鬼滅の刃~花咲く桜舞~   作:舞翼

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家族

 ――五日後。~道場~

 

「いだだだだだ!カナエさん、ゆっくり倒して!」

 

「うふふふ。男の子だから大丈夫。さ、もっと倒すわよ」

 

 そう言って楓の背に居るカナエは、両足を開いて座る楓の体を床につけようと押し倒す。 

 

「ちょ、待って待って!変な方向に骨が曲がっちゃうからね!」

 

「大丈夫大丈夫。楓は常中が習得できてるもの。それに、今日は最終訓練日じゃない」

 

「いやいや、それとこれとは話が別だからな!」

 

 楓は声を張り上げる。――そう。楓はカナエたちと共に機能回復訓練を行っているのだ。ちなみに、機能回復訓練は三つある。

 今楓がカナエから受けている体の解し。“反射訓練”と呼ばれる薬湯のかけ合い勝負。それから“全身訓練”と呼ばれる鬼ごっこ、である。

 まあ楓の場合は、最後の模擬戦、というのが付け加えられているんだが。

 ともあれ、一通り解れた所で、「よしっ」とカナエが呟く。

 

「解すのはこれで終わり。じゃ、最後の模擬戦に行こっか」

 

「……へいへい」

 

 楓がそう言ってから立ち上がると、カナエが両頬を膨らませる。

 

「返事は“へい”じゃなくて、“はい”でしょう?」

 

「はいはい」

 

「“はい”は一回っ」

 

 カナエは「もうっ」と優しく怒り、次いで、用意されていた木刀を楓に渡す。

 木刀を受け取った楓は、これから剣を交える相手と対面する。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「お待たせ、真菰」

 

「うんん。私も今準備が終わった所だしね」

 

 楓と木刀を交えるのは、数日前に蝶屋敷に拠点を置いた真菰だ。

 そして、両者が木刀を構える。

 

 ――桜の呼吸 参ノ型 秋桜・螺旋。

 

 ――水の呼吸 参ノ型 流流舞い。

 

 楓が桜が舞うように、真菰は水が流れるような足運びで移動し、両者急所を狙いながら木刀を振るうが、両者の木刀が交差し木刀独自の音を響かせ鍔競り合いが起こる。

 

「ふーん。やっぱり楓のそれ、流流舞いにそっくりだよ」

 

「だろうな。型の元になったのは、水の呼吸だしな」

 

 そう。楓の桜の呼吸の剣技は、他の呼吸が元になっている物があるのだ。

 

「じゃあ、乱舞一閃は、雷の霹靂一閃だねっ」

 

「ま、まあ。独自に創ったのは千本桜(終ノ型)くらいだしなぁ」

 

 だが、技の元が露見していても、強力な呼吸で有ることには変わりはないのだが。

 そして、楓と真菰は木刀を弾き距離と取る。

 

 ――水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 真菰は走り出し上半身と下半身をねじるようにして、勢いを起こしながら螺旋を描くように楓の周囲に斬撃を放つが、楓はその攻撃を自身の周囲に放つ花の剣技で相殺する。

 

 ――水の呼吸 弐ノ型 水車。

 

 ――花の呼吸 肆ノ型 紅花衣。

 

 真菰は技を放った反動で空中に跳び、水車のように回転し技を放つが、その一撃は楓が上空に斬り上げた花の斬撃が衝突する。

 

 ――水の呼吸 肆ノ型 打ち潮。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 ――水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦。

 

 ――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。

 

 真菰が繰り出す技に対して、楓も有効的な技を繰り出して迎撃する。

 更には、その間に行われる剣技の応酬もかなりのものだ。……それはきっと、入隊直後の鬼殺隊員から見れば、異次元の光景だろう。

 

「(……真菰。柱に匹敵する剣技だろ、これ)」

 

 だが、真菰の全体的な力は弱く、速さに変換させているようにも思える。

 楓の場合はほぼ逆だ。剣技に力を乗せている分、剣の速さは真菰の方が一枚上だろう。……といっても、柱と渡り合える剣技なのは変りないのだが。

 

