青王と逝くブリテン異聞帯   作:飴玉鉛

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チャートは壊れぬ、なぜなら修正するからだ

 

 

 

「問おう――あなたが私のマスターか」

 

 〉凛とした表情に、透徹とした眼差し。陰鬱な地下室の空気が、清涼な薫風へ変じていくかのような錯覚を貴方は覚える。

 

 〉可憐な少女騎士だった。碧い瞳は真っ直ぐに貴方を捉え、返答を待っているらしい。

 

「あの……?」

 

 〉貴方はマスターとしての能力で、彼女のステータスが視えている。かなり優秀なサーヴァントだと貴方は満足した。

 

 〉暫く黙っていると、少女騎士が困惑したように声を掛けてくる。

 

 〉貴方は首を傾げた。貴方は自分の認識上で、既に自己紹介等を終えて確認事項を確かめようとしているところだったからだ。

 

 〉しかし貴方は少女騎士――セイバーのサーヴァントである彼女に向けて、自分がまだ一言も発していない事に気づく。

 

 〉「そうだ。俺がお前を喚び出したマスターだ」

 

 〉居丈高に構えるでも、緊張や高揚に声を上擦らせるでもなしに、貴方は平素の声音で淡々と応じた。これまで他者との会話など、ろくにしたことのない貴方だが、生来の気質のためか初対面の相手でも気後れする事はないようだ。

 

 あー……ホモくんはどうやらコミュ障らしいです。言うまでもなくバッドステータスですね。しかも初見だとかーなーり分かりづらいコミュ障です。

 身を置いてる環境からしてコミュ障なのは確定なんですけど、ホモくんの場合、千里眼があるので捻くれたコミュ障になってるかもしれません。

 自分が朧気ながら未来が視えていて、それが当たり前だから相手には視えていない事が分かっていない可能性はあります。未来と現在がごっちゃになってて、円滑なコミュニケーションが取りづらいかもしれません。んもぅ、ホモくんったらせっかちさんなのね(はーと) ……ヴォエッ

 

 とにかく、その点に関しては私が気をつけておくしかないでしょう。あと、当然ですが私自身は未来なんて視えてないので、私もホモくんの言動に困惑させられるかもしれない事を覚悟しておきましょう。

 しっかしおかしいですね……。

 本当なら鯖か鱒……ああ、鯖というのはサーヴァントで、鱒はマスターのことです。俗称です。さておき本当ならどっちかが相手に一目惚れかーらーのー初恋コンボをかますんですが……なんか、どっちにもそれっぽい反応がありません。ホモくんはホモなので当然ですが、これはいったい……?

 

 あ、そういやこの青王なんですがFateの原典の主人公、衛宮士郎と邂逅した事はありません。ステイナイト略してSNの青王は、ある種の生き霊状態で、厳密にはまだ死人でも英霊でもないんですが、この青王はばっちし英霊になってます。どういう事なの……? と疑問に思われるかもなので説明しますと、この青王は原作通りの願いは抱いてても、生前に世界と契約しないで聖杯を手に入れる戦いに身を投じず、無念のまま聖剣を湖の精霊に還して死亡してるんですね。

 

 それらの要因によって原作とは微妙な差異が生じますが、そんな事はどうでもよろしい! 大事な事を今から言いますね?

 実はこの青王……。

 

 完全体騎士王(パーフェクト・アルトリア)なんですよ!!

 

 どういう事か分かります? つまりですねクラス縛りがあるにせよ、彼女はなんと――宝具『風王結界』『約束された勝利の剣』……そして、『勝利すべき黄金の剣』と、なんと! あの『全て遠き理想郷』まで持ってるんです!

 分かりますかね? 『効いたよね♪ 早めのアヴァロン♪』で有名なあのアヴァロンを持ってるんです。ゲーティアの人理砲をも防げる疑いがある、あのアヴァロンを持ってるんですよ。これにより青王はどんな傷を負っても霊核さえ無事なら死なず、どんな攻撃も防げる完璧な盾になるんです!

