スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


主との戦い

最初に攻撃を仕掛けたのは鬼だった。

鬼は神業と呼ぶべき技量で雷の矢を矢継ぎ早に次々とコーヒーに向かって放っていく。

 

「【ヴォルテックチャージ】!舞え、【雷旋華】!!」

 

コーヒーは威力を増幅させた【雷旋華】でその矢の雨霰を防いでいく。

 

「深淵に潜む光 輝きは次代に継がれ 此処に顕現す―――【聖刻の継承者】!!」

 

続けてコーヒーは【聖刻の継承者】を発動させる。狙うは短期決戦。長期戦になると次第に自身が不利になると判断したからである。

 

「群れなすは光の結晶 暁を照らす光は我が従者 此処に顕現し我が守手となれ―――【クラスタービット】!!」

 

さらに【クラスタービット】を発動し、剣翼モードで自身の周囲に待機させる。

 

「【聖槍ファギネウス】!!」

 

【雷旋華】が切れたタイミングで、コーヒーは大技をすぐさま放ち無尽蔵のような槍の掃射を鬼に向かって放っていく。

鬼は刃の付いた弓で槍を次々と弾き飛ばしていくが、その度に空から星が降ってきてさらに攻撃の密度を増やしていく。【彗星の加護】もしっかり働いてくれているようだ。

 

「ブリッツ、【散雷弾】!!」

 

さらにブリッツにも攻撃を指示して雷の散弾を放たせる。ブリッツの雷属性の攻撃を鬼がどう対処するかによって【雷帝麒麟】の魔法が通用するか判断するのが狙いだ。

鬼はブリッツの【散雷弾】を体捌きで避ける。どうやら大幅な軽減効果は無さそうである。

 

「迸れ!【リベリオンチェーン】!!」

 

そこでコーヒーは【リベリオンチェーン】を発動させる。槍の弾幕を捌いている鬼を雷の鎖で縛り、攻撃をダイレクトに叩き込ませるのが狙いだ。

 

「【雷神結界】!!」

 

だが、鬼は【リベリオンチェーン】が目と鼻の先の距離となった時点でそう告げる。すると、鬼の周囲に雷の壁が地面から湧き出て、鬼を覆い隠してしまう。

そして、雷の鎖は弾かれ、槍と星もその雷壁によってすべて防がれてしまった。

 

「メイプルの【イージス】のような完全防御なのか!?」

 

明らかに情報のない仕様にコーヒーは驚きの声を上げる。当然、行動が止んでしまい鬼の急接近を許してしまう。

 

「やべっ!?」

 

コーヒーは慌てて【クラスタービット】を操作して横薙ぎに振るわれた刃を防ぐ。それによって【クラスタービット】のHPが減ってしまったが、これくらいは元々想定していたことである。

 

「【チェイントリガー】!【連射】!!」

 

コーヒーはすぐさま嘗てのコンボ技を使って攻撃を仕掛けるも、鬼は超反応で避けてしまいその上避けながら雷の矢をこれまた矢継ぎ早に放っていく始末だ。

 

「降り注げ!【ディバインレイン】!!迸れ!【リベリオンチェーン】!!」

 

コーヒーは鬼が放つ矢を避けながら連続で上位魔法を発動し、雷の雨と鎖を同時に放って鬼に攻撃を仕掛けていく。

更におまけと言わんばかりに矢も銃撃の如く放っていく。

 

「【雷神結界】!!」

 

対する鬼は再び例の完全防御スキルを発動。またしてもコーヒーの攻撃を完全に防いでいく。【封印】状態に出来なかったことにコーヒーは苦い表情となる。

それだけでなく、鬼は完全防御したまま上空に向かって矢を一本放ち、放たれた矢が無尽蔵に分散して一気に降り注がせてきた。

 

「こっちと似た攻撃まであるのかよ!?」

 

コーヒーは回避は不可能と判断して【クラスタービット】を屋根のように展開して矢の雨を凌いでいく。

その間に、雷の壁を消した鬼が再び急接近して今度は袈裟で斬りかかって来る。

 

「【夢幻鏡】!!」

 

コーヒーはここで【夢幻鏡】を使い、鬼の袈裟斬りを無効にして鬼から幾ばくか距離を取った背後へと瞬間移動する。

そこで【クラスタービット】を直ぐ様操作して鬼を蒼銀の(はこ)の中へと閉じ込めた。

 

