スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


瓦礫の竜

テンジアの予想通り、特定の攻撃に対して強い耐性があるモンスターの襲撃を受け続けた。例えば水色の玉だと氷に強く、黒い玉だと剣に強いといった具合だ。そのどれもが物理的なガード無視の光線なため、回避が必須となっている。

幸い、此処にいるメンバーの大半は回避能力がそこそこ高いのが救いではあったが。

 

「相も変わらず瓦礫の山が続くな。何処まで進んだのか判断ができん」

「体感的にはそれなりに進んでいると思うけどね」

「イエス。もし変化があるなら、モンスターにあるかもしれないですね」

「今でさえ面倒なのに、更に面倒になるとしんどいんだが……」

「愚痴を言っても仕方ないだろう。何事も諸行無常なのだから」

 

談笑しながらも周りへの警戒を怠らずに歩みを進めていく五人。そんな五人の前に、再び瓦礫のモンスターが瓦礫の山の中から現れる。

 

「胸に見える玉の色は……銀か?」

「銀は矢に強い耐性を持つ色だったな」

「けど同じ色の玉だけなのが怪しいね。道中のモンスターは何種類かの耐性持ちで襲撃を掛けてたから」

 

ジェラフが警戒しながら抜刀の構えを取っていると、瓦礫の山から剣や槍といった攻撃性の高い武器が独りでに宙へと浮き始める。それらの武器はまるで囲うように、怪鳥の姿形を取っている瓦礫のモンスター達へと集まり漂っていった。

 

「これまでとは違うパターンだね。間違いなく攻撃手段として使ってくるね」

「十中八九、防御貫通持ちだろう。クセの強い光線を放つ存在が唯の攻撃を放つ筈がない」

 

ジェラフとテンジアがそう呟いていると二人の予想通り、宙を漂っていた武器が旋回しながらコーヒー達に向かって飛来し、それに合わせてお馴染みの白い光線も放ってくる。コーヒーは【クラスタービット】を格子のように展開して旋回して飛んでくる武器を防ぎ、白い光線は各自体捌きで避けていく。

 

「クローネ、【金属音】!」

「亡、【胡蝶】!力め、【剛力の前奏曲(プレリュード)】!」

 

アロックの指示でクローネがモンスター達の防御力を落とし、亡に行動制限してもらいつつサクヤは攻撃力アップの演奏を奏でていく。

 

「ブリッツ、【散雷弾】!弾けろ、【スパークスフィア】!」

「リース、【雹音波】!【飛撃】!」

「太郎丸、【葉刀(はがたな)】!【剣乱舞踏】【抜刀・飛燕】!」

 

動きが鈍くなった瓦礫のモンスター達に三人が相棒達と共に攻撃を放つ。散弾のような雷撃、冷気を伴った音波、鋭い無数の葉と共に雷球と光線、幾重もの斬撃が炸裂し、モンスター達は耐えきれずに光となって消えていった。

 

「ウェポンの飛来とは……本当に面倒なモンスターですね」

「…………」

「ん?どうしたCF。そんな難しげな顔をして」

「いや、あの瓦礫のモンスター……別ゲーに出てくるモンスターにそっくりだと思ってな。本体は蟷螂で光線とか放たないけど」

「別のゲームに出てくるモンスター……」

「わりとどうでもいい考えだね。攻略の役に立ちそうもないし」

 

例え瓦礫のモンスターが某狩猟ゲームのラスボスを飾ったモンスターだとしても、今の状況には全く関係ない。そもそも似ていても攻略には一切役に立たないので、本当にどうでもいいことであった。

なので、ジェラフの辛辣な意見も当然なので呟いたコーヒーも特に反論することなく肩を竦めて返す。

 

「でも、この分だと奥にいるボスも厄介そうだね。間違いなくあの光線は撃ってくるね」

「だよな。ボスだけそれがないとかあり得ないし」

 

