スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳どうぞ


カフェでバイト

ギルドホームを出たコーヒー、メイプル、サリーの三人は【カフェピグマリオン】に来ていた。

 

「良く来たな。それと実際に会うのは初めてだな、【楓の木】のギルドマスター。俺はアロック。【カフェピグマリオン】の店主だ」

「あ、はい。メイプルと言います」

 

初めて顔を合わせたパティシエ姿のアロックとメイプルは互いに挨拶をかわす。

 

「それで今日はどうする?店内で召し上がるか、持ち帰りにするか。好きな方を選ぶがいい」

「うーん……出来れば店内で食べたいですね」

「そうか。だが、生憎席はカウンターしか空いていないが構わないか?」

 

アロックの言う通り、店内のテーブル席は既に満席になっており、今空いているのはカウンター席くらいだ。

 

「どうする?一応、人数分の席は空いているようだが」

「んー……メイプルはどうする?」

「んー、どうしようかー……」

 

店内で食べるか、幾つか買ってギルドホームで食べるか悩んでいると、丁度テーブル席にいた団体客が立ち上がるのが見えた。

 

「む?どうやら丁度席が空きそうだな。少し待つがいい」

 

そうして団体客がお金を払って店を後にしたので、正式にテーブル席が一つ空く。そこにコーヒー達は座ってメニュー表を確認していく。

 

「メニューに書いてある料理名を押すと実物が表示されるのはいいアイディアよね」

「VRならではの表示方法だな」

「どれも美味しそう!本当に悩んじゃうよ!!」

「もういっそのこと全部頼んじゃえば?お金はCFが出すんだし」

「……出来れば加減してくれ」

 

サリーの容赦ない言葉に、コーヒーは懇願の声を洩らす。

 

「冗談よ。それに、プレイヤーが開いている店である上にこの店は凄い人気だから、どうしても数に限りもあるし購入制限もあるしね」

「そっかぁ……あの時のように大量に頼めないんだね」

 

メイプルの言うあの時とは、掲示板にも書かれたスイーツバトルの時である。

あれはメイプルが有名だったこともあり相当周りに目立ち、注目の的になっていたのは言うまでもない。

 

「じゃあ、このふわふわシフォンケーキを頼もうかな」

「私はこのチョコレートパフェかな?CFは?」

「このモンブランにでも……」

 

コーヒーも注文するケーキを決めたところで、画面を開いて難しい顔をしたアロックが視界に入った。

 

「?どうしたのCF?」

「いや、アロックが難しい顔をしていたからどうしたのかと……」

「ホントだ。ちょっと聞いてみるね」

 

メイプルはそう言って席を立ち、アロックの方へと歩み寄っていく。

 

「アロックさん。何かあったのですか?」

「ん?メイプルか。何、日雇いで雇ったプレイヤーが急なリアルの用事で来れなくなったと連絡が来ただけだ」

「え!?大丈夫なんですか!?」

「問題ない。元々、こういう事は何度かあった。むしろしっかり連絡してくれるだけありがたいと言うものだ。ドタキャンがあってもちゃんと店が回るようにはしているからな」

 

アロックはそうは言っているが、今日は客が多く、ケーキ等のスイーツは全部アロックが作っているので補充の為にどうしても厨房に籠らなければならない。

しかも、今回急に来れなくなったプレイヤーは会計と接客が両方できる人物なのだ。

相変わらず難しい表情を続けるアロックの姿に、メイプルはある提案を持ちかけるのであった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「はあ……今日も疲れたよ……」

「だよなあ。足場が悪いから走りづらいしな」

「ふん……足場が悪いくらい、どうと言う事はない」

 

探索から帰ってきたマルクス、シン、カミュラの三人は自分達のギルドホームに向かって歩いている。

 

「それはカミュラの移動速度が遅いから言えることだよ……」

「ま、俺らもカミュラの移動速度に合わせていたから、移動自体はそんなに苦じゃなかったしな」

「なら、文句を宣うな」

 

