スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


第四回イベント開始

光が薄れると、目の前には緑色に輝くオーブとそれが乗った台座が見える。ここが自軍であることはすぐに理解できた。

広い部屋から伸びる通路は三本。内二本は台座の後ろ側だ。

 

「こっちの通路は行き止まりで水場があるくらいだったわ」

「こっちは特に何もなかった。横になることは出来るだろうな」

 

手早く通路を確認しに行ったサリーとカスミが戻ってきて報告する。

 

「となると、正面の通路が外に繋がるルートか。確かに防衛しやすいな」

「正面からしか来れないなら、背後からの奇襲の心配がないからな」

「それじゃ、予定通りに。CFは最初は魔法抜きでよろしく」

 

サリーのその言葉にコーヒーは頷く。今回の作戦を考えれば、素性が割れない方が都合が良いからである。

メンバー全員が外見を隠すためだけのローブを着る。理由はもちろん、素性を隠すためである。

 

「それじゃー、【身代わり人形】は防衛班とー、クロムとカナデに渡すねー」

 

ミキがクーラーボックスから一体ずつ藁人形を取り出し、メイプルを筆頭とした防衛班全員とクロムとカナデに渡していく。

【身代わり人形】はミキが釣り上げたアイテムの一つであり、その効果は所有者が死亡する時、そのダメージを肩代わりして消滅するという便利アイテムだ。

 

ただ、ミキがクーラーボックスにしまっている【身代わり人形】の数には限りがあり、加えて持てる数は一人につき一つ。なので、【身代わり人形】は先のメンバーが優先して持たせることが決まっていた。

ちなみにサリーは保険として進められた際、悩んだ末に断った。理由は藁人形……オカルト系アイテムだからである。

 

イズも【身代わり人形】が量産できないか試行錯誤したが、必要なアイテムを割り出せなかった為、量産は現時点では不可能だった。

クロムが【身代わり人形】を自身のインベントリにしまったのを確認してから、攻撃班のコーヒー達は自軍から飛び出していく。

 

「敵を見つけた場合は、問答無用のキルでいいよな?」

「はい。それで大丈夫です」

「まずは近場の探索だな。周囲の安全を確保出来れば、多少は楽になるからな」

 

森の中を進みながら、現在の方針を確認しあっているとサリーが足を止める。

耳を澄ませば、他のプレイヤーの話し声が聞こえてくる。

 

「私が適度に潰しつつ誘導します。CFは援護をよろしくね」

「オーケー」

「了解」

「私とクロムはここの茂みに隠れておくぞ」

 

カスミとクロムは近くの茂みに隠れ、サリーとコーヒーは木の枝を器用に渡って声が聞こえた方に向かう。

向かった先にいたプレイヤーは五人。周囲の警戒は少し散漫のようである。

 

「私が最後尾を殺ったら、CFは間髪入れずに追撃して。その後は誘導で」

 

サリーの指示にコーヒーは頷き、クロスボウを構える。

そして、サリーが最後尾の男を背後から両手のダガーで首元を切り裂いた。

 

「うわあああああああっっ!?」

 

突然の奇襲に男は叫び声を上げ、そんな男にサリーは容赦なく追撃して始末する。

その叫び声に、他の四人がそちらへと向いたタイミングでコーヒーはクロスボウの引き金を引く。

 

「ぐあっ!?」

 

肩に矢が刺さった男は悲鳴を上げて反射的に矢が刺さった箇所を押さえる。

突然の襲撃者達に四人が動揺する前で、コーヒーとサリーはダッシュでその場を後にする。

 

「お、おい!待て!」

 

四人は混乱したまま、コーヒーとサリーの後を追いかけていく。

コーヒーとサリーは、四人が見失わない程度の速さでクロム達の下へと誘導し―――容赦なく罠に引っかけた。

 

「やっ……ばっ!」

 

先頭の男が刀と鉈の餌食となったことで罠だと気づくも時すでに遅く、三人目はコーヒーの振り返りざまのヘッドショットで儚く散っていく。

 

「撤退……」

 

女性プレイヤーは逃げようとするも、サリーの炎の玉が直撃してバランスを崩し、クロムの鉈で止めを刺される。

 

