青王と逝くブリテン異聞帯   作:飴玉鉛

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不正はなかった、いいね?

 

 

 

 はーい画面の前の皆さん、バッドでグッドなRTAはーじまーるよー。

 

 えー、前回のあれは、嫌な事件でしたね……。

 槍、弓、騎、狂、暗の筋肉ホモダルマが画面を席巻し、ホモくんや青王さんを好き放題に乱暴(意味深)するグロ画像を叩きつけてしまい誠に申し訳ありませんでした。許して。許せ(豹変)

 ホモもノンケも阿鼻叫喚不可避な事件でした。が、あの後も実はゲームオーバーにならず、プレイ続行が可能で長い目で見れば私のチャートよりもタイムが早くなる、ラッキーイベだったのですが……再走した方が実はお得なので再走します(鋼の意志)

 

 どういう事かというと、あれってある意味で乱数の事故といいますか、本作では不幸な事件が起こってお悔やみ申し上げる事態になる事が儘あります。

 そう。例えば亜種聖杯戦争での事。敵鯖と鱒はランダムになるんですが、敵陣営が複数で纏まり、しかも強鯖で固めて勝利不能になったという事例が私以前にも起こってるんですよ。流石に私より酷い絵を撮った人はいないでしょうけどね。……なんやねんヘラクレス五騎とか。ほんまひで。

 

 で、該当ユーザーは開発に凸し、クレームを入れまくりネットで騒ぎまくり一時話題になったわけです。そうなると開発も対応する事になり、マスクデータを書き変えたり乱数を調整したりしたんです。

 そうして新規実装されたのが、『異星の神にプレイヤーが見初められる』という、イキリシュタリアの名で有名なホモ歓喜のビジュアルのイッケメーンより先にクリプター候補にされるイベントなんですね。と言っても前回私が引っ掛かったようなくそみそな事件は、乱数の調整によって非常に起こりづらくなり、必然的に救済イベも希少なものになりました。

 

 しかし新規イベ実装に伴ったマスクデータは走者にとってとても有意義で、再走せよという天のお告げと相成るわけです。

 

 うん、ご存知無い方も多いかもしれませんので説明しますとね。プレイを続行した場合は私には関係ないので省きますが、ゲームオーバーを選んで再走し前回のホモくんと同じキャラクリをして行動すると、同じ状況を作れるようになるわけでして。つまり確定で青王をガチャで引けるんすよ。

 開発の救済措置ですね。あんなくそみそ事件でユーザーにやる気を失くさせるのも申し訳ないから、同じ状況を作れるようにしてくれてるんです。お気にの鯖を引いた後は、行動を変えることで事件を無事回避できます。

 これで事件前にお気に入りの鯖を召喚できてたら助かりますし、あくまで事件を乗り越えたがる刑事魂の持ち主に対しては、有情な開発がプラスアルファでお得なデータをくれてるんです。もちろん非公式な形で、つまりマスクデータという形で、ですね。

 

 それがメタ的に言うと『絆向上の効率向上』と『異星の神の関心度UP』です。キャラ目線で言うと青王は『なんか知らんけどループしてる……? このホモくん理不尽に死に過ぎぃ!』となり、異星の神は『なんやオモロイことになっとんね。唾つけたろ』となるわけっすわ。

 しーかーもー? 同じ状況になるのが確定するので、再走を何度も繰り返せば『ループし過ぎぃ!』と青王はメンタルブレイク(意味深)し、『うっわ、コイツ明らかに私のこと視てるわ。私達って相思相愛?』と異星の神に気に入られていくんですね。お前ホモかよぉ!(歓喜)

 そーしーてー? 再走してる事に変わりはないんで、実質タイムロス無し扱いになるんです。え、それ駄目なやつなんじゃないか、ですって? ……不正はなかった、いいね?

 

 まあこれが数少ない努力値の稼ぎ時と申しますか、タイム短縮のためチャートを練るのと同じと申しますか。要はシステムを利用してるだけなんで、私は悪くない。折角レアイベ引けたんで、タイム短縮のために利用するまで。これも葦名のため……悪く思うな。

 

 そんじゃ、五騎の筋肉ホモダルマに蹂躙(意味深)される作業(ループ)でもやりますかね(白目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――地獄を視た。

 

 青白い顔をした青年に喚び出され、誠実な応対を受けたことで好意的な印象を抱けたマスター。彼の下で戦うことを決意し、共に手を取り合って戦い抜いていくはずだった。

 彼は自分の知る宮廷魔術師と同じ――力に差異はあれどタイプは同じ――千里眼という未来を視る力を持っていた。少なくとも彼自身はそう信じているようで、彼の独特な態度を見ていると真実であるように感じる。

