スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


瓦礫の決戦

瓦礫の巨竜が再び無敵モードで暴れる中、ミィは目を瞑って詠唱の言葉を紡いでいた。

 

「万物の根源 象徴たる炎―――」

 

ミィが詠唱している間も瓦礫の巨竜は無数の光線を放って攻撃を仕掛けているが、サクヤの【聖域の演奏】のおかげで一切攻撃が通らない。しかし、上空組はともかく地上組は猛威に晒されているので、手が空いている面々は妨害行動を起こしていく。

 

「星と繋がりし(えにし) 我が呼び掛けに応え 汝をこの地に繋ぎ止めよ―――【星の鎖】。来たれ銀氷 鎖と為りて踊り絡まり 我に牙向く愚者を縛れ―――【フリーズチェーン】」

「輝くは不屈の雷光 残響する雷吼は反逆の証 雷呀の鎖と為りて一切合切を打ち砕け―――迸れ、【リベリオンチェーン】!」

 

ヒナタが二種類の鎖で瓦礫の巨竜の動きを封じ込め、コーヒーも雷の鎖で瓦礫の巨竜を縛り上げて動きを制限する。瓦礫の巨竜は自身を縛る三種の鎖から逃れようと暴れるが、【口上強化】された三つの鎖はびくともしない。

 

「【弾倉展開】【攻撃開始】!」

 

そこにミサイルコンテナを展開したメイプルが玉座に座ったまま誘導ミサイルを瓦礫の巨竜へと放っていく。ダメージは欠片も入らないが、タゲ取りには成功して瓦礫の巨竜の攻撃はメイプルの方へと集中していく。

もちろん光線だけでなく貫通攻撃であろう巨大な槍等も放たれるが、それらはイズがジベェの背に設置した大砲による砲撃で悉く撃ち落とされていく。

 

「貫通攻撃がないから問題なし!」

「来ても撃ち落とせるからセーフよ!」

「では私も彼女のブートに回ります。【凱旋の演奏】!」

 

意気揚々と告げるメイプルとイズの言葉で【聖域の演奏】を止めたサクヤは、パーティーメンバーのスキルによる与ダメージを二倍する演奏スキルを発動させて奏でていく。【身捧ぐ慈愛】のみになっても、メイプルの防御を越えられなければ危機的状況にはならない。

 

「サクヤちゃん、それ利用するね。【福音(ゴスペル)】」

 

フレデリカはサクヤの返答を待たずにスキルを発動させると、フレデリカの持つ杖からサクヤが奏でる音色と同じ音が流れ、同様の効果がもたらされる。

 

「―――真紅の炎帝の名の下に閉じ込めろ!【火炎牢】!!」

 

それぞれの援護と自身の【口上詠唱】込みで大幅な強化が施された【火炎牢】が発動し、瓦礫の巨竜は再び燃え盛る炎の檻の中へと閉じ込められる。【フレアオイル】によってHPも削られる中、回復ポーションを惜しげもなくミィへとかけられていく。

 

「ここまで強力な【火炎牢】はそう見れるものではないな」

「ええ。【楓の木】や【集う聖剣】の協力があってこそですね。【癒しの光】」

 

次々とポーションを使って回復を続けるミィに、ミザリーが答えながら回復スキルを使って援護していく。【痛覚変換】によって瓦礫の巨竜へのダメージ量が増える中、赤く輝く玉にヒビが入っていく。

 

「今度は完全破壊だな。残り時間は?」

「十分くらいだね。ソウ、【時の回帰】」

 

ドレッドの質問にカナデが答えつつ、自身に擬態したソウに指示を出す。ソウが紫のカードを掲げて指示されたスキルを発動すると、パーティーメンバーの発動中であるスキルの効果時間を延長するスキルを発動させる。

 

「陣羽織の効果時間が延びたね。これは嬉しいかな」

「重複は出来ないけどね」

 

効果時間の終了が間近だった陣羽織の時間が延長され、ジェラフは笑みを浮かべる。そのタイミングで赤く輝く玉が砕け散り、炎属性の攻撃の無効化が解除される。

 

