戒しながら進んでいく。

 

「穴がもう少し大きければー、ジベェで降りれたんだけどねー」

「この大きさでは厳しいだろう。登り降りが厳しいだろうが、モンスターの影がないのが救いだな」

 

五人はそのまま下へ向かって進んで行き、底に辿り着くと赤と金が混じり合ったように輝く魔法陣が存在していた。

 

「これは当たりだな」

「当たりだねー」

「はい……間違いなく、ダンジョンの入口です」

 

五人はそのまま魔法陣の中へと入り込むと、魔法陣は五人の身体を光で包み込んで別の場所へと転移させる。

光が収まると、五人が立っていた場所は煌々と燃え滾る溶岩が流れている空間であった。

 

「これは……まるであの塔のような場所だな」

「ああ。足場が全部繋がっていないがな」

 

カミュラのその言葉通り、五人が今立っている足場は円形の岩場で道が存在しない。目の前には同じような足場が幾つも存在しているが、そこそこ距離があって飛び上がって届くか微妙な程だ。

 

「このダンジョンは移動能力が高くないと厳しいな」

「わ、私はモルフォのおかげで飛べますけど……」

「じゃあー、ボクがヒナタを背負うからー、そっちはお願いねー」

 

ミキはそう言ってヒナタを背負う。そこそこのAGIがあるミキなら、アイテムのバフもあれば問題なく飛び越えられるからだ。

レイドもタンク故にAGIの低いカミュラを背負い、カミュラも【従者の献身】をシアンに使って万一に備える。

そうして移動の準備を終えた五人は、溶岩の海に間違って落ちないように慎重に足場から足場へと飛び移って進んでいく。

 

「シアンは個人で飛行できるのか。狭いところも飛べるのは中々の利点だな」

「は、はい!ありがとうございます!」

「あ……あそこ、モンスターがいます」

 

ヒナタがそう警告して指差す先には、溶岩で構成されたような真っ赤に燃えている蝙蝠が何体も飛んでいる。

 

「溶岩のモンスターか……前回のイベントの奴と同じなら、水属性の攻撃を当てなければ勝負にすらならないぞ」

「【水泡爆弾】があるよー」

「私も、水魔法を持ってる……」

「私もモルフォのスキルを使えば……」

 

十分に対処できると分かり、五人は溶岩の蝙蝠から少し離れた足場で戦闘態勢となって攻撃を仕掛けていく。

 

「ジベェ、【渦潮】ー」

「ウォ、【ウォータースピア】」

「モルフォ、【エレメントウィーク】。輝け、【シャイニング】」

 

ミキは水属性攻撃となる爆弾を投げつつジベェに渦巻く円上の水を放たせ、ヒナタも水の槍を放つ。シアンはモルフォのスキルで威力が半減しながらも弱点属性扱いされた光魔法を放って溶岩の蝙蝠達を攻撃し、一気に凝固させる。

 

「【雷鞭刃】!」

「ルル、【コピーマジック】!」

 

黒く凝固した蝙蝠達をレイドが蛇腹状となった刀で雷と共に切り裂き、カミュラもルルに指示を出して先ほどシアンが放った【シャイニング】を放たせて生き残りを吹き飛ばしていった。

 

「やはり前回戦ったモンスターと同じ性質か……」

「この足場と合わせれば、メンバー次第では詰んでいたな」

「ああ。その意味でもこのメンバーで挑めたのは幸運だった」

 

レイドの言葉に一同は同意するように頷き、奥地を目指して慎重に進むのであった。

 

 

 




「この組み合わせなら、ヒナタはハーレム組かな」
「もっと言葉を選んでください……」
「じゃあ私は―――」
「ベルベットはこっち。異論は認めないから」
「え?え?」

強引に決められたベルベットの図。

「じゃあ、あたしが逆ハーレム組だね。能力的にも元々それが妥当だし」
「女性二人になりますから逆ハーレムはクラッシュですよ」
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