その後も斧や槌、鎌や円月輪といった様々な武器を漂わせた瓦礫のモンスターが襲撃してきたが、コーヒーが【クラスタービット】で受け止めたおかげで難なく対処出来ていた。

そうして進んでいると、ボス部屋であろう如何にもな扉へと辿り着く。

 

「さて、このダンジョンのボスはどんな奴なのやら」

「間違いなく瓦礫の塊だな」

「イエス。ジャンクの塊なのは確定ですよ」

「余地もない」

「むしろ瓦礫の塊以外なら驚きだよ」

 

全員が瓦礫のモンスターだと予想しながら、テンジアが代表して扉を開ける。そこは相変わらず瓦礫が積み重なっており、広場の中央にはある四足の竜の姿形をした瓦礫の山が鎮座していた。

 

「あれがボスだな」

「ボスですね」

「ボスだな」

「一目瞭然だな」

「本当に分かりやすいね」

 

ある意味予想通りだったボスにコーヒー達は悟った気分で呟くと、五人はそのまま中へと入る。五人がボス部屋に足を踏み入れると、瓦礫の山の目と胸に相当する部分が光り、物音を上げながら悠然と立ち上がった。

 

「結構デカイな。大きさは大体二十メートルくらいか?」

 

コーヒーが瓦礫の竜の大きさを目測で測っていると、瓦礫の竜から幾つもの白い魔法陣が展開される。その魔法陣からは無数の白い光線が放たれた。

 

「いきなり殺意が高いね!【瞬転符】!」

 

まるで薙ぎ払うように放たれる幾重もの白い光線を掻い潜るようにジェラフは一枚の札を瓦礫の竜に投げ飛ばす。その札が瓦礫の竜の右前足に張り付くと同時に、ジェラフは一瞬でその右前足の前に移動していた。

 

「【抜刀・烈砕】!」

 

ジェラフは防御貫通効果のあるスキルで瓦礫の竜の右前足を斬り裂く。右前足を深く斬られた瓦礫の竜はバランスを崩したように前のめりに傾いた。

 

「ブリッツ、【界雷】!迸れ、蒼き雷霆(アームドブルー)!砕くは雷槌 怒るは巨人の王 その戦槌で憎き仇敵を叩き潰せ―――砕け、【崩雷】!輝くは不屈の雷光 残響する雷吼は反逆の証 雷呀の鎖と為りて一切合切を打ち砕け―――迸れ、【リベリオンチェーン】!」

 

コーヒーも瓦礫の竜の頭部に雷の杭を落としつつ、雷の鎖で全身を縛り上げていく。矢も銃の如く放ち、匣も追撃の光線を放っていく。

 

「亡、【涅槃の炎】!【怨霊の焔】。奪え、【虚脱の音】!」

「クローネ、【部品接続】【弩弓展開】!」

「リース、【夜凍の氷】!【砕氷刃】!」

 

サクヤは亡と共に不気味な炎を放つと、すぐに笛を吹いて瓦礫の竜の力を弱めていく。アロックもクローネを戦闘モードにさせてクロスボウとなった両腕から矢を放たせ、テンジアも冷気を伴った十字の斬撃を二重に放ち瓦礫の竜にダメージを与えていく。

 

「サンダー!」

 

そこにコーヒーが追撃の雷撃を放ち、さらに瓦礫の竜のHPを削っていく。一定値までHPを削られた瓦礫の竜は天に向かって吼えるように甲高い音を上げると、周りの瓦礫から様々な色の玉を幾つも浮かび上がらせる。その玉達はそのまま瓦礫の竜の身体にくっつくと、それぞれの玉の色と同じ光が放たれて瓦礫の竜の身体を覆った。

 

「明らかにノーマルではありませんね」

「どっちにしろ攻撃しないといけないけどな」

 

明らかな強化状態となった瓦礫の竜にコーヒーが連続で矢を放つ。矢は瓦礫の竜に刺さりはしたがHPは欠片も減少せず、追撃の光線も同様の結果だった。

 