「深淵に潜む光 輝きは次代に継がれ 此処に顕現す―――【聖刻の継承者】!羽織る衣は雷の化身 我は雷神に認められし者なり―――【雷神陣羽織】!」

 

炎属性の攻撃が通るようになって直ぐ、コーヒーは二つの自己強化スキルを発動させる。このままでは攻撃が通らないが、【雷炎】を持っているので問題はない。

 

「【雷炎】!【聖槍ファギネウス】!【雷輪十字剣】!【九頭龍雷閃】!【崩雷】!サンダー!」

 

コーヒーは雷属性を炎属性に変えてすぐ、残り時間から即座にスキルを次々と発動して攻撃を与えていく。コーヒーが与える攻撃は他の玉に命中し、ミィの【火炎牢】も合わさって次々と破壊されていく。

 

「【死の足音】【重力の軋み】【錆び付く鎧】【災厄伝播】」

「クローネ、【金属音】【摩耗の鉄】」

「亡、【胡蝶】【送り火】」

 

ヒナタも援護するようにデバフを連鎖の如くばら蒔いていき、アロックとサクヤも自身の相棒達に指示を出してデバフを与えて瓦礫の巨竜へのダメージ量を増やしていく。

 

「ルル、【ボルケイノシャワー】ッ!」

「ネクロ、【死の炎】!」

「【バーンアックス】ッ!」

 

そこにカミュラがルルに指示を出して溶岩の雨を降らせ、ネクロを纏ったクロムも炎を噴き出して追撃を与える。ドラグもスキルで炎を放ってダメージを加速させていく。

 

「【二ノ太刀・斬鉄】!」

「崩剣・旋空の陣!」

「【崩鎧拳】!」

「モルフォ、【ウィークエレメント】!【シャイニング】!【連続起動】!」

 

イズのアイテムで武器に炎属性を追加したカスミにシン、ベルベットが防御貫通や最大分割した飛翔する剣、防御力を落とす拳撃を叩き込む。シアンも弱点属性扱いとなった魔法を惜し気もなく放ってダメージをどんどん与えていく。

そうして【火炎牢】の継続ダメージを与え続けられた瓦礫の巨竜は、無敵モードを維持するための全ての玉が粉々に破壊された。

 

「無敵モードを示すオーラが全て消えたな。これで他の攻撃も通せる」

「ソウ、【鏡の通路】」

 

無敵モードが解除されてすぐ、カナデはソウに指示を出して移動用の鏡を召喚する。それを見たマルクスがすぐに意図を察して行動に移した。

 

「【遠隔設置・岩壁】【設置・水の軍】―――【チェンジ】」

「【鏡の通路】。ソウも【鏡の通路】」

 

マルクスは瓦礫の巨竜の背中にトラップを仕掛けてスキルを発動させると、先程設置されたトラップとソウが召喚した鏡の下に設置したトラップの位置が入れ変わる。鏡を巻き込む形でトラップが入れ変わってすぐ、カナデがソウと共に二つの鏡を召喚する。

 

コーヒー、サリー、マイ、ユイ、カナデ、ペイン、ドレッド、レイド、テンジア、ジェラフの十名はソウが召喚した鏡に飛び込むと、瓦礫の巨竜の背中へと一瞬で到着した。

 

「【ミラージュロイド】【幻影世界(ファントムワールド)】」

「「「【幻影世界(ファントムワールド)】!」」」

 

カナデは分身して直ぐ様、スキルによってマイとユイをそれぞれ七人に分身させる。分身体である十二人は、その手に持つ二振りの大槌をガンガンと叩き込んでいく。

 

「「【ダブルスタンプ】!【ダブルストライク】!【ダブルインパクト】!」」

「レイ、【聖竜の加護】!【聖なる光】!【日輪ノ聖剣】!!」

 

決戦状態(デストロイモード)】を既に発動した本体であるマイとユイのスキル攻撃が炸裂し、ペインも現時点で高火力を出せるスキルを放って瓦礫の巨竜に大ダメージを与えていく。

 

「【疾風迅雷】【トップスピード】【神速】【迅速】【アーマースルー】【セプタプルスラッシュ】!!」

「ヴォル、【雷鳴の加護】【招雷】!【ベルセルク】【ジェネレータ】【雷覇十文字斬り】!」

「リース、【夜凍の氷】【零度の吹雪】!【氷凍剣】【精神統一】【激濤乱舞】!」

 

