スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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アニメでミィ様が詠唱していましたね(ゲス顔
彼女はどんな心境で唱えていたんでしょうかね?(ニヤニヤ
てな訳でどうぞ


エクストラクエスト【聖刻の継承者】

あれから二日後。

コーヒーは再び【血濡れの聖堂】に訪れた。

昨日は弱体化した状態でどのくらい動けるのかと、ブリッツのレベル上げに力を注いだ。

 

MPが自然回復しないことから、回復手段はポーションとブリッツの【電撃】を【避雷針】でMPに変換した即席タンクのみ。

ブリッツはレベルが上がったことで新しいスキル【砂金外装】と【散雷弾】を取得した。

 

【砂金外装】は砂金を纏うことで自身の【AGI】が半分になる代わりに、体長が二倍となり【STR】【VIT】【INT】が二倍となる強化スキルだ。

【散雷弾】は名称から分かる通り、無数の小さな雷球を散弾のように飛ばす攻撃スキルである。

 

「さて……行くか」

 

ブリッツを肩に乗せたコーヒーは意を決して扉を開け、建物の中へと入る。

中は相変わらずの凄惨な光景。違いがあるとしたら黒い短槍がないことだけだ。

 

「何も起きないな……もしかしてあのアイテムを取り出さないといけないのか?」

 

コーヒーは試しに【聖刻の道標】をインベントリから取り出す。

取り出した【聖刻の道標】は淡く光り輝いており、宙に浮いてゆっくりと回転している。

その【聖刻の道標】は徐々に光を強め、回転も早くなっていき―――

 

「うおわっ!?」

 

【聖刻の道標】が室内全体を真っ白に染める程強く輝き、コーヒーの視界が白一色に染まる。

あまりの眩しさに目を瞑ったコーヒーがゆっくり目を開けると、そこはあの凄惨な場所ではなかった。

 

空は水色で、円上の広場はクリアブルーで構成されている不思議な空間だ。その中央には陽炎のように揺らめく人型が背中を向けて佇んでいる。

コーヒーはゆっくりとその存在に近づいていく。

 

『よくぞ来た人の子よ。私は《赦罪の槍》の光の側面、聖槍■■■■■■の化身……やはり名は喪われたままか……』

 

陽炎のように揺らめく存在―――純白の騎士甲冑で全身を被った、声からして男性らしき人物がコーヒーへと身体を向ける。顔はフルフェイス型の兜に隠れているので顔は分からないが。

 

『まずは感謝を述べよう。闇の側面、魔槍の化身を眠らせてくれて感謝する』

 

騎士が頭を下げて礼を告げるが、話が見えないコーヒーは首を傾げるしかない。

そんなコーヒーに、騎士は頭を上げて律儀に説明を始めていく。

 

『元々《赦罪の槍》は二つの側面を持っていた。一つは罪を穿つ魔槍の側面……もう一つが赦しを与える聖槍の側面だ。だが、邪悪なる者が槍に取り憑いたことで闇の側面が歪み、混ざり合い、一体化したことで《赦罪の槍》は魔槍としての力を強めてしまい、怪物に作り変える槍となってしまった。当時も間接的に触れるだけでも蝕み、怪物に作り変える魔槍の力に、人々は封印する以外に手がなかった。当然私も抵抗を試みたが、逆に取り込まれる結果となった……』

 

騎士は悔しそうに拳を握り締める。しかし、コーヒーはここであることに気づいた。

 

「まさか……【クラスタービット】無しだと相当キツいやつだった?」

 

コーヒーのその推測は間違っていない。

あの槍は剣や槍等の近接武器で攻撃すると、【侵食】というスキルの発動と動きを大きく制限する特殊な状態異常に陥る。

安全に破壊するには弓やクロスボウ、魔法で攻撃するしかないが魔槍の耐久値が高い上にボスモンスターも襲いかかってくる。

 

その為普通はボスモンスターを倒して通常ルートに進むのだが、コーヒーは装備破壊と防御に特化した【クラスタービット】を持っていた故に、比較的簡単に真ルートに突入してしまったのだ。

そんなコーヒーの呟きに、NPCの騎士は決められた台詞を続けていく。

 

『だが、私は取り込まれる直前で【聖刻の道標】に力の殆どを移した。代償として名を喪い、不確かな存在となってしまったがな……《赦罪の槍》が砕かれた以上、私はこのまま消え行く存在でもある。だが―――』

 

騎士はそう言葉を区切ると右手を頭上に掲げ、右手から一瞬だけ光を放つ。

光が消えるとその手には白い短槍が握られていた。

 

『一つ賭けをしよう。そなたが私を上回れば、その身に刻まれた呪いを解く手助けをしよう。刻まれた魔槍の力も駆使して全力で掛かってくるがよい』

 

騎士がそう宣言した途端、騎士にHPバーが表示される。完全に戦闘態勢である。

 

「この状態で戦闘かよ!本当にキツい戦いになるな!クソッ!」

 

