スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


塔一階の攻略

塔の一階を攻略していたコーヒー達は、現在死んだ魚のような目となっていた。

 

「まさかあんな罠があるとは……」

「今まででトップクラスの罠だったわね……」

「私も……あれは痛いのとは別の意味で嫌だよ……」

 

コーヒー達は通路を左へ右へ、階段を上に上へと進んでいく中、蜘蛛型のモンスターの大群に遭遇した。

蜘蛛達は二、三回の攻撃で簡単に倒せるほどで、若干不気味さを感じながら蜘蛛達を倒していた。

 

その途中でサリーの恐怖センサーが警鐘を鳴らし、直感のままに魔法を放った。が、あの時ほどサリーはもっと早く気付くべきだったと後悔することとなった。

 

魔法で吹き飛ばされた蜘蛛は既に壁のスイッチを押しており、その蜘蛛が地面へと落ちる最中で左右の壁がパカッと開き―――あの一匹見つけたら30匹はいると思え!!である台所の黒い悪魔の大群が滝の如く流れ込むように出てきたのだ。

 

当然、その悪夢の光景に顔面蒼白となったコーヒー達は一瞬だけ意識が飛び、我に返った瞬間に逃走。AGI0のメイプルはサリーが担いで全速力で逃げ始めたが、黒い悪魔達は飛んだり、壁をカサカサしたり、黒い津波と化したりして三人を追いかけ始めた。

 

その恐怖の光景に三人は大絶叫。恐怖のあまり、イズが爆発範囲を拡大した爆弾【樽爆弾ビックバンII】を思わず使ってしまい、天使モードのメイプルはサリーと共に盛大に吹き飛ばされてしまったが……代わりにあの黒い悪魔達は殲滅できたのでいいだろう。

 

「……早くこの階を攻略しよう。何度もアレに会いたくない」

 

コーヒーの言葉にメイプルとサリーはコクリと頷き、塔の攻略を再開していく。

ちなみに道中のモンスターは物理攻撃無効だったり、魔法無効だったり、一定条件を満たさないと倒せなかったりと癖が強いものばかりである。

 

この難易度はトップクラスのプレイヤーが挑む前提だから、相応の敵が出てくるのは当然の流れである。

そんな三人の前にまた新たなモンスターが現れる。それは雲が人の形をとったようなモンスターだった。

 

「また何か来たよ!!」

「見たことないモンスターだね。CF!!」

「了解。噴くは雷柱 昇るは積乱の道標 地より出流る衝撃で彼方の敵を呑み込まん―――衝き出せ!【エレキタワー】!!」

 

サリーの声に応えるように、コーヒーは地面から雷柱を放って攻撃する【雷帝麒麟】の魔法【エレキタワー】で雲のモンスターに先制攻撃を仕掛ける。

 

雲のモンスターはコーヒー達に気付いて戦闘体勢に入るも、地面からの雷柱を防げずにそのまま直撃を食らってしまう。

雷柱が消えると、雲のモンスターは麻痺とスタンが入って動けなくなっていた。

 

「よし!今の内に決めるよ!!」

 

サリーは両手にダガーを構えて雲のモンスターへと接近し、そのまま斬りかかろうとする。

しかし、雲のモンスターが張っていた風の障壁にぶつかり、それ以上の接近が出来なかった。

 

「この障壁……壁としても機能してるの?なら、【氷柱】」

 

サリーはそう言って直ぐ隣に氷の柱を作り出し、それを足場にして飛び上がる。

 

「うわ……あの障壁、正面だけじゃなく周りを囲むように展開されてるのね」

 

何とも悪辣なモンスターにサリーは眉を顰めるも、両手のダガーを構え直して雲のモンスターの近くへと降り立つ。

青と黒のオーラを纏っていたサリーはそのまま雲のモンスターを切り裂き、光に還元するのであった。

 

青いオーラは【剣ノ舞】の効果によるものだが、黒いオーラは装飾品である指貫グローブ《刃竜の手袋》のスキル【刃竜ノ演舞】の効果によるものである。

 

【刃竜ノ演舞】は【剣ノ舞】の上位互換と呼べるスキルであり、相手の攻撃を回避、または相手を攻撃する度に自身のSTRとAGI、クリティカル率が1%ずつ上昇するのだ。

 

上限値は50%と【剣ノ舞】と比べると半分だが、STRだけでなくAGIとクリティカル率も上げられ、上昇方法も簡単。解除されるのも【剣ノ舞】と同じだから十分に強力なスキルである。