ドレッドもAGIを最大限まで上げ、【迅速】の副次効果でSTRも上昇した状態で連撃を放ち、レイドも相棒の力を借りた最大火力でダメージを刻み込む。テンジアも怒濤の如く二振りの氷の大剣を振るい、大きく削っていく。

 

「【颪刃】【ウインドカッター】【抜刀・十六夜】!」

「【大海】【ウォーターボール】【十式・回水】!」

「降り注げ、【ディバインレイン】!舞え、【雷旋華】!揺らめけ、【遊雷星】!」

 

ジェラフとサリーも続くように攻撃を叩き込む中、コーヒーも雷魔法を放ちながらクロスボウを連射して匣の追加攻撃も繰り出していき、確実にダメージを刻み込んでいく。

当然、瓦礫の巨竜も黙ってやられるわけもなく、攻撃を仕掛けようと身体中にある砲身をコーヒー達へと向ける。

 

「【コキュートス】」

 

瓦礫の巨竜が攻撃を仕掛けるより早くヒナタの【コキュートス】が決まり、氷漬けとなって動きが封じられる。反撃さえも封じられ、瓦礫の巨竜は為す術もなく猛攻を受け続けていく。

 

「【脆き氷像】【鎧の亀裂】【剥げる表皮】」

「シロップ、【精霊砲】!」

「ジベェ、【水鉄砲】ー」

「クローネ、【竜砲展開】!」

「同時に燃えよ、【多重炎弾】!」

「【遠隔設置・槍衾】!【遠隔設置・風刃】!」

「撃てー!」

 

ヒナタが更なるデバフをばら蒔く中、メイプル達は相棒に指示を出して攻撃を放ち、フレデリカとマルクスは自前のスキルで攻撃を仕掛ける。イズも設置した大砲を順次放って攻撃に参加していく。

 

「後少しで二割……一時の戦線離脱をすべきだな」

「なら僕達は先に離脱するね。【鏡の通路】!」

 

テンジアの言葉にマイとユイの傍で魔法を使っていたカナデはすぐに鏡を召喚すると、マイとユイと共に一足先にメイプル達の下へと帰っていく。

 

「レイ、【巨大化】!」

「リース、【氷の翼】!」

「【召喚・高速舟】!」

 

ペインもレイを巨大化させてドレッドとジェラフを乗せ、テンジアも氷の翼を羽ばたかせて離脱する。コーヒーも舟を召喚してサリーとレイドを乗せて同様に離脱していく。

 

「レイ、【聖竜の息吹】!」

「ブリッツ、【砂金外装】【電磁砲】!【雷神月華】!」

「【水神蒸発】!」

「【風神絶空】!」

 

ある程度離れたタイミングでコーヒー達は攻撃を放ち、光のブレスと雷の砲撃、水と風の爆発によって瓦礫の巨竜の残りHPが二割へと達する。

 

HPが残り二割となった瓦礫の巨竜はコーヒー達の予想通り、すべての拘束を吹き飛ばして形態変化を起こしていく。フィールド中の瓦礫の塔が前触れもなく一斉に崩壊し、無数の瓦礫となって瓦礫の巨竜へと集っていく。それらが瓦礫の巨竜へとまとわりついていき、巨大な砲身と九つの竜の首となって存在感を放っていく。

 

瓦礫の巨竜は雄叫びを上げると背中に出来上がった巨大な砲身から極太の光線を上空へと放ち、空に一つの白く輝く魔法陣を作り上げる。その魔法陣は徐々に空を覆い隠すように大きくなっており、強制死亡の全体攻撃を放ってくるのは明白だ。

 

「奴にも個別のHPがあるな。おそらくだが、すべてを破壊しないとトドメは差せないだろうな」

 

【火炎牢】が強制解除されたミィはミザリーから回復を受けながら呟いていると、瓦礫の巨竜のすべての口から眩い白い光が漏れ始める。それもバラけている面々に顔を向けてである。

 

「まずいぞ!どんな攻撃かは分からんが、凄く嫌な予感がする!」

 