「この状態から削ってやる!!」

 

コーヒーは筐の内側に蒼銀の津波を溢れさせ、鬼のHPをじわじわと削り取っていく。そして、星が降ってきたタイミングで筐の上部分を消して星が鬼に落ちるようにする。

本来なら何のダメージも与えられないが、【無防の撃】おかげで確実にダメージを与えられるので有効な攻撃手段となっている。

 

正直かなりエグい攻撃方法だが、【最強】相手に手段を選んでなどいられない。

そんな事を考えながらコーヒーは【クラスタービット】と追加の星で攻撃し続けていると変化が訪れる。

 

「【雷神月華】!!」

 

そんな声が蒼銀の筐から聞こえたかと思うと、筐から轟音が響き渡り【クラスタービット】のHPが0となり光なって消え始めていく。

 

「!?群れなすは光の結晶 暁を照らす光は我が従者 此処に顕現し我が守手となれ!!【クラスタービット】!!」

 

コーヒーは【クラスタービット】が破壊されたことに驚きつつも再度強化状態の【クラスタービット】を展開させる。

筐から出てきた鬼は……雷を身体に纏って地面から少し離れて浮いていた。

 

「やるな人間!さすがは雷神に認められただけはあるな!」

 

髪と髭を逆立たせた鬼は上機嫌で言う。鬼のHPは七割残っており、まだまだ倒すには程遠い。

 

「やっぱり【聖槍ファギネウス】を防がれたのが痛かったな」

 

あれが決まればまだ余裕があっただろうが、強化された鬼に完全防御スキルが追加された事が地味に痛かった。この分だと即死攻撃もあるかもしれない。

 

「では……次はこちらから行くぞ!!」

 

鬼がそう告げた途端、極太の雷閃を連続で放っていく。当たれば一撃死は確実な威力だと想像に難くない。

 

「ブリッツ、【電磁結界】!!」

 

コーヒーはブリッツに指示を出し、一種の無敵状態となってから上級ランクのMPポーションを取り出す。

同時に【クラスタービット】をメタルボードにして空を飛んで極太雷閃を避けていくも、少しかすっただけで半分程残っていたMPは一気に0。すぐにポーションを使って回復する。

 

「やっぱり威力が高い!一撃でも喰らったら完全にアウトだ……!」

 

コーヒーは鬼のヤバさを改めて実感しながら自身のHPを確認する。現在のHP残量はおよそ六割。【聖刻の継承者】を発動してからおよそ十分が経過している。

 

「迸れ!蒼き雷霆(アームドブルー)!!【流れ星】!!」

 

コーヒーはステータスを強化し直し、【流れ星】を牽制として放つ。

当然、初速が遅い【流れ星】は簡単に避けられてしまうが鬼の攻撃は一瞬だけ止まる。

 

「弾けろ、【スパークスフィア】!!」

 

コーヒーは続けて【スパークスフィア】を放つも鬼は空へと飛び上がって避け、そのままコーヒーに向かって接近していく。

 

「空まで飛べるのかよ!?【雷翼の剣】!!【ボルテックスラッシュ】!」

 

コーヒーは左手に強ノックバク効果のある雷の剣を形成しつつ、クロスボウに雷刃を形成する。

そして、雷撃を纏った弓刃の一閃を【雷翼の剣】で受け止めて弾き飛ばし、鬼の体勢が崩れたタイミングで【ボルテックスラッシュ】で切り裂く。

 

鬼も流石にバランスを崩されたところでの攻撃は避け切れなかったようで、腹を深々と切り裂かれ、HPも一割削られる。更に星も降って命中し、鬼のHPを追加で削る。

 

「【パワーブラスト】!」

 

コーヒーは追撃を放つも鬼は弓で弾き飛ばし、そのまま十字に振るって十字描く飛ぶ斬撃を放ってくる。

 

「【砕衝】!舞え、【雷旋華】!!」

 

コーヒーは【砕衝】でその斬撃を相殺しつつ、追撃に備えて【雷旋華】を発動させる。本当は少しでも威力を上げる為に【口上強化】を使いたいところだが、鬼の猛攻から長々と口上を口にしていては避けられる、もしくは反撃を喰らってしまいかねない。

 

