シズクルート   作:眼鏡最高

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大変遅くなり、すいません。
前半、意味不明な説明文。
後半、ツギハギで、文を書けてない。
前後合わせて、何を書きたいのか意味不明


第十三話 地下都市

赤黒くて、どす黒い、夢を見る。

 

 

 

 

危険な国は数あれど、世界で一番危険な街の断トツ一位、それがここ『暗黒の街マルクドキア』だ。いっけん摩天楼が乱立して綺麗に見えるが、地上は雑多な街並みで荒廃してる。

 

街に居る人々は、黒い服を着た恐い人達、派手な髪型や髪色のチンピラやヤンキー、つまり「僕達ゴロツキです」といった感じの人しかいない。ときどき普通の人を見るが、悲愴感ただよう表情で黒服の人達に連行されている。うん…

 

世界で一番危険な街だと言ったが、摩天楼群の街の治安は良い。地上の街は優しいのだ。しかし、問題は地下にある。むしろ地下が諸悪の根源だ。

 

ここで一つ昔話がある。

大昔、ある宗教Aが違う宗教Bに異端扱いされ、この街の近くにある洞窟に逃げ込んだ。元々あった洞窟も入り組んでいたが宗教Aの人々が頑張りまくり、洞窟を縦横無尽に掘りに掘りまくった。長い間は平和に暮らしていた。しかし、とうとう宗教Bに地下都市の存在がバレ、宗教Aの人々は地下に篭り激しく抵抗したが、滅ぼされた。血みどろの殺戮が行われ、異端の宗教の根城だった事もあり、長い間、洞窟は放置された。

 

そして、そんな場所に目を付けたのが世間からハミ出した者達だ。最初は盗賊が隠れ家にしていたらしい。それからまた幾星霜の時が過ぎて、犯罪者や闇の人間が集う場所になった。『暗黒の街マルクドキア』またの名を『暗黒地下街マルクドキア』世界一危険な犯罪都市だ。

 

はい。で、なにゆえ俺が、こんな…こんな場所に来てしまったかは以下にのべる。

俺が『霧の都ロヴェルディ』に行く事をシズクに言うと、シズクも一緒に行きたいと言った。が、その前にマルクドキアに寄ってから行かないかと言われ、深く考える事も無く即断で俺は頷いた。あの時、頷く前にしっかり調べていれば…こんな、こんな場所に!ちくせう!

 

俺とシズクは流星街の近場にある空港から快適な空の旅で一気にここまで来た。ちなみに俺達は、まだ地上の街に居る。地下の街に行くには色々と方法やルートがあるらしい。そして、これから地下に入ります…テンションだだ下がりです…

 

20分ほど街から歩いて着いた場所は、ぽっかり開いた洞窟の入り口だ。超雰囲気ある…、超嫌な予感しかない…、超行きたくない…。しかし、シズクが行くのだから仕方ない。シズクが懐中電灯にスイッチを入れ、俺も電気をつけた。俺は諦めシズクのあとに続いて洞窟の中に入った。

 

洞窟に入って、すぐ!

ビックなスネーク…大蛇に襲われた。つーか洞窟の中は化け物どもがウロウロ、ウヨウヨいた。ここはダンジョンか何かっ!馬鹿野郎!

 

二、三階ほど下に降り、たぶん街の方に向かって移動している。その間にも魑魅魍魎的な生物が襲ってくるので、ぶっ倒し薙ぎ払っていた。40分ほど歩くと、段々と魔物の出現率が下がり、まったく出なくなった。そして整備された階段が見えてきた。

 

その階段をシズクは降りて行き、それに俺も続いた。何度か横に行ける通路があったがかまわず降り、そして七、八階ほど下に降りると「もうすぐ大通りに出るよ」とシズクが俺に振り向いて言った。階段の踊り場から横の通路を歩いていると騒がしい音が聞こえてきた。

 

通路を抜けるとまばゆい光が見えた。

 

一瞬、目がくらんだ。懐中電灯の光とは比べる必要が無いほど地下都市のネオンの光はギラッギラッ眩しく輝いていた。大通りの入り口の両脇には、いびつな十字架っぽい大きな石造があった。大通りに入ると、あちこちに大小さまざまな光り輝く看板があり、遠くには光る風車と光る像が見える。ときたま場違いに十字架っぽい古い石造がちらほらある。前から通り過ぎる人々は、エロい服のお姉さん、怖い黒服の人達、見るからに怪しい人物、盗賊やゴロツキっぽい人、そんな方々だった。

 

まるっきり夜の街って感じだ。ネオン眩しっ。

街並みをそれとなく見ていたら、一瞬凄い視線を感じた。すぐに振り向いたが、誰の視線かはわからなかった。ずっと後ろを見ていたらシズクに声を掛けられた。たぶん変な表情で俺は頷き、シズクの後を歩き出した。

 

はい。また街の説明だっ!