クロムがそう告げた瞬間、瓦礫の巨竜の全ての口から大量の細い光線が放たれる。逃げ場など与えないと言わんばかりの無数の白い閃光はクロム達をすり抜けるように貫き、HPを容赦なく削っていく。

 

「やべ―――」

「【歪曲レンズ】!」

 

攻撃を受けた感覚から防御貫通ありだと察したドラグが焦燥を露にした瞬間、第三者の声が響き渡る。すると、クロム達を貫いていた光線が上空の方でグニャリと曲がり、異なる方向へと飛んでいく。別の光線がレーザーライトのようにスライドするも、途中で曲がってクロム達を撃ち抜けずに終わる。

 

「ナイスだシロ!実に見事な防御だ!」

「同じ轍は二度も踏まないよ、ししょー!」

 

後ろからの声にクロム達は一斉に視線を向けると、胴着の男と肩車された魔法使いがそこにいた。どうやらあのスフィンクスモドキを撃破してこちらに駆けつけたようである。

 

「ここからは俺達も加勢しよう!傍迷惑ではあるだろうがな!」

「……いや、大丈夫だ。今は戦力が少しでも多い方がいいからな」

 

胴着の男の加勢宣言に、クロムが代表してそう返す。実際、彼らの援護がなければあの無数の閃光に相当な痛手を負っていたのだから。

 

「では行くぞ!【ロックニードル】!」

 

胴着の男はシロと呼んだ魔法使いを降ろすと、スキル名を告げながら地面を強く踏み込む。直後、瓦礫の巨竜の足下に幾つかの岩の棘が隆起して貫いていく。しかし、ダメージを受けたのは新しく出来上がった竜の首の一つであった。

 

「む?ダメージを肩代わりしているのか?」

「やっぱり頭を全部潰さないとダメか」

 

予想通りの展開にシンが肩を竦めると、瓦礫の巨竜は今度は光線でなく瓦礫の塊を飛ばしてくる。

 

「今度は物理の圧殺だね!【サイバーバリア】【重複】!」

 

シロは両手を頭上に掲げると、緑色の障壁を二重に展開して飛んでくる瓦礫の塊を防いでいく。

 

「肩代わりするなら好都合だ!アース、【怒れる大地】!【地割り】!!」

「ああ。どこを攻撃しても同じだからな。【クロスディザスター】!」

 

ドラグはアースと共にスキルを使って瓦礫の巨竜のバランスを崩して動きを封じ、カミュラがすかさず攻撃を叩き込む。

 

「【雷命絶交】【撃滅掌】!」

「【終ワリノ太刀・朧月】【紫幻刀】!」

 

ここが決め所と判断したベルベットとカスミは、反動があるスキルを一切の躊躇いもなく叩き込む。ベルベットとカスミの攻撃をまともに受けた瓦礫の巨竜は、三つの首を瓦解させた。

 

「【殺戮の豪炎】!【炎神燃焼】!」

「【光の奔流】!【聖竜の光剣】!」

 

そこにミィとペインが自身の最大火力を叩き込む。ミィは【不屈の守護者】と【身代わり人形】、【ピアースガード】で耐えきったメイプルのおかげで、ペインはジェラフの【風神結界】のおかげで無傷で切り抜けられたからだ。

ギルドマスター二名の最大火力を受け、身代わりの首がさらに二つ崩れ落ちる。

 

「一気に決めるよ。【抜刀奥義・夜叉羅刹】!」

「我が渾身の奥義、受けてみよ!【覇道轟爆】!!」

 

続いて風神モードが解け、レイから飛び下りて接近したジェラフが超威力の居合いを放ち、胴着の男が飛び蹴りを叩き込んで身代わりの首のHPを一気に削っていく。

 

「―――【滅殺の矢】」

 

それに便乗するように、エリアボスを撃破したメンバーの一人―――ウィルバードが高威力の矢を撃ち込む。三人の攻撃を受け、身代わりの首が追加で二つ落ちていく。

 

「【ドリル武装展開】【攻撃開始】!」

 

身代わりの首が残り二つとなったタイミングで、爆発を利用して飛翔したメイプルが両足から大型ドリルを展開してそのまま瓦礫の巨竜へと落下していく。

 