コーヒーは吐き捨てながらもクロスボウを構えて距離を取る。

相手の武器が槍である以上、距離を詰まさせなければ勝機ある。そう考えていた。

しかし、その考えはすぐに砕かれることとなる。

 

『貫け【光雷槍】!』

 

騎士はそう叫ぶと同時に槍を突き出すと、槍から雷撃を纏った光線が放たれた。

距離を詰めるのではなく遠距離攻撃を繰り出したことにコーヒーは驚きつつも、すんなりとかわして矢を三発その腹に目掛けて放つ。

騎士は槍を巧みに振るって迫り来ていた矢を叩き落とした。

 

『槍だから距離を取れば勝てると思ったか?我が槍の真髄は遠距離攻撃……そなたの矢と同じである。距離を空けても意味はないのだ』

 

ご丁寧に説明した騎士にコーヒーはげんなりした顔を向ける。

何で自分が単体で戦う相手はこう……ハードモードなやつらばっかりなのかと。

しかし、勝たないと弱体化は解けそうにないので、コーヒーは深く息を吐いて気合いを入れ直す。

 

「ブリッツ、【針千本】!!」

 

コーヒーはブリッツに指示を出して背中の針を騎士に向けて飛ばさせていく。同時に【クラスタービット】も津波として飛ばしていく。

 

『天の雷よ 旋風となりて吹き荒れろ―――【雷陣旋風】』

 

騎士の周りから雷の嵐が吹き荒れる。その雷嵐はブリッツの針と【クラスタービット】の津波をいとも容易く吹き飛ばしていく。

この程度は想定内。なので、スキルが切れた瞬間を狙う。

 

「【ライトニングアクセル】!」

 

コーヒーは雷嵐が弱まったタイミングで【ライトニングアクセル】を使用。スキルスロットの効果で最初の五回はMP0で使える為、気にする必要がない。

 

「猛るは雷光 煌めくは蒼雷の一閃 その雷刃を以て敵を切り裂け―――【ボルティックスラッシュ】!」

走りながら口上を告げ、強化された【ボルティックスラッシュ】で切り裂く。

 

『ぐぅううっ!?』

 

脇腹を斬られた騎士は苦しげに呻く。HPバーの減少は僅かである。

 

「やっぱり弱体化の影響がキツいか!」

 

コーヒーのSTRとINTはスキルによって半分の半分。つまり20代くらいの火力しかない。

倒すには手数で攻め、【クラスタービット】を駆使し、ブリッツと協力しなければならない。

 

『【破邪洸昇陣】』

 

騎士が足下に槍を突き刺すと、コーヒーの足下から光が漏れ始める。

コーヒーは咄嗟に飛んでその場を離れた直後、光の柱が天に向かって昇っていく。

それも一発では終わらず、追いかけるようにコーヒーの足下が光っていく。

 

「本当にキツいな!!ブリッツ、【散雷弾】!」

 

コーヒーは足下から襲いかかる光の柱を走ってかわしながら隙を見てブリッツに指示を出しつつ、自身も矢を連続で叩き込んでいく。

槍を手放している為、騎士は叩き落とせずに顔を庇って攻撃を受け止めていく。相変わらずHPの減少は小さいままだ。

 

『むっ……!?』

 

ブリッツの雷球とコーヒーの矢を連続でその身に浴びた騎士は体を痺れさせる。麻痺の状態異常が入ったようだ。

コーヒーはチャンスとばかりに新スキルを発動させる。

 

「刻むは絶望 無明の闇へ(いざな)うは千の槍 我が血潮で祈る間もなく消えるがいい!」

 

コーヒーは頭上にクロスボウを掲げる。その頭上の先には、四つの槍がバツ字で配置され、中間を円陣で繋いだあの奇妙な紋様が紅く輝いている。

 

「【魔槍シン】!!」

 

コーヒーがスキル名を告げて上空に矢を放つ。矢がその紋様に当たった途端、無数の黒き短槍が次々と騎士に向って降り注いでいく。

無尽蔵の如く放たれる槍は騎士のHPをどんどん削っていく。

 

「本当に強力なスキルだが、使いどころは本当に選ばないとな……」

 

自身のHPを一割になるまで消費したコーヒーは苦い顔で呟く。使用後は二時間も回復できないのでその間に攻撃を受けたら致命傷になりかねない。

勝負に出たコーヒーの攻撃を受けた騎士は……HPを三割残して存在していた。

それだけではない。背に水色に輝くあの奇妙な紋様を顕現させている。

 

『見事だ。だが、私を倒しきるには少々威力が足りなかったな』

「…………」

 

騎士の言葉にコーヒーは無言を貫く。

騎士は槍の切っ先を頭上に掲げ、背の紋様と同じものを空に展開する。

 

『照すは希望 煌めくは聖なる刻印 天に昇りて光の柱と化せ―――【聖槍■■■■■■】』

 

騎士がそう告げて槍を紋様に向かって投擲すると、先ほどのコーヒーと同じように無数の白い槍が次々と降り注いでいく。

コーヒーはその槍の雨を【クラスタービット】で防御を試みるも……

 