地下10階〜30階ぐらいが『地下都市マルクドキア』の範囲内らしい、なんでも不思議な石があり、その石の内には魔物とかが入ってこないらしい。あとマルクドキアに来た理由はシズクの欲しかった本が見つかり受け取りに来た。

 

大通りの階層から5階ほど下に降り出た場所は、薄ぼんやりした街頭の街並みだった。どうやら、ここは闇市場っぽい場所のようだ。すこぶる怪しい店々が並んでいる。

 

入り組んだ街並みを進み、とある商店に入った。

店内は本どくとくの匂いが充満していた。棚にはところせましと本が並び、通路にも本が山となり積み上がっている。何語かわからない本や辞典並にぶ厚い本、薄っぺらい絵本まである。

 

店内を見るともなし見ていたら、カウンターの奥からヒゲの爺さんが出てきた。好々爺っぽい爺さんだが、目に剣呑な雰囲気がある。まぁ暗黒街の住人だからかね。

 

で、シズクは爺さんと話し始めた。どうやら値段の交渉をしている。しばし時間がかかり、ようやく値段が落ち着いたようだ。シズクが代金を払い、俺達は店を出た。

 

当たり前だがシズクは本を一冊持っていた。あと店を出て気が付いたが、紙切れ一枚を持っていた。

 

「その紙、なんですか?」

思わずシズクに尋ねた。

 

「宝の地図。賢者の本が眠ってるらしいよ」

 

「えっ…」

 

なんでも、さっきの本屋の爺さんが本の代金は半額で言いから、この宝の地図に描かれている本を取ってきてくれないか、自分は歳で取りに行けない。まぁシズクはご覧の通り話を承諾した。すっごく胡散臭い…まぁ行くけどさ。

 

下へ下へ、ズンドコズンドコ、進んで行く。途中までは順調に地図通りに進めていたが、居住区から少し離れると、ザ・洞窟と言う感じになった。ライトの明かりだけなので見にくいし、岩が邪魔で歩きにくい、それから何カ所か洞窟が崩落し行き止まりになっていたので迂回しながら地味に地道に洞窟の中を進んだ。そこからも地道に地道に進み続け、俺とシズクはひらけた場所に出た。目測だが天井は30m以上はありそうで横にも無駄に広がっている。ライトを照らしても見えんな。

 

「あれ、なんだろう」

洞窟に響く声でシズクが呟いた。

 

「へっ?なにがですか?」

 

「あれ、火、かな」

シズクが指差した方向を見ると、確かに篝火っぽい明かりがポツンと洞窟の奥にあった。

 

「人が居るんですかね?行ってみますか」

 

「うん。そうだね」

二人並んで篝火っぽいモノの方へ向かった。

 

で、到着しました。

人はいない。しかし、火はあった。

細長い円錐の先で炎が燃え盛っている。

 

「つか人いませんね」

 

「そうだね」

 

あったかいなぁ。それにしてもコレどうやって燃えてんだろ。昔の人の篝火とか?いやでも何百年も燃える訳ないしな。と呑気に俺が考えていたら…

 

円錐が微妙に揺れ、ついでに地面も揺れ、地面の中からトカゲが飛び出してきた。俺とシズクは後ろに飛んで避けた。今一度トカゲを見ると尻尾と眼が燃えとる。うん、さっきまで篝火だと思ってたのはトカゲの尻尾なのか…、お前は提灯アンコウか!どうやって燃えてんだよ!眼熱くないの!?

