時は流れて四月の始め。
今日から第七回イベントが開催される。
ちなみに現在のコーヒーのステータスはこうなっている。
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コーヒー
Lv.77
HP 475/475(+129)
MP 243/243(+64)
STR 46(+104)
VIT 5(+37)
AGI 110(+134)
DEX 85(+106)
INT 50(+104)
頭装備 幻想鏡のサングラス・夢幻鏡 【HP+50 MP+20 AGI+40 DEX+30 INT+15】
体装備 震霆のコート・雷帝麒麟 【VIT+22 AGI+44 INT+22】
右手装備 雷霆のクロスボウ・閃雷・魔槍シン 【STR+84 DEX+47 NT+37】
左手装備 カレイドエピラー・ミラートリガー 【DEX+5】
足装備 黒雷のカーゴパンツ・クラスタービット 【HP+19 MP+19 DEX+24】
靴装備 迅雷のブーツ・疾風迅雷 【AGI+50 INT+25】
装飾品 絆の架け橋
ブルーガントレット 【HP+30 MP+15 STR+20 VIT+15 INT+5】
信頼の指輪 [【雷帝麒麟の覇気】【彗星の加護】【死霊の助力】]
スキル
【狙撃の心得X】【弩の心得X】【一撃必殺】【気配遮断X】【気配察知X】
【しのび足X】【雷帝麒麟の覇気】【無防の撃】【弩の極意X】【避雷針】
【聖刻の継承者】【フェザー】【雷炎】【連携】【クイックチェンジ】
【ソニックシューター】【フレアショット】【フリーズアロー】【砕衝】【地顎槍】
【アンカーアロー】【流れ星】【扇雛】【パワーブラスト】【チェイントリガー】
【雷翼の剣】【彗星の加護】【羅雪七星】【雷神陣羽織】【百鬼夜行I】
【孔雀明王】【アイアンメイデン】【ジェネレータ】【ワイルドハント】【跳躍X】
【壁走りX】【体術IX】【連射X】【魔法の心得VIII】【遠見】
【暗視】【鷹の目】【スナイパー】【狩人】【毛刈り】
【攻撃強化中】【射程距離強化大】【釣り】【水泳IX】【潜水IX】
【水中射ちVII】【採掘X】【HP強化小】【MP強化中】【皐月の加護】
【深緑の加護】【冥界の縁】【死霊の助力】【毒耐性中】【属性強化】
【口上強化】【名乗り】【詠唱VIII】【口上詠唱】【MPカット中】
【MP回復速度中】
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あれから目的の属性変化スキルである【雷炎】も手に入り、幽霊船では75だったレベルも少し上がった。
金食いスキルである【ワイルドハント】も帆舟クラスまで召喚可能となり、武装の方は爆撃タイプの大砲を召喚できるようになった。
これだけでかかった金額はおよそ2500万。
不必要な素材やアイテム、狩りや採集で手に入れたアイテムを売ったことで何とか戦闘で使用可能なレベルにまで持ち上げたが、フルコンプにはまだまだ遠いままである。
ちなみに《信頼の指輪》にセットするスキル選択の為に互いのスキルを見せ合った際、サリーはまたおかしなスキルを手に入れたことに呆れながら溜め息を吐いたのは言うまでもない。
後、サリーの方は【空蝉】【氷柱】【魔力感知】を《信頼の指輪》に登録している。万能かつ、使いやすいスキルとなると自動的にこの三つとなったからだ。
閑話休題。
今回のイベントはダンジョン攻略型。小さめの階層が十層積み重なった塔の攻略で、選択した難易度でメダルの枚数が変わっていくのだ。
時間加速はなく、進んだ階層までは何時でも転移できるので、長めの期間の内にクリアを目指す仕様となっている。
ちなみに最高難易度では、複数人でクリアすると貰えるメダルは一人五枚。ソロでクリアすると十枚となっている。
そして、攻略は別々となるので他のプレイヤーと戦闘になることはない。
今回のイベントのルールを思い出しながら、コーヒーは五層のギルドホームの扉を開けた。
扉の先にはサリーと、呼び出した張本人であるメイプルがいた。
「CF?何でここに来たの?」
「メイプルがイベント当日に五層のギルドホームに来るようお願いされたからだ」
目をぱちくりさせたサリーの質問に、コーヒーはすんなりと答えた。
最初はまた何か企んでいるのかと警戒したが、イベント関係ということで一応は素直に応じることにしたのである。
今はこうしてサリーとは普通に会話できてはいるが、疑似結婚式から数日は顔を合わせるのが本当に気恥ずかしく、意図的に避けあっていたのは言うまでもない。
コーヒーとサリーは若干懐疑的な視線をメイプルに向けた。
「メイプル?今度は何をやらかすつもり?」
「大丈夫だよサリー。今回はそんなにおかしなことじゃないから」
サリーの疑惑にメイプルは若干困ったような笑顔を浮かべながら、今回の目的を口にした。
「今回はこの三人でイベントに望みたいと思います!!ちなみに皆からも許可は取ってます!!」
メイプルがこのような考えに至った経緯は、単純にサリーと遊びたいのと、二人の距離をもう少し縮めようという二つの目的からである。
サリーと二人で遊ぶのも良かったが、三人で挑めばちょうど二組にパーティーを分けることができるし……新婚(仮)の二人を近くで見られるからだ!!
