テキトーです。
ごめんなさい。
これと言った問題もなく、予定より早くヨークシンに到着した。いつもこんな感じだったら良いのにねぇ。
ヨークシンの雰囲気は、活気がある普通の都会的な感じだった。可もなく不可もなく、いい街だね。うんうん。
で、この前の街では連絡が取れず、当てもなく探し回るハメになったので、俺とシズクは話し合い、ケータイを買うことにした。
もうすぐシズクは仕事に行くので、その前にケータイショップに向かった。
ケータイショップにはさまざな種類のケータイが沢山あり、どれにするか俺は迷っていた。しかし、シズクがポケットから紙を取り出した。
さきほどホテルでシャルさんに電話し、どんなケータイが良いか聞いたらしい。流石はシズクだ。
メモにはビートルと言うケータイが良いと書いてあったが、シズクが選んだケータイは、スマホと言う機種だった。シャルさんに聞いた意味が…
俺とシズクはホテルへ帰路についていた。前日まで暖かな日が続いていたが、この日は冷えこみ、息が白くなっていた。
「今日は寒いね」
そうシズクは言い、私服の首元を伸ばしていた。
「上着、着ます?」
俺は寒がりなので、いつも厚着をしている。だから上着一枚ぐらいなら余裕がある。
「…うん。借りる。ありがと」
ちょっと迷ってからシズクは返事をした。
俺は上着を脱ぎ、シズクに手渡した。それを着るとシズクはクンクン匂い嗅ぎ出した。
「変な臭いします?」
「ううん、ハルトの匂いがする」
俺、鼻血、出てないよな?
〜〜〜
シズクは仕事に行き、俺は暇していた。今日も今日とて、街をプラプラしようとホテルを出た。
大きなホテルの前を俺がテクテク歩いていたら、豪華なリムジンに、やわらかく「ガンッ」はねられた。地味に痛い。しゃがみこみ俺は自分の足をさすった。
ホテルに入ろうとしていたのでリムジンの速度が遅く、たいした怪我はしてないが、地味に痛い。地味痛い。やっぱ…わりと痛い。
するとリムジンから、警戒するように猿顔の男、くまが凄い男が出てきた。
そしてリムジンの後ろの車からは。
「クラピー!? 」
クラピーが現れた。
「ハルト、大丈夫か?」
しゃがみこんでいた俺に手を差し伸べた。
「ん、あぁ。地味に痛かったけど、怪我はないぞ」
クラピーの手を掴み、俺は立ち上がった。
「そうか。良かった」
「仕事中?」
「あぁ、そう…」
クラピーが喋ってる途中で。
ビルの角から凄いスピードで車が三台、曲がってきた。しかも窓からは覆面してる奴らがマシンガンを持ってる。そして銃口が、こっち向いてる。
いっせいにマシンガンが火を吹いた。
ついてねぇ〜、マジで!
とっさにリムジンの後ろに、俺達は飛び込むように逃げた。アホのように、マシンガンの音が響きぱっなしだ。
あっ、タイヤのパンクする音だ。
「ねぇクラピー。これ、どうすんの?」
「隙を見て反撃する」
「しゃあない。乗りかかった船だ。手伝うよ」
「すまない。助かる」
「また後でな」
ブラック・ラビットを使い、俺は沈んだ。
襲撃者達の背後、ビルの隙間に、はい出た。
今もマシンガンの弾丸が雨あられと降っている。代わりばんこに撃ってるから止む気配がない。時間も過ぎだし、敵との距離もある。そろそろ行きますか、ね。
一番右端の敵に狙いを定め、一直線に向かって走っていたが、覆面が気づいた。流石にこの距離じゃ気がつくよねぇ。投げナイフは、苦手なんだよねっ!
こっちに向いていた覆面の眉間にナイフは突き刺さった。
眉間からナイフを回収していると、チェーンやら、念人形が、敵を倒していた。俺も、もう一人ほど覆面の首の頸動脈を斬り裂いた。
覆面の半分は死に、半分は捕まえた。
いやぁ疲れたわぁ。
その後、お嬢様っぽい女の子が護衛に守られホテルに入って行った。俺はホテルのロビーで待たされた。茶を飲みながら椅子に座って待っていると、くま男とクラピーが現れて、俺はくま男に礼を言われ謝礼金をわたされた。なかなかの金額だ。お金持ってんねぇ。
くま男が去り、クラピーに食事に誘われた。
「で、なんの用なの?」
ホテルの向かいにあるカフェに入り、奢ってもらったチーズハンバーグを食いながらたずねると。
「話が早くて助かる。実は私の雇い主のお嬢様が君の戦闘を見ていてね。どうも気に入ったようで、君を護衛のメンバーに加えたいと言ってる。どうだろう、やってくれないか?」
だからチーズハンバーグを奢ってくれたのか!はめられた!
「給料もいいと思うのだが」
そしてクラピーに見せられた小切手にはゼロが沢山!
「喜んで引き受けよう!」
俺はクラピーの手をあつく握った。
俺とクラピーの話がまとまった丁度その時、先程のお嬢様が護衛と一緒にホテルから出てきた。確か、ネオン・ノストラード?だっけ?
お嬢様を見ていたら、派手な音をたててホテルのロビーに突っ込んできた車、そこから銃を持った覆面の男たちが現れ、お嬢様に向けて銃をぶっ放しはじめた。
なにこれ映画?
はぁ、マジでリアルがこれって嫌になるわぁ。
また襲撃者かい!猪突猛進か!
客たちはワーキャー騒いでる。そんな、てんやわんやのロビーに落ち着いた足取り入ってきた奴らに目が向いた。
一人目は袴に、上半身が裸、そして目隠しのように包帯を巻いてる男。二人目は、巨大な注射器を背負ってる白衣の女性。三人目は、狐のお面にスーツ姿の男。
めっちゃ怪しい。むしろ怪しんでくださいと言わんばかりの格好だ。しかも、その怪しい三人組は真っ直ぐに、お嬢様の方に向かっている。
嫌な予感しか、しない!
「クラピー、あれ」
ため息つきながら三人を指差した。
「手練れだな」
マジで面倒くさい…
「俺が仕掛けるわ。撹乱よろしく」
ホワイトラビット(白兎の落とし穴)で2階に上がり、もう一回ホワイトラビットで1階の天井に出た。シャンデリアに掴まり、下の喧騒を眺め時間が過ぎるのを待った。おっ、クラピーが仕掛けた。俺も行くかね。シャンデリアから手を離し、ナイフを抜き、静かに下へ落ちた。
白衣女に迫り、すれ違いざまに一太刀切りつけ、ホワイトラビットを使い地面に潜った。毒のベンズナイフだから余程の怪物じゃなきゃ死んでるはずだ。
横にスタコラ移動してホワイトラビットで1階に上がった。うん、白衣女は死んでるな。クラピーがスーツ男と戦って、包帯男はお嬢様の方ね。
「そこの包帯男!止まれ!」
かけ声と共に、そこら辺に落ちてた皿をぶん投げた。しっかりと包帯男は皿を避け、こちらに向き直った。
目に包帯を巻いてるのに、ちゃんと見えてるんだな。で件の包帯男は拳を構え、待ち構えている。格闘系なのか?
駆けながらナイフで横斬りしたが、体さばきでかわされたが、胴がガラ空きだ。追撃をしよう斬りかかると、包帯男の胴体に四角い割れ目が出来て、それが扉みたい開いて槍が飛び出してきた。あわててブラックラビットