スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


連続クエスト

【楓の木】が全員揃ったところで、一同はそれぞれがバラバラに広い町の探索を開始した。

やはりこれだけ広いと町の全容を把握するのが難しく、後で情報共有して全容を把握するしかないだろう。

コーヒーも一人、道を歩いて町の中を探索していた。

 

「へぇ……小舟や人力車で移動できるのか……メイプル達には嬉しい仕様だな」

 

もちろんNPCに代金を払わないといけないし、決められた場所にしか運んでもらえないが。

 

「取り敢えず、建物の中も確認しておくか」

 

コーヒーは片っ端から建物の中に入り、調べていく。

建物の中は基本NPCショップでこれと言ったものはない。

 

「ここは……魚屋か?」

 

次に入ったお店は水槽が幾つも地面に置かれた店だった。水槽を泳ぐのは金魚や錦鯉……観賞魚である。

見た限り、ギルドホームに設置できるインテリア系のアイテムを売っているお店のようだ。ちなみに値段は五桁と結構高い。

 

奥には店主のNPCが一人正座で座り、隣には小さな水槽がある。

コーヒーはその水槽に近づいて覗き込むと、水槽の中には元気のない鯰が一匹いた。

 

「それは売り物じゃないよ……儂が飼っている大事な魚さ……今は元気がないがの」

 

老人の店主が悲しそうに告げた途端、コーヒーの前に青いパネルが表示される。

 

===============

クエスト【鯰の戯れ】を受注しますか?

《Yes》/《No》

===============

 

「クエストか……受けて損はないよな」

 

コーヒーはあっさりと受ける事を決め、ボタンを押す。

そうして、店主は溜め息と共に話し始めていく。

 

「この鯰は少々特殊での……雷神様が降らす雷を食事としておるのじゃ……じゃが、もう二年以上は雷神様が雷を起こしてくれておらんでの。おかげで鯰は衰弱の一途を辿っておるのじゃ……」

「どうすれば元気にさせられるんだ?」

「……雷の恵みを与えること……それも並大抵の術者が使う雷ではほとんど足しにはならん……膨大な雷の恵みが必要じゃ」

 

店主がそう言った途端、鯰にゲージが表示される。これを満タンにすればいいのだろう。

クエスト内容も雷属性の攻撃を規定値になるまで行うようにと書かれている。

 

「放つは轟雷 形作るは天の宝玉 仇なす者に雷球を落とさん―――弾けろ、【スパークスフィア】!!」

 

なので早速、コーヒーは鯰に向かって【スパークスフィア】を放つ。

すると、雷球は鯰に吸い込まれるように消えていき、表示されているゲージも三分の一が黄色に染まる。

これを三回繰り返すと、ゲージは満タンとなり、鯰も体に帯電させながら元気に跳び跳ねた。

 

「おお!鯰が元気になった!!若者よ、ありがとうのう」

 

店主は嬉しそうに声を上げ、深々と頭を下げてお礼を言う。

鯰は水面から顔を出すと、口から光を吐き出す。

吐き出された光は次第に弱まっていき、一枚の木製の札となった。

 

「これは……どうやら鯰はお礼にそれをお前さんに渡したいそうじゃ。良かったら貰ってやってくれんかの?」

 

店主はそう言って札を拾い、コーヒーに差し出す。

札には【雷神の証・壱】と書かれている。取り敢えずはこれがクエストの報酬のようなので、コーヒーは頷いて受け取る。

 

「実は、他にも似たような状態の子がおっての。出来れば助けてやってくれんかの?」

「場所は?」

「壱の鳥居と弍の鳥居の間にある町の何処かじゃ。鳥居は通行証がないと通れんから、無ければ町の者のお願いを聞ければ貰えるからの」

 

どうやら例の通行証は町の探索の為に必要不可欠なアイテムのようだ。

通行証のランクは伍。つまり、半分くらいは普通に進められそうである。

 

何かしらのキーアイテムである【雷神の証・壱】を自身のインベントリにしまったコーヒーは、次のクエストの為に探索を再開するのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

数日後。

コーヒー達は情報交換の為に全員ギルドへと集まっていた。

 

「それじゃあ、各自の成果を話し合いましょうか」

「私は即死効果を手に入れて着物を買ったよ!」

「……うん、それは後で話してね」

 

……またしてもメイプルは進化したようだ。

取り敢えず、サリーが話したのは通行証のこと。

通行証が無ければ町の探索が十分に行えず、ランクを上げるには面倒なクエストをこなさなければならないとのことだ。

 

「後、通行証とは別のクエストでこんなアイテムを手に入れたわ」

 

サリーがそう言って自身のインベントリから取り出したの木製の札。札には【水神の証・壱】と書かれており、コーヒーの持つアイテムと良く似ていた。

 