「【ヘビーボディ】【水底への誘い】!」

 

ノックバックを無効にして弾き飛ばされないようにし、左手を禍々しい触手に変えたメイプルはそのまま瓦礫の巨竜の頭へと激突する。少しの拮抗の後、突き破るように進んでいき、【悪食】付きの触手を振り回して大量のダメージエフェクトを発生させていく。

 

「【ジェネレータ】【ヴォルテックチャージ】!集え、【グロリアスセイバー】ッ!!」

 

メイプルの猛攻で身代わりの首が残り一つとなった瞬間、コーヒーは残りの強化スキルを発動して【グロリアスセイバー】を発動させる。【結晶分身】でクロスボウは二つなので、雷の宝剣二刀流による二連撃だ。

 

「仕上げだよ、【多重全転移】!」

 

【グロリアスセイバー】の二刀流を見たフレデリカは二度攻撃できると察し、独断でだめ押しとばかりに全員のバフをコーヒーへと移動させる。

 

「しっかり決めなさいよ、CF!」

「ああ!【跳躍】!」

 

サリーの言葉に凄まじい強化を受けたコーヒーは力強く頷くと、舟の縁を蹴って高く跳躍して空中へと踊り出る。メイプルに意識を向けていた瓦礫の巨竜はコーヒーの接近に気づくのが遅れてしまい、超火力の攻撃を許してしまう。

 

最初の一撃で身体を切り裂かれた瓦礫の巨竜は、最後の一つであった身代わりの首を喪ってしまう。そこでコーヒーに気づいて反撃しようとするも、それより早く二撃目が決まり残り二割だったHPが一気にゼロになる。

 

すべてのHPを削られた瓦礫の巨竜はそのまま崩れ落ちるように身体を崩壊させ、光となって消えていく。同時に蔓延っていた瓦礫のモンスター達も消え去り、薄暗かったフィールドも光が戻って青空を覗かせていく。

 

「最後はしまらないわね」

「……情けない姿なのは事実だが、実行したのはサリーだろう」

 

【糸使い】で餌のように宙ぶらりんとなったコーヒーに実行した張本人であるサリーが何故か呆れ、レイドも呆れたような雰囲気を発する中、メダル獲得の通知が届く。

 

「やっぱり銀のメダルが三枚か。労力に対して報酬が割に―――」

 

そのタイミングで再び通知が届く。その通知内容に疲れ気味であったサリーの表情が食い入るように目を丸くした。

 

「……え?特別ボーナス?銀のメダル十枚ってマジ?」

 

まさかの追加報酬にサリーは面食らった表情で目の前の通知と獲得したメダルを交互に見やる。レイドも同様に通知とメダルを交互に見て困惑を隠せずにいる。

何せ銀のメダル十枚……交換可能な枚数が一気に手に入ったのだ。困惑するのは当然である。

 

「やった!メダルが一気に手に入ったよ!」

「本当っす!メダル十枚は大儲けっすよ!」

 

相変わらずの防御力で落下ダメージもなく地上に激突したメイプルは、ドリルを展開したまま笑顔ではしゃぎ、ベルベットも完全な素で同様にはしゃいでいる。

 

「向こうは十枚か……俺の方は五枚だが、彼らの頑張りを鑑みれば妥当だな」

「そうだよししょー。これで同じ報酬だったら、すごく後ろめたかったよ」

 

胴着の男とシロは特別ボーナスの報酬量に違いがあると気づくも、羨ましがることなく平然と受け入れる。特にシロは逆に安心したように息を吐いている。

そのタイミングでブザーが鳴り、三日目の終わりが告げられる。

こうしてコーヒー達は三日間の生存戦を最後まで生き残り、元のフィールドへと帰還するのであった。

 

 

 




スキル紹介。

福音(ゴスペル)
パーティーメンバーに対して使うと、同じようにスキルを一つだけ発動できる。
敵対プレイヤーに対して使うと、スキルの発動を一つだけ無効化する。
一時間後に再使用可能。

入手条件:第七回イベントの塔九階にある宝箱から入手可能。
ちなみに経緯はバフ切れで落下した結果、運よく宝箱がある足場へと墜落したからである。

【楓の木】のメダルの獲得数、36。
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