スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


戦いは既に始まっている

機械の天使と戦い終えたコーヒーは、ギルドホームに帰ってきていた。

 

「誰もいないのか……少し休憩したら【スイカ】を集めにでも行くか?」

 

コーヒーは次の行動を考えながら、椅子に背中を預けて寛いでいく。

しばらく休んでいると、ミキが帰ってきた。

 

「ただいまー。今はコーヒーだけー?」

「そうだが……そのクーラーボックスはなんだ?」

 

ミキの肩に吊り下げられている白いクーラーボックスにジト目を向けるコーヒーに、ミキは少し得意げそうに説明していく。

 

「これはー、三層の湖畔で釣り上げたんだー。これがあるとねー、釣り上げたアイテムは此方に無制限にしまえるんだよー」

「うわぁ……完全に人間倉庫だな」

 

ある意味凶悪なアイテムを手に入れたミキに、コーヒーは軽く引き攣らせる。

他のプレイヤーでは素材しかしまうことが出来ないが、ミキは素材以外のアイテムを釣り上げることが出来る。つまり、ポーションや爆弾等のアイテムが大量に持ち込めるのである。

 

「後ー、ジベェが【津波】を覚えたんだー。【津波】はー、範囲が広くて威力も高そうだけどー、無差別攻撃なんだよねー」

「……俺も人の事は言えないが、どんどん凄いことになっているな」

 

無差別だから使い所を選ぶ必要があるだろうが、それを差し引いても【津波】が強力そうなスキルであることは想像に難くない。

 

その後、カナデ、服が変わったイズ、クロム、カスミが順番にギルドホームに帰還し、メイプル、サリー、マイとユイ、シアンは一緒で帰ってきた。

全員が揃ったタイミングで、サリーがフレデリカと決闘し、嘘の情報を持ち帰らせた事を明かした。

 

「存在しないスキルを、あたかも実在するように思わせるとは……」

「彼女が驕っていたお陰でね。【攻撃誘導】と偽【流水】というスキルをまんまと信じてくれたわ」

「【攻撃誘導】は実体の無い魔法を誘導して回避するスキル……偽【流水】は実体のある攻撃を弾くスキルとして、か……」

「しかし、なんで【流水】を偽装したんだ?それは実在するスキルなんだろ?」

 

クロムの疑問に、サリーは少々悪どい笑みを浮かべながらその理由を明かしていく。

 

「厳密には【一式・流水】。【流水】単体ではスキルとしては発動しない。どちらも実在しないスキルと判断したところで本物を見せれば……相手は間違いなく混乱する。間違った情報は何も知らないより恐いからね」

 

サリーのその言葉に、一同は確かにと納得する。

【一式・流水】は実体の無い攻撃を弾けるようになる、非常に効果が分かりやすいスキルだ。それをフェイクと判断した時点で出せば、相手は疑心暗鬼に陥るだろう。

何が正解で何が間違っているのか、そこにも思考を巡らせらければならなくなるのだから。

 

「お陰で私達は【炎帝ノ国】の情報も手に入ったしね」

「ああ。ギルドマスター以外で、【炎帝ノ国】の警戒すべきプレイヤーは【崩剣】のシンと【トラッパー】のマルクス、上位入賞こそしていないが【聖女】ミザリーに【スナッチャー】のカミュラ、最後は【氷刃】のテンジアか……」

 

サリーがフレデリカから得た情報を反芻するように呟くカスミに、全員が顔を引き締める。

 

「【崩剣】と【トラッパー】は第一回イベントの上位入賞者だから当然として……【聖女】は惜しくも上位入賞を逃したものの回復魔法が凄いみたいだな」

 

クロムの言葉に、コーヒーはカミュラの謎の宣戦布告を思い出して半目となる。

 

「そういえば、今日そのカミュラと会ったんだが……何故か俺とクロムとカナデに宣戦布告してたんだよな」

「へえ、そうなんだ」

「……なんで俺まで対象なんだ?」

「何か……最後に非リア充云々と言ってそのまま立ち去ったんだ」

 

コーヒーのその言葉にカナデは首を傾げ、クロムは何となくだが理解した。

【楓の木】は女性プレイヤーの割合が大きい。つまり……唯の嫉妬であると。

 

「しかし、カミュラとテンジアはイベントで話題にすら上がらなかったぞ?」

「考えられるとしたらー、マイちゃん達のような期待の新人かもねー」

「その可能性は十分にあるわね。私達もシアンちゃん達を隠しているしね」

 

イズのその言葉に全員が頷く。この分だと、【集う聖剣】側にもそういったプレイヤーが居ても何らおかしくはない。

 