「俺達の通行証に似たアイテムだな。効果は?」

「効果は無し。これは何かのキーアイテムだと思う。あれからクエストをこなして似たアイテムを集めたしね」

 

さらにサリーはインベントリを操作し、札を四つ取り出す。札には全部【水神の証】と書かれており、数字は弍、参、肆、伍とある。

 

「もしかして、水魔法を対象にぶつけるという感じのクエストか?」

「そうだけど……もしかしてCFも?」

「此方は雷だ」

 

コーヒーはそう言って、自身が集めた【雷神の証】をインベントリから取り出す。数も五つでそれぞれに数字が刻まれている。

弍は蜂、参は雷鳥、肆は雷魚、伍は白蛇と種類がバラバラだったが、こなす度に要求される属性攻撃の総数量が増えていっているのだ。

 

「サリーの方はどんな生き物だったんだ?」

「ヤドカリ、蟹、蛙、アメンボ、鯉の順番ね。属性攻撃の総数量が多くなってるのも同じね」

「それなら次のクエストも……」

「陸の鳥居と漆の鳥居の間の町中。先に進めるには通行証のランクも上げないと駄目ってことね」

「この分だと、風神とか炎神もあるかもな」

「確かに有り得るなぁ……」

 

その後もそれぞれがこういったクエストがあったと話し合っていく。

ちなみにメイプルの即死効果は毒系統スキル限定。確率は20%とのこと。

しかも、【毒無効】があっても喰らえば運が悪ければ即死。ボスモンスターにも有効ときた。

 

クエスト内容は壺の中に閉じ込められての戦闘。それも毒をもった蠍、蜘蛛、百足、蜂や蛾等の昆虫モンスター。

スキル名も【蠱毒の呪法】と、確か中国にあった呪術を元にしたクエストとスキルであることが容易に想像がつく。

 

「……まあ、メイプル以外じゃやられて終わりだな」

「そうね。後、毒系統スキルがないと満足に使えないし」

 

その言葉に全員がウンウンと頷く。コーヒーも含めて、誰もメイプルが受けたクエストを挑戦しようとは思わないようだ。

 

「じゃあまた何かあれば!」

 

メイプルがそう言ったことで話は終わり、各自やりたいことに移っていく。

 

「俺は通行証のランク上げだな。サリーは?」

「私も同じかな」

 

コーヒーとサリーはクエストを進める為に通行証のランクを上げる為にギルドから出ていくのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

あれからおよそ三週間。

コーヒーはサリーとメイプルと一緒にギルドにいた。

 

「……通行証のランクが上がらないよー……」

 

ギルドの机に突っ伏したメイプルが泣き言を洩らす。

 

「まあ、メイプルは時間かかるもんね」

「ランク上げはお使いイベント……町の中と外をとにかく走り回るからな。しかも内容も採取から討伐まで多岐だから、どうしても時間がかかるよな」

 

メイプルだけでなく、マイとユイ、シアンの三人も相当苦戦している。極振りはこういうイベントでは本当に不利である。

ちなみにコーヒーとサリーの通行証の文字は漆、メイプルは変わっていない。

 

「例のクエストはそこまで難しくはないけど……MPの消費がなぁ……」

「うん。私の方はもうポーション無しだと無理ね」

 

通行証のランクが上がったことで、コーヒーとサリーは陸と漆の例の証を手に入れたのだが、要求される属性攻撃の総数量がどんどん多くなってきているのだ。特にサリーは魔法頼りなため、MPポーションに頼らないといけなくなっている。

 

ちなみにコーヒーの方は蜘蛛と子牛、サリーはナメクジと亀だった。

そんな中、確かに感じられる地鳴りが四層全体に発生した。

 

「うおっ!?」

「な、なに?」

「分からない……っと?」

 

突然の地鳴りにコーヒー達が驚く中、全員に運営からの通知が届く。

三人がメッセージを開いて確認すると、以下のことが書かれていた。

 

『プレイヤーが初めて玖の鳥居を突破したため、町が本来の姿を取り戻しました。また、これによりアイテム、クエストが追加されました』

 

「サリー!コーヒーくん!ちょっと出てみようよ!」

「うん、見てみようか」

「そうだな。確認しに行くか」

 

三人がギルドから出ると明らかに変わっている点があった。

 

「おお……あれは……」

「んー……見た感じ……鬼だね」

「四層は妖怪と呪術の町だったのか……」

 

町の中を歩くNPCは怪物や妖怪、鬼の姿に変わっており、店の店員も妖怪に変わっている。

というか、人魂まで飛んでいる。

 

「サリー?こういうのは大丈夫?」

「向かってこないし、驚かせてこないなら……いける!」

 

メイプルの質問にサリーはそう答えるが、表情は優れずついでに足も若干震えている。

 