 制約を自らに課し、こちらに一切の虚偽を働かない意志を示した。それだけが理由ではなく、彼の人となりは信用できると思ったのだ。

 世界が滅びるという。だから力を貸して欲しいと彼は言った。私に否はなく契約を結び、そんな私を彼は相棒と呼んで歓待してくれた。相棒には現世を謳歌してもらいたい、信頼し合いたいからだと。

 

 だがその先に待っていたのは、理不尽なまでの『死』だった。

 

 遭遇した五人のマスターが同盟していた。五騎のサーヴァントは全員がトップ・サーヴァントであり、大英雄と呼べる存在で。一騎を相手にしてすら死闘は必至な敵だった。

 ヘラクレス……と、マスターが呟いた。青白い顔を更に白くして。

 私はこの時、敗北を悟って。それでもマスターだけでも生き残ってもらおうと死力を尽くしたのだが、結果として私は彼を守れずに敗北し、消滅する間際に頭を潰されるマスターを見たのだ。

 無念だった。何が騎士王、何が最優のサーヴァント。私には何もできず、そして――()()が、()()()()()()()()()()()のを察知して、魂が凍りつくほどの悪寒を覚えた。それは、()()()()()()()()()()()のだ。そして()()()()

 悟る。敵マスターの陣容が理不尽の権化だった原因は、この()()であるのだと。そしてこれこそが彼の言っていた世界を滅ぼす要因、()()()()である、と。

 

 ――地獄を見た。

 

 だが私には何も出来ず、消滅して英霊の座に還るはずだったのが――次の瞬間には、誉田基臣が私を召喚する()()に戻っていたではないか。

 私は混乱した。何が起こったのか訳も分からず。

 彼が私に問い掛け、私は混乱しながら名乗り、事態の把握に務めると。彼は私の記憶と寸分違わぬ言動をして、そして理解させられた。

 私は、過去に戻ったのだ。抑止力が働いたのか、それとも()()が何かをしたのか……定かではなかったが、とにかく私はマスターに注意を喚起した。我ながら要領を得ない注意喚起だったが、彼はそれを疑うことなく信じてくれて。

 

 だが、最終的には必ず敗れた。

 

 五騎のヘラクレスという悪夢。勝てるはずがない。だがなんとしても勝たねばならない。勝てなくともせめて、マスターだけは生かさねばならない。何故なら今、世界であの悍ましい()()の存在を認知できているのは、私とマスターだけだったからだ。

 二度目も敗れ。そして――三度目があった。

 またしても過去に戻った。何があったのか、どうして過去に戻るのか、私には何も分からない。だが三度目ともなると混乱は少なく、彼にすぐ事情を説明して行動してもらった。

 だが、勝てない。

 敗ける。

 

 四度目。

 私は勝機がない事を認めた。世界の危機に比べれば取るに足りない私の誇りなどよりも、マスターを生存させる事だけを目的に、聖杯戦争を放棄して貰ってこの街から逃げ出してもらって――不幸にも遭遇した敵陣営によって敗死した。

 

 五度目。

 逃げた。マスターと共に。

 だが()()、敵陣営と遭遇して殺される。

 

 六度目。七度目。

 逃げた先々で殺される。

 

 八度目。

 自害して消滅し――九度目が、来た。

 

 

 

「ぁ、」

 

 

 

 ピシ、と何かが罅割れる。

 

 戦えば敗れる。

 逃げたら、何故かすぐに敵と遭遇する。

 自害したら次の周回がくる。

 

 降伏した。殺された。

 

 交渉した。殺された。

 

 呆然として、マスターに聞く。未来が視えるなら、貴方は自分がどうなるか分かっているのですか、と。

 彼は言った。

 

「なんでだろうな。俺にはこの亜種聖杯戦争だけは、視えないんだ」

「――そう、ですか」

 

 ()()()。ヤツが何かをしている。遠くからこちらを視ている何かがマスターの視界を塞いでいる。

 私しかマスターを助けられない。なのに、私ではマスターを救えない。

 心が折れそうだった。どうしていいのか分からず、全てを話したら、彼は私に向けて言った。

 

「諦めるな」

 

 諦めるな、と。

 

「俺とお前に、全てが掛かっているんだろう」

 

 逃げるな、と。

 

「お前だけが頼りだ。セイバー、一緒に戦おう」

 

 戦おう、と。

 

 逃げず、怖じず、戦い続ける。彼は自らの死を恐れずに戦う道を選んだ。

 そして、そのためにやる事があるな、と彼はぎこちなく微笑んだ。表情を作ることに慣れていない、対人経験の稀薄さが透けてみえる顔で。

 街を散策して。ばってぃんぐせんたー、というのに行ったり。映画館に行ったり。レストランで食事をしたり。こんな事をしている場合ではないと憤っても、彼は意味深に嘯くのだ。

 

「今は幾らやっても勝てないだろう。勝つには、積み上げるしかない」

 

 積み上げる? 何を?

 

「お前に俺を知って欲しい。俺が何を好んで、何を嫌って、何をしたがるのかを。俺という人間を理解してくれ。今回は遊んで、楽しんで、英気を養え。気づいてるか? セイバー、お前……ひどい顔だぞ」

 

 笑いながら彼は揶揄して、私を元気づけてくれた。

 絶望的な戦いを繰り返す中で、彼の全てを知っていく。彼は全てをさらけ出す。

 実戦の中で連携の訓練をして。平穏の中で彼の魔術を知る。

 知って、知って、知り抜いて。

 

 そして、ループが百回に届こうかという時。

 

 既に私は誉田基臣という男の全てを知悉して、彼の意を自然と読めるようになっていた。

 

 生前共に戦ったどの騎士よりも、私は彼の方を知り尽くして信頼していたのだろう。勘の鋭いマスターは、私のしたい事にもすぐに合わせてくれる、と。

 

 ある時、マスターは言った。

 

「少しだけ、視えた」

「――何を、視たのですか」

「お前と歩む未来だ。そして、お前の望みも」

「――――」

「俺はお前の味方だ。お前は俺の味方だ。相棒、勝つぞ。勝って、お互いの願いを叶えよう」

 

 

 

 ――そして、地獄を乗り越えたのだ。

 

 

 

 私達にはもはや言葉は不要だった。

 何も言わずとも合わせられる。何も言わずとも合わせてくれる。

 私は――忘れていたものを取り戻した。

 

 聖剣の鞘を、宝具として取り出せるようになっていたのだ。

 

 最後の戦いが始まる。私は五騎のヘラクレス全てを引き受け、聖剣の鞘と聖剣を駆使して足止めに徹し、()()()()は敵マスターを討ちに向かった。

 敵は五人。全員が優れた魔術師で、勝つのは難しいだろう。

 だが、勝つのはモトオミだ。私には確信があった。なぜならモトオミは、私が知る中で最も強く、最も強靭な男で――確信というには贔屓が入るが、私は私を肯定してくれた()()()が、サーヴァント以外の何かに敗けるわけがないと信じたかったのだ。

 

 そして彼は、そんな私の信頼を裏切らずに、勝った。

 

 ――ただ。敵マスターと戦う彼の負担になりたくなくて、私は彼からの魔力の供給を拒み、自前の魔力だけで戦ったせいで消滅し掛けていた。

 駆けつけてくれた彼は満身創痍で。魔力も残っていない。それでも私に手を差し伸べて、魔力を受け取れと言ってくれた、

 だがそうするわけにはいかない。今、僅かでも魔力を損なえば彼は死ぬだろう。だから私は首を横に振り、消滅を選ぶ。

 私がどうあっても魔力を受け取らないと悟ったマスターは、最後に。

 

「また、お前を喚ぶ。その時はまた来てくれるな」

 

 軽く、浅く、口づけをしてそう言って。

 

「――はい」

 

 私は知らず、絶対に違えられない契約を結んだのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい。

 

 百回目の正直で再走ストップかーらーの無事クリアです。

 いやあ、長く、辛く、険しい戦いでしたね……。

 でもこのタイムはうん、おいしい! 経験値も大量ゲット、青王さんのカッコかわいいとこ見れて満足、青王さんとのフラグも立てられてよかった。

 はぁー……。ヘラクレスがマスターに引きずられて弱体化しててよかった。してなかったら投げてましたよ流石に。マスター戦も実は敵側は魔力がカツカツで、大量ホムンクルス魔力タンクがあってもキツかったみたいなので楽ができました。――そうです。魔力を限界まで放出したのは自演です。

 

 タイムで言えば僅か一週間です。ですが実際はその百倍掛けてるんでメッチャクチャ疲れましたよもう。

 

 ともあれこれで亜種聖杯戦争はクリアです。必要なフラグは全部ゲットして魔力リソースとしての聖杯もどきも確保しました。

 次回は色々必要なことをして、あと私のチャートの説明もしますかね。

 それじゃあ、

 

 今回はここまで。また見てね! ばいばーい。

 

 

 

 

 

 

 

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