 

「一応はサクッと倒せたな」

「そうね。でも、まともに戦ったら苦戦は必須ね。たぶん【跳躍】で風の障壁を飛び越えて戦うのが前提ね」

「まるでボスみたいだね。そんなモンスターがあちこちにいるってやっぱり難易度が高いのかな?」

「……皆もそう思ってたりするよ、きっと」

「……そうだな」

 

メイプルのその言葉に、コーヒーとサリーは少し目を細めてそんなことを言う。

何せ、自分達のすぐ傍にラスボスがいるのだ。二人のこの反応はある意味当然である。

 

「……?っとと、それはともかく。早く行こう!またあれが来たら大変だからね!!」

「そうだな。今回は素早く倒せたが、次もそうとは言えないからな」

「ん、そうだね。急いで突破しちゃおう」

 

メイプルの言葉に頷きつつ、コーヒー達は罠に警戒しながら塔の探索を再開していく。

魔法トラップはサリーが、物理トラップはコーヒーが見つけつつ、避けられるモンスターは静かに道を変えて避けながら進んでいく。

 

「メイプル。左に魔法トラップがあるから気をつけてね」

「分かったよ、サリー」

「床と壁に気をつけて進めよ?この場合、大抵は物理的なギミックのトラップが仕掛けられてるからな」

「りょうかーい」

 

【魔力感知】で事前に魔法トラップが見つけられるサリーの指示とコーヒーの警告に従って、メイプルは注意しながら右に寄って進もうとする。

右の壁に手を当てながらメイプルは進んでいき、その手がほんの僅かに色が違う壁に当たろうとする。

 

「!!メイプル!一旦止まれ!」

「え?」

 

その色違いの壁に気づいたコーヒーがメイプルに静止の言葉を投げ掛けるも、時既に遅し。

メイプルはその色違いの壁に手を当ててしまい、その壁がスイッチのように押し込まれる。

直後、メイプルの足下から桃色の煙が吹き出し、メイプルを包み込んだ。

 

「メイプル!」

「大丈夫だよサリー。甘い臭いがするだけで、特に何もないよー」

「……甘い臭い?」

 

煙の向こう側からのメイプルの元気な声に安心しつつも、甘い臭いという言葉に不吉な予感を覚えるコーヒー。

 

「そう。でも、早くこの場から離れようか」

 

サリーも嫌な予感を覚えているようで、この場からすぐに移動するよう促す。

三人はその場から立ち去るように進んでいくが……何も、起きない。

 

「……おかしい。こうも何も起きないとかあり得ない」

「うん。あの煙が毒だったなら、何も問題ないんだけど……」

 

てっきりモンスターを誘き寄せる罠と警戒していたコーヒーとサリーは、モンスターの影も形も見えないことに疑問を浮かべる。

 

この道中でメイプルがかかった罠は回転椅子、お化け、地面からの槍、下の階へ落とす落とし穴等、本当に嫌な罠だらけだったのだ。

その予想は、裏切られることはなかった。

 

「?向こうから何か聞こえるよ?」

 

そう言ってメイプルは三つに分岐している通路の真ん中を指差す。

コーヒーは【遠見】を使って確認すると……天井にぶら下がっている巨大な蜂の巣と、その巣の周りを飛び回っている雀蜂の姿をしたモンスター達がいた。

 

「……向こうに雀蜂型のモンスターの大群がいるな」

「数は?」

「数えるのが面倒なほど」

「じゃあ、避けて通ろうか」

 

サリーの言葉にコーヒーとメイプルは頷き、蜂の巣がある通路を避けて通ることを決める。

そのまま進んでいくのだが……

 

「……近づくにつれて蜂達の動きが何かを確認するように動いているな」

「ホントに?私にも確認させて」

 

サリーの言葉に、コーヒーは《信頼の指輪》の【彗星の加護】を【遠見】へと登録し直し、【遠見】が限定で使えるようになったサリーがその通路を確認する。

 

「……CFの言う通り、あの蜂達は何かを確認するように動いているわね」

「一体何を―――」

 

そこでコーヒーとサリーはある事に気付き、二人揃ってメイプルに視線を向ける。対するメイプルはよく分からずに首を可愛らしく傾げている。

 

「……メイプル。ここで少し待ってて」

「?うん。分かったよサリー」

 

