スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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悩んだ結果、思いきってまた追加!
てな訳でどうぞ


レベル上げに行ったのでは?

メイプルと新しく加入したマイとユイが揃ってログインした日。

サリーはマイとユイに顔全体を覆い見えなくする頭装備を渡していた。

 

「念のために予備も渡しておくけど、メイプルの指示に従って使ってね」

「「は、はい!」」

 

サリーの言葉にマイとユイは素直に頷いて答える。

ちなみに黒髪のマイが姉で白髪のユイが妹だ。妹の方がしっかりしていそうで逆のように見えないこともないが。

 

「それじゃあ、行こうか」

「「はい!」」

 

メイプルに引き連れられて、マイとユイはギルドホームから出ていく。

それを見送ったコーヒーとクロムも揃ってギルドホームから出ていこうとする。

 

「二人も行くんですね?」

「まあな。カスミとミキはもう行ってるしな」

「ミキの方は変なのを持ってきそうだけどな」

 

コーヒーの言葉にサリーとクロムは確かにといった感じで肩を竦める。

現在の季節は夏。夏の期間中は全モンスターがギルドのサポート性能を上げるアイテム【スイカ】を低確率でドロップするのだ。

つまり、ステータスアップが今回の目的である。

 

「メイプルが二人のレベル上げに行っている間に、私達はギルドの強化ですね」

「レベル上げは……ひょっとして【毒竜の迷宮】か?」

「正解。彼処なら人目も少なく短期間のレベル上げに向いてますからね」

 

サリーが言う人目の少ないとは、高確率で【暴虐】に関することだろう。あれは間違いなくド肝を抜かれる手札であり、温存しておくに越したことはない。

 

「そうなると……二人はどんなスキルを手に入れて帰ってくるんだろうな?」

「まあ……メイプルがいるからね。普通じゃないスキルが手に入っても……ね」

「ウチのギルドマスターは【異常】の最先端だからなぁ……」

 

苦笑いするクロムのその言葉に、コーヒーとサリーも確かにと苦笑いする。

そして、コーヒーとクロムはギルドホームを後にし【スイカ】を集めて帰ったのだが……

 

「流石メイプル。また予想を上回ったな……」

「以下同文。何でレベル上げに行って勧誘してるんだよ……」

「んー?新しい人ー?」

 

もう一人連れて帰ってきたことに、ミキ以外は苦笑いするのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

―――時は遡る。

メイプルとマイとユイが【毒竜の迷宮】にもうすぐ到着しそうというところで、それは起きた。

 

「あれ?メイプルさん、ダンジョンの前に人がいますよ」

「あ、本当だ。どうしよう」

 

ユイが指差す先には、杖を持った初心者装備のプレイヤーがダンジョンの前に佇んでいる。

此処に来たのは人目につかないようにマイとユイのレベルを上げる為だ。既に人がいる状態ではレベル上げはともかく、【暴虐】を使うのは少々まずいかもしれない。

 

「んー、取り敢えずここであれを装備しておこうかー。マイちゃん、予備の頭装備を私にも渡して」

「あ、はい。分かりました」

 

メイプルの指示に従い、マイとユイはサリーに渡された装備を装備し、人相を隠す。

マイは予備として渡されていた頭装備をメイプルに渡し、メイプルもすぐに装備して人相を隠す。

一先ず、これで人相が分からなくなったメイプル達は、再びダンジョンに向かって歩いていく。

 

ダンジョンの目と鼻の先の距離になると、ダンジョン前にいたプレイヤーの姿がはっきりとしてくる。

後ろ姿だが、薄い緑の髪に特徴的な二本の長いアホ毛がある少女のようだ。身長はマイとユイと同じくらいである。

 

「解毒剤はOK。ポーションもHP、MP両方ある……よし、行こう!」

 

アホ毛の少女は両手で持った杖を握りしめて、ダンジョンの中へ入ろうとする。

 

「ねえ、一人でどうしてこんなところにいるのー?」

「わきゃあっ!?」

 

そのタイミングでメイプルが声をかけたため、アホ毛の少女は悲鳴を上げて若干飛び上がる。

アホ毛の少女は恐る恐るといった感じで振り向くと、ビビったように後退っていく。

 