使えているのは、発音数が少ない【詠唱】くらいである。

そうしている間にも、鬼は今度は細い雷閃を次々と放っていく。コーヒーは横に飛んで避けようとするも、細い雷閃はカクンと曲がってコーヒーに向かって迫っていく。

 

「本当に鬼畜過ぎるだろ……!」

 

自動追尾の攻撃に悪態を付きながらも、コーヒーはメタルボードを操作して必死に振り払おうとするも細い雷閃は執拗にコーヒーの後を追いかけてくる。

 

「瞬け、【ヴォルテックチャージ】!!舞え、【雷旋華】!!」

 

逃げ切るのは不可能だと悟ったコーヒーは、【ヴォルテックチャージ】からの【雷旋華】で自動追尾の雷閃を防ぎ、同時にメタルボードを操って突撃していく。

 

「【雷神結界】!!」

 

鬼は再び完全防御。本当に完全防御は厄介である。

 

「【雷神月華】!!」

「ッ!?【電磁結界】!!」

 

鬼がそう叫んだ瞬間、悪寒に襲われたコーヒーは直感のままにスキルを発動。途端、鬼を中心に凄まじい雷撃が炸裂し【雷旋華】を吹き飛ばす。同然、コーヒーもメタルボードごと吹き飛ばされる。

 

「くっ……今の一撃でMPが全部持っていかれた挙げ句に【クラスタービット】のHPも八割持っていかれた……!」

 

【雷神月華】の威力に冷や汗を掻きながらもコーヒーはMPポーションを使ってMPを回復させる。

 

「こうなったら……!」

 

コーヒーはインベントリを操作してあるアイテムを取り出す。

それは……【樽爆弾ビックバン】だ。

コーヒーはもしもの時の為にイズから譲り受けていた、ある意味奥の手のアイテムである。

 

「これでぶっ飛べ!【サンダージャベリン】!!」

 

コーヒーは【樽爆弾ビックバン】を落として早々に【サンダージャベリン】を放って爆発させる。

途端、凄まじい轟音が炸裂し【電磁結界】によってコーヒーのMPは0となる。同時に【クラスタービット】もHPが0となって光となって消えていく。

当然、空に放り出されたコーヒーはすぐにMPを回復していく。

 

「本当にヤバすぎる威力だろ。これでアイツも……」

 

コーヒーはこれで終わってほしいと願いを込めて呟くも、鬼は……HPを二割残して未だに健在だった。

それだけではない。鬼の姿は大きく、雷で構成されているのではないかというくらいに金色に輝いているのだ。

 

「まだだ、人間……!」

 

素手となった鬼はそう呟くと右拳を引き絞って構えを取る。途端、鬼の周りに壱、弐、参、肆、伍、陸、漆、捌と数字が浮かび上がり、引き絞った拳には玖の数字が浮かび上がっている。

 

「【九頭龍雷閃】!!」

 

鬼がそう告げて鷲掴むかのように構えた左手を突き出すと、鬼の周りあった数字と共に雷の龍の頭部が顎を覗かせながらコーヒーに向かって迫ってくる。

 

「【夢幻鏡】!!」

 

コーヒーは嫌な予感を覚え、【夢幻鏡】を発動して壱の龍を凌いで地面に降り立つも、続く弐の龍、参の龍達がコーヒーに向かって迫ってくる。

 

「【疾風迅雷】!!【避雷針】!!」

 

コーヒーは【疾風迅雷】を発動してAGIを二倍にし、自身を追ってくる龍【避雷針】も使って振り払おうと走っていく。

幸い、この龍もホーミング機能はあるが先の雷閃ほどではなく、振り切るのはそれほど難しいことではない。だが、【避雷針】に誘導されたのは一体のみ。どうやら個別扱いのようだ。

そして、捌の龍も振り切ったところで鬼は最後の玖の龍をコーヒーに直接向けて放った。

 

「ちょっ!?速すぎだろ!?【電磁結界】!!」

 

逃げるのも不可能と言えるスピードで迫る最後の龍に、コーヒー避けることも叶わずに呑み込まれる。幸い咄嗟に【電磁結界】を発動したことでMPを0にされたがノーダメージだ。

だが、雷の龍は消えていない。

 

「まさか―――」

 

コーヒーがそう呟いた瞬間に龍は爆発。

本来であればコーヒーはここで死亡していた。

 

「【身代わり人形】のおかげで命拾いした……」

 

