ヒント
〇〇〇〇ン
「ここか....」
「とりあえずウォーグレイモンとメタルガルルモンは戻っていてくれ」
「上手くやれよ」
「次はハンバーグ」
「分かったよ、【休眠】」
二匹は指輪の中へ戻っていく。それに合わせて二人は動き出す。
「なるべく戦闘は避けてオベイロンの所に直行する」
「了解!」
なるべく音を立てずに走る。オベイロンへの道筋はギルの設計図を見て完全に把握している。
「ギルの言う通りならここを上がって右に曲がると.....」
「っ止まれっ!」
「えっ、きゃあああ!!」
「くっ、サリー!」
サリーはトラップにかかってしまう。サリーの足元には紫に光る魔法陣があり、そこから紫色の触手が伸びてサリーを絡める。
ゼロは即座に触手を切り落とすが、触手は再生してまたもサリーに襲いかかる。
「こうなったら........エンハンス・アーマメント!────咲け、青薔薇ッ!」
【青薔薇の剣】を地面に突き刺し、【武装完全支配術】で魔法陣ごと触手を凍らす。そして、【闇を払うもの】で切り払う。
「これで大丈夫だろ。さあ、次行くぞ」
「あっ.....ありがとう」
「どういたしまして」
そして、二人は再び走り出した。
しかし....
「くっ、トラップが多いっ!」
「いっその事全部凍らせるか?」
「ん〜.......やっちゃえ!」
「了解! エンハンス・アーマメント!────全てを凍らせろ、青薔薇ッ!!」
ゼロが【青薔薇の剣】を地面に深々と突き刺す。すると、今までの比では無い程の巨大な魔法陣が現れ、そこから発生する氷が塔を覆い尽くす。
一方その頃、オベイロンの軍と戦っているギル達は.....
「なっ! ゼロの奴、
「あはははは! いや〜ゼロ君は私の予想を遥かに超えるね! いいぞいいぞ、もっとやれ!」
丁度ゼロ達の様子を遠目から見ていた。
すると、ギルの傍に襲撃時に来た妖精と同じ妖精がやって来た。
「王よ、周囲を包囲していた敵軍全てを殲滅しました。このまま進軍致しますか?」
「うむ、ならば
「はっ!」
────決着の時は近い
───────────────────────
ゼロとサリーは廊下を駆けていた。
「この塔、見た目に反して中広すぎない!?」
「王家の持つ神器がどうたらこうたらってギル達が言っていたな」
「とりあえずこの中は四次元ポケットみたいになってるってことは分かった」
そんな軽口を話しつつ走っていく二人。
「次曲がるぞ」
「了解」
「.....サリー」
「なに?」
「角にモンスターが居る。俺が斬り掛かるから援護頼む」
「分かった。そういえば【
「馬鹿か?」
ゼロは馬鹿にするように笑う。
「なっ! 馬鹿とはなんだ、馬鹿とは」
「こんな閉所的な場所で打ったらこっちにも被害が出るし、塔が壊れる」
「以外.....そんなことまで考えてるなんて」
「以外とはなんだ、以外とは」
二人は角を曲がる。しかし、そこには何も無かった。
「何も....無い?」
「.....っ! 透明化だ! 気を付けろ!」
「了解!」
二人は武器を構え警戒する。だが、何時になっても敵からの攻撃は襲ってこない。しかし、二人は構えを解くことは無かった。こういう敵は油断している瞬間を襲ってくると知っているからだ。
「サリー!」
「分かった!」
ギャアアアアアアアアア!!!!
