「リリース・リコレクション!! 咲き乱れろ──青薔薇ッ!!」
その言葉が響いた後、一帯が凍りついた。その範囲は今も広がっており、留まる所を知らない。
妖精郷の時のものを見た者が見れば分かるだろう。今回のはあの時の
────スキル【心意】
想えば想う程ステータス、スキルの効果を強くするスキル。
ゼロは先程、何を
強者との戦い?──いいや違う
戦いの決着?──いいや違う
メイプルとの
強者との戦いでもなく、この戦いの決着でもなく、ゼロはメイプルを想っていた。
────
少年は何故こんなにも彼女を想うのだろうか。
それは、恋している、愛しているで片付くことだろうか?
□□□
ゼロの目の前には全身あまなく凍りついているオルタの姿があった。氷像には氷で出来た薔薇がまとわりついており、オルタのHPを吸収して1輪ずつ咲いていっている。
「オルターー!」
「......やったか」
「ゼロ! それフラグ!」
案の定、氷にはヒビが入り、小刻みな震え始めた。その震えは段々大きくなっていき、とうとう氷が砕けてしまった。
それにゼロは身構えるが....
「よくもやってくれたな! 流石の俺でも激おこプンプン丸だぞ!」
「オルタ.....激おこプンプン丸はちょっと.....」
「あっ、じょ、冗談だから! だから引かないでぇ!」
「何やってんだ、あの2人」
「さあ......?」
その必要はなかったようだ。
ゼロとメイプルは呆れてため息を吐いているが、オルタとエムの夫婦漫才はまだ続いている。
「あのー、そろそろシリアス展開に戻りたいんですけどー」
「え? あ、すいませんすいません。うちのオルタが粗相を...」
「え、あ、す、すいません....ってなんで俺が謝ってるんだ!?」
「オルタ、うるさい!」
「はいすみませんでしたーーー!!」
夫婦漫才はまだ続く。
「というわけで.....」
「もういっちょ」
「「殺りますか!「「ダメー!!」」」」
「「な、なぜ....」」
もう一度
だってそうだろう。ゼロがキメたと思っていた技は破られ、この戦いの決着はまだ着いていないのだから。しかし、それは男子理論であって、女子共通の思考ではない。
何よりも...
「こんなに地形が壊れているでしょ!」
「そんな中でやるなんてバカじゃないの!」
「「で、何か言うことある?」」
「「はい....すみませんでした...(泣)」」
メイプルとエムよりも大きい体が正座していたとしても、何時もより小さく見えた。
女性陣に叱られたオルタとゼロは、現在エムとメイプルのご機嫌取りをしていた。
「ゼロ、オムライス」
「オムライス一丁!」
「はいよぉ!」
「こっちは野菜炒めね!」
「野菜炒め一丁!」
「はいよぉ!」
「紅茶」
「へいお待ち!」
「オレンジジュース」
「搾りたてです!」
ご機嫌取りをしていた.....?
「よし、茶番はこれぐらいにして、さっさと行こっか」
「ちゃ、茶番って.....こっちは結構キツかったんだぞ....」
「ん? なんか言った?」
「いいえ! 何も言っていません!」
相変わらずゼロは、メイプルのしりにひかれているようだ。
ゼロとオルタは食べ終わった2人に再戦をしたいとお願いした。
「あのーメイプルさん? こちらも不完全燃焼なので、全て決着の着くまで殺らしてはもらえないでしょうか?」
「エムも、ほらっ! この通り!」
土下座までしたゼロとオルタに思う所があったのか、メイプルとエムは肯定の意を返す。
「「.....」」
「じゃあ、このボロボロになった地形をどうにかしたら考えてあげる」
「まあ、できっこないと思うけどね」
「「よしっ!」」
仲が良いのか悪いのか、2人は同時にガッツポーズをして、踊るように喜んだ。
しばらくして、興奮が治まるとゼロがオルタの前に出て、ある提案をオルタに持ちかけた。
「なあ、オルタ。1分で間でどっちの方がより綺麗に出来るか勝負しないか?」
「いいね、乗った! けど、勝利は俺が貰うぞ?」
「抜かせ。それじゃあ始めるぞ.....よーい始め!」
ゼロが声高らかに勝負の開始を宣言する。それを合図にオルタは装備を漆黒の剣から漆黒の槍に変え、スキルの詠唱していた。
「──聖槍抜錨! 突き立て、喰らえ! 13の牙!──
槍の穂先から闇の波動が放たれ、凸凹とした岩や地面を消し飛ばしていく。
そして、ゼロもまた、スキルの詠唱を始めていた。
「──かつて求めた究極の一刀。
其は、肉を断ち骨を断ち命を絶つ鋼の
我が
縁を切り、定めを切り、業を切る。
────即ち。宿業からの解放なり。
......其に至るは数多の研鑽。
千の刀、万の刀の
此処に辿るはあらゆる
此処に示すはあらゆる宿願。
此処に積もるはあらゆる非業。
我が人生の全ては、この一振りに至るために。
剣の鼓動、此処にあり────!
