鬼滅の刃~花咲く桜舞~   作:舞翼

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ご都合主義ありです。


夜空

 ~夜~

 

 風呂に入り屋敷で夕食を摂った後、楓は玄関で靴に履き替え、屋敷から僅かに離れた丘の上に立ち綺麗な月を眺めていた。

 こうして月を見上げていると、自身がちっぽけな存在だと実感する。

 

「――楓、戻らないと風邪引くわよ」

 

 足音を立てずに楓の隣に立つのはカナエだ。

 さすが『柱』と言うべきか、気配を消すのもお手のものである。

 

「大丈夫だよ。カナエさんこそ寒くないのか?」

 

「問題ないわ。鍛えてるからね」

 

「あ、そう」

 

 楓が淡白に答えると、カナエが「もっと何かあってもいいじゃない」と言って、両頬を膨らませる。

 それはまるで、リスが口一杯に食べ物を詰め込んだかのようだ。てか今日初めて会ったばかりなのに、楓とカナエの心の隔たりは感じない。

 カナエが顔を上げ月を見上げると、口を開いた。

 

「月明かりが綺麗ね。半月なのが残念だけど」

 

 カナエは残念そうに眉を下げる。

 

「半月も満月も変わんないだろ。同じ月なんだし」

 

「もうっ。楓、そういうのは指摘しないの」

 

 ぷりぷり怒るカナエ。

 ……うーん。まるで、数時間前のしのぶのようだ。

 

「わ、悪い」

 

「うんうん。素直に謝れる子はお姉さん好きだぞ~」

 

「……いや、子供扱いすんなよ」

 

 そう言っている楓だが、まだ十代は子供の範疇だろう。

 

「……ねぇ聞いてもいい?楓の過去」

 

 カナエが真面目な顔をしたので、どんな話題が出てくるのかと身構えた楓だが、自分の過去は大分前から折り合いが付いているので問題ない話題だ。

 でも、聞く人によればかなり重く捉えてしまうかも知れないが。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「売られまくって最終的に辿り着いたのが、あの塵溜だったとさ」

 

 楓が過去を語ると、カナエが顔を俯けて動かない。

 そして小さな声で「……ごめんなさい」と呟く。

 

「……軽い気持ちで聞いてしまってごめんなさい」

 

 カナエが顔を上げると、両目の目許には涙が溜まっていた。

 どうやら、楓の話がカナエを泣かせたらしい。

 

「別に気にするな。てかカナエさんに泣かれると、俺はどう対応していいか解んなくなるから困るんだが……」

 

 眉を下げ困ったように呟く楓。

 

「ぐすっ……泣き止みます」

 

 カナエは目許を拭い、涙を拭く。

 

「お、おう。そうしてくれ。つか、俺からも質問いいか?」

 

「い、いいわよ。何でも聞いて」

 

「じゃあ聞くが、カナエさんは何者だ?あんなデカイ屋敷、俺たちの年で持てるなんて普通じゃない」

 

 カナエは「や、やっぱりそこかー」と内心で呟く。

 でも確かに、蝶屋敷をお金で計算すれば、後世でいう何千万単位だろう。

 

「……――楓、鬼って信じる?」

 

 カナエの話はこうだ。

 ――人喰い鬼を滅する鬼殺隊の『柱』に就任した時に、蝶屋敷をお館様から貰い受けた、と。

 そして――鬼殺隊。

 それは、鬼を狩る人たちが所属する組織。

 隊士は凡そ数百名。だが、千年以上の古の時代に発足し、今も尚活動し続ける政府非公認組織。

 

「鬼に鬼殺隊、柱ねぇ」

 

 ――柱。

 柱とは、鬼殺隊での最高位の位であり、鬼殺隊の中枢()になる人物。

 カナエは『柱』であり、『花柱』の称号を戴いている。

 

「そ。これでも私『花柱』なんですっ」

 

「花かぁ。カナエさんにぴったりだな。カナエさん、花みたいな者だし」

 

「……それって褒めてるのかしら?」

 

「あー、まー、うん。褒めてるぞ、たぶん」

 

 かなり曖昧な答えを出す楓。てか「鬼殺隊の『柱』にタメ口でいいのかなぁ」と思う楓である。

 でも、楓がそのことをカナエに問うと「いいんです~、私にはタメ口で」っていう返答が返ってきそうだが。

 

「なあカナエさん。俺に、護る為の剣を教えてくれないか?」

 

「護る剣?鬼を倒す為の剣じゃなくて」

 

 キョトン顔をするカナエ。

 

「まあな。誰かを護る為の剣って所だ」

 

 カナエは小悪魔的に笑う。

 きっと、楓をからかう為の言葉が見つけたのだ。

 

「それって――私とかも含まれるの?」

 

「含まれるぞ。てか、俺の中では最優先人物だぞ」

 

 楓は「何で当たり前なこと聞いたんだ?」と言いたい表情だ。

 これを聞いたカナエは、顔を真っ赤に染める。

 

「(……楓、不意打ち過ぎるわね。タラシの才能があると見たわ)」

 

 カナエは「平静平静」と内心で呟きながら、顔から熱を引かせる。

 

「あー、でもそうか。護る剣を学んでも、鬼殺隊に入隊しないと意味がないのかぁ」

 

 まあ確かに。護る剣を学んでも、人々を護る為には鬼殺隊に入隊するのが必要になるのかも知れない。

 いやまあ入隊しなくても問題ないと思うが、鬼の頸を斬る為の日輪刀や、鬼の出現場所を知らせる鴉がいなければ、鬼と朝まで耐久戦。という風になってしまう。

 

「そう、かも知れないわね。……でも鬼殺隊は殺伐としていて、いつ命を落とすか解らない職業よ。――今までの日常、とはいかなくなるわ」

 

「それは重々承知してる。カナエさんから救われた命は、皆を助ける為に使うよ」

 

 笑みを浮かべる楓を見て、カナエは「……まったく」と息を吐く。

 

「それじゃあ、呼吸を会得して貰います」

 

「呼吸?」

 

「そ。全集中の呼吸って言って、肺に空気を溜め、血の廻りを増し、一時的に身体強化して型を取り“鬼”と戦う。私は、そう解釈してるかな」

 

 全集中の呼吸は、完全に会得するまではかなり厳しいものだ。

 

「私が教えるのは――花の呼吸」

 

 カナエが呟いた――花の呼吸は、水の呼吸から派生した呼吸。果たして、楓には適性があるのか?となった時、カナエが直感で「大丈夫だわ、きっと」とのことだ。

 そして“花の呼吸”の型は、

 弐ノ型 御影梅。

 肆ノ型 紅花衣。

 五ノ型 徒の勺薬。

 陸ノ型 渦桃。

 であり、攻守に優れた呼吸だ。

 

「でも、私は育手じゃないから、余り期待しないでね」

 

 育手を一纏めに言えば、剣士を育てる人物のことである。

 

「わ、わかりました。これからご指導よろしくお願いします、師匠」

 

「け、敬語はなしでいいわよ。楓は私と対等に接して欲しいわ」

 

「そ、そうか。じゃあ、これからよろしくな。カナエさん」

 

「任されましたっ」

 

 この会話の後、カナエと楓は顔を見合わせて笑いあった。

 こうして、楓の鬼殺の道が始まる。




前作同様、楓の呼吸は“桜”にも派生する予定です。てか、まだ一日しか経過してないのに、楓とカナエさん仲がいいですね。

ではでは、次回(*・ω・)ノ

今後の大筋の流れは?

  • 胡蝶カナエ生存ルート
  • 胡蝶カナエ死亡ルート
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