サリーは後ろに向かって【ウィンドカッター】を放つ。すると、そこから悲鳴が聞こえる。
名前を呼ぶ。
それだけでお互いの言いたい事が分かる。そのレベルまでゼロとサリーはお互いのことを分かりあっているのだ。
伊達に何年も同じゲームを一緒にプレイしている訳では無いのだ。
「【
「何それ!?」
ゼロの突き出した右手から渦状の紫の煙のようなものが噴出され、透明のモンスターを吸い込む。
サリーはそれを初めて見たからか傍で驚いている。
透明のモンスターを吸い込んだ煙は段々ゼロの手に戻っていくかのように収縮していく。
「それなに!?」
「罰ゲームの時に受けたクエストの報酬」
「モンスター吸い込んでたけど、他にも吸い込めるの?」
「ボス級は無理だけど普通のモンスターぐらいだったら結構行けるんじゃないか? 吸い込んだモンスターは勝手にHP削られていくし」
「......強くない?」
「俺もそう思う」
そう言うと、二人はまた走り出した。
そして、とうとうゼロとサリーはオベイロンの待つ王室の前にやって来た。
「ここか.....」
「開けるよ?」
「奇襲に気を付けてくれ」
「分かった」
大きな扉を開ける。すると、そこは大きな広間で、奥には王座があり誰かが座っていた。
驚いたことに奇襲や攻撃は無く、二人はすんなりと部屋に入ることが出来た。
しかし、二人は地を這っていた。
「なっ......なんだこれは。体が.....」
「どうだ! あの馬鹿な王に雇われた人間よ! これがボクの重力魔法だ!」
「体が....動かない.......!」
「重力魔法ってそういう事か....これは結構ピンチだな」
そう言いながらゼロは
その様子を見たオベイロンが高らかに笑いだす。
「ハッ、とうとう諦めて笑いだしたか! やはり人間など塵に等しい!」
「......誰が諦めたって?」
「え?」
「この状況で諦めてないとは馬鹿か! やはりあの王に雇われただけはある。ボクの重力魔法を打開する方法は無い! そのようなことが出来る奥の手など持っている訳が無い!」
「奥の手は無いかって? 阿呆が。そんなもん、あるに決まってるだろ」
「何!?」
今まで立つことすら出来なかった重力下でゼロは膝を立てる。そのまま立ち上がりオベイロンに向けて手を向ける。
「な、何をするつもりだ!」
「そんなもん決まってるだろ。────お前を、斬る」
────かつて求めた究極の一刀
────其は、肉を断ち骨を断ち命を絶つ鋼の
────我が
縁を切り、定めを切り、業を切る
────即ち。宿業からの解放なり
────其に至るは数多の研鑽
千の刀、万の刀の
────此処に辿るはあらゆる
此処に示すはあらゆる宿願
此処に積もるはあらゆる非業
────我が人生の全ては、この一振りに至るために
────剣の鼓動、此処にあり――――!
鉄を叩く音が鳴り響く。
ゼロの体に青い線が迸り、突き出していた右手には熱く熱した刀が一振り。
その一振りは遥かなる昔、神々の御代にて
ゼロは刀を天に掲げ、刀身は紅く煌めく。
「【都牟刈村正】ーーーーッ!」
轟音が妖精郷に響き渡る。
誰もがその様を見た。妖精郷の誇りたるあの塔が人間に真っ二つに斬られる様を。
塔に青い亀裂が入る。
「ば、馬鹿なっ! 矮小な人間があの賢王が作ったこの塔をき、斬っただと!?」
「そら、お前のご自慢の重力魔法は無効化したぞ。さあ、宣言通り今からお前を斬る」
「フ、フフフ、フハハハハハハハ!! 無駄無駄無駄ァ! この程度でボクを倒せると思っているのか!? この塔の持つ魔力はボクが操っている! この魔力をボクに収束すれば.........」
オベイロンは両手を掲げると、掌から魔法陣が出現する。すると、塔のあちこちから魔法陣が現れ、その中から紫色の触手が伸びてきた。その触手はオベイロンに巻き付いていき、とうとうオベイロンの体を全て包み込んだ。
「長い」
「なっ!?」
しかし、ゼロがオベイロンごと触手を切り落とす。が、触手は再生してオベイロンをまた包み込む。
「エンハンス・アーマメント!」
「..........」
「........やったの?」
「分からない.....」
ゼロが【青薔薇の剣】の【武装完全支配術】で触手を全て凍らせる。
ビキ、ビキビキ
氷が割れる音が部屋に響き渡る。
中にオベイロンと触手が入っている氷塊に亀裂が入っていく。
ズドオオオオオオオオオオン!!!!
