~朝~
カーテン越しに刺し込む柔らかな朝日に当てられ、その光で楓は目を覚ます。
「……何か重いんだけど」
そんな事を思いながら楓が顔を左に向けると、そこには同じ布団に入り、右腕を楓の腹に回しているカナエの姿が映る。
楓は「……なんで寝巻き姿のカナエさんが?」と困惑する。顔を動かし回りを見渡すが、備え付けられている装飾品等は楓の物だ。
取り敢えず楓は上体を起こし、カナエに声をかける。
「カナエさん、朝だぞ」
「んん……もう朝」
カナエがぼやけた目を開け、上体を起こして伸びをすると、目を丸くする。
カナエの内心は「……え!?なんで楓が!?まさか夜這いなの!?」と、パニック状態である。
「……あの~。つかぬことを伺いますが、何で私は楓の隣にいるのでしょうか?」
パニック状態から抜け出せていないのか、丁寧語で尋ねるカナエ。
楓は「いや、こっちが聞きたいよ」と言ってから、思ったことを口にする。
「多分だけどカナエさん。厠の帰りで部屋を間違ったんじゃないか?」
カナエは昨夜の記憶を呼び起こす。
昨日は自身の部屋から出て厠に行った後、自身の隣に部屋を開けたような――、
「……あ~、そうだったわ。昨日間違えて、隣の部屋に入ったんだったわ」
「じゃあ、それが事の原因だな」
平静にそう言った楓を見て、カナエは「同じ布団にいるんだから、少しは意識してもいいと思うんだけど」と不安げであったが、楓の内心は「色々な意味で勘弁してくれ」と思っているのだった。
「楓。今日は任務?」
「柱の見回り位だな。今日は基本待機」
――だが楓は柱。
なので緊急任務が入っても不思議ではないだろうが、出来るならば楓は、蝶屋敷でゆっくりするつもりである。
「いや、今日はカナヲとしゃぼん玉の予定だったわ」
「そっか。久しぶりの義兄妹の時間、なのね」
「そんな所だな。――さて、今日は俺とカナエさんが朝の食事当番だったな」
「そうね。じゃあ、そろそろ起きましょうか」
カナエはのろのろと立ち上がり、楓の部屋に置かれた自身の着替えに手をかけ、その場で服を脱ごうと――、
「ちょ、カナエさんッ。俺の部屋で着替えないでくれ」
「え~、いいじゃない。一時期は同じ部屋で過ごした仲じゃない」
「……いや、アレは俺の常中の監視の為だったでしょうが」
なので一時期は、深夜に目を覚ます事がしばしばあった楓である。
「そ・れ・に、私の裸も見てるんだし今更じゃないかしら」
小悪魔風に笑うカナエ。
でもそれ以前に、楓とカナエは恋人なので、同じ部屋で着替えても何の問題も無い気もするんだが――、
「……お風呂事件を持ち出すのは卑怯じゃない」
「女の子は卑怯な位が丁度いいのよ、楓」
溜息を吐く楓。
楓は妥協案として、お互いが背を向けて着替えることにした。そして、楓の理性が鋼並であることが証明された瞬間であった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~縁側~
今蝶屋敷の縁側に座りながら、義兄妹が外に足を伸ばしシャボン玉を吹いていた。
「そうか。鬼ごっこでは炭治郎に捕まったか」
まあでも、炭治郎たち常中の習得が叶ったので、カナヲが捕まるのは時間の問題だった。体格差もあるので、こればっかりは仕方無い。
「……うん。でも、反射訓練では負けなし、だよ」
確かに、常中を習得して鬼ごっこで捕まえることが出来ても、カナヲの
カナヲはしゃぼん玉を一吹きしてから口を開く。
「……兄さん――終ノ型が完成したから、今後使えるか見て欲しい」
カナヲが言うには、自身の目を最大限に活かす、という技。
技の名は――花の呼吸 終ノ型 彼岸朱眼。
「……そうか。終ノ型を完成させたのか」
「……うん。兄さんもあるんでしょ?兄さんだけの終ノ型」
「そうだな。でも俺の終ノ型は、諸刃の剣、だけどな」
楓の終ノ型。それは童磨と戦闘時に使用した型であり、千本桜の殺傷力を極限まで高めた技であるが、体にかなりの反動があるのだ。
技の名は――桜の呼吸 終ノ型 千本桜・景厳。
「……私の終ノ型も、諸刃の剣、だと思う」
カナヲが言うには、最悪失明の可能性があるという事だ。
そして楓は、危険が伴う剣技をカナヲに使用して欲しくない。――でも、その事をカナヲにお願いしたら、先のその言葉はブーメランとして楓に帰ってきそうだが……。
なので楓は、変わりの言葉をカナヲに送る。
「カナヲ。終ノ型は、本当の最後の切り札になった時に使うことを約束してくれ」
カナヲは目を丸くする。
カナヲは楓から「実戦では絶対に使うな」と言われると思ったからだ。
カナヲは「……うん」と返事をしてから、
「ねぇ兄さん。――そろそろあの剣技、教えて欲しい、かな」
カナヲが言うあの剣技とは、桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃――極。のことである。
楓が今まで教えなかった理由は、“極”は通常の一閃とは違い、両足への負担が異常にかかるからだ。
「
確かにカナヲは、今までの楓が組んだ稽古をやり遂げているので、カナヲは“極”に耐えうる両足を習得出来たと言ってもいいだろう。
楓は苦笑し「ああ、いいよ」と頷いた。
「俺もそうだけど、カナヲも相当な剣術馬鹿になってるよな」
「私、兄さんの義妹だから、当然、だよ」
答えになっているか微妙な所だが、楓は納得するのだった。
「兄さんは、継子をとったりしないの?」
楓は「継子かぁー」と呟く。
まあ確かに、楓は柱なので、継子を取り後継を育てることが可能だ。
「考えた事はなかったなぁ。てか、俺みたいな“異端の柱”の継子になりたい奴なんて居ないんじゃないか?」
そう言う楓だが、実は隊士の中で、
だが継子の稽古は、カナエから受け継いだ鬼畜稽古になると思うが。
カナヲはもじもじさせながら、口を開く。
「に、兄さん。私とか、どうかな?」
「カナヲを、俺の継子に?」
だがそれ以前に、カナヲは楓の“桜の呼吸”や“剣筋”を既に受け継いでいるのが。
「だ、ダメ、かな?」
「いや、継子の件は構わないけど、俺がカナヲに教える事はないよな、って思ってな」
そう。楓はカナヲに、先の
もう、伝える事はなかったりするのが現状だ。
「ううん。私が兄さんから学ぶことは、まだ沢山あるよ」
例を上げるなら、相手の筋肉や目線の動きを読み、次の相手の動作を予想する事などだ。
「そうか?じゃあ、これから稽古でもするか?」
「うんっ、する」
そう言ってから、楓とカナヲはシャボン玉を終え、稽古を始める為に道場へ歩き出した。
これが、栗花落兄妹の一幕であった。
唐突ですが、アンケートを終了します。
結果は、幸せな未来を築く(命を落とさない)です。話の着地点は、こうなるように設定しますね。……でも、そこまでの構成があれなんです(-_-;)
ちなみに落とすだった場合は、無惨との決戦で、炭治郎たちを庇って死。という未来でしたね。
大正のコソコソ噂話。
楓が童磨戦で終ノ型を使用し奇跡的に後遺症等は無く回復できたが、次に使用した場合は身体機能に影響を及ぼすのは避けられないだろう。
作品の今後に行き詰った為、アンケートをお願いしますm(__)m
この小説の需要は?
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ある。
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なし。