 

適度な間合いで火トカゲを見ていたら、軽く息を吸い込む動作をし出した。あぁ…コレはヤバイな。そして俺の予想通り火トカゲは口から炎を吐き出した。ちなみに火炎放射ではなく、炎弾を口からゲロろりやがった。

 

一撃がデカイな。炎弾を避けながら思ったが、俺って攻撃力不足だよな。ナイフオンリーとかキツイわ。もっと攻撃性が高い念能力が良かった…かな。いや、でも、やっぱり手応えがないと駄目だよな。うん?

 

皮膚とか固そうだから狙うなら目玉なんだけど燃えてんだよな…とりあえず行くか。まっ、我慢すりゃ大丈夫だろ。ナイフを取り出しごちゃごちゃ考えるのをやめた。

 

やるか。

まず右目から刺し、次に残った左目を刺そうと思ったが、ナイフの毒が効いたのかピクピクしたかと思えばバッタリと火トカゲは倒れた。終わり?案外あっけない…

 

「火トカゲ、美味しい、らしいよ」

シズクが俺の方を見ながら言ったその一言は心持ち冷たい印象がした。

 

「そうなんですか?」

俺は疑問形で返答したが、シズクはクルリと俺に背を向け…

 

「うん。でも毒で、食べられない」

そう言い歩き出した。

 

えっ?

食べたかった?

つか俺が悪いの?

つかつか怒ってる?

 

「…次、次っ、火トカゲ出たら毒は使いません。ノーポイズンで倒します!」

なんとか俺は頑張ってシズクに声を掛けたが…

 

「火トカゲは絶滅危惧種で数が少ないから滅多に遭遇は出来ないよ」

あぁ無情。女神の慈悲は無かった…

 

そんな感じで火トカゲを倒した場所から先に進むと、トロッコがあった。遺跡よりは新しいが、なかなかの年代を感じる。場所の雰囲気には合ってるし味はあるけど…乗りたくはねぇな。だってサビだらけでボロいし今にも崩れそうだ。

 

なにはともあれ今現在俺は「乗って行こう」そのシズクの一言でトロッコに乗っています。ガラガラと車輪の音を響かせ、颯爽と風を切っている。言わせてください。…超、楽しい!ハンパないっす!トロッコ最高!

 

右に曲がり左に曲がり、今はグングン早い勢いで下り坂をくだっている。少しスピードが出過ぎてる気がしたので俺は軽くブレーキをかけた。キキッーと金属のこすれ合う音が聞こえ、そのあと、バキンッと何かが壊れるような音が聞こえた…

 

「「………」」

俺とシズクは無言で見つめあっていた。

 

「今の、なんの音?」

 

「えっ、えっと、たぶん、ブレーキが、壊れた、かな?」

シズクの顔が見れず、俺は明後日の方向を向いて答えた。

 

「う〜ん、どうやって止まろう」

 

「トロッコの速度が緩まるか、止まるの待ちます?」

 

「それは無理だよ。この先、線路がないから」

 

「えっ?」

線路が、無いっ!?

 

前方を見ると、確かに途中から線路がなくなっていた…

なんでだ!?線路はどまでも続くもんだろがよ!?

 

「ヤバイよ!?シズク!?」

マジでどうするyo!死んじゃうyo!

 

「うん。だから、どうしよっか?」

首をコテンと傾けてる姿が可愛いなっ!

 

「あっ」

「えっ?あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

シズクに見惚れていたら、トロッコは空を飛んでいた。死ぬ。マジで死ぬ。これは死にました。暗くて下が見えねぇ!

 

そして無駄に俺は叫びながら、バッシャーンと水の中に落ちた。水中から水面に俺は出て、荒い息をしながら思った。俺、生きてる。冷たい。と。

 

「ふはっ、冷たいね」

水面から顔を出したシズクはあさっての方向に話し掛けていた。つか…

 

「シズク、眼鏡は?」

 

「あれ?ないね」

顔に手をやり、シズクは確かめていた。

 

「とりあえず岸を目指しますか?」

 

「うん」

 

俺はシズクに声を掛けながら先頭で泳ぎ始めた。少しばかり泳ぐと、前方に砂浜が見えた。砂浜に上がり気づいたが地底なのに微妙に明るい、天井を見れば何かがキラキラと淡く輝いていた。まるで星空みたいだ、むしろ星空より綺麗かもしれない。

 

そして…

もう一つ重大な事実に俺は気がついた。

シズク、びしょ濡れ、エロス!

メガネ無しversionも可愛い!

