鬼滅の刃~花咲く桜舞~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。


下弦の月

「鴉さんよ。こんな所に鬼が居るのか?」

 

 森に入る手前で楓がそう呟く。

 そして現在の楓は、鬼殺隊の隊服に袖を通し、蝶羽織りを上から羽織っている状態だ。ちなみに鬼殺隊の隊服だが、通気性が良く濡れにくく燃えにくい上、特別な繊維で作られているので、下級の鬼の攻撃に耐えうる強度を備えている。そしてその背には、鬼殺隊が掲げる『悪鬼滅殺』の“滅”の文字が刻まれている代物である。

 

「この森に潜入シテイタ鬼殺隊士が、十名殉職(・・・・)シテイル。ダカラ、階級ノ高イ楓ガ呼バレタンダ!」

 

「いや待て。俺の階級は癸だ。階級が高い筈がないだろう?」

 

「カァーカァー。上弦トノ戦闘ノ後上ガッテルハズダゾ」

 

 鴉にそう言われ、楓は首を傾げながら右手を握り「階級を示せ」と呟くと、右手甲に薄っすらと楓の階級が浮き上がる。

 そして楓は「……嘘だろ」と目を丸くする。自身の階級が――甲だったからだ。

 おそらく、楓の階級がここまで上がった理由は、上弦との戦闘で生き残り、花柱を救出した結果だろう。

 

「まあいいや。ところで、その情報の詳細は解るか?」

 

「今回ノ任務ノ内容は――」

 

 鴉の話によると、一週間程前に多数の鬼殺隊士が森の中へと入ったのが最後、帰って来ることは無かったいう。

 森の中には、町の人々が幽閉されていたとのことだ。つまり、人質という餌を吊り下げ、人質を助けに森に入った鬼殺隊士を殺す、ということ。……だが、町の人々を鬼が幽閉するだけとは考えにくい。――鬼の餌になっている可能性もあるのだ。

 

「予想デハ、十二鬼月カ、ソレニ近シイ鬼ガ潜ンデ居ル可能性ガ考エラレル」

 

「……被害を考慮すると、その可能性が高いかもな」

 

 ――時刻は夕刻を迎える時間帯だ。後数刻も経過すれば、鬼の活動時間である夜に突入する。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~森~

 

 森に入り楓が目にしたのは、地獄絵図、と言えるような光景であった。

 そこには鬼殺隊士の屍が転がり落ちており、その隊士の殆んどが四肢を欠損している。流れた血液も土に馴染み、黒く変色していた。

 

「……酷いな」

 

 楓は日輪刀を抜き道中を歩いていく。――その時、一人の隊士がのろのろと楓に近寄って来る。

 

「……柱を……柱を、呼んで……きてくれ……」

 

 次の瞬間、ドスッ、と鈍い音が耳に届くと、隊士の口から血を流し前向きに倒れる。背中には、鋭い槍のような刃物で突き刺されていた。

 

「おやおや、まだ生きてたんですねぇ。鬼殺隊士は、ゴキブリのようにしぶといです」

 

 目線の先にいる鬼は、華奢長身で袴の上に羽織を纏っている風貌だ。だが、奴から放つ雰囲気が鋭利な刃を沸騰させた。

 楓の視線に気づいたのか、鬼は虚空に手をやると、そこから刀に似た物が現れ鬼はそれを手に取る。

 

「おや、今回は強そうな剣士さんですか。やはり、人質の噂を聞き付け鬼狩りを誘き寄せることが出来ているのは収穫ですね」

 

 鬼が眼球を回転させ刻まれた文字を見せつける。そこに刻まれていたのは――下弦の壱。

 楓は今の言動で察する。――人質として捕らえられていた町の人々は、鬼に喰われたと。

 

 ――血鬼術 千本の刃。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 奴の背後から無数の剣が放たれ、楓が振った刀が無数の桜を背後に形成し放ち、剣と桜が衝突した爆風で回りに砂埃が舞う。

 そして、虚空から剣を出現させたのが鬼の血気術なのだろう。おそらくは、剣の創造能力。

 

 ――血鬼術 死屍の刃。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 楓は周囲を護るように花を斬撃を展開しながら突撃し、四方から迫ってきていた刃を弾き飛ばす。

 

 ――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。

 

 楓は一瞬を狙い、九連撃は、肩、胴、足、腕、手の甲。隙ができる部位を的確に斬り裂く。

 そして下弦の壱はこう思った。――やはり、今までの鬼殺隊士とは格が違う、と。

 