「フレデリカの情報だと、カミュラはメイプルとクロムさんと同じ大盾使い。テンジアは長剣を二振り装備しているプレイヤーだそうね。テンジアって人はマイとユイと同じく、【破壊王】を持っている可能性がある」

「まあ、本来は両手持ちの長剣を二つも装備していたらその可能性を疑うよな」

「二人の装備と戦闘スタイルは不明だが……存在を掴めただけ十分だな」

「出来れば【集う聖剣】の情報も欲しいところだけど……」

 

サリーがそう呟いたタイミングで、運営からイベント内容の詳細なメッセージが届く。

コーヒー達は会議を一旦中断し、イベントの詳細を確認することにする。

 

「今回のイベントは第二回と同じように、時間加速が働くのか」

「期間は四日かー。約半分くらいだねー」

 

これはプレイヤー達が知るよしもないことだが、運営は元々、イベント期間は五日設けることを予定していた。

しかし、【楓の木】が大暴れする可能性を考慮し、それを警戒して四日に削ったのである。

 

「で、第四回イベントの内容はギルドごとに配備されるオーブの防衛と争奪か……」

「自軍のオーブが自軍にある時は六時間ごとに1ポイント。小規模の場合は2ポイント加算されると」

「他のオーブを奪って自軍に持ち帰って三時間防衛することで2ポイント加算。逆に奪われたギルドはマイナス1ポイントか……」

「それもギルドの規模によって変わるみたいですね」

 

シアンが通知の画面とにらめっこしながら発した言葉に、マイとユイが補足していく。

 

「うん。小規模ギルドの場合はマイナス3ポイント」

「中規模ギルドの場合はマイナス2ポイントですね。防衛が成功したら、奪ったオーブは元の位置に戻るそうです」

「三時間以内に取り返したら増加も減少も無し。ギルドメンバーと自軍オーブの位置はマップで把握できるみたいだね」

「奪ったオーブはアイテム欄に入るようね。それに、地形は小規模のギルドが防衛しやすいところに、逆に規模が大きくなると不利な地形に配置されるとあるわ」

 

【楓の木】は小規模ギルドなので、地形は防衛しやすく、得られるポイントは2ポイントだ。

 

「後、ギルドに所属してないプレイヤーは参加申請すれば複数作成される臨時ギルドのどれかに参加できるそうだ」

「死亡は回数は一回で5%減って、二回で15%、三回で30%、四回で50%、五回目でリタイア……と」

「プレイヤーが全滅したギルドはオーブも消失。同じギルドから奪えるオーブは一日に一つだけ、と」

 

大体のルールが把握できた一同はイベントにおける立ち回りについて話し始めていく。

 

「まずデスペナは極力避けた方がいいな。ウチは人数が少ないから、捨て駒戦法は首を締めるだけでしかないからな」

 

クロムの意見は最もだ。【楓の木】は現在11人。数の暴力で攻めるには全く向いていない。

 

「防衛と攻撃の人数も考えないとね。最大の問題点は疲労が溜まりやすいことね」

「確かに。夜襲もあるから人数が少ないとそうそうに休めないだろうな」

「そっか……前と違ってずっと戦闘になるんだね」

 

戦闘が続けば休む暇もなくなって次第に判断力が鈍っていく。特にメイプルが離脱している間は防衛戦力が大きく下がってしまう。

 

「それに、メイプルの【悪食】には回数制限がある。まず間違いなく弱体化していることがバレる。ほとんどのスキルに回数制限があると気づかれたらやばい。そうなると、一日の終わりが最も危険になる」

 

「確かに……」

 

サリーの言いたいことを理解し、メイプルも難しい顔で頷く。

 

「CFの場合は機動力があるから、防衛より奪取に動いてもらった方が良い。だから、今回の肝はメイプルの温存に掛かっている……と思うわ」

「確かに。メイプルのスキルは初見殺しが多いからな」

 

クロムの言葉に全員が頷く。

 

「そうなると、防衛はメイプル、マイ、ユイ、シアン、サポートにイズさんかな。人間戦車パーティーなら、大概の敵は返り討ちにできるだろうし」

「私もCFと同意見ね。イズさんには少々キツいと思いますが……」

「大丈夫よー。この新装備でどこでも作れるようになったから」

「「……え?」」

 

イズからの予想外の報告にコーヒーとサリーが目が点となる中、イズは新しい装備のスキルについて明かしていく。

 

「ゴールドを一部アイテムに変換、どこでも工房を展開できて、さらに新アイテムを自分で作れる……」

「ええ。私にぴったりのスキルでしょ?」

 

イズの言葉に全員が頷く。何故なら、イズはお金さえあれば、爆弾をその場で作ることも可能となったのだから。

 

「そういえばミキも釣ったアイテムは無尽蔵にしまえるようになったんだったな……」

「そうだよー。釣り上げたアイテムならー、いくらでもしまえるよー」

「……一度、全員が今出来ることを確認しようか」

 

サリーのその言葉に、全員が現在取得しているスキルを改めて説明していく。

結果、メイプル、マイ、ユイ、シアン、イズが防衛班。

コーヒー、サリー、クロム、カスミが攻撃班。

カナデとミキが両方を兼任することとなった。

 

「当日は全員参加出来るから、それぞれが出来ることをやっていきましょ」

「俺とカスミ、コーヒーは資金集めとレベルアップの為にモンスターと戦ってドロップアイテム集め」

「私達は特訓してレベルアップです!」

「ボクはー、ギルドホームで釣りをしてアイテムの調達かなー?」

「私は色々とアイテムを作っておくわ」

「僕は最上級MPポーションの素材集めだね」

「サリーは自主訓練、メイプルは……自由でいいだろう」

 

そうして、それぞれがそれぞれに出来る最善を当日まで続けていく。

マイとユイ、シアンの装備も完成し、マイとユイは髪の色に合わせた可愛らしい服装と大槌。

シアンは白を基調とした浴衣みたいな服に蝶をイメージしたような杖と髪止めである。

 

さらに、ミキが資金を出してメイプルのあの素材アイテムで、メイプルのユニーク装備に合わせた漆黒の王冠も作り上げた。

 

詳細は不明だがイズ曰く、「コーヒーの装備よりヤバい」とのこと。その時点でほとんどのメンバーが遠い目となったのは言うまでもない。

コーヒーも連日ログインしてギルドの性能を上げつつ、自身とブリッツのレベルも上げていく。

 

「【電磁結界】……スキル発動から一分の間、《絆の架け橋》装備者はHPの代わりにMPを代償にすることでダメージを無効化するスキルか……使用回数は一日5回だが……かなり便利だな」

 

無論、MPが0になったら肩代わり出来なくなるが、新たな回避手段であることには違いない。

 

「【詠唱V】になったから、【口上詠唱】が出てしまったな……口上が追加できるのは、【リベリオンチェーン】、【ディバインレイン】、【グロリアスセイバー】辺りか……」

 

……新たにメンタルが傷つきそうなスキルも手に入ったが。

 

そして、イベント当日。

 

「目指すは上位で!」

「「「「「「「「「「異議なし!」」」」」」」」」」

 

全員が円陣を組んで手を重ね合わせたところで、【楓の木】のフルメンバーは揃って光に包まれてバトルフィールドへと転移されるのであった。

 

 

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コーヒー

Lv.65

HP 475/475(+124)

MP 203/203(+69)

 

STR 42(+90)

VIT 5(+31)

AGI 105(+112)

DEX 82(+94)

INT 36(+86)

 

頭装備 幻想鏡のサングラス・夢幻鏡 【HP+50 MP+20 AGI+40 DEX+30 INT+15】

体装備 震霆のコート・雷帝麒麟 【VIT+16 AGI+32 INT+16】

右手装備 雷霆のクロスボウ・閃雷・魔槍シン 【STR+70 DEX+40 INT+30】

左手装備 カレイドエピラー・ミラートリガー 【DEX+5】

足装備 黒雷のカーゴパンツ・クラスタービット 【HP+14 MP+14 DEX+19】

靴装備 迅雷のブーツ・疾風迅雷 【AGI+40 INT+20】

装飾品 絆の架け橋

    ブルーガントレット 【HP+30 MP+15 STR+20 VIT+15 INT+5】

    マジックリング 【MP+10】

 

スキル

【狙撃の心得X】【弩の心得X】【一撃必殺】【気配遮断X】【気配察知X】

【しのび足X】【雷帝麒麟の覇気】【無防の撃】【弩の極意III】【避雷針】

【聖刻の継承者】【フェザー】【ソニックシューター】【フレアショット】【フリーズアロー】

【砕衝】【地顎槍】【アンカーアロー】【流れ星】【扇雛】

【パワーブラスト】【チェイントリガー】【雷翼の剣】【跳躍X】【壁走りX】

【体術VIII】【連射X】【魔法の心得III】【遠見】【暗視】

【鷹の目】【スナイパー】【狩人】【毛刈り】【射程距離強化大】

【釣り】【水泳IX】【潜水IX】【水中射ちV】【採掘X】

【HP強化小】【MP強化小】【毒耐性中】【属性強化】【口上強化】

【名乗り】【詠唱V】【口上詠唱】【MPカット中】【MP回復速度中】

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