そんな純粋八割、打算五分、愉悦一割五分の考えのメイプルの提案に、コーヒーとサリーは気付くことなく素直に頷いた。
「それならいいか」
「いいね!なら、目指すは……」
「もちろんノーダメージ!」
「ノーダメージか……いつも以上に気合いを入れないとな」
メイプルの宣言にコーヒーは苦笑い気味でそう呟く。
コーヒーはメイプルのようにVITが高くはないが、プレイヤースキルと所持スキルを駆使すれば不可能ではないだろう。
コーヒー達は町の広場に設置されたイベント用の転移の魔法陣へと向かい、その手前で足を止める。
「えっと、一番難しいのでいいよね?」
「もっちろん!やる気十分です!!」
「じゃあ、あの魔法陣だな」
三人は迷うことなく最高難度である―――後に鬼畜、ラスボスの巣窟と掲示板で話題となる―――塔へと続く魔法陣に乗り、白い光と共にその場から消えていく。
光が収まると、三人の目の前には天を貫く高い塔がそびえ立っていた。
「これ、時間がかかりそうだね」
「その分やりがいがあっていいんじゃないか?」
「見た目通りなら通常フィールドの四分の一あるかないか……かな?途中で転移とかあるかも」
「お、おー……頑張らないとね!」
「ん、そうだね」
「ほどほどに、の精神でやっていくか」
三人は真っ直ぐに進んでいき、大きな扉を押し開けて塔の中へと入る。
塔の内部は人が四人ほど並べる通路が伸びており、見える範囲でも分岐がいくつもある。
また、天井までは四メートルほどである。
「……迷路みたいだな」
「そうね。出会い頭には注意しないと」
「えっと、じゃあ……慈しむ聖光 献身と親愛と共に この身より放つ慈愛の光を捧げん―――【身捧ぐ慈愛】!!」
メイプルはまずはといった風に【身捧ぐ慈愛】を発動して、万が一の場合にコーヒーとサリーを守れるようにした。
いつもの黒装備で天使モードとなったメイプルは、先陣を切るように一歩踏み出す。
途端、メイプルの足下に水色の魔法陣が展開され、メイプルは魔法陣から現れた水球の中へと閉じ込められた。
「「…………」」
「ぼべがい、ばずべで!!びぶんびゃべばべびゃい!!」
いきなりの魔法トラップにコーヒーとサリーの思考は停止。罠にかかったメイプルはゴボゴボしながら助けを求める。
「「……はっ!?」」
コーヒーとサリーはそこで我に返り、サリーが【糸使い】を使ってメイプルを引っ張ったことで事なきを得るのであった。
「まさか出っ端から魔法トラップがあるとは……」
「まるで第六回イベントのトラップタワーね」
「うう~……危うく溺れるところだったよ~……」
コーヒーとサリーはトラップタワーを思い出して苦い顔となり、ずぶ濡れのメイプルは気が抜けたように声を洩らす。
この魔法トラップは【水泳】があれば簡単に抜け出せるが、そのスキルを持っていないメイプルには致死性のトラップだったのである。
「この分だと、物理的なトラップもあると見た方がいいよな」
「そうね……【魔力感知:左目】」
サリーはコーヒーの言葉に頷きながら【魔力感知】を発動し、左目を紫に輝かせる。
「群れなすは光の結晶 暁を照らす光は我が従者 此処に顕現し我が守手となれ―――【クラスタービット】」
コーヒーも万が一に備えて【クラスタービット】を発動させ、万全の体制で再びダンジョン内を歩き始める。
「そういえば、メイプル。あの装備枠を増やすのは装備してないの?」
「あれ?あれはまだ練習中なんだー。色々同時にできるようになるのはもうちょっとかかりそうかなー。後、サリーが嫌そうだから?」
「うっ……まあ、ちょっとね」
「そのちょっとが大きいと感じるのは俺の気のせいか?」
「CF!うるさい!!」
「あだぁっ!?」
サリーに弁慶の泣き所を蹴られ、蹴られたコーヒーは痛みから数歩前へ出てしまう。
そこで、コーヒーは少し色の変わった地面を踏み抜いてしまった。
「「「……あっ」」」
三人が揃って声を出した直後、床がパカッと開いた。
サリーは蜘蛛糸で、コーヒーはメタルボードに乗って事なきを得たが、メイプルだけはそのまま下へと落ちていった。
「メイプルー!大丈夫ー!?」
サリーは穴に向かって呼び掛けるが、VIT極振りのメイプルなら大抵の罠は問題ないという考えから特に心配はしていなかった。
だが、ドドドド……という何処か不吉な音が落とし穴から聞こえてきたことで、コーヒーとサリーは嫌な予感を覚えた。
