スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


凶悪な組み合わせとジョークアイテム

八人は三層のギルドホームに入り部屋や内装を確認する。

しばらくして構造を把握した全員がオープンペースに集まってきた。

 

「おっ、メイプル!ちょっと話したいことがあったんだ」

「何ですかクロムさん」

「今届いた運営からのメッセージだ。第四回イベントの通知なんだが、今度はギルド対抗の戦闘イベントがあるから準備しておくようにとのことだ。それでなんだが……」

「ギルドメンバーを増やそうってか?」

 

クロムが何を言いたいのかを察したコーヒーが、引き継ぐような感じで質問する。

コーヒーのその言葉にクロムは頷きながら、理由を説明していく。

 

「ああ。第四回は第二回同様に時間加速があるらしいんだ。当日の欠員の可能性を考えるとギルドメンバーを増やすのもアリだと……俺は思う」

 

クロムの言うことは最もだ。

現在の【楓の木】のメンバーは非戦闘員のイズと新しく加入したミキを含めて八人。

欠員が出ればそれだけでイベントが厳しくなり、もう少しメンバーがいたらと思うのも間違いではない。

 

「うーん……そう、ですね。私もそれがいいと思います」

 

ゲーム経験の浅いメイプルでも人数が少ないことによる弊害は理解出来るようで、素直にクロムの意見に同意する。

 

「俺の知り合いを呼ぶことも出来るが……その辺りはギルドマスターに任せるべきだからな」

 

クロムの言う知り合いとは、『メイプル見守り隊』のスレのプレイヤー達だろう。

スレで話題に上げる事を本人達も公認している。だって、基本は知られても無意味だから。

サリーの回避能力は変わらないし、メイプルのVITもこれからも上げ続ける。

 

肝心のスキルは取得方法が不明だから書けない。

つまり、困らないのである。

コーヒーは自身に関するスレは……一切見ていない。だって、メンタルが傷つきたくないから。

 

「そうなると、勧誘するプレイヤーは今の【楓の木】に不足している部分を補ってくれるプレイヤーがいいかもしれないな」

「確かに。私達のギルドは後方支援……回復役があまりいないな」

「それだと、物理攻撃主体のプレイヤーも必要になるかもしれないな。火力の面ではコーヒーがいるが、広範囲攻撃だったり、魔法だったりと、少し使い所を選ぶ必要があるからな」

「僕もカスミやクロムの意見と同じかな?後方専門が増えると僕も楽になるし」

「でもー、あまり拘ると厳しいしー、そこそこが丁度いいと思うよー」

「そうね。その辺りはメイプルちゃんの主観で任せるわ」

「どっちにしろ探さないと駄目だから、明日は私と一緒にスカウトしに行こうか」

 

こうして、メイプルはサリーと共に明日誰か新しいメンバーを探しに行くこととなるのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

翌日。三層のギルドホームにて。

 

「うわあ……」

 

ギルドホームに来て早々、山のように積まれたアイテムの数々にコーヒーはげんなりした表情で見つめる。

そのアイテムの山をイズがニコニコ顔で物色しており、そのアイテムの山のすぐ隣には……釣竿を垂らして地べたに座っているミキがいた。

 

「ギルドホームって色々なものが釣れるねー。歯車、ネジ、爆弾、珊瑚、お札……アイテムがよく釣れるよー」

「……釣れないからな、普通は」

 

ミキの言葉にコーヒーは力なくツッコミを入れる。

 

「というかイズさん。何でミキが釣ったアイテムを笑顔で物色してるんですか?」

「だってー、ミキちゃんが釣るアイテムは面白いものばかり何だもの~。あっ、この懐中時計はスキルのリキャスト時間を一つだけ半分にしてくれるのね。すごく便利♪」

「……この二人、混ぜたら危険の気がしてきた」

 

便利アイテムを釣り上げるミキと生産職トッププレイヤーのイズ。

もしイズが、ミキが釣り上げたアイテムを作れるようになったりしたら……敵となったプレイヤー達は泣くだろう。

 