 

 これって勲章ですよ……? 屈指のアタリ枠の異名は伊達じゃない!

 

 ……だがしかし、これはゲーム。最初からそんな最強武装を使えたりしませんし、どうしてか青王は鞘の存在を忘れてます。

 自分は鞘を持ってないと思い込んでて、自分で気づくまで使えないどころか鞘の治癒能力すら機能しないんですよ。

 バグ? これってバグ? と、疑いたくもなりますが、残念ながらこれは仕様です。FFRPGがギャルゲーだと揶揄される理由の一つに、サーヴァントとの絆システムが挙げられてるんですよ。

 FGOで採用されてる絆システムの類似システムで、アヴァロンは青王との絆をマックスにしないと解禁されないようになってるんすね。

 

 ゲームと現実をごっちゃにする開発陣の所業に全ユーザーが泣いた。

 

 ゲームは遊びじゃねえんだよ!! よしんば遊びだとしてもRTAは遊びじゃねえんだ!! 偉い人にはそれが分からんのですよ。

 

「……確かに契約のラインを感じます。魔力の量も申し分ありません。どうやら優れた魔術師に喚び出されたようですね。

 申し遅れました。私はセイバーのサーヴァント、真名はアーサー・ペンドラゴン。此度の聖杯戦争で、貴方の剣となる事を誓いましょう」

 

 おっと興奮しすぎてヨダレが……。

 失礼しました。それよりセイバーさん、フツーに真名教えてくれましたね。

 多分、レイラインを通じて自分に流れ込んでくる魔力の量から、ホモくんの事を優れた魔術師だと判断して真名を教えてくれたんでしょう。

 原作主人公に真名を中々教えなかったのは、主人公くんが魔術師としてヘッポコかつマスターとしての心得がなかったからですし、案外優秀な魔術師に召喚されてたら今回みたいに真名を教えてくれてたんでしょうね。

 まあ、言われてみたらそりゃそうだ、ってなりますわ。真名を伏せたせいで自分にとって嫌な戦略を決められても困るでしょう。そもそも触媒使って喚び出すのが英霊召喚のスタンダード、セイバーさんもホモくんが触媒使って自分を呼んだと判断してるはずです。真名伏せる意味(彼女視点では)ないです。

 

 ちなみにアルトリア、というのは彼女にとって幼名になります。アーサーという男性名が彼女にとっての本名なのは事実です。なので偽名使われた!? と憤るのは筋違いですし、そもそもアーサー王名乗るならアルトリア・ペンドラゴンと名乗られるとなんか、もにょる……。

 え? ZEROだと輝くイケメンにアルトリア・ペンドラゴンって名乗った? 知らんな。

 

 〉「ああ……」

 

 〉貴方は曖昧に返事をして押し黙る。奇妙な沈黙が流れて、アーサー王を名乗ったセイバーは訝しげに眉を顰めた。

 

 うわぁ……まぁーたホモくん脳内会話(未来視)してる……。

 しゃーない、面倒やが私がホモくん操作するしかないっすねこれ。あんまりオート機能に任せっきりだと、私の腕の見せ所さんがないですし。

 見てろよ見てろよ〜? 私のコミュぢからは五十三万です。

 

「マスター……?」

 

 〉「すまない。少し今後のことについて考えていた。それから、お前のことも」

 

「私のこと、ですか」

 

 〉「そうだ。私とセイバーで挑む聖杯戦争は、亜種聖杯戦争という……いわゆる本物の聖杯戦争の廉価版だ。勝ち抜いて得られる聖杯は莫大な魔力リソースになるが、万能の願望器に及ぶものではないだろう。あらゆる願望を叶えられる代物ではない、と思っていた方がいい」

 

「……それは真ですか?」

 