「ひ、ひぃいいいいっ!!」

 

残り一人となったプレイヤーは一目散に逃げ出し、コーヒー達は追撃せずにそれを見守る。

無論、一人だけ逃がしたのはわざとである。

一人では他のギルドを倒すことは普通は無理な為、すぐさま自軍へと引き返すからだ。

 

そんな鬼を自宅に招き入れる手助けをしてしまったプレイヤーはそれに気づくことなく、逃げ続けていく。

その追跡はサリー一人で行っている。人数が多いと尾行に気づかれるだろうし、サリーの位置を確認すれば簡単に後を追える。

そうしてマップを確認しながら進み、サリーの位置がいる場所まで到着した。

 

「あ、きたきた」

 

サリーが木の上から呼び掛ける。

 

「あの洞窟がそうか?」

 

目の前にある、木々に隠れて見つけづらい洞窟を見据えながらカスミが聞くと、サリーは頷いて肯定する。

 

「うん。私達と同じ小規模だと思う。何人いるかは分からないけど」

 

【楓の木】も入れようと思えば50人まで入れられる。だから、最小のギルドでもそれだけいる可能性は十分にある。

むしろ、【楓の木】の人数が少なすぎるだけなのだ。

 

「予定通りクロムが先頭で、俺が最後尾で行くぞ」

 

コーヒーの宣言通り、クロムを先頭にコーヒーを最後尾にして穴の中へと入っていく。

少し進んだ先にはオーブが台座に乗っているのが見え、近くには逃げ帰ったプレイヤーの話を聞いている30人程のプレイヤーがいる。

当然入口の方を向いているプレイヤーもいるため、侵入者であるコーヒー達に気づく。

 

「皆、構え―――」

「【地顎槍】」

 

ギルドマスターらしき男の号令を遮るように、コーヒーが先制攻撃を放つ。

放たれた矢はプレイヤーが密集している地面へと刺さり、地面が隆起して岩の槍としてプレイヤー達を貫いていく。

 

「よし、今の内に叩くぞ!」

 

クロムを先頭にして、コーヒー達はその後ろから付いていく。

出だしを挫かれた敵は何とか持ち直し、前衛が集団でクロムに斬りかかるもダメージを受けた瞬間からHPがぐんぐん回復していく。

 

コーヒーは安全な後方から矢を連続で放って敵の前衛に次々とヘッドショットを決め、【一撃必殺】が決まった相手は光となって消えていく。

そんな状況に前衛が逃げ腰になった瞬間、サリーとカスミも攻撃に加わり、瞬く間に蹂躙していく。

 

後方の魔法組も魔法を放って援護しようとするも、コーヒーが片っ端から撃って妨害している為それもままならなず、よしんば放っても、サリーとコーヒーは回避、カスミはクロムがカバーして凌ぐ。

結果、三分足らずで敵ギルドは全滅した。

 

「今回は上手くいったな。後ろからの援護があると本当に楽だな」

「ああ。サリーもだが、CFも味方で良かったと改めて思ったな」

 

クロムとカスミがコーヒーを誉める中、サリーが無防備となったオーブを回収する。

 

「カスミ、取り敢えずこれをクロムと一緒に持って帰ってくれる?私は周りの偵察をしてくる。この感じなら思ったより近くにギルドがあると思うし。CFは予定通り、少し遠目のところからオーブを集めてきて」

「ああ。奪ったオーブの場所はちゃんとマッピングしとけば良いんだよな?」

 

コーヒーの確認にサリーは首を縦に振る。

 

「ええ。オーブの場所の把握は私達が上位に食い込むためには必須だし、オーブがないギルドでもちゃんと場所はマッピングしておいて」

「了解」

 

方針を固めた攻撃班は、コーヒーとサリーは単独行動で戦場に残り、クロムとカスミは戦利品のオーブを持ち帰ることにした。

一方、【楓の木】には侵入者(ぎせいしゃ)がやってきていた。

 

「七人か……少し厳しいが、行けるな」

 

八人パーティーの先頭の男がオーブを守っている人数に少し思案顔となるも、微かに数で勝り、自分達の方が実力が上だと勘違いした彼らは自ら地獄へと進んでしまう。

 