【樽爆弾ビックバン】と同じく、ミキから貰っていた【身代わり人形】のおかげでコーヒーは生き残れたが、もう次はない。

これなら【避雷針】を使うべきだったと後悔するがもう遅い。

 

HPは半分以下。【電磁結界】は残り一回。【クラスタービット】は使い切り、爆弾はさっきの【樽爆弾ビックバン】のみ。

鬼のHPは……四割に変化していた。

 

「まさか……さっきの攻撃はHP回復効果があったのか?」

 

もしそうだとしたら凶悪過ぎる。これ以上戦闘が長引くと負けるのは確実にこちらの方である。

 

「こうなったら……一気に勝負を決めるしかない」

 

コーヒーは覚悟を決め、ポーションでMPを回復しつつ【ドーピングシード】でAGIを上昇させる。

 

「迸れ!蒼き雷霆(アームドブルー)!!【魔槍シン】!!」

 

【名乗り】でステータスを強化し直しつつ【聖刻の継承者】を解除したコーヒーはHPを一割になるまで消費し、魔槍を一気に放っていく。鬼は攻撃を受けようが構わずに前進しているが、槍と星の弾幕によってその移動速度は遅い。しかし、その多くは拳と雷撃によって破壊されてダメージを与えられていない。

 

「この命を賭けて吹雪く絶対零度の粉雪 七つの星が刻まれし時 極寒の檻に閉じ込め砕き散らさん―――【羅雪七星】!!」

 

新たなスキル【羅雪七星】を発動させると、コーヒーの体から冷気が溢れ出てくる。

この一分間が勝負。コーヒーは意識を集中をより一層強めて一気に駆け出し、鬼に攻撃を仕掛けていく。

 

「甘いぞ人間!!」

 

鬼は右拳をコーヒーに振り下ろすも、極限状態のコーヒーは拳をギリギリで避けて同時に矢を撃ち込む。

放った矢は鬼の右腕に突き刺さり、そこに雪の結晶体の模様が浮かび上がる。

 

「【雷翼の剣】!!」

 

コーヒーはクロスボウに雷の剣を形成して、そのまま鬼の左足を切り裂く。

 

「ぬぅっ!?」

 

二つ目の模様を刻まれ、ノックバックによりバランスを崩した鬼にコーヒーは転がりながら連続で矢を放っていく。

鬼は左手を地面に付き、超人的な体術で倒れずにそのまま体勢を整えてしまう。だが、新たに二つの模様が刻まれ、一つの星が鬼に迫ってきている。

 

「【ライトニングアクセル】!」

 

さらにコーヒーは立ち上がってすぐさま【ライトニングアクセル】で自身のAGIを一時的に上昇させて急接近。今度は右足を切り裂く。

 

「【閃雷】!!」

 

コーヒーはここで弾速の矢を放ち、鬼の左目を撃ち抜く。そして、追撃の星も当たり、七回のダメージを与えることに成功する。

 

「ぬぅあ―――ッ!?」

 

七回の攻撃が成功したことで刻まれた模様が白く光輝き、鬼を瞬く間に氷の中に閉じ込めていく。

コーヒーはポーションでMPを全快させると、必殺の魔法を放つ。

 

「掲げるは森羅万象を貫く威信 我が得物に宿るは天に座す鳴神の宝剣 夜天に響く雷音は空を切り裂き 無明の闇に煌めく雷光は揺蕩う天の宝玉 招来る迅雷万里を穿ち 滾る雷火は揺るがぬ信念の導となる 顕現せし鳴神の宝剣が纏うは我が蒼雷 神雷極致の栄光を現世へ!!」

 

【口上詠唱】で大幅に強化された上級魔法を、コーヒーは氷の中に閉じ込めた鬼に向けて解き放つ。

 

「限界を超えし蒼き雷霆よ集え!【グロリアスセイバー】ァッ!!」

 

咆哮と共に放たれたのは嘗て【炎帝】の【火炎牢】さえも貫き、その先にいた彼女達を葬った必殺の魔法。当然、ダメージが増加された鬼は……耐えられる筈もない。

雷の宝剣が穿つと同時に氷が砕け散り、鬼はHPが0となって吹き飛ばされ、そのまま地面に放り出されるのであった。

 

「か、勝てた……」

 

コーヒーはそれだけ言うと自身も地面に仰向けで倒れこむ。

第四層【最強】との戦いは、コーヒーの勝利で終わるのであった。

 

 

 




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