「……ダメージが通ってないな。一応、防御力は無視できる筈なんだけど」

「その発言は敢えて無視するけど……そうなると防御力が高いんじゃなく、無効化されているってことだね」

「だとしたらあの玉だな。あれが無効化の原因と見ていいだろう」

 

アロックのその言葉に全員が頷く。こういった仕様のお約束は、適応した攻撃を当てて破壊することだ。玉の色も黄色や赤と道中の瓦礫のモンスターの核となった玉と同じなので、ある程度の検討がつく。

そうこうしている内に、瓦礫の竜が前足を持ち上げて地面に叩きつけるように振り下ろす。すると、叩きつけた箇所から広がるように、地面が波のように隆起しながら迫ってきた。

 

「やばっ!【召喚:護衛舟】!」

 

それを見たコーヒーはすぐさま舟を召喚すると、テンジアはアロックを、ジェラフはサクヤを抱えてその舟へと乗り込む。コーヒーはブリッツを一度指輪に戻すと自身はメタルボードに乗り、クローネも乗り込んだ事を確認してから舟を操作して地面から離れて難を逃れる。

 

「CFは二人の護衛を頼むよ!【空御力】!太郎丸、【紅葉刃】【追従の双葉】!」

「リース、【氷の翼】!」

 

ジェラフはサリーの【黄泉への一歩】に似た足場を作りながら駆け、赤い葉を踊らせながら緑のオーラを纏っていく。テンジアも氷の翼を生やして空を駆けて瓦礫の竜へと迫っていく。

当然、瓦礫の竜は迎撃するように白い光線を身体中から放つも、二人は難なく躱して接近する。

 

「まずは剣に強い玉から潰すよ。【抜刀・影縫】!」

「委細承知。【パワーアタック】!」

 

二人は基本的な攻撃を通しやすくする為、剣に強い黒い玉を優先的に攻撃していく。黒い玉は二人の攻撃によって簡単に破壊されるが、瓦礫の竜も黙ってやられるわけもなく周囲の瓦礫を浮かび上がらせていく。

 

「させるか!【砲撃用意】!」

 

サクヤとアロックの二人の護衛を任せられたコーヒーは、【ワイルドハント】の大砲を可能な限り召喚してから瓦礫に向かって一斉に放つ。顔を覗かせるように召喚された大砲達から炎や雷、光線と様々な砲撃が炸裂して瓦礫を順次吹き飛ばしていく。

 

「クローネ、【金属音】!【機械の演舞】!」

「亡、【かごめ遊び】!【天上の鍵盤楽器】!」

 

もちろん、アロックとサクヤも黙って見守るわけがない。光線を避ける舟にしがみつきながらも、アロックは右腕が大砲となった機械人形を召喚して砲撃を放つ。サクヤも奥の手であったスキルを発動させ、鍵盤を自身の前に展開する。

 

「演奏中は常にMPを使いますのでポーションをお願いします!守り抜け、【聖域の演奏】!」

 

サクヤはそう告げると、鍵盤をリズムよく叩いて尊厳な音色を響かせていく。尊厳な音色が響くとサクヤを中心に半径二メートル程の円形のバリアが形成され、すり抜ける光線を完全に防いでいく。

 

「ダメージ完全無効スキルか!?」

「イエス!範囲が狭く、ここぞという時しか使えませんが!」

「いや、それでも十分だ。クローネ、【龍砲展開】!!」

 

アロックはそう告げると、戦闘モードのクローネは両腕のクロスボウを大口径の大砲へと変えさせる。そのまま自身が操る機械人形と共に砲撃を放っていき、イズ印の高級ポーションをサクヤに使っていく。

 

「迸れ、【リベリオンチェーン】!」

 

コーヒーも護衛の必要がなくなったことで瓦礫の竜にくっついている玉を破壊し続けている二人の援護に回り、雷の鎖で縛り上げて動きを封じていく。

 

「これで……」

「最後!」

 

ジェラフとテンジアは、共に最後となった黒い玉を切り裂いて破壊する。それと同時に瓦礫の竜を覆っていた黒い光が消え去った。

 