 〉「嘘を言って何になる? 不利益になるなら黙っているべきなんだろう。だが生憎と、召喚に応じてくれたセイバーに不誠実な真似はしたくない。マスターとサーヴァントの関係は、信頼関係を如何に堅いものにするかにかかっていると思うからな。……これは冬木の聖杯戦争じゃあないから、マキリの令呪がないんだ。信頼関係の構築は死活問題になるのに嘘を吐くのは愚策だろう」

 

「では……私の願いは、この聖杯戦争では叶わないのですね」

 

 〉「あくまで()()()()()()というだけだ。とはいえその可能性は高いだろうよ。根拠としては亜種聖杯戦争は世界各地で行われている。その中に本当の意味での万能の願望器はなかった。なら、今回の亜種聖杯戦争の聖杯に限って、万能の願望器として機能するとは考えづらい」

 

「………」

 

 おぉう。セイバーさん露骨にテンション落ちてますね。よっぽど過去改変からの特異点化がしたいようです。

 そう、セイバーさんの願いを叶えたら、少なくともこの世界だと特異点化してカルデアがぶっ飛んできます。頑張って願い叶えたのにその仕打ちとかクソゲーですよクォレハ……。

 尤もセイバーさんはまだ、自分の願いが特異点化に繋がる事に気づいてはいません。そしてホモくんは――というか私は、その点を突いてセイバーさんの願いを撤回させる気がありません。

 初志貫徹して、どーぞ。私は貴女を全力で応援します! だってその方が私のチャート的に都合がいいからネ!(邪悪)

 

 〉「名乗っていなかった。俺は誉田基臣。知り合ったばかりだが、だからこそ互いの望みを把握し合い、如何にして戦っていくかを話し合おう」

 

 〉貴方がそう言うと、セイバーは悩ましげに眉根を寄せる。どうやら自分の願いを叶えられるか分からないと言われ、聖杯戦争に参加する事の意義を考えているのかもしれない。

 

 あっ、ふーん……(察し)

 まあ大丈夫やろ。他のサーヴァントならいざ知らず、こと青王様に限ってはサーヴァントとしての立場を放棄しないはずです。

 今の彼女は正規の英霊。英霊としての誇りがあるはず。一度召喚に応じて現界し、契約を交わして「貴方の剣になる」と言ったのにそれを反故にはしないでしょうよ。

 

 そしてその精神性がアタリ枠のアタリ枠たる所以。彼女、実に真っ当なんです。騎士らしいというか、王様なのに騎士としてマスターに仕えるのが苦にならないタイプなんです。他の王様系サーヴァントと違って謙虚なんですよ。

 王様要素としてのカリスマ、経験、思考形態。一兵士(サーヴァント)として主を立て、護り、導ける精神性。攻めて強く守って強くの隙のない人こそが青王なんです。黒王? あれはハズレ枠です言わせんな恥ずかしい。

 

「……いえ、それには及びません、マスター。私は貴方の剣になると誓っている身。サーヴァントとして貴方の指示に従います」

 

 流石である。召喚に応じたとはいえ出会って間もないのに、形式的な主従関係を重んじてくれます。私的にポイント高いです。

 とはいえホモくんが邪悪全開だったり悪行を重ねているようだと、第一印象が最悪になり積極的に動いてくれなくなります。守ってもくれません。悪行をやり過ぎると後ろから斬られるまであるので、彼女のマスターになったら善人ロールで切り抜けていきましょう。それだけである程度好感度が稼げるので。

 ホモくんは放っておくと合理性の名のもとに平然と悪行を重ね、アライメントが悪に偏るので、セイバーさんに重しになってもらえると助かります。ちなみに本作でのアライメントは重要で、カルデアで活動する時にアライメントが悪に偏ってると……はい、あのチビ獣が覚醒しちゃう危険性が跳ね上がっちゃいます。かーっ、つれぇわぁ!(ガチ)

 

 で、こう言ってくれるという事は、セイバーさんは今のところホモくんに悪い印象がなく、最低限の信頼は置いてくれてるみたいです。なお、セイバーさんはその見た目に反して成人です。常勝無敗かつ百戦錬磨の名将なので、言葉に嘘があれば普通に勘づく危険性があります。本作の直感Aのスキルは洞察力も底上げしてるらしいので、バーサーカーの清姫よりも嘘の気配に敏感だったりするようですよ(wiki知識) まあ嘘の一つや二つで好感度が下がったり、殺しにかかってきたりはしないので安心して下さい。

 

 しかし、セイバーさんはこう言ってくれても、ホモくん的にはそういうわけにもいきません。ホモくんにとってセイバーさんは大事な手駒、来たる人理焼却に対抗するために戦力が一つでもほしい。そんな中で偶然現れた最上級の戦力、聖剣使いのアーサー王を逃すわけにはいかないのです。

 そう、ホモくんが亜種聖杯戦争に挑む理由の一つに、サーヴァントの確保があるわけですね。もちろん魔力リソース的な意味での聖杯もほしいですが、本命はサーヴァントなんですよ。アーサー王とか喉から手が出るほど欲しいに決まってるよなぁ?

 

 なお私も大体同じ理由でセイバーさんが欲しいです。好感度稼ぎまくって聖剣の鞘を解禁したいんじゃあ。そしたら目標達成率の安定性が跳ね上がるのでね。

 なので、ホモくんにこう言ってもらいます。おら! コミュぢからヨワヨワのホモ! 私の指示に従うんだよっ!

 

 〉「気持ちはありがたいが、俺は本気で勝ちにいくつもりでいる。何故なら俺には、絶対に必要なものがあるからだ」

 

「それは何か、聞いてもいいのですか?」

 

 〉「聞いてくれないと困る。俺はな、お前が欲しいんだよ」

 

「………?」

 

 〉セイバーは貴方の言葉に首を傾げた。

 

 〉彼女は額面通りには受け取らず、貴方の言葉の真意を知りたいようだ。

 

 口説かれてるのか? と、勘繰られる事はありません。真顔でいきなりこういう事を言われ、ポッ! となったり怒り出したりする人じゃありませんからね。そもそも今の彼女は女としての自覚が薄いですし、私も別にセイバーさんにチョロインの如く赤面して欲しかったわけでもありません。

 

「どういうことですか?」

 

 〉「俺はこの聖杯戦争で勝ち抜き、魔力リソースとしての聖杯を確保。その後、セイバーであるお前との契約を継続していきたいと思っているんだ」

 

「……何故です。この身はサーヴァント、聖杯を手に入れるために喚び出されただけの存在です。聖杯を手に入れたのなら用済みなのでは?」

 

 〉「――ひとつ、誓約を交わそう」

 

 〉貴方は懐から一枚のA4の用紙を取り出して、それをセイバーさんに見せました。

 

「これは?」

 

 〉「自己強制証明(セルフ・ギアス・スクロール)だ。セイバー、お前は魔術の知識はあるか?」

 

「……あります。宮廷魔術師のマーリンに、最低限の教えは受けました」

 

 〉「なら分かるだろう。俺はコイツで自分を縛る。この聖杯戦争が終わるまで、お前に対して一切の虚偽を働かないという証だよ」

 

「………」

 

 〉セイバーは突然のことに目を白黒とさせた。

 

 そりゃそうだ。だってこっちになんのメリットもないように視えるからね。

 でもホモくんは千里眼あるし、私も原作を知ってるんで実質未来視できてると言っても過言じゃありません(過言)

 必要だからやるんです。これをやれば突拍子のないことを言っても本当だと信じてくれます。少なくともホモくんはそう思ってる、とは見做してくれるんですよ。

 

 〉「まずはじめに、俺は千里眼を持っている。未来が視えるんだ」

 

「――なんですって? それは本当……なんでしたね」

 

 ほら信じてくれた。彼女は本当に、簡単なものなら魔術を理解してます。

 マーリンお前クズだけどいい仕事してるわ……。こんな優秀な王様作製できるとか流石でござる。

 

 〉「そして俺は視た。十年後……いや、あと四年ほどで世界が滅びる様を」

 

「………は?」

 

 〉鳩が豆鉄砲を食らったようにセイバーは反駁する。しかし貴方はそれを気にしない。

 

 コミュ障は無敵。はっきりわかんだね。

 なんせ相手のリアクションとか気にしないのがホモくんだから。

 

 〉「文字通り焼却され、世界は跡形も残らず滅びる。俺はそれを防ぎたい。そのためには力が必要で、その力をお前に貸してもらいたいんだ」

 

「………」

 

 〉沈黙が流れる。セイバーは唐突に投げつけられた言葉を咀嚼する時間が必要で、貴方はそんなセイバーからのリアクションを待っていた。

 

 それはそうと唖然とした青王さんの顔、可愛いンゴねぇ……。

 まあ待ちに徹しても時間のロスにしかなんないんで、私の方からグイグイ行きますよーイクイク。

 リアクションを待つ? 待ちませんよぉ!

 

 〉「まあそんな大真面目に受け取らなくてもいい。俺が誇大妄想狂で、未来が視えていると思い込んでるだけの狂人である可能性もないとは言えない。

 だから、四年だ。聖杯を手に入れられたら四年間だけ付き合って欲しい。

 その後に何もなければ、俺のことを嘲笑って契約を解除してもいいし、なんなら俺を斬ってもいい。

 ああ、要するに。お前の四年を俺にくれ――と、そう言ってるわけだ」

 

「……分かりました。いえ理解は出来ていないのですが……貴方が本気で言っていることは、分かりました。……いいでしょう。仮に貴方の言うことが本当であれば大変なことです。力を貸すことに異存はありません」

 

 半信半疑ながらも、とりあえずセイバーさんは頷いてくれました。

 

 よっしゃ言質取ったどー! まあ……この聖杯戦争終了時には、あなたには一旦退場してもらうんですけどね(ゲス顔) チャートにはそう書いてる、そしてチャートとはこの世界のアカシックレコードなのだぁ!

 再会はカルデアで。ゲームシステム的に、この時の記憶を保持したままカルデアに来てくれるので心配は要りませんよ……(邪笑)

 

 そのためにはとりあえずこの亜種聖杯戦争を勝ち抜かないと……!(使命感

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〉貴方はセイバーを連れて地下室を出た。その際、セイバーは自分を喚び出すための触媒がないことに驚いたようだった。

 

「では貴方は、縁によって私を喚び出した、と……?」

 

 〉「生憎、彼のアーサー王と縁がある生まれじゃないな。単に相性が良かったんじゃないか?」

 

「相性? 私と……?」

 

 ――好感度を上げるための土台作り、布石を打つのに余念がないホモくんなのであった、まる。

 

 〉貴方は早速この街の地理をセイバーに知ってもらおうと、外に連れ出そうと――

 

 インターセプト! そんなことしなくていいから(良心)

 

 〉――するのはやめて、貴方は居間にセイバーを案内します。

 〉訝しむ彼女には、あらかじめ霊体化を可能な限りしないようにと言い含めると、やはりセイバーは訳を訊ねてきた。

 

「現界しているために聖杯の補助があるとはいえ、実体化していると貴方の魔力を少しずつ消耗させてしまいます。それは非合理的でしょう。なぜ霊体化してはならないのですか?」

 

 〉当然の疑問。それに貴方はこう答えた。

 〉「これから四年間は付き合っていく予定の相棒には、なるべく現世を謳歌してもらいたくてな。俺と共に娯楽に触れ、食事を楽しみ、互いに深く理解し合えた方が気分よく過ごせるだろう?」

 〉そう言われ、セイバーはなんとも言えない顔で押し黙った。

 