「……その鋭い剣捌き。的確な判断。……もしや、貴方は柱ですか?」

 

「んなわけねぇだろう。柱の弟子だ」

 

 楓は吐き捨てるように呟く。

 そして下弦の壱は、鬼狩りの力量は柱に匹敵する。と、結論付けた。

 

「……そうですか」

 

 ――血鬼術 死者の軍団。

 

 下弦の壱が血気術を発動させると、後世でいうゾンビ集団が虚空から姿を現す。

 どうやら下弦の壱は、自身が殺し、虚空に仕舞い入れた鬼の死体を操ることもできるのだ。

 操られた鬼たちは、「ぐうぅうう!」「があぁああ!」と、涎を垂らし唸り声を上げている。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 楓は刀を振り、無数の桜で鬼共を斬りつけ殲滅するが、まだ半分以上は残っている。もう一度広範囲で殲滅したいが、千本桜は隙ができてしまう剣技でもあるので、無暗に乱発することは危険だ。

 

 ――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。

 

 楓は花の九連撃で、迫ってくる鬼の頸を確実に落とす。

 楓の背後から襲ってきた鬼は、振り向く動作と同時に右足蹴りを入れ、体勢を崩させてから刀を振るい頸を刎ねる。

 別方向から跳びかかって来た鬼には、遠心力の応用で体を回しその勢いで刀を振り頸を刎ねる。

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 左右から襲って来た鬼に、楓は地面を蹴り、空で体を捻りながら花の斬撃で頸を刎ねる。

 そして、着地した楓を取り囲むように襲ってくる鬼共。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 自身の周囲に花の斬撃を放ち、襲ってくる鬼の頸を刎ねる。

 

 ――血鬼術 千本の刃。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 楓は花の斬撃を周囲に放ち飛来する刃を弾き落とすが、技が出し終わり隙が出来た所に鬼が飛びかかり爪を振るう。

 だが、楓は鍛え抜かれた反射神経を活かし、体勢を崩しながらそれを寸前で回避。

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 楓はそのまま跳んで空で体を捻り、花の一振りで鬼の頸を刎ね、着地した時に襲いかかって来た鬼は“花の呼吸 肆ノ型 紅花衣”で頸を刎ねる。

 目を丸くする下弦の壱。虚空から出現させた二十五体もの鬼が意図も簡単に斬られているからだ。

 さすがに、今ので殺すことが出来ないのは想定外過ぎる。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「ぎゃああぁぁ!」

 

 楓が刀を振るい鬼の頸を刎ねると断末魔が上がり、体を霧状に変化させこの世から消え去る。だが、楓は警戒心を解くこと無く前を見据える。

 楓は鬼の数は残り五体と追い詰める。――その間まで、血気術(下弦の壱)が襲ってくるというオマケ付きだが。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 楓は刀を振るい、桜の雨で鬼共は斬り裂かれて消滅するが、下弦の壱は鬼共を犠牲にするように後方に跳び斬撃を回避。

 下弦の壱は焦ったように闇雲に虚空から剣を創り楓に投擲するが、それは“御影梅”によって弾き飛ばされる。

 そして、そのまま走り出す楓。

 

 ――桜の呼吸 肆ノ型 桜花乱舞。

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。

 

 楓が振るった桜の素早い二連撃で下弦の壱の両腕を刎ね、剣技を繋げるように頸を狙い一閃すると、下弦の壱の頸が地に、ボタ、という音と共に落ちた。

 

「……さすが柱の弟子ですね。まさか、私の切り札がこうもあっさりと攻略されるとは、ね」

 

 そう言いながら、下弦の壱の体と頸が灰に還っていく。

 

「……まあ、上弦に比べればな」

 

「……そうですか。貴方は上弦と刃を交えたことが」

 

 下弦の壱は「なら、勝てなくて当たり前ですね」といいながら消えていく。

 

「来世では、鬼なんかになるなよ」

 

「……鬼に情けを掛けるなんて、変わった鬼狩りです」

 

 そう言って、下弦の壱は完全に姿を消した。

 楓は息を吐くと刀を納刀する。こうして、楓の初任務が終わりを告げたのだった。




楓の損傷は右頬の切り傷だけですが、深く切ってしまったので跡が残ってしまいますね。
てか、切り傷だけで済ませるなんて、楓、かなり強いですね。……まあ、上弦と戦って生き残れたから必然なのかもですが。それに、柱の弟子ですからね!

ではでは次回(*・ω・)ノ

追記。
下弦の壱は、補充された鬼です。
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