「嘘だろ!?」

 

【クラスタービット】はその槍を何発か受けると光となって消えてしまった。

コーヒーは再度【クラスタービット】を展開しようとするも発動しない。

コーヒーは迫り来る槍をかわしながらスキルを確認すると、【クラスタービット】が【封印】状態となっていた。

 

「あの槍は確率でスキルを使用不可能にするのかよ!?」

 

【魔槍シン】より凶悪な効果を持った槍の雨を、コーヒーは必死に避け続けていく。

しかし、槍の雨に逃げ場はなく、コーヒーは容赦なく呑み込まれた―――筈だった。

 

「虚ろな鏡は(うつつ)の狭間を漂う―――【夢幻鏡】!」

 

槍が直撃する寸前でコーヒーはスキル名を告げる。

直後にコーヒーの体に幾つも槍が突き刺さるも、紫の鏡となって砕け散る。

次にコーヒーが現れた場所は―――騎士を見下ろせる空の上であった。

 

「ブリッツ!【砂金外装】!同時に【針玉】!」

 

指示を受けたブリッツはコーヒーの肩から飛び出ると、砂金を纏って倍の身体となる。そのまま身体を丸めて刃と形容すべき針を以て騎士を切り裂いた。

 

『うぐぅあぁっ!?』

「【リベリオンチェーン】!!唸るは雷鳴 昂るは信念の灯火 雷鐘響かせ威厳を示さん―――【ヴォルテックチャージ】!!」

 

苦しげに声を上げる騎士に構うことなく、コーヒーは【リベリオンチェーン】で騎士を縛り上げ、強化した【ヴォルテックチャージ】で次の魔法の威力を倍にする。

本当は【チェイントリガー】も使いたいところだが、騎士を縛る鎖が今にも千切れそうな為に諦め、最強魔法を発動させる。

 

「掲げるは森羅万象を貫く威信 我が得物に宿るは天に座す鳴神の宝剣 神雷極致の栄光を現世へ―――集え!【グロリアスセイバー】ッ!!」

 

至近距離から放たれる、何度もコーヒーを助けた最強魔法。

その魔法の一撃は―――騎士の残りのHPをすべて吹き飛ばした。

 

『―――見事だ』

 

騎士は消えることも、悲鳴を上げることもなくコーヒーに称賛の言葉を送る。

 

『私を上回るだけでなく、喪われし私の名を取り戻すとはな』

 

騎士がそう呟くと、今までぼんやりだった身体の輪郭が鮮明になっていく。

輪郭がはっきりすると、見る者を魅了する洗練された意匠の甲冑に身を包んだ人物であった。

 

『私は聖槍ファギネウスの化身。赦しを与える白き槍の化身なり』

 

騎士―――ファギネウスが名乗った途端、その身体が次第に光出し、粒子となって消え始めていく。

 

『ふふ、気にすることない。元よりこうなる宿命(さだめ)。―――去り行く前に、賭けに勝ったそなたとの約束を果たそう』

 

ファギネウスはそう告げると、手から水色に光輝くあの奇妙な紋様を顕現させる。

それをコーヒーに譲るかのように飛ばすと、紋様はコーヒーの胸に吸い込まれていった。

 

ピロリン♪

『スキル【魔槍の呪い】は【聖刻の継承者】に進化しました』

 

『これであやつの呪いは解け、同時に私の力はそなたに受け継がれた。人の子、否、聖刻の継承者よ。どうかそなたの進む道に幸多からんことを』

 

ファギネウスのその言葉を最後に視界が白一色に染まっていく。

視界が戻ると、あの聖堂内に戻っていた。【聖刻の道標】も無くなっている。

 

「これでクエストクリア、かな?スキルの確認は……明日にするか」

 

コーヒーはそう呟いて、ログアウトするのであった。

 

―――その頃運営では。

 

「……またCFが強力なスキルを手に入れたな」

「……ああ。今度は【俺達の極悪クエスト】を真ルートでクリアしちまったな」

「通常ルートだと本物の呪いスキルを解くだけで終わるんだけどな……」

「真ルートをクリアすると呪いスキルは【クラスタービット】にも劣らない強力なスキルに進化するんだよな……」

「……修正するか?」

「……いや。メイプルと比べたら微妙にマシだし、CFも看板キャラになりつつあるからな……」

「ああ……悪ふざけで作ったあのスキルも何名かの上位プレイヤーは取得してるし……」

「【口上詠唱】はどうする?下手したらメイプルとCFがまた強化されるぞ」

「実装して大丈夫だろ。あれは上位魔法限定だし、取得条件を満たしているプレイヤーは他にもいるし。何より……」

 

男はそこで口元をニヤリと吊り上げる。

 

「面白い光景が見れそうだしな!!」

「「「「確かに!!」」」」

 

メイプル同様、放置が決まりつつあった。同時にメンタルを傷つけそうなスキルの実装も。

 

 

 




コーヒーの呪いは新スキルに進化しました(テッテレー
スキルの詳細は次回
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