「あはは、怪しくないから大丈夫だよ」

「あの……流石に怪しいと思いますよ……」

「うん……私もそう思うよ……」

 

メイプルのその言葉に、マイとユイが少々辛辣とも取れるツッコミを入れる。

突然背後から現れた人相を隠したプレイヤー三人。普通に怪しい集団である。

 

「だ、誰なんですか……?」

 

普通にビビっているアホ毛と赤目の少女に、流石にメイプル達は一端装備を外してから再び話しかけることにする。

 

「そんなに恐がらなくても大丈夫だよー。私達は此処にレベル上げしに来ただけだから。それで……ええと……名前は何て言うのかな?」

「……シアン……です……」

 

メイプルの質問に、アホ毛の少女はびくびくしながらも自身のプレイヤーネームを明かす。

 

「シアンちゃんかー。私はメイプル。こっちの二人はマイちゃんとユイちゃん。シアンちゃんはどうして此処に一人で来たの?」

「……えっと、その……毒耐性スキルを何とか手に入れようと思って……」

 

自己紹介したメイプルの疑問に、シアンは迷いながらも此処に来た理由を明かし始めていく。

 

「私は……INTにポイントを全部振っていて……それでどこにも入れなくて……【毒耐性】を手に入れたら……パーティーに入れるんじゃないかと思って……」

「あー……ちなみにINTに極振りしたのはどうしてかな?言いたくないなら言わなくてもいいよ?」

「いえ、そんな大した理由でもないので……INTの極振りなら、派手な魔法が使えるかと思っただけですし……」

 

どうやらシアンもメイプル達と良く似た理由だったようだ。

 

「あの……メイプルさん。出来れば、シアンちゃんも一緒に出来ないでしょうか?」

「うん……私もユイと同じ、シアンちゃんを……」

「いいよ!シアンちゃんさえ良ければ、私達のパーティーに入らない?さらに良ければ、私達のギルドに入らない?」

「……いいんですか?」

 

まさかの勧誘にシアンは信じられないといった表情で聞き返す。

 

「うん!私はギルドマスターだし、それに私はVITの極振りだからね!」

「私とお姉ちゃんもSTRの極振りだから、シアンちゃんと一緒だよ!」

「うん!同じ極振りだから、ね?」

 

三人の言葉に、シアンは驚きつつも深々とお辞儀した。

 

「ふつつかものですが……よろしくお願いします!」

「よろしくねシアンちゃん!さっそくだけどこれを装備して!」

 

メイプルはそう言って、例の人相を隠す頭装備をシアン渡す。

 

「えっと、どうしてこれを?」

「秘密兵器を隠す為だよ!慈しむ聖光 献身と親愛と共に この身より放つ慈愛の光を捧げん―――【身捧ぐ慈愛】!」

 

メイプルは【口上強化】を施した【身捧ぐ慈愛】を発動し、シアン達の目の前で天使の姿となる。

 

「え?え?」

「やっぱり驚くよねー」

「うん。私とユイも驚いたもん」

 

いきなりメイプルが天使の姿となったことにシアンは困惑の声を上げ、マイとユイは懐かしそうに呟く。

 

「我が身体に宿るは悪魔の化身 我が呼び掛けに応え この身を依り代にして具現せよ―――【暴虐】!」

 

続けてメイプルは【暴虐】を発動。天使から一転、今度は化け物の姿となる。天使の羽と輪っかは消えたが、スキルの効果までは消えていない。

 

「…………」

「シアンちゃん、大丈夫?」

「気持ちは分かるよー。お願いだから現実に帰ってきてー」

 

あまりの情報の多さと衝撃に、シアンは目が点となってフリーズしてしまっている。

マイとユイは二回目プラスシアンの反応で冷静なまま、シアンを現実に戻そうと肩を揺すっている。

こうして、マイとユイのレベル上げにシアンも加わることになるのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「そんな訳で、シアンちゃんも【楓の木】に誘っちゃいました!」

「本当に凄いタイミングね……ちなみに成果はどうだった?」

 