「これで剣による攻撃が通る筈。だが、二人だけでは……」

「いや、三人でやってもらうから―――【抜刀・雷封】!」

 

ジェラフはテンジアの言葉を遮るようにそう告げると、黄色の玉に雷を迸らせた居合を放つ。その瞬間、他の黄色の玉も同様に切り裂かれ、一瞬で瓦礫の竜の黄色の光が消えていく。

 

「今のは……スキルによる効果か?」

「ご明察。途中で攻撃スキル無しでも破壊できると分かったからね。黒い玉を破壊しつつ、仕込みを入れていたんだよ」

 

ジェラフは一枚の護符をぴらぴらさせながらそう告げる。彼女の手際の良さにはテンジアはもちろん、コーヒー達も脱力してしまう。

 

「さ、これで剣と雷は普通に通せるよ。CF、大技よろしく」

「ああ、もちろんだ。【聖刻の継承者】!【雷神陣羽織】!瞬け、【ヴォルテックチャージ】!」

 

ジェラフの言葉にコーヒーは頷くと、二つの自己強化スキルを発動させる。さらに【ヴォルテックチャージ】で次に使う雷魔法を強化させると、条件を満たしている上級魔法の詠唱を始めていく。

 

「不屈の雷光は宙に舞う 雷呀の鎖は雷皇の流星 千切れし鎖は星となり 天の宝玉に群がり形を為す―――」

 

コーヒーが詠唱する中、アロックはクローネと共に宙に浮かぶ瓦礫をを吹き飛ばしながらサクヤのMP管理を行い、サクヤもダメージを無効化する演奏を続けていく。

 

「【鉄砕斬】!」

「太郎丸、【刻葉】!【抜刀・十六夜】【瞬転符】!」

 

テンジアは高威力かつ防御貫通効果のあるスキルで瓦礫の竜の横腹を切り裂き、ジェラフも首から下へ落ちていくように連続居合を叩き込む。瓦礫の竜は二人に向かって光線や瓦礫を飛ばすも、テンジアはリースによる飛行能力で、ジェラフは瞬間移動であっさりと躱して次の攻撃を叩き込んでいく。

 

「顕現せしその形は隕石 闇夜を駆けるは蒼き彗星の如く もたらすは終焉へと誘う天災 その迸る雷鎖の隕石で押し潰せ!」

 

コーヒーの詠唱が完成すると、頭上に膨大な雷を纏った鎖の塊が形成される。その雷鎖の隕石を解き放つ為、コーヒーは最後の言葉を告げる。

 

「限界を超えし蒼き雷霆よ墜ちろ!【リベリオンチェーンメテオ】!!」

 

発動と同時に振り下ろされる左手。その左手に従うように雷鎖の隕石は蒼い軌跡を描きながら落下していき、瓦礫の竜を押し潰した。

雷鎖の隕石に押し潰された瓦礫の竜は、二人のアタッカーによって削られていたこともあり残りのHPを全損させる。同時にその身体を力尽きたようにバラバラに崩れていき、只の瓦礫となって消滅していった。

 

「これで俺達の勝ちだな」

「イエス。メダルもゲットできましたし、上出来ですよ」

「互いに奥の手を切る形ではあったがな」

「変に出し惜しみして脱落したら無意味でしょ」

「ああ。そうなれば本末転倒だからな」

 

色々な意味で互いに益がある共闘だと実感しつつ、五人はダンジョンから帰還するのであった。

 

 

 




「まるでゴミ屋敷ですね」
「しょうがないだろ。あのモンスターの見た目からして」
「アイツらの前座みたいなものだし、それにふさわしいダンジョンにしないと雰囲気が出ないだろ?」
「どちらもプレイヤーが踏み込むか怪しいですがね」

イベント当日。

「入っちゃったなぁ……」
「入りましたね」
「喜ぶべきか嘆くべきか……微妙なところだよ」

特殊ダンジョンを攻略されて微妙な気持ちになる運営の図。
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