「よし、行くぞ―――うわっ!?」

 

先頭の男が意気揚々と一歩踏み出した瞬間、地面が陥没して半数が穴の中へと落ちていく。

これは、ミキが設置したトラップアイテム【落とし穴】による罠である。

 

「輝け、【フォトン】!」

 

そのタイミングでシアンが杖を突き出し、白く輝く光の玉を飛ばす。放たれた光の玉は落とし穴へと向かい、落ちた連中を容赦なく吹き飛ばした。

 

「なっ……」

 

一瞬で半分の人数がやられた事に残りのメンバーが言葉を失っていると、更なる追撃が襲いかかってくる。

 

「「投擲投擲っ!!」」

 

マイとユイの可愛らしい声と共に迫り来る高速の鉄球の数々。その鉄球は容赦なくプレイヤーに直撃し―――無慈悲に葬っていった。

 

「【バリケード】の完成よー。次はこれで入口を塞いで【樽爆弾グレート】も設置しときましょうか」

 

イズがニコニコ顔でミキの釣り上げたアイテムを再現したアイテム―――【バリケード】と五つの【樽爆弾グレート】をマイとユイに渡す。

 

【バリケード】は簡単に言えば設置型の使い捨ての盾であり、【樽爆弾グレート】は【樽爆弾】を強化したアイテムだ。

 

どちらも重量が重く、設置したらマトモに動かせないのだが、STR極振りのマイとユイは軽々と持ち上げる。そのままイズが用意したアイテムを入口へと設置していく。

 

攻撃班が帰ってきたら、マイとユイがずらして道を開ければ問題もない。

爆発の余波もメイプルがいれば全く問題とならない。

そして、設置してから二分後……

 

「なんだ?このバリケードは?」

「とにかく破壊するぞ!」

 

新たな侵入者(ぎせいしゃ)が訪れた。今度は12人である。

 

「さっそく来たわね……えい♪」

 

イズはそう言って、素材が少なくて済むが、威力が低い爆弾を設置した【樽爆弾グレート】に向けて投げ飛ばす。

イズが投げ飛ばした爆弾単体では大した効果は望めないが―――【樽爆弾グレート】を爆発させるには十分である。

 

「【身捧ぐ慈愛】!」

 

メイプルが範囲防御を展開した直後、盛大な爆発が起こる。設置したバリケードはもちろん、12人のプレイヤー達も跡形もなく吹き飛ばし、二度目の防衛を成功させた。

防衛班はメイプルのおかげで無傷である。

 

「次はどうしますか?」

「んー、粘着トラップにしてみようかな?動けなくなったところをマイちゃんとユイちゃん、シアンちゃんで吹き飛ばそう!!」

「それじゃ……クロムから入口前に戻ってきたと連絡が来たわ」

 

これは事前に決めていたことだ。トラップアイテムは基本的には無差別な為、撤去のためにも入る前には必ずメッセを飛ばすように取り決めていた。

 

「今は罠がないから大丈夫……と」

 

イズはすぐに返信のメッセージを返し、すぐにクロムとカスミが拠点に戻ってくるのであった。

 

「おかえりー。オーブを持って帰ってきたの?」

「ああ。わりと近くに他のギルドの拠点があった」

「それでサリーが周辺の偵察に、CFが予定通りに動いている。ミキとカナデは?」

「二人は奥の部屋にいるよ。ミキはアイテム補給、カナデは魔法の備蓄中だよ」

 

この場にいない二人の所在を聞くカスミに、メイプルが答える。

 

「そうか。ミキなら何か役に立つアイテムを釣り上げるだろうな。このフィールドにはモンスターは出てこないしな」

 

クロムがうんうん頷いていると、シアンが続けて報告する。

 

「カナデさんは、今日のスキルでコーヒーさんと同じスキルを引いたと言っていました。それで、その魔法を魔導書として保存しているところです」

「……本当にカナデの引きは凄いな」

 

クロムのその言葉に、全員が頷くのであった。

 

 

 




オリ主達によって敵さんは涙目ですネ!
【楓の木】はどこまで暴れるかな?
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