 はい。

 娯楽に触れないし食事を楽しむ予定もありません。セイバー、お前は死ぬからだ(キメ顔) でも言うだけならタダなんだよなぁ。

 ん? セルフ・ギアス・スクロールで嘘を吐けないんじゃあなかったのか、ですって? うん、ホモくんは嘘吐けないね。でも私は違うんだなぁ!(屑)

 今のホモくんは私の操作を受けてるので、制約には引っかからないんです。実質空手形、それがセルフなんちゃらなのさ! 走者の皆さんに悪用され過ぎて制約壊れるぅ〜()

 

「……貴方は、変わった人ですね」

 

 〉料理(冷凍食品)を振る舞うと、それに舌鼓を打って食事を楽しんでしまったセイバーが、微かに照れながらポツリとつぶやく。

 〉英気を養ってもらうためだと貴方は言った。淡々と、表情を変えず。しかしその目は、久しぶりに人と話せていることを楽しんでいるようで、雰囲気は悪いものではなかった。

 

 

 

 ……ふぅ。ここまでは怖いぐらい順調ですね。

 揺り戻しとか認めねえから幸運の女神は私に微笑み続けて、どうぞ。

 

 

 

 〉――あなた達は外に出て、敵の有無を探る偵察に向かった。

 

 〉――するとあなた達は五組の敵と遭遇する。

 

 

 

 ん? 確定イベが挿入されてきた……? いきなり場面とんだし確定イベですよねこれ。しかもこのタイミングだと時間が飛ぶ感じの。

 にしても、五組って……それこの亜種聖杯戦争の全メンバーやんけ。七組はいなくて計六組なんすよこれ。いきなりどうしたんや?

 

 

 

 〉――五人のマスターは親密な間柄のようだ。いや、顔の作りがどことなく似通っている。親族なのかもしれない。

 

 

 

 ……は?(威圧)

 

 

 

 〉――そして五騎のサーヴァントは、装いは異なっても全騎が同じ顔をしている。

 

 〉貴方にはそのサーヴァントが何か、分かった。これまで世界各地で繰り返された亜種聖杯戦争、その中で度々姿を表した最強の英霊。

 

 〉――五騎のヘラクレスが、あなた達の敵だった。

 

 

 

 ファッ!? くぅ〜ん……(失神)

 

 

 

 〉あなた達は敗け、貴方は死んだ。

 

 

 

 ちょ、なんやこのクソイベ……強制敗北からの確定死とかふざくんな!

 はぁ〜つっかえ! やめたくなりますよこの仕事。ってかマジでなんなんですか。ヘラクレスとかただでさえバグキャラなのにそれが五体?

 確かに敵鯖と敵鱒はランダムですけどこれはねぇだろ! なんだよ敵鱒全員が同じ陣営で、敵鯖全部がヘラクレスとか! どんな確率やねんマジふざくんな! かーっ! こうなったら運営に凸して修正させたらクソぉ!

 

 って、ん?

 

 

 

 〉――『 』が、貴方を見つけたのだ。

 

 

 

 あっ(察し)、これアレやわ。

 再走うんぬん以前に運営に凸するとこでしたが、それしなくてもよくなりましたね。

 むしろ大幅なタイム短縮が望めなくもないです。

 

 このファンブルが十連続ぐらいしたかのような不運は、アレがホモくんを見つけてくれたからなんでしょう。

 

 いやぁ、いいっすね。いい感じです。

 こうなったのは多分、千里眼持ってた上に、いい感じな願望持ってるセイバーさんがいたから、かな?

 再走するしかないんですけど、その再走にも意味が出ますよこれ。というのもですね、これ、マスクデータに書き加えられるステータスが出るんすよ。

 ああ。アレってなんだよ、ですか? アレってのはですね、かなりの低確率で起きるレアイベント。

 

 

 

 異星の神がプレイヤーを見初めるイベントです。

 

 

 

 今日はここまで。ご視聴ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

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