サリーの唐突な指示にメイプルは疑問に感じながらも頷き、コーヒーとサリーはそのまま分岐点に足を踏み入れる。

 

「蜂達の様子は……さっきと同じだな」

「そうね」

 

そして、コーヒーとサリーは右の通路へと入って十歩歩いたところで止まり、メイプルに分岐点のところまで歩いてそこで止まってほしいとメッセージを入れる。

少ししてメイプルが分岐点で立ち止まり、それから十秒も経たない内に―――雀蜂の大群がメイプルに襲いかかった。

 

「うわわわっ!?」

 

メイプルの驚く声がコーヒーとサリーの耳に届く。対する二人はやっぱりという心境になっていた。

 

「やっぱりあの煙は蜂を呼び寄せるやつだったのか」

「特定の場所に来て効果を発揮する罠だったみたいね。蜂達の動きは、あの煙を被ったメイプルに反応したからだったのね」

その間にもメイプルは【機械神】の銃撃で雀蜂達を吹き飛ばしているが……数が多くて相当苦戦しているようである。

「……そろそろ助けるか」

「そうね」

 

コーヒーとサリーはそう言って互いの得物を構え、蜂の塊に突撃していく。

―――数分後。

 

「うう……二人共、ひどいよ~」

「その……悪かった」

「うん。まさか雀蜂全員メイプルだけを狙うとは思ってなかった」

 

終始雀蜂に襲われたメイプルに、コーヒーとサリーは囮同然の行為を謝っていた。

雀蜂達は蜘蛛と同じく強くなかったが、数はG並みだったので掃討にはそれなりに時間がかかってしまっていた。

 

コーヒーは【スパークスフィア】や【雷旋華】に【リベリオンチェーン】、メイプルは【毒竜(ヒドラ)】や【ヴェノムカプセル】、【機械神】で片っ端から、サリーは高範囲スキルを持っていない為、一体一体斬り倒してだ。

 

雀蜂達は煙を被ったメイプルしか狙わなかったので、コーヒーとサリーは比較的容易に倒せていたので駆逐自体は数分で終わらせることができた。

その代償にメイプルの装備は食べられたことで何度も破壊され、【悪食】も使い切らされてしまったが。

 

ちなみに、その煙を被ったプレイヤーが死亡すると、雀蜂達は無差別に他のプレイヤーに襲い始めるのだが……貫通攻撃を有していなかったので、雀蜂達はメイプルだけを狙う羽目となった。

 

取り敢えず、三人は気を取り直して先へと進んでいく。

少しして……

 

「ひぃいいッ!?」

 

上へ続く階段の前で佇むように待機していた首のない二体の鈍色の甲冑騎士―――俗に言うデュラハンがガチャガチャと音を鳴らしながら此方へと近づいてきた。

悲鳴を上げたサリーは……コーヒーを盾にするように後ろに隠れてしがみ付いていた。

 

「シ、CF!メイプル!早く倒して!!」

「弾けろ!【スパークスフィア】!!」

「【砲身展開】!!」

 

涙目のサリーの言葉にコーヒーは雷球を、メイプルはレーザーを放って二体のデュラハンを攻撃する。

メイプルのレーザーは鎧に弾かれたが、雷撃の方ははマトモに喰らい、二体のデュラハンはあっさりと光となって消えた。

 

「今のデュラハンは雷属性じゃないと倒せないやつだったのか」

「そうみたいだね」

「取り敢えず、デュラハンはもういないぞ。サリー」

 

コーヒーの言葉にサリーは警戒しながら背中越しにデュラハンがいないことを確認する。確認を終えると、サリーはコーヒーの背中から離れた。

 

「さっきのはゴーレム……と考えてもダメか?」

「無理……首なし騎士はわりと有名な幽霊だから……せめて兜があれば……いや、兜の中が空洞だったらアイツを思い出しそうだし……」

「まだアレの傷が癒えていないのか?」

「うん……」

 

コーヒーの質問にサリーは力なく頷く。まだジェイソンモドキの傷は癒えていないようである。

そんな二人をメイプルはニコニコして見守るのであった。

 

 

 




「前方に蜂の巣あり!!」
「迂回するか?」
「いや、敢えて突っ込む。ここで迂回すれば……あの憎きCFから逃げるのと同意だ!!」
「「「「「そうだな!よし、行くぞ!!」」」」」

生産職のプレイヤーから購入した爆弾を持って突撃していくパーティーの図。
※この後、返り討ちに合いました

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