──都牟刈村正ァ!」
火炎を纏った刀を横薙ぎに振るゼロ。出鱈目に見える一撃だが、その実、地形はまっ皿な平であった。某スティーブも真っ青である。
「.......ふぅ。まあ、俺の勝ちだな」
「.....なにそれ、ずるすぎん?」
「ちょっ、オルタ! 関西弁になっちゃってる!」
呆けたオルタの口から関西弁が出てくると、真っ先にエムが反応してツッコム。
その間に、軽く体をほぐしたゼロが未だに呆けているオルタに声をかける。
「おーい、そろそろ始めるぞー」
「....あ、ああ」
「メイプルー、スタートの合図よろしくー」
「おっけー。それじゃあ、始め!」
「「──ッ!」」
オルタはメイプルの開始の号令と同時に駆け出す。その途中で抜剣し、いつでも攻撃出来る準備は出来ている。
対して、ゼロは背中に背負った2振りの剣をアイテムストレージに収納した。
そして、新たに装備したのは『アオイ』として活動する時に使っている1振りの刀だった。
「──一歩音超え」
そう言って、ゼロは半身になり、刀を構え地面を蹴った。
この技はいつかのデュエル擬きにて使った秘奥義。しかし、今回のこれは前回とは余りに違っていた。速度、足運び、そもそもの構え。いずれも前回より速く、素早く、細やかで、何よりもゼロの体に
ここで皆さんに問おう。学校の授業で貴方が逆上がりの練習をしていたとしよう。しかし、中々上手くいかない。困っていると、クラスメイトが貴方にコツを教えてくれた。
しかし、そのコツを意識しても中々上手くいかない。なぜなら、そのコツは貴方の体に合わないからだ。体が大きい人に小さい人の動き方を教えてもなんの意味も無い。
だからゼロは自分の体に適応する動き方を探した。それがこの技だ。
そして、ゼロの剣の才を以てすれば──
────本家など、軽く声が超える事が出来る。
「二歩無間──」
言葉通りの二歩目。ゼロが地面を蹴ると──
──姿を消した
「──なっ」
オルタの口から驚きの言葉が零れる....
前にゼロはオルタの懐まで来ていた。
「三歩絶刀──無明三段突き・改っ!」
「うぉおお! 【水晶渓谷】!」
オルタは前に水晶の壁を出現させるが、ゼロはそれを飛び越えて上からオルタに迫る。
「これで、終わりだ!!」
「ほ、【星の杖】!」
【星の杖】を使い周辺に真空の刃を放つが、ゼロはそれを諸共せずにオルタへその刃を振るう。
「ハアッ!」
「うわぁぁあああああ!! って、あれ? なんで俺斬られてないの?」
自身の体に一切の痛みを感じなかったオルタは訳も分からずに辺りをきょろきょろと見回していた。
すると、納刀したゼロがオルタに近寄り、訳を説明した。
「俺は無駄な殺生はしない主義なんだ。感謝しろよ?......まあ、お前との戦いは楽しかったし.....」
「あ〜! ゼロが照れた〜!」
「うっせ別に照れてなんか....」
「いいや、絶対に照れてたね!」
メイプルがゼロの傍に寄り、ゼロが照れていたと弄るが、当の本人はそれを否定。バカップル感をこれでもかと醸し出して、周りをピンク色のオーラで塗り潰していく。
今まで真剣勝負をしていた相手が、彼女と戯れている光景を見ているオルタは一瞬ポカンとするが、直ぐに大笑いしだした。
「ククク...ハハハハハハハ!! いや〜負けだ負けだ! こっちの完敗だ! ここまで来ると、最早清々しいね!」
「嘘.....オルタが、自分から負けを認めた....?」
「おいエム後でお仕置きな」
「アッハイ」
そう言ってオルタはゼロに向かって歩き出そうと、右足を前に進めると....
──ピキピキ、バキバキバキ
──ゴロゴロ、ドドドド
「「ピキピキ?」」
「「バキバキバキ?」」
謎の音と揺れに全員が首を傾げていると、ゼロが真っ先に二つの発生源を発見した。
「──っ!? オルタ、足元!」
「足元?」
オルタが首を下に倒すと、
────崩落した
「ええぇぇええええ!!??」
「ゼロー!! 助けてー!!」
「すまんメイプル! 【龍翼】はもう使ってる!」
「嘘ぉぉおおお!」
「お父さん、お母さん.....生きて帰ったら親孝行いっぱいするからね!」
「エムさん、それフラグぅぅぅぅううううう!!」
そして、4人は落ちていった。
どうも、最近黒歴史を思い出しまくり、その度に悶えているころころです。
皆さんはこんな時どうやって対処しますか?
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