カミュラはそう言って、道中にあった【カフェピグマリオン】で足を止める。

 

「また買うのかよ?」

「ああ。スイーツを買って帰れば、女性のギルドメンバーの俺の印象が上がるからな」

「そんな事を堂々と言うから……モテないんだよ……」

 

カミュラはマルクスのツッコミを無視して店の扉を開けて中へ入ると……

 

「いらっしゃいませー」

 

会計カウンターの向かい側に【カフェピグマリオン】のギャルソンスタイルの制服に身を包んだコーヒーがいた。

 

「……CF。何故リア充のお前が此処にいる?」

「臨時のバイト」

 

カミュラの憎々しげな質問に、コーヒーはリア充扱いは無視して隠すことなく端的に答える。

 

「ちなみに臨時のバイトは俺だけじゃないぞ」

 

コーヒーがそう言って顔を向ける先には……

 

「お待たせしましたー!ご注文の苺のショートケーキとブルーベリータルトでございます!」

「ご注文をご確認しますね。アップルパイが二つとストレートティーが一つ、ホットのカフェオレが一つ。以上でお間違いがないでしょうか?」

 

コーヒーと同じように【カフェピグマリオン】の制服に身を包んだメイプルとサリーもいた。

三人がこうして働いている理由。それはメイプルが手伝うとアロックに言ったからだ。

 

アロックも少し考える素振りを見せるもすぐに了承し、コーヒーとサリーもメイプルが働くならと言った感じで参加した。

メイプルが手伝う中でのんびりするのも何となく悪いと感じ、加えてリフレッシュにもなると考えたのもある。

 

「あれ……なんでCFがこの店の制服を着てるの……?」

「よお、CF。臨時のバイトか?」

 

マルクスとシンも続いて入店し、シンの質問にコーヒーは頷いて返す。

 

「そうなんだ……制服姿、よく似合ってるよ……」

「どうも」

「ん?メイプルとサリーもいるのか。メイプルがウェイトレスなのは分かるが……何でサリーはギャルソンスタイルなんだ?」

 

シンの言う通り、メイプルは可愛らしいウェイトレス姿なのに対し、サリーはコーヒーと同じ制服を来ているのだ。

 

「ウェイトレス姿が恥ずかしいからだと」

 

対してコーヒーは簡潔に理由を答える。

サリーも最初、アロックから渡されたウェイトレス姿となる装備を装着したのだが、恥ずかしいからかすぐに装備を元に戻してしまったのだ。

 

そんなサリーにメイプルはせっかく可愛かったのにもったいないと言うも、サリーは無理無理、あんなの私のキャラじゃないと顔を赤く染めて首を振って拒否してしまった。

 

それでアロックは溜め息を吐いてギャルソンスタイルの制服を渡し、サリーもこれならと装備してウェイターの仕事に参加したのである。

ちなみに制服のデザインを担当したのはイズである。

 

「それでどうなさいますか?店内でのお食事でしょうか?それともお持ち帰りでしょうか?」

「……持ち帰りだ。苺のホールケーキとピーチパイが二つと、シュークリームとザッハトルテ、チーズタルトが五つだ」

「かしこまりましたー」

 

カミュラのオーダーを受け取ったコーヒーはガラスケースの中に置かれていた商品を取り出し、専用の箱に閉まっていく。

 

「合計で15500Gとなります」

 

カミュラは代金を払うと、購入したスイーツを自身のインベントリにしまってマルクスとシンと共に店を後にしていく。

しばらくすると、また見知った人物達が訪れる。

 

「やあCF。ここでバイトかな?」

「臨時だけどな」

 

【集う聖剣】のギルドマスターにしてNWO屈指のトッププレイヤー、ペインの来店にコーヒーはカミュラの時と同じように端的に答える。

 

「にしても珍しいよな。一人でこういう店に来るなんてな」

「そうでもないさ。俺だってたまには甘い物を食べたくなる時だってあるさ」

「そうか。それにしても……」

 