「そういえばミキちゃんってレベルはいくつなの?」

「んー、40くらいだったと思うよー。ジベェは20くらいだったかなー」

 

……あっという間に二人は仲良くなったようだ。

 

「メイプルちゃん達の方は大丈夫かしら?」

「難航してると思いますよ。主にメイプル自身が原因で」

 

コーヒーも軽く調べてはみたのだが、パーティーを募集しているプレイヤーは【攻撃特化必須】【毒耐性必須】等、明らかにメイプル対策のプレイヤーを求めているのだ。

 

「それに、古参は大体は既にギルドに入ってますしね」

「そっかー。そうなるとー、一層で見つけてくるのかなー?」

「その可能性は高いな。それでも目ぼしい人材がいるか怪しいけど」

 

新規に参戦したプレイヤーは、メイプルの影響から最初は極振りでプレイしているそうだが、その多くが極振りデータを諦めて大抵はキャラを作り直している。

極振りは嵌まれば強力だが、そうでないと何も出来ないのだ。実際、極振りプレイヤーはギルドやパーティーへの参加を拒まれる傾向が強い。

 

それだとゲームが楽しめなくなるから、仕方なく諦めるというのが極振りプレイヤーの現状であった。

……ついでに言えば、コーヒーの影響も多少はある。【口上強化】取得の新規プレイヤーも一時増えたが、恥ずかしさから使用を躊躇っていくパターンと、意外に嵌まってノリノリで使いまくるプレイヤーの二種類が存在するようになっている。

 

しかも、最近は【名乗り】【口上強化】を一定回数使用し、【詠唱V】以上で手に入るスキル【口上詠唱】などと言う、新たにメンタルを傷つけるスキルが実装されてしまっている。

【口上詠唱】は上級魔法にしか適用しないスキルだが、そのスキルで追加された詠唱と、詠唱専用の名乗りも加えて魔法を発動すると、威力と効果が三倍になるというスキルだそうだ。

 

当然、詠唱が長くなるから隙が大きくなり、使い所を考える必要が出てくるが。

ちなみにこのスキルを最初に取得したのは【炎帝ノ国】のギルドマスターであるというのがもっぱらな噂だ。

……そのギルドマスターは、用意された台詞の恥ずかしさから現実で枕に顔を埋めて泣いていたが。

 

ちなみにスキルが実装された際に【クラスタービット】が修正されていた。

修正内容はHPが倍に増加されたのと、破壊だけでなく日を跨いでも消えるようになったことだ。

これは第二回イベントのあれが問題になったのかもしれない。それに【クラスタービット】は強力過ぎたからバランスを考えて修正されても仕方なかったとも思える。

 

「おーいイズ……って、何だ!?このアイテムの数は!?」

「全部ミキが釣り上げたアイテムだ」

 

ギルドホームに来て早々に驚くクロムに、コーヒーが真顔で説明する。

 

「そ、そうか……ちなみにイズが物色しているのは?」

「面白いアイテムがあるから、とのことです」

「……そうか。しかし、本当に色々あるな。これとか何だろうな?」

 

クロムはそう言って、押しボタンがある謎装置を手に取ってボタンを押す。

爆発。

ボタンを押した瞬間にクロムが爆発し、一瞬で黒焦げになっていた。

 

「……大丈夫か?」

「……ああ。HPは全く減ってないから、唯のジョークアイテムなんだろうな」

 

頭を振って元に戻ったクロムは半目でそう答える。実際、装置はクロムの手に握られたままなので娯楽系統のアイテムの可能性は十分にある。

 

「おおー、今度は鉱石の塊だー」

「本当に色々釣れるわねー」

「……こんなものばっかり釣れて楽しいのか?」

「んー、楽しいよー。だってー、色々なものが釣れるからねー」

「……そうか」

 

相変わらずのミキにコーヒーとクロムは色々と諦める。

 

「【粘着爆弾】……対象を三分間拘束するアイテムなのね。……えい!」

 

イズがいきなり手に持っていた白色の爆弾を投げ飛ばしてきた。

コーヒーとクロムは驚いて咄嗟にかわすも、ちょうどタイミング悪く入ってきたカスミに当たってしまった。

 

