スキルのせいで厨二病患者に認定されました   作:厄介な猫さん

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防振り新刊情報は雷使いのキャラが出ますね……スキル名が被りそう
ガンヴォルト新作映像も……IFなのか、それとも爪のその後なのか……本当に気になりますね
てな訳でどうぞ


二階は本と鏡

一階を攻略した三人は日を改めて二階の攻略へと移った。

一度一階をクリアしたから二階からすぐに始められる三人は二階へと足を踏み入れる。

そこで三人の目の前に広がっていたのは、壁一面が本で埋めつくされた通路だった。

高い本棚が天井まで届き、通路は一階と同じ程度の幅だ。

 

「図書館、かな?」

「見た限りはな。この分だと魔法攻撃が多そうだな」

「このくらいの幅だとシロップに乗れないんだよねー……」

 

メイプルの言うように、屋内の場合はシロップに乗って移動できないことが多い。

空を飛べば大概は回避できるのだが、今回のイベントはそれを許しはしなかった。

 

「うーん……【ワイルドハント】の小舟ならいけそうだが……一万払うのがなぁ……」

 

コーヒーは【クラスタービット】や【孔雀明王】、【ワイルドハント】を使えばこの通路でも問題なく飛べるが、それらは基本一人だ。特に【孔雀明王】はパーティーに全く向いていないスキルだ。

【ワイルドハント】は発動にお金が必要なので、積極的に使いたくはない。

 

「いやいや、飛ぶ前提で話を進めてどうするのよ。ちゃんと歩いて攻略しなさいよ」

「りょうかーい」

「はーい」

 

サリーのツッコミにコーヒーとメイプルはあっさりと頷き、そのまま三人で通路を歩き始める。

右も左も本だらけの通路で、コーヒーが思い出したように口を開いた。

 

「そういえば、一階のボスが落とした巻物の内容を確認してなかったな」

 

コーヒーはそう言って自身のインベントリを操作して件の巻物を取り出し、その内容を確認していく。

 

 

===============

【爆雷結晶】

発動から三分間、攻撃を受けると強力なノックバック効果と無差別攻撃である雷の衝撃を放つ結晶を両手から放てるようになる。使用する度にMPを3消費する。

雷属性の攻撃を受けると威力と範囲は二倍となる。

30分後に再使用可能。

口上

雷撃宿し結晶よ 我が手より放たれ その怒りを以て咆哮せよ

===============

 

 

「……雷系統のスキルだな」

「そうね。後、近距離じゃまず使えないわね」

「私はMPの消費が……」

 

取り敢えず、コーヒーは【爆雷結晶】を取得し、相変わらず本だらけの通路を進んでいく。

やがて十字路へと辿り着き、そのどれもが同じような景色である。

 

「さて、どの道を進むか……」

「メイプルは?」

「……左?」

「じゃあ左で。CFもいいよね?」

「ああ」

 

そうして三人が十字路を左へ曲がってすぐ。

本棚から勢いよく一冊の本が飛び出し、三人の方へと向かってきた。

 

「……!よっ、と!」

 

サリーは素早く反応して体を捻り、飛び出してきた本を避け、同時にダガーを振り抜いてカウンターを決める。

ダガーに斬りつけられた本は赤いダメージエフェクトを散らす。どうやらトラップではなくモンスターのようである。

本型のモンスターは一撃では倒れず、本来はない牙を頁の端に覗かせながら、そのまま噛みつこうとする。

 

「ほれ」

 

そのモンスターに、コーヒーはクロスボウの矢を撃ち込む。

HPはかなり低く設定されていたのか、本型のモンスターは矢を一発受けただけで倒れて光となって消えていった。

 

「ここは本がモンスターなんだね。でも、当然と言えば当然なのかな?」

「確かにね。【魔力感知:左目】」

 

メイプルの言葉にサリーは頷きつつ、スキル【魔力感知】を発動させる。

すると、本棚の所々に赤い靄が左目に送られてきた。

 

「うわぁ……気配はないのに赤い靄があちこちに……罠かモンスターなのか分からないのは残念だけど、警戒がしやすいだけマシかな?」

「【身捧ぐ慈愛】は?」

「念のためにしといた方がいいだろ」

「そうね。メイプル、お願いね」

 

メイプルに【身捧ぐ慈愛】を発動させ、コーヒーも《信頼の指輪》で共有している【魔力感知】を発動する。

万全の態勢となった三人は改めて、ぎっしりと本が詰まった本棚に挟まれた通路を進んでいく。

 

「さっきの本はあんまり強くなかったね」

「HPやVITが高くないところをみる辺り……他のステータスが高かったのかものな」

「そうかもしれないわね……」

 

もっとも、VITが装備込みで五桁となっているメイプルには貫通攻撃しか通用しようにはないが。

 

「不思議な本を見るとカナデを思い出すなあ」

「……ボスは本当にそんな感じかもね」

「本から攻撃を繰り出すタイプで、種類が豊富かもな」

「なるほどー。どこかに情報とか書いてないかな?」

 

メイプルはそう言って、左の本棚に手を伸ばして本を一冊抜き取ろうとする。

 

「お、おい!?」

「メイプル待って!!」

「え?」

 

コーヒーとサリーの突然の静止の声にメイプルは戸惑うも、時既に遅し。

メイプルが触った本は水色に光ってメイプルを包み込んだ。

光が消えると、メイプルは頭以外が氷漬けとなって閉じ込められていた。

 

「メイプル、大丈夫!?」

「うん、大丈夫!だけど、凄く寒いよー」

「こういう場合は炎だよな……【雷炎】!」

 

コーヒーは【雷炎】で属性を火に変え、矢を何発も撃ち込んで氷を溶かして破壊。メイプルをすぐに救出した。

 

「さっきの本棚の一列全部が赤い靄だったから嫌な予感がしてたんだが……」

「多分、何処に触れても同じ罠が発動するでしょうね。メイプル、無闇に触らないでね?」

「分かったよー」

 

メイプルが頷いたところで、今度は三冊の本が飛び出してくる。

それらはふわりと天井近くまで行くと、協力するように一つの雷球を形成し、それを雷として落としてきた。

 

「【避雷針】」

 

コーヒーは【避雷針】を発動して、生み出された杭を上空へと投げる。

コーヒーが投げた杭はモンスターが放った雷を吸収し、そのまま地面へと落ちていった。

 

その間に、兵器を展開したメイプルがレーザーとミサイルで吹き飛ばした。

そのまま本型のモンスターをメイプルがメインとなって撃退しながら進んで行くと、通路の突き当たりに全身を写す程大きい鏡が鎮座していた。

 

「あの鏡、凄く怪しいよな。姿を全然写していないし」

「そうね。一応、赤い靄はないからモンスターやトラップじゃないことは確かだけど」

「じゃあ、調べるねー」

 

相変わらずこういった事に警戒心が薄いメイプルは近づいてその鏡を触ろうとする。

メイプルが鏡に触れようと手を伸ばしたが、メイプルの手はそのまま鏡に吸い込まれるように入っていき、そのまま鏡の向こうへと消えてしまった。

 

「「メイプル!?」」

 

コーヒーとサリーは揃って声を上げるが、そのメイプルはすぐにその鏡から出てきた。

 

「おー、戻って来られたよー。戻って来れなかったらどうしようかと思ったよー」

「……鏡の向こうはどうだったんだ?」

「ここと同じ通路だったよ。だけど、本の代わりに鏡が大量にあったよ」

 

どうやらあの鏡の向こう側は別の場所に繋がっているようである。

 

「どうするサリー?一度引き返すか?」

「いえ、このまま進みましょ。どっちにしろ調べないといけないしね」

「そうだな」

「それじゃあ、私が先頭で行くね」

 

万が一の不意討ちのためにメイプルを先頭にしてコーヒー達は鏡の中へと入っていく。

鏡の向こう側は、確かにメイプルが言った通り鏡が壁に所狭しと規則正しく並べられている。

ちょうど、本棚が鏡に変わったような感じだ。

 

「こうも鏡だらけだと目が痛くなりそうだな」

「そうね。赤い靄があの先に見えてるし気を付けて進もうか」

「うん!」

 

三人はそうして鏡が大量にある通路を歩き始めていく。

少しして壁にあった鏡の一枚が独りでに浮かび上がり、三人に向かって来た。

 

「【攻撃開始】!!」

 

メイプルがいつものようにレーザーを放つが、そのレーザーが鏡型のモンスターに当たった瞬間に跳ね返り、メイプルに向かって戻って来た。

 

「嘘ぉっ!?」

 

驚くメイプルにレーザーは直撃するが、最強の盾であるメイプルには通らない。

 

「攻撃の反射か……どう見る、サリー?」

「んー、たぶん、遠距離攻撃しか反射しないんじゃない?一応、メイプルのレーザーは物理攻撃だし」

「と、なると矢も駄目か……【雷翼の剣】」

 

コーヒーはそれならと言わんばかりに雷の剣をクロスボウに形成する。これなら近接も可能である。

そうしている内に、鏡型のモンスターは光の球を明後日の方向へと放つ。

放たれた光の球はその方向にあった鏡へと吸い込まれ―――サリーのすぐ隣の鏡から飛び出てきた。

 

「っ!!」

 

サリーは咄嗟に体を捻ってかわすも、光の球はそのまま鏡の中に吸い込まれ、今度は左斜め上にあった鏡からメイプルに向かって飛んでいく。

 

「うわっ!?」

 

光の球はメイプルの頭に直撃するも、もちろんノーダメージ。欠片も減っていない。

 

「【超加速】!!」

 

サリーが自身のAGIを上げてモンスターへと接近。すれ違い様にダガーを振り抜く。

モンスターは赤いダメージエフェクトを散らすと、そのまま光となって消えていった。

 

「どうやらHPは本のモンスターよりも低く設定されているみたいね」

「その分、かなり癖が強いけどな」

 

遠距離攻撃は効かず、攻撃は鏡を通して放たれる。

メイプルの【身捧ぐ慈愛】がなければ無傷で突破するのは困難であったのが容易に想像できる。

 

「でも、サリーが一撃で倒せたから案外そこまで強くないかも」

「……多分、この手の敵は攻撃力が高く設定されてると思うよ」

 

メイプルの呟きに、サリーはそう言う。

実際、あの鏡型のモンスターは割と攻撃力を高めに設定されていたのだが……メイプルの防御力を突破するには火力不足だったのである。

 

「だとすると……【クラスタービット】はどう判定されるんだろうな?」

「一応は近接として扱われるんじゃない?」

「また現れたら一度試してみるか」

 

コーヒーが【口上強化】して【クラスタービット】を発動させてから、三人は鏡の通路を再び歩き始めていく。

やがて二つに別れた通路へと到達する。

 

「右と左、どっちにする?」

「今度は右で!!」

 

三人は十字路を右に曲がると、例の鏡型のモンスターが二体現れる。

 

「行け!!」

 

コーヒーは【クラスタービット】を操作し、蒼銀の津波で鏡型のモンスターを呑み込んで攻撃を仕掛ける。

数秒後、鏡型のモンスターは光となって消えるのであった。

 

「ここは【クラスタービット】メインで進むか」

「そうね」

「そうだね」

 

満場一致で【クラスタービット】での迎撃が決まり、今度はコーヒーがメインとなって通路を進んでいく。

そして、突き当たりへと到達し、そこにも最初に見た鏡と同じ鏡が鎮座していた。

それを見た三人は、メイプルを先頭にしてその鏡へと近づいていく。

 

そのままメイプルが鏡に触れると、ここに来た時と同じように吸い込まれ、メイプルはその場から消える。

それを見たコーヒーとサリーも同じようにくぐり抜けると、そこは最初に足を踏み入れた時と同じ本棚の通路であった。

 

「どうやら、本と鏡の通路を行ったり来たりして進む階層のようだな」

「そうね。この分だと、それを利用したギミックもありそうね」

「二つの世界を行き来する……凄く面白そう!!」

 

まさにファンタジー感満載な二階にメイプルのテンションが上がっていく。

 

「そうだ!せっかくだから……」

 

メイプルはそう言って自身のインベントリを操作し、装備を何時もの黒い鎧から緑の洋服へと変える。

 

「その装備は?」

「ふっふーん!私の新しい装備だよー!装備のスキルを使えば面白いことが出来るんだよー!!」

 

メイプルのその言葉に、コーヒーは悟ったような表情となった。

―――ああ、メイプルがまたスキルをおかしな使い方をするのだ、と。

 

「せっかくだから、二人もあの装備を―――」

「「は?」」

 

その瞬間、コーヒーはクロスボウをメイプルの眉間に、サリーはダガーを同じくメイプルの首筋に当てた。

その目は……とても濁っている。

 

「な、何でもないよ。あはは……」

 

あまりにも普段とは違い過ぎる二人の姿に、メイプルはすぐに折れた。が、意味はなかった。

 

「よし。ここからはメイプルを盾にして進もうか」

「そうね。この階層は文字通り、メイプルを盾にして進もうか」

「ええ!?」

 

本当に普通では絶対にしない、二人の物騒極まりない外道発言に、メイプルは狼狽するのであった。

その後、外道盾メイプルシールドが誕生し、盾と二人は奥を目指して進むのであった。

ちなみにこの話が話題に上がった際の二人の言い分は―――

 

『『イラッと来たのでやった。反省も後悔もない』』

 

と、真顔でそう口にするのであった。

 

 

 




「一階もそうだが、この階も癖が強いな」
「そうだねー。何か良いのがないかな?」
「フレデリカさん、不用意に触るのは―――」
「フレデリカが巨大化した本に呑み込まれた!?」
「【紫電一閃】!!」
「【破砕ノ聖剣】!!」

モンスターに食べられたフレデリカを大急ぎで救う【集う聖剣】パーティーの図。
※ベチョベチョとなったベチョデリカは無事(?)に救出されました。

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