「ダメだったか!......!?」
中から出てきたのはオベイロンの特徴が一切残っていない
「クハハハハハハハハハハハ!! この塔が持つ圧倒的な魔力をボクの体の中に注入し、制御することでボクは更なる力を手に入れることが出来た! 今のボクに傷を付けることは不可能! 矮小な人間風情が幾ら頑張ろうと無駄なのだ!」
「ご丁寧に説明どうもっ!」
ゼロは両手に持つ二振りの剣でオベイロンを切り付けるがHPバーは一切変動しない。
「ハッ、この程度か! 人間共よ、言っただろう。今のこのボクを傷付けることは不可能だと!」
「サリー! 頼むっ!」
「りょーかいっ!」
二人は散開してオベイロンに向かって走り出す。ゼロは【闇を払うもの】の【武装完全支配術】で攻撃し、サリーは【ウィンドカッター】や【ファイヤボール】の魔法で攻撃する。
しかし、オベイロンには全く効いていないようだった。
「無駄無駄無駄無駄ァ! そんな弱小な攻撃がボクに通用する筈が無い!」
「やっぱり駄目か.......こうなったら、サリー!」
「なに!?」
「十秒稼いでくれ!」
「オッケー!」
サリーはそのままオベイロンに攻撃し続ける。
その内にゼロはスキルを発動させる。
「ギル、マーリンすまん。やっぱ使うわ」
────束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。
────受けるが良い!
両手が握るは星の聖剣。剣の周りに光が集まっていき、とうとう巨大な光の剣と化した。
ゼロは聖剣を両手で構える。
圧倒的な存在感を放つ聖剣に危機感を覚えてか、オベイロンはサリーからゼロにターゲットを定める。
「させないよ!」
「くっ、小癪な!」
しかし、サリーの持つスキル【蜃気楼】でオベイロンの攻撃は空を切る。
ただ、その時間だけで十分だ。
放たれるは究極の斬撃。
斜線上の一切を消し飛ばす金色の奔流。
「【
「な、なんだそれは!?」
「これで.....!」
「ぐあああああああああああ!! なーんて」
「「なっ!?」」
そこに居たのは無傷のオベイロンだった。
「さあ、お返し、だ!」
「ぐはっ!」
「ゼロ!」
オベイロンの持つ触手にゼロが弾き飛ばされる。そのまま塔の壁にぶつかり、HPがすごい勢いで削られる。そして、とうとうHPが全損し、【十二の試練】が発動される。
「この、野郎」
「フハハハハハハハ!! 無様、無様だな! 人間よ! これまでよくも馬鹿にしてくれたなぁ。しかし、それもこれで終わりだぁ!!」
ゼロは立ち上がろうとするが、その前にオベイロンからの追撃が迫る。
「それはどうかな!」
「な、なんだこれは!?」
「いよーし! 間に合ったー!」
「マーリン!」
天開きになっている天井からマーリンが降りてきて、杖を振るう。すると、ゼロに襲いかかる触手が全て花と化した。
「なんでみんなマーリンがここに?」
「あっちは早々に終わったからね。すぐに応援に向かおうと思ったんだけど、ゼロ君のおかげでね。ちょっと遅れたけど許してくれたまえ」
「とりあえず回復を......」
「ああ! ごめんごめん。【ヒール】!」
「サンキュー」
「ボクを無視するなーーーー!!」
暴走。オベイロンは既に理性を殆ど無くなっていた。今のオベイロンにあるのは破壊欲求だけだ。
マーリンが花に変えた触手は既に再生しており、オベイロンは全ての触手を使ってゼロ達に攻撃する。
それを見たゼロは何とか立ち上がり、触手に立ち向かおうとする。が、既にマーリンが触手を花に変えていた。
「ゼロ君、サリーちゃん。一つお話をしよう」
「話?」
「妖精郷にある言い伝えさ。
────昔、ある妖精が居た。その妖精は周りの中で最も強く、みんなを虐げていた。その噂を聞いた当時の王様が力ずくで妖精を説教し、反省させた。しかし、妖精は説教されたことを根に持っていた。王様にやり返そうとする。が、妖精は王様には敵わなかった。平民の中で強い方ってだけでは王様には勝てなかったんだ。それで、その妖精が取った方法は.....
