「やあ。君が今日からAチームに配属される誉田基臣か」
〉貴方の目の前には、笑みを湛える優美な青年がいた。
〉貴族的な青年だ。彼は友好的に貴方を迎えてくれるらしい。
「私はキリシュタリア。キリシュタリア・ヴォーダイム。そして彼らが――」
〉キリシュタリアと名乗った青年。彼は自分以外のAチームメンバーを紹介してくれるらしい。
「右からデイビット・ゼム・ヴォイド、芥ヒナコだ。彼らは必要な事柄以外を口にしたがらないから、不躾だが私から紹介させてもらった」
〉キリシュタリアによるとカルデアのマスター陣のチーム分けは、カルデアの管理上での成績で、上位者から順にA・B・C・Dと割り振られるらしい。
〉紹介された灰髪の青年はちらりと貴方を一瞥しただけ。メガネを掛けている華奢な少女は、一度も貴方を見ようとしていなかった。
「君はスカウトされる際に、いきなりAチームに抜擢された期待の存在らしいじゃないか。だがその立場はあくまで暫定のものだと弁えてほしい。もしも今後、君の成績が落ち他の者に抜かれた場合は、残念ながらAチームから外される事になるだろう。しかし私は君の経歴を知っている、だからこう言わせてもらおう。期待している、そして頼りにさせてもらう、と」
〉キリシュタリアはそう言って手を差し出してくる。握手を求めているのだろう。
〉貴方は儀礼的に手を握り返す。
「……フッ。君もデイビットや芥と同じく、無口で他者との交流に意義を見い出さないタイプか。しかし――何か、
チッ……(舌打ち)
「カルデアに来てまだ初日だ、知らない事ばかりだろう。そこでだ、この後で模擬戦でもしないか? 君は私とシミュレータを試し、私は君を試す。お互いの腕前を知っておくのは、同じチームで研鑽する上で悪くない提案だと思う。いやこの言い方は卑怯だ、言い換えさせてくれ。私は君と親睦を深めたい、そして互いにより高みを目指そう」
話が長い!! もうテメェだけでデイビットとヒナコちゃんの分まで喋ってんじゃねえか!!
――あぁ、RTAはじめてまーす。ウッス、オナシャス。
現在ホモくんがホモ野郎(冤罪)に絡まれておりまして、非常に難儀してるところなんですよ。カルデアに来たばかりなのに幸先悪い……。
ところで。関係ないですけど私、長距離走より短距離走が好きなんですよ。
えぇ、何にも関係ないですけどね。長いこと走ってたら「もうゴールでいいんじゃない?」ってなりまして。やっぱ人生太く短くやりたいもんでしょう。どう思いますエミヤくん?
時間は有限ですし、時間は黄金より価値のあるものなんです。
なので必要なのは如何に物事を短距離走に仕立て、駆け抜けるかなんですよね。細かいことをチマチマチマチマとやるのは、本当は私の性に合わないというか……なので、ホモくんには無駄な事は一切させていません。そしてこれからもさせる気はありません。
まあ私からすると十年や百年は短距離走と同じですがね(王者の風格)
あ。あくまでゲーム内時間での話ですからね? リアルで十年もやってらんねぇですわ。
で。つまり私が何を言いたいかと言うと、カルデア組とのコミュなんて時間の無駄なんで、端から関わりを最小限度にとどめておきましょう、ってこと。
ホントはキリシュタリアこと耽美様に構ってたくないんですが、残念ながら彼は(一応)味方サイドの人。完全に無視するわけにもいきません。まあ彼は懐が深く器が大きい貴族的な勇者様なので、多少の無礼は笑って許してくれます。なので嫌なことは嫌、面倒なことは面倒とハッキリ言ってやりましょう。
ちなみに現在は原作開始よりかなり前みたいですね。なんせまだクリプター達がたったの三人しかいません。ホモくんを入れると四人ですか。
ペペロンチーノ、カドック、オフェリアがいない。ホモくんは何気に古参組に入ったようです。なおこの時点でカルデアにいるのは、耽美様だけが確定で他はランダムだったりします。今いないからってオフェリアぁああ! が来ないとかはないので安心してくれよな!
〉キリシュタリアと模擬戦を行なった! 貴方は彼と引き分けた。
お。テキトーに喋ってたらなんか終わってましたね。キリシュタリアと引き分けるとかお前マジか……。
まあ耽美様は特殊な環境、神代のギリシャでないと『現想魔術』を扱えないので、それ以外の場所だとメッチャ頭が良くて運動神経良くて魔術が強くて性格や思想にも隙がない完璧超人なだけですからね。なんだコイツ(白目)
なので『百一匹魔犬』がないとフッツーに敗けてるはずで、むしろそれがあるのに引き分けにされるとかキリシュタリアどんだけやねん。俺ツエーはよそでやってくれる?(真顔)
「やるな……まさかここまでやるとは。今回は君の顔色一つ変えられなかった私の負けだ」
〉キリシュタリアは貴方の事を認め、朗らかに微笑みながらそう言った。
いやお前謙虚だな。新入りに華持たせてくれるとかサイコーかよ。
戦闘内容のログを見るにホモくん防戦一方だよ。何が私の負けだなキリッ、だ。マジかっけー。リスペクトします。
とはいえホモくんも手札の全部を見せたわけではなく、ワンちゃんを三十匹だけしか使ってませんし、他の礼装や魔術も伏せてます。まあそれはキリシュタリア様もなんですがね。
さて、ひとまず超倍速で流しましょう。ぶっちゃけ最初らへんはやることないので。
超倍速で流してる間、ホモくんは所長のマリスビリーや副所長のオルガちゃん、ロマニや召喚済みのダ・ヴィンチちゃん、他の職員と必要最低限の顔繋ぎをしてもらいます。あくまで事務的に。敵と仲良くするとか有り得ませんからねぇ。時間のムダムダァ! ん、マシュとすれ違った? 時間のムダァ! 無視ですよ無視!
で、その最中やその後は、常に移動してもらいカルデアの施設の把握に努めましょう。ホモくんが知らないはずの事を知ってた、みたいな印象を周りに持たれても困りますからね。あと大事なポイントとして――レフだけは絶対に避けます。避けなきゃ逝かされる危険があるので。
理由を説明します。ご存知の通りレフは魔神柱です。そして魔神柱のドンはゲーティアです。ゲーティアはソロモン王の死体に寄生してました。……ここまで言えば分かりますね? そう、ソロモン王は千里眼持ち。それも過去・現在・未来を見通すレベルの。マーリンやギルが、それぞれ現在と未来しか視えないのに、ソロモン王は三つの時間軸を見通せるバケモンです。
そんなソロモン王、もといゲーティアの端末的な存在、レフと身体的な接触をしてしまうと一発でホモくんも千里眼持ちとバレちゃうんですよね。千里眼持ち同士は互いを感じ合うので(意味深) よしんば身体的な接触を避けていられても、会話をしたり目を合わせただけでも違和感を持たれます。
で、気づかれた場合。
そこが人目のないとこだとその場で殺されます。なのでそもそも顔を合わせず、合わせざるを得ない時は絶対に口も利かず、目も合わせず、人目のある所にいないといけません。些細な事故で死にますから(一敗)
原作での節穴っぷりが嘘のようでしょう? アレ、相手がトーシローでノンケなフジマールなのに加え、傍にマシュがいてやり辛っ、と思われてるからでしかないです。ホモくんは優秀さを知られてるので、クリプター勢相手と同じく油断無く殺しにかかってくるので舐めてはいけません。
〉貴方は割り振られた自室に入った。
はい、ホモくんが無事マイ・ルームに入りましたね。
こっからが本番です。ホモくんはカルデアの設備に関して把握しました。原作キャラやそれ以外とも一通り顔を繋ぎ(レフ以外)、こっからはもうフリータイムはほぼ自室に籠もりきります。マイ・ルームを工房化させて、主にレフ対策のため籠城態勢を構築しましょう。
理由の説明を求められたら、魔術師が自分の手の内を曝け出すわけがないだろう、隠しておきたい礼装やらを守っているとでも正論を言いましょうね。
他人との交流ノーサンキュー。ただし義務である戦闘訓練やらなんやらには必ず出席し真面目さをアピールします。こうする事でホモくんは「真面目だけど排他的な人」と見做されるわけですね。自分だけの時間が確保でき、うん、おいしい!
で、その自分だけの時間で、ホモくんには重要な下準備やらを進めてもらいましょう。今後の趨勢を占う、私のチャートが上手く機能するかどうかのテストです。
――その前にホモくんはマイ・ルームで監視カメラ各種を潰しましょう。プライバシー保護の観点から必要だったんだよなぁ(棒読み) そしてホモくんに魔術の陣を描いてもらいましょう。
魔力は使いません。使ったらカルデアに「なんだコイツ(素)」と警戒され詰問されるので。なのでこれはあくまで儀式、儀式です。そこで延々とホモくんにあることを念じ続けてもらいます。
はい、ホモくんが祈祷に入ったので、そもそも異星の神って何? って事を解説しましょう。
異星の神は収益と損失が互いに補填せず、嵩を増すだけの機構に落ち着き、無駄が多く循環できるものを循環させずにいる状況である汎人類史を、間違いではなかったが正解でも無かったと考え、答え無き惑星の現状に嘆いて降臨する事を選択した……謂わば小さな親切心で余計なお世話を焼く、対岸の火事に突っ込んて来た偽善者です。もちろん他にもあるんでしょうが、どうでもいいので忘れました。
そんな異星の神に思うところがないと言えば嘘になりますが、そんなことは本RTAには関係ないので無視。知っていて欲しいのは、彼……彼女? いや彼でいいか。ということで『彼』で通すとして。彼は常に地球を視てるんですねえ。というか人間を視てるのか。
なので異星の神は、割と人間のウォッチングに余念がありません。どの人間使ってやろうかなー、と吟味してるわけですね。なーのーで―――
〉――貴方は突然、目の前が真っ暗になったのを感じた。
お、ちょうど来てくれたようです。
ホモくんが失神しました。魔力も何も関係なく。原因不明です(大嘘) 原作主人公フジマールが、度々イベントでレムレムってるのと同じ状態になりました。
何故か。
異星の神が熱心に自分を喚ぶ存在に気づいて、興味を持って接触してくれたんですよ。夢の中で、という誰も痕跡の察知できない方法で。
そりゃそうです。現在、彼の存在を察知してるのはゲーティアだけ。他は存在自体認知しておりません。それはあの総ての黒幕っぽく視えなくもないマリスビリーや、万能の天才ダ・ヴィンチちゃんすら例外じゃないです。
地球上のどんな手段を使っても、知るはずがなく知られることのないはずの彼は、そんな自分を名指しで呼ぶ存在に興味を持たないわけがなく。しかもそれが以前、自分が唾を付けたホモくんだと知るとフットワークを軽くして来てくれるんですよ。
で、そこでホモくんは言います。お前のやろうとしてることは全部知ってんだぞ観念しろ! みたいな感じのことを。
〉「――――」
〉『――――』
ホモくんと姿も形も視えない彼が何かを話してますね。うんうん、いい感じです。
私が指示してるのは、ホモくんが異星の神に、異聞帯クレクレ、俺に都合の良い異聞帯クレクレさせてるんです。答え無き今の世界を、明確な正解という名の答えがある世界に作り変えてやる、と。そのために自分を使えと。
異星の神。これにまさかのオーケーをくれます。ホモくんの誠意が伝わったんですねやったー!
私としましてもなんか今の人類史気に入らないんでリセマラしたいんです。むしろ改造コード使って都合よく変えたい、みたいな? まあそれはともかく賭けには勝ちました。異星の神が毎日祈祷するホモくんへ、原作開始までに気づいてくれるか否かの賭けです。割とすぐ気づいてもらえてラッキー!
では今回はここまで。次回は冬眠するまでの最後の仕掛けを施し、実際に冬眠するまでの流れを撮りたいと思います。
また見てね。ばいばい。
(布石は一つずつ、丁寧に、静寂の中で密やかに打つ――お前が俺に教えた事だ。俺は生きる、そして……叶うならアイツにとっても、俺の生が意義のあるものだったら――)