コーヒーは改めてペインの格好を見る。装備はいつもの白を基調とした鎧ではなく、少し伊達が掛かった冒険者風だ。

そんなコーヒーの反応にペインは肩を竦めながら苦笑した。

 

「流石にいつもの鎧で店内で食べるには目立つからな。堅苦しい雰囲気を作りたくもなかったしな」

「確かに。席は彼方のカウンター席でよろしいでしょうか?」

「ああ」

 

コーヒーの確認にペインは頷いてカウンター席に移動。オーダーを取りに来たウェイトレスにコーヒーとチョコレートケーキを注文する。

 

「苺タルトを20個ですね!承りました!!」

「お待たせしました!生クリームたっぷりの苺のホールケーキです!!」

 

メイプルとサリーの方もミスなく接客をこなしていた。

そうして、ピークを過ぎて客の足並みも落ち着いた事でコーヒー達の臨時のバイトは終わるのであった。

 

「あー……意外と疲れたな」

「そうね。けど、こういうのも悪くないわね」

「そうだね!新鮮で楽しかったね!」

 

店の空き部屋でコーヒー達が椅子に背中を預けて寛いでいると、アロックが部屋へと入ってくる。

 

「今回は手伝ってくれて助かった。これが今回のバイト代だ」

 

アロックはそう言って画面を操作して自身の所持ゴールドをコーヒー達に幾らか渡す。

 

「それと、バイト代とは別に今回の礼に俺のスイーツをご馳走しよう。少し待っているがいい」

 

アロックが部屋を出てからしばらく待つと、ふわふわシフォンケーキとチョコレートパフェ、モンブランにパンケーキ、色とりどりのマカロンを乗せたトレイを持ってアロックが部屋へと戻ってきた。

 

「本来お前達が食べる筈だったスイーツと先日の約束のパンケーキ、お前達のテイムモンスターも食べられるマカロンを用意したが良かったか?」

「いえ、お気遣いありがとうございます」

「うんうん!わざわざ用意して下さってありがとうございます!」

「バイト代だけでなく、スイーツもタダでご馳走されて……こちらこそありがとうございます」

 

コーヒー達はアロックにお礼を告げ、ブリッツ達も呼び出してスイーツを堪能していく。

 

「うーん!どっちも美味しいよー!!」

「ああ、本当に幸せ……」

「甘さが染み渡る……」

 

コーヒー達がスイーツを美味しそうに食べる中、ブリッツ達もマカロンを美味しそうに食べていく。どうやらお気に召したようである。

 

「やっぱりこれだけ旨いと人気が出るのも納得だよな……」

「うん。毎日通いたいくらいだよ……」

「はあ、幸せ……」

 

コーヒー達もスイーツの味に骨抜きにされつつもゆっくりと堪能していくのであった。

ちなみに【炎帝ノ国】のとある一室では……

 

「うぅ~~……何なのあの鬼の強さはぁ~~ッ!!幾ら何でも理不尽過ぎるわよぉ~~ッ!!」

「あはは……」

 

泣きながらカミュラが買ってきたピーチパイをやけ食いする彼女に、つい最近素の彼女を知った聖女様は困ったように笑みを浮かべるのであった。

ちなみに連敗記録は20。どこまで連敗記録を更新するかは……本人を含めて誰にも分からなかった。

 

 

 




『メイプルちゃんとサリーちゃんがカフェでバイトしてた』
『kwsk』
『【カフェピグマリオン】でメイプルちゃんはウェイトレス、サリーちゃんはギャルソンスタイルで接客してた』
『スクショは?』
『ない。誠に残念ながら』
『チクショウめぇえええええっ!!!』
『しかし何でサリーちゃんはギャルソンスタイルだったんだ?』
『今聞いてきた。どうやら恥ずかしかったからだそうだ』
『何その可愛い理由』
『サリーちゃんのウェイトレス姿も見たかった……』
『そういえばレジカウンターにCFがいた気が』
『次のイベントでCFは見つけ次第、処刑しよう』
『『『異議なし!!!』』』

見守り隊の一部スレ抜擢。

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