 

ジーパンとセーターがぐしょ濡れで、そこはかとなくエロス。また風呂上りとは違って、濡れた髪がエロい。白い綺麗な肌が水に濡れて、エロチック。

 

しかし、すぐにデメちゃんで乾いた。

ありがたいが…、悲しいぜ…、ふっ…

 

で、俺とシズクは、わりと歩けそうな場所を見つけ進んだ。シズクが何度かコケそうになったので手を繋いで歩いている。そのまま道なりに行くと、洞窟を見つけた。この中も洞窟だが、先に進めそうな小さい横穴の洞窟だ。他に進める場所もないので洞窟に俺達は入った。

 

洞窟に入り、右に曲がると、幻想的な景色があった。周りの壁の所々に小さな蒼い石がキラキラと輝いていた。ただただ綺麗だった。天井で光ってたのと同じ物なのかな。

 

「…滲んで、よく見えないけど、綺麗」

 

「えぇ、とても綺麗です」

 

しばし二人で、その景色に見とれていた。

チラリとシズクを見たが蒼い光の中にいる、その姿は…

 

「行こっか」

 

「えっ、あぁ、はい」

 

蒼い洞窟の中を進んだ。しばらく歩くと、丸い綺麗なドーム状の広間に出た。奥には祭壇っぽいのがあり、周りには水の堀があった。なんか宝物ありそうな雰囲気!惹かれるように歩いて行くと、水面が揺れ…

 

「これ…蛇なのか?」

水を滴らせた三つの首がある大蛇が現れた。

でけぇな、おい。ナイフでヤれるか?

 

「あっ、シズク。コレ食いたい?」

同じ過ちを俺はしないぜ。ふっ。

 

「コレって、どれ?」

シズクは少し目を細めながら右や左を見回していた。ホントに目が悪いんだな。

 

「えっ、えーっと、目が無くて、三つの首がある紫色の大蛇です」

 

「んーん。美味しくないから、いらない」

 

「へー、そう…」

食ったことあるんだ…

それにしても、倒せる気がしない。

 

右の首がお襲いかかってきたのでよけながら、ナイフを念で強化した。チラッとシズクを見るとギリギリで攻撃をかわしていた。う〜ん、メガネ無くても大丈夫かなぁ。いや心配だわ。

 

「俺がヤりますから、シズクは下がってて」

言うだけ言って、蛇の胴体を切りつけ、黒兎を使い地面に潜った。目が無い蛇、おそらくピット器官を頼りにしてるんだろう。なので蛇の背後に出て、もう一度蛇に切りつけ、俺は堀の水場に入った。

 

十秒ほど水に浸かり、水から出て、白兎を使った。三つ首蛇の上に出て、真ん中の蛇の頭に飛び降りしがみついた。うぉ!?暴れ過ぎ!しかも高くて怖いわ!そろそろいいだろう。念の為に軽く蛇に切りつけたが、大丈夫だな。とりあえず一本目だ!

 

頭蓋にナイフを刺し、もう一方の手でナイフを取り出し、刺し、刺し、交互に刺しまくり、真ん中の蛇頭の力が抜けて倒れ始めたので、右の蛇頭に飛び移った。

 

疲れるから、あんまりやりたくないが、さっさと終わらせる為にナイフから念を伸ばし、交差するように蛇の頭を切りつけ、首を斬り落とした。残った左の首は、喉元にナイフを刺し、そのまま地面に落ちる勢いで、切り裂いた。なかなか疲れた。

 

「終わった?」

少し離れた場所からシズクに声を掛けられた。

 

「はい。終わりましたよ」

 

その後、祭壇に置いてあった本を見つけ、帰る事にした。

元来た道を戻り、湖の場所では迂回しながらトロッコの路線がある所まで、なんとか辿り着いた。そこから地道に、えっちらほっちら上り坂を登った。はぁ、早く風呂に入りたいなぁ。

 

で、ようやっと平らな道に出て、大きな広場に着いた。が。

盗賊団があらわれた。

 

20数人の盗賊団で、多分カシラは斧を持ったヒゲ男だろう。いかつい顔に眼帯、これが盗賊団の頭じゃなければ一体誰だと言うくらい、盗賊団の頭の鏡みたいな顔だ。

 