「(今の所力量は五分五分といった所だろうけど、楓、力技で私の剣技を潰せる技を隠し持ってるだろうなぁ。……まあ奥の手だろうし、簡単には出してくれなさそうだけど)」

 

 だがこの時、パンパンと両手を合わせる音が響く。

 カナエが手を合わせた音だ。

 

「はいそこまで。現状の楓と真菰ちゃんは、有効打を入れることは不可能だと判断します」

 

 カナエがそう言うと、楓と真菰は木刀の構えを解く。

 

「終わり、だね」

 

「そうみたいだな」

 

 そして楓の体は、通常以上に動かせるようになり訓練が終了したのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~街~

 

 機能回復訓練が終了し、楓、真菰、カナエは街に赴いていた。

 その理由は、真菰の今後の物を揃える為だ。

 

「私、花の着物の一張羅しかないから、他の着物が欲しいなぁ」

 

「いいんじゃないかしら。私も新しく新調しようかな」

 

 そんな中、楓は若干だが居心地が悪かった。

 そう。美女二人に挟まれている状態だからなのか、周りからの嫉妬の視線が凄まじいのだ。……こんなことなら、買い物の同行はあの時に断っておけばよかったと思う楓だった。

 

「買い物、早く済ませてくれよ」

 

「え?お化粧品も購入する予定だから、結構かかるかも」

 

「そうねぇ。お化粧品は、女の子を魅せるのに重要になるものね」

 

 ならば、この視線がかなり続くということになる。

 楓は両肩を下げる。

 

「……勘弁してくれ」

 

 その楓の呟きは、街の騒音の中に溶けていった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~着物店~

 

 最初の目的地である着物店の内部に入ると、店内には様々な着物が陳列されていた。

 そしてその中の着物から、カナエと真菰が選んだ着物は、カナエが紫陽花柄であり真菰は向日葵柄の着物である。

 着物店では試着することが出来るらしく、カナエと真菰は先頭するおばさんの元、店の奥に入って行った。

 

「……帰りたい」

 

 店内で待つ楓がそう呟く。

 二人の試着を待つ楓に、女性客の暖かい視線が凄まじいのだ。

 

「(……これ、ある種の拷問だよな)」

 

 そう思いながら、楓は他の着物に目をやり、視線から逃れるようとするのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「お兄さん、こっちにおいで」

 

 時間を潰していると、着付けを手伝っていたおばさんが店の奥から姿を見せ、楓に声を掛ける。

 それに楓は「わかりました」と答え、おばさんの隣を歩く。

 

「あの子たちは別嬪さんだねぇ。お兄さんの本命はどっちなんだい?」

 

「いや本命というか、二人は家族ですよ」

 

「家族ねぇ。お兄さんとお嬢ちゃんたちの見方によっては、様々な捉え方ができるんだよ」

 

「そうなんですかね?」

 

 そんな会話をしながら、真菰とカナエさんが居る部屋に案内され、おばさんが襖を開けた。

 そこには薄く化粧を施し、着物を着つけた真菰とカナエの姿。それにしても、向日葵と紫陽花の浴衣がもの凄く合っていて、一輪の花のようである。

 

「どうだい彼女たち?」

 

「あー、そうですね、えーと、その……美人さんだと思います」

 

 月並みの言葉だが、楓が絞り出した答えである。

 そしてカナエと真菰は、楓の答えにクスっと笑う。カナエと真菰は、楓が自分たちを見た楓が何て言うか予想していたのだ。そしてそれが的中し、笑みを零したのである。

 ともあれ、今試着している着物を購入するということで、元の服装に着替えようとするカナエと真菰だが「購入するなら着たままでいいよ」というおばさんの言葉で、現状のまま会計することになった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「じゃあ、おばさん。ありがとうございました」

 

「着物、大切にします」

 

「またお願いしますね」

 

 楓たちがおばさんにそう言って、楓が会計をしてから店を出る。

 楓は、カナエと真菰が満足するまでお供しますか。と内心で呟き、次の目的店となる、後世で言う化粧品店に向かう。

 こうようにして、楓たちの買い物が続いていくのだった。




読者の皆様。最近気温の変化もありますし、流行りウイルスもあるので、十分気を付けて下さいm(__)m

ではでは次回(*・ω・)ノ
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