「うわあっ!?」

 

突然の投擲物にカスミが驚きの声を上げ、入ってきて早々だった為に回避も間に合わずにもろに当たってしまう。

爆発。

爆弾が爆発し、煙が上がる。

煙が晴れた先には……白い粘着物まみれで床に尻餅をついているカスミの姿だった。

 

「な、なんだこれは!?ベタベタする上に動けないぞ!?」

「ごめんねーカスミちゃん。コーヒーとクロムが避けちゃったからカスミちゃんに被害が出ちゃった。テヘ」

「いやいやいや!何で俺達が悪いみたいに言ってるんだ!?」

「そもそも何で投げてきたんだよ!?」

「だって、一度は試してみたいじゃない?」

「それより早く助けてくれ!」

「んー、三分経ったら消えるみたいだからー、我慢すればいいと思うよー?」

 

それから三分経過し、無事に解放されたカスミとその間に来たカナデと共にミキが釣り上げたアイテムを物色していく。

 

「本当に色々あるね。MPポーションも一杯だよ」

「何でこんなアイテムばかり釣れるんだ……」

「町の中だからじゃない?町にはモンスターはいないし」

「【落とし穴】【音爆弾】【白水晶】【火薬草】【クールチャージ】【石ころ】【金の歯車】【バインドボール】……」

「まるでアイテムの見本市だな……ブーブークッションまであるし」

「【タイキックカード】……これもジョークアイテムだねー」

「使うなよ?絶対に使うなよ?」

 

戦闘に役立ちそうなアイテムからまったく意味の無さそうなアイテムまで、本当に色々ある。

というか【タイキックカード】って……どこの笑ってはいけないだ。後、【お仕置きスイッチ】という謎アイテムまである。

 

「どっちもジョークアイテムだねー。試しに使ってみようかー」

「おい!?」

 

コーヒーの言葉を無視してミキは赤いカードを掲げ、端末のような装置のボタンを押す。

 

『メイプル、タイキック』

『サリー、ビンタ』

「「「「「…………は?」」」」」

 

何処からともなく聞こえてきた機械音声に、その場にいた一同は間抜けな声を洩らす。

その直後。

 

「痛ぁいっ!?」

「ブフゥッ!?」

 

外から聞き慣れた二人の声が聞こえてくる。

コーヒー達は慌てて外へ出ると、そこにはお尻を押さえて蹲っているメイプルと、同じく蹲って頬を押さえているサリーがいた。メイプルとサリーの近くには二人の少女がおろおろしていた。

 

「「「「「…………」」」」」

「あー、これはギルドー、パーティーメンバー限定でー、使用者が思い浮かべた相手に対して発動するみたいだねー」

「……とりあえず、大丈夫か?」

 

カスミが心配してメイプルとサリーに言葉をかける。

 

「うう……お尻が痛いよぉ~……」

「…………」

 

メイプルは泣き言を洩らし、サリーは無言で立ち上がる。

そして、そのままミキに歩み寄り―――【お仕置きスイッチ】を乱暴に奪い取った。

 

「んー?」

 

【お仕置きスイッチ】を奪われたミキが首を傾げる中、サリーは無言のままスイッチを押した。

 

『ミキ、電気ショック』

「あばばばばばばばばばっ」

 

機械的な音声が響いた直後、ミキが奇怪な声を上げて倒れ込む。

 

「さ、サリーちゃん……?」

 

明らかに不穏な空気を発するサリーにクロムが不安を覚えて声を掛けるも……サリーは無言でスイッチを連続で押した。

 

『コーヒー、○ちゃん蹴り』

『クロム、カンチョー』

『カスミ、くすぐり』

『カナデ、スリッパ』

『イズ、回転』

 

その後、【お仕置きスイッチ】と【タイキックカード】はNPCに売って処分する事がギルド会議で決まるのであった。

もちろん、メイプルがスカウトしたSTR極振りの双子プレイヤー、マイとユイの加入も正式に決まった。

 

 

 




オリキャラどうしようかな……もう一人追加しても大丈夫かな?
悩ましい……
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