ドヤ顔で事の顛末を告げたメイプルに、サリーは苦笑しながらレベル上げの成果を聞く。シアンの加入には誰も反対の声を上げず、むしろ歓迎する姿勢である。

 

「うん!ばっちりだったよ!おかげで三人とも新しいスキルも手に入れたしね!」

 

メイプルが嬉々として告げたタイミングで、後ろに控えていた三人はそれぞれ手に入れたスキルを説明していく。

 

「私とユイは【侵略者】と【破壊王】を手に入れました。【侵略者】はボスを一定時間以内に規定数倒すと手に入るスキルで、STRが二倍になります」

「【破壊王】はダンジョンのクリアタイムが規定値になると出てくるスキルです。こちらは本来一つしか出来ない装備が二つ装備出来るようになります。どちらもSTRがかなり必要です」

 

STR二倍と両手武器の二刀流スキル。これは確かに強力だ。間違いなく【大物喰らい(ジャイアントキリング)】も取得しているだろうから、実質四倍である。

 

「私は……【大賢者】と【叡智の結晶】、【漏れ出る魔力】が取得出来ました。【大賢者】は【侵略者】と良く似てますが、魔法のみを使うことが追加されています。効果もINTが二倍で、要求されるINTも高めです」

 

シアンも似たようなスキルを取得したようだ。極振りプレイヤーは倍加スキルの取得率が以外と高いかもしれない。

 

「次に【叡智の結晶】は取得条件が【侵略者】と似ていて、効果は物理攻撃が0になる代わりに、魔法の威力と効果、範囲が二倍となります。最後に【漏れ出る魔力】はMPポーションによる回復が一定時間内に規定回数に達すると覚えられます。MPポーションで回復した際、余剰分が最大1000まで反映されます。こちらも高いINTが要求されます」

 

シアンがこの三つのスキルを取得できたのは、ある意味メイプルのお陰である。

メイプルが魔法使いなら、攻撃は魔法が良いよね!という考えの元、ミキから大量に貰っていたMPポーションも放出して行わせた結果、これらのスキルをシアンが取得したのだ。

 

実際、INT極振りな為、シアンのMPは低く、魔法を一回使う度にポーションの回復を行っていた。道中もメイプルを援護するためにも魔法を使っていたのでその回数は明らかに多かったのだ。

 

「……本当にメイプルが関わると凄いことになるわね」

「というか、この三人とメイプルのパーティーは本当にヤバい気がしてきた」

 

遠くにいても高火力の魔法が放たれ、近づいても二人の高威力の物理攻撃が飛び、よしんば突破して攻撃しても貫通攻撃か超高火力でもない限りダメージ0。

 

「……完全に戦車だな」

 

何とも言えない表情のカスミの呟きに、全員がうんうんと頷く。

装甲(メイプル)で防ぎ、車体(マイとユイ)で近づく者を潰し、主砲(シアン)で彼方の敵を吹き飛ばす。

まんま、戦車である。

 

「後、シアンちゃんは光魔法と闇魔法を取得してるよ!!」

「訂正。ただの戦車じゃなくて自動修理機能を搭載した戦車だったな」

 

メイプルの報告を聞いたコーヒーの言葉に、約一名以外は遠い目でうんうんと頷く。

苦労してダメージを与えても直ぐ様回復されたら……もう本当に最悪である。殆ど打つ手が無くなってしまうのだから。

 

「……メイプルが味方で良かったな。うん」

 

コーヒーのその言葉に、全員が同意するように頷くのであった。

 

―――運営では。

 

「……まーたメイプルだよ」

「今度はSTRとINT極振りの新人プレイヤーかよ……」

「メイプルが関与すると、何でこう、おかしな方向に進むのかな……」

「知るわけないだろ」

「ミキも【俺達の悪ふざけアイテム】をどんどん釣り上げていくし……」

「……ジョークアイテムを増やしてみるか?」

「……考えておこうか」

 

またしても頭痛と胃痛に悩まされるのであった。

 

 

 




シアンの容姿は名前の通り。髪の色だけ変えました
書いててやり過ぎ感を感じましたが……後悔はない!
感想お待ちしてます
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