「ひぃっ!?」

 

人魂がサリーの顔を横切ると、サリーは悲鳴を上げてメイプルにしがみつく。

 

「……取り敢えず、俺一人で探索してくるから」

「あはは……うん、分かったよ」

 

人魂にすっかりビビり腰となったサリーをメイプルに任せ、コーヒーは一人で町中を探索し始めていく。

猫又、首なが、のっぺらぼう、ひとつ目小僧……

完全に妖怪のオンパレードである。

 

「誰が到達したのかな……カスミさんがすんごい張り切っていたから、カスミさんが到達したのか?」

 

後日確認しようと考えていると、見覚えのある人物が細い路地へと入っている光景が目にとまった。

 

「テンジア……?あっちには何かあったか?」

 

コーヒーは疑問半分、興味本位半分でテンジアが入った細い路地に足を踏み入れていく。

だが、曲がり角が多い道の上に、それなりに距離もあったことからコーヒーはテンジアを見失っていた。最も、追いかけていた訳でもないので特に問題はないが。

 

「うーん……特に何もないな……ん?」

 

そんな中でコーヒーは一件のお店を見つける。

 

【ふわふわふれあいルーム】

 

「…………」

 

コーヒーは無言で扉を開けてお店へと入り、受付のNPCに代金を支払って奥へと進む。

そうして入った部屋の中には……ふわふわと浮かぶもふもふの猫が何匹もいた。

 

「…………」

 

コーヒーは無言のまま猫を抱き寄せた。

 

「……天国だ」

 

コーヒーはだらけ切った表情で呟き、もふもふを堪能していく。ブリッツはお腹がプニプニで触り心地が良いが、これも良い。

 

「……はぁぁ……癒されるぅ……」

 

こんな場所があるなら、もっと早くに見つけたかったと思いながら周りを見渡していると、座って猫を撫でていたテンジアと目があった。

 

「「…………」」

「……いつからいました?」

「最初からだ。お前もここを贔屓にしていたのか?」

「……いえ。このお店には始めて来ました」

「そうか」

 

何となく微妙な空気となる中、更なる来訪者が部屋へと入って来る。

 

「やっぱりここは癒されるなぁ~……あ」

 

声がした方にコーヒーが顔を向けると、そこにいたのは白いロングヘアーに青と白を基調とした服に身を包んだ女性―――変装したミィがいた。

暫しの沈黙からミィは咳払いして一言。

 

「兄上とCFも来ていたのか。奇遇だな」

「……あー、えっと……その……」

 

確かに知っている人が見ればすぐに気付くが、気の抜けた声からいつものカリスマ口調だと変装と合わさって逆に墓穴を掘ってしまっている。

 

むしろ、人違いのごり押しの方が良かったくらいだ。

何て言葉を返すべきか、非常にコーヒーが困っていると、またしても来訪者が訪れる。

 

「あ」

 

今度はメイプルであった。

 

「「…………」」

「えーと……その……」

 

コーヒーとミィが揃って無言となる中、メイプルが先程のコーヒーと同じような反応をする。

そんな状況で、何となく察したテンジアが助け船を出した。

 

「ミィ。こうなった以上は一切合切で話すべきだろう。二人もどう対応すればいいか困ってるからな」

「……分かったよ、お兄ちゃん」

 

ミィはそのまま今までの自分の態度が演技であったこと、素の自分を知られるのが恥ずかしくなり引っ込みがつかなくなった事を明かしていく。

 

「後、CFが【口上強化】と【名乗り】を広めたおかげで私も使わざるを得なくなって、もっと恥ずかしくなったし……」

「まさかあの気迫は……」

「……うん。恨みを晴らす絶好の機会だったから。お兄ちゃんの言葉を借りるなら千載一遇の好機だったから、絶対に燃やしてやろうと思ってました」

「ええー……」

 

まさかの八つ当たりにコーヒーは力なく言葉を洩らす。

 

「そもそも、何で広めたのよ?」

「……厨二病患者扱いされるのが嫌だったので。普通は使わないのが最善だと分かっていても、効果の魅力にも勝てなかった。なので、犠牲者を増やそうという考えで広めました」

「……苦労してるんだね」

 

心無しかコーヒーとミィは心の距離が縮まった気がした。

 

「そういえばテンジアさんって、四字熟語をよく使ってますよね?」

「四字熟語が好きだからな」

「ちなみに一番好きな四字熟語はなんですか?」

「響きで言えば百花繚乱だな。一心不乱、捲土重来も好きな四字熟語だ」

「そうなんですね!!」

 

その近くでは、メイプルとテンジアも仲良く話し合っていた。

その後、十分にもふもふを堪能した四人はせっかくだからという感じで一緒にモンスター狩りへと向かうのであった。

 

 

 




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