「メイプル!今何が起きてるんだ!?」
コーヒーが呼び掛けるも、メイプルから返事は返ってこない。
まさか即死系のトラップではないかと頭を過り、コーヒーとサリーは心中穏やかでいられなくなる。
「ふうー、驚いたよー。ただの毒沼かと思ったら、横にあった穴から毒の水が流れ始めたから」
そんな二人に反するように、白い手に掴まれふわふわと浮かぶ盾二枚に挟まれたメイプルが、文字通り浮かび上がってきた。
「ふふーん。装備さえあれば落とし穴なんて怖くないよー」
「……とりあえず無事だったから良しとするか」
「……そうね。本当に気をつけて進まないとね」
本当に相変わらずなメイプルにコーヒーとサリーは何とも言えない気分でそう口にする。
……サリーはメイプル、否、《救いの手》の白い手から顔を逸らして。
「……そうだ!【発毛】!!」
メイプルは何を思ったのか、その場で毛玉モードとなった。毛玉からは顔と天使の羽がぴょこんと飛び出しているが。
「メイプル?」
「これなら罠も考えなくていいし、サリーも怖がらないし一石二鳥だよ!前もこうやって探索したんだー」
「うわぁ……」
まさかこんな方法で罠を突破していたことにコーヒーはまたしても何とも言えない気分となる。
一先ず、毛玉の中にサリーが入り、コーヒーはメタルボードに乗ったまま通路を進んでいく。
「……ダンジョン探索ってこんな感じだっけ……?」
「ここは深く考えない方がいいだろ。この年で胃痛に悩みたくない」
「……そうね」
コーヒーとサリーはその辺りの思考を放棄して進んでいき、曲がり角を曲がると、全長ニメートル程の……炎の鳥と鉢合わせした。
「「あ」」
コーヒーとサリーが揃って声を洩らした直後、炎の鳥はそのまま毛玉に体当たり。メイプルの毛を容赦なく燃やし尽くした。
「そ、そんな~!」
ダメージこそ受けていないが、毛玉モードを破られたメイプルは少しショックを受けたように声を洩らす。
その間にコーヒーが炎の鳥に向かって矢を放つも、矢は炎の鳥に刺さらず、そのまますり抜けてしまう。
「メイプル!」
「うん!【挑発】!!」
サリーの呼び掛けにメイプルは頷き、【挑発】を発動。炎の鳥の注意を自身に向け、体で炎の鳥の体当たりを受け止めていく。
「流せ、【ウォーターボール】!!」
メイプルが注意をひいている間にサリーは横から水魔法を炎の鳥に直撃させる。
すると、炎の鳥はダメージエフェクトを弾けさせ、その炎が消火されたように小さくなっていく。
炎が消えると、そこにいたのは赤い鳥だった。
「今度こそ!!」
コーヒーはそう言って矢を連続で放っていく。
放たれた矢は今度はすり抜けることなく赤い鳥に突き刺さり、頭部に刺さった時点で【一撃必殺】が発動して鳥は光となって消えていった。
戦闘が終わると、メイプルは《救いの手》を装備から外していた。
「まさか特定の属性攻撃を当てないといけないモンスターがいたとは……」
「うん……もう【発毛】もできなくなっちゃったし」
「同じ手は通じないってことじゃない?せっかくだからトラップを見抜く練習をしてみたら?」
「うん、そうだね?やってみようかな?」
そして……
「目が回るぅ~~!!」
「危なっ!?」
「待ってメイプル!そこに魔法トラップが……ひぃいいっ!?」
「ぐえっ!?く、首が絞まってるって!!」
メイプルが何度もトラップを発動させながらも、三人は奥を目指して進んでいくのであった。
「……たぶん、ここにもトラップがあるよ。みんな、気をつけてね……」
「マルクスのお陰でトラップは安心だな」
「油断大敵だ、シン。モンスターの攻撃で罠が意図的に発動する可能性もあるからな」
「へいへい。テンジアは相変わらず―――」
「蜘蛛型のモンスターですね。数は少々多いですが」
「問題ない。爆ぜろ!【炎帝】!!」
この後……
「「「「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああッ!!!」」」」」」
蜘蛛の一体が罠のスイッチを押し、黒い悪魔型のモンスターの大群の登場で阿鼻叫喚となる【炎帝】パーティーの図。
※ちなみに撤退はテンジアがミィをお姫様抱っこしました。カミュラは……シンに引っ張られました。
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