「頭を狙ってくるんで、近づいて来る奴はやっちゃってください」

さすがにシズクを守りながら戦うのは厳しいので、頭を潰した方がやりやすいだろう。

 

「うん。わかった」

言うやいなや、俺に向かってデメちゃんが振り抜かれた。

 

「危なっ!?」

 

「あれ?ハルトまだ居たの?」

 

「いやっ、はい!今から行くんで、じゃっ!暴れて良いですよ!」

すぐさま俺は走り出し、邪魔な盗賊を切り裂き、真っ直ぐ頭に向かった。振り下ろされた斧をよけ、一閃、首を斬りつけて鮮やかな血が吹き出た。生き残っていた盗賊の奴らはびびり逃げ出した。

 

やっと一息ついた時。

だだ漏れの殺気が俺に当てられた。

…これ隠す気がないなよ。

 

「誰だ」

出来るだけ冷たい声でクールに言った。

 

出て来たのは、金髪の青年だった。なかなか整った顔立ちをしてる。しかし、目つき悪過ぎる。あと顔に一文字の傷がある。少しアウトローっぽいな。

 

「何か用かい?」

だんまりだったので俺から声を掛けた。

 

「くっくっくっ。…何か用かだと?」

歪んだ笑顔で笑っていたが。

「むろんテメェを殺す為だ!!」

憎悪むき出しで俺を睨んでいた。

 

「君に何かしたっけ?」

まったく、ちっとも心当たりが無い。

 

「そうだろうな…、テメェにとっては!当たり前の事だったろうよ!」

 

「本当に悪いんだけど覚えてない。俺は君に何をしたの?」

 

「…俺は、…覚えているぞ。血だらけの父を母を妹をジャックをマリアを燃え盛る我が家を…」

 

「ごめん。人違いじゃない?」

 

「テメェの顔を、忘れるかよ。忘れるはずがないだろう。闇兎」

その青年は、血の涙を流していた。

「リグレット、フィールド」

そして絞り出すように呟いた。

 

マジで人違いじゃないのか?でも、まるっきり何もかも覚えてないよ俺。…人違いでないなら。記憶喪失前の俺が…、やった?

 

考えていたら真っ直ぐ青年は俺に向かって走り出していた。しかも、いつの間にか手には槍を持っている。俺は黒兎で潜ろうとしたが、潜れなかった。つかヤベェ!ギリで槍をかわし、ナイフで牽制し、距離をとった。

 

「どうしたよ。驚いた顔してるぜ闇兎」

睨むような冷めた目で俺を見ていた。

 

なるほど、こいつの念能力か。んー、練や纏は出来るな。念の能力が使えないのか。しかし、自分は念能力を使えると、なかなか反則的な念能力だ。どうしたもんかねぇ。

 

「困ったもんだ」

槍の攻撃をかわしていたが、何故か、ナイフが弾き飛ばされたので、腰からナイフを取り出した。この槍も特別な能力があるのかね。何してくるか分からんし、生かして仕留めるのは無理かな。うん、無理だよ。

 

また青年が攻撃をしてきたので、仕方なく数合斬り合い。

 

「シズク!今だ!」

 

「くっ!?」

青年は焦った表情をし、一瞬俺から目を離した。

 

「ん?」

シズクは遠く離れた場所で小首をかしげている。

 

「はっ?」

青年の一瞬の隙に、俺はナイフで首を切り裂いた。

膝から前かがみに倒れ、ピクピク痙攣し青年は息絶えた。

 

「お疲れ、手伝った方が良かった?」

近づいて来たシズクが聞いてきたが。

 

「いえ、隙を誘う為に言っただけなので大丈夫です。さっさと帰りましょう。早くお風呂に入りたいですしね」

笑いながら話し、歩き出した。

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

俺は電脳ページを開いた。

 

闇兎、検索。

 

それは一発で出た。

 

 

 

『通称』

・狂喜の闇兎

手配写真は無かった。

 

『罪状』

・放火

・器物損壊

・死体遺棄

・連続大量殺人

 

『容姿』

・男、黒髪、詳細不明

 

『能力』

・転移系統(推定)詳細不明

 

『活動場所』

・アイジエン大陸全域

 

『特徴』

・ナイフによる殺傷、体の一部にウサギのマーク

 

マークは…

不気味に笑っている兎の横顔だった。

 


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