────悪魔に、祈ることだったんだ。その結果、得た力で王様を殺し、妖精郷を破壊し続けた。そして、妖精を鎮静化させ、封印したのが伝説の聖獣、ゼロ君の従える二匹だよ」
「.......」
ゼロは黙ったままで、そのままマーリンは話を続ける。
「妖精との戦いで聖獣と心を通わせた男が居た。これはその男が持っていた真珠だ。これを君に託そう」
「そんな大事な物、俺に渡していいのか?」
「......ゼロ君、ここに至るまで誰も彼もが多くの手を尽くしてきた。だが、まだ足りない。奴に届く武器が無い。奴を傷付ける刃が無い。それが出来るのは君だ、ゼロ君」
マーリンが力強い目でゼロを見つめる。それに応えるようにゼロは頷いた。
「分かったよ。ただし、やるからには徹底的にやるぞ」
「それについては大丈夫だ! 既に王様に許可は取っているからね!」
マーリンはそう叫び、飛んでくる触手を杖で捌く。すると、塔の外から声が聞こえた。
「ゼロよ!
「了解!」
ゼロは真珠の持つ手を強く握り締める。すると、ゼロの体が青白い光に包まれる。
「【覚醒】! ウォーグレイモン、メタルガルルモン!」
「こっから本領発揮だぜ!」
「触手.....ゼロ、やっぱりたこ焼き」
【絆の架け橋】から出てきたウォーグレイモンとメタルガルルモンがゼロの包む光に吸い込まれていく。
「【慈悲深き聖騎士】!」
「な、なんだこの光は!?」
ゼロを包む光が一層強まる。
オベイロンはゼロに向かって触手を伸ばすが....
「させないよ!」
「小娘がァ.....!」
「残念、私も居るんだなあ。これが」
触手が短剣に切り裂かれ、燃やされ、花へと変わる。
「小癪な....! 潰してやる潰してやる潰してやるううぅぅううう!!」
「うわ何あれ、キモ.......」
自分の邪魔ばかりするゼロ達への怒りが溢れたのか、オベイロンは姿が変形する。元々、異形と言える程の姿だったが、今ではオベイロンの影も形も無いただのモンスターだ。
「うるさいうるさいうるさい! ぐしゃぐしゃに潰して壊して塵にしてやるぅぅううう!」
「うぇぇ、無理無理無理ーー! 私ああいうの無理ーーー!」
「ああ! ちょっとサリーちゃん!?」
オベイロンのグロさがサリーには無理らしく、壁の隅に後退る。が、そんな隙を見逃される筈もなく、サリーに触手が襲いかかる。
「死ねぇぇえええええええ!!」
「あっ.....ごめん、ゼロ」
「何がごめんなんだ、サリー?」
「ゼロ!」
サリーを襲うはずだった触手は消え去り、目の前にはゼロが立っていた。しかし、その姿は変わっていた。
髪は雪のように白く、瞳は空のように澄んだ青。羽織っていた【黒龍のコート】は漆黒から純白に変わっており、所々青いラインが引かれている。
右手にはメタルガルルモンの意匠のある白い銃、左手にはウォーグレイモンの意匠がある白い長刀。そして、背中には純白の翼。
それは聖騎士を彷彿とさせる装いだった。
「さあ、オベイロン。始めようか、悪魔の怪物と白き聖騎士の戦いを」
ちなみに何故オベイロンがこんなに強いかは運営が苦戦するようにステータスを調整しているからです。ゼロくんの場合だと、えげつない程上げられてます。
投稿頻度について
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内容は短めだが、投稿頻度は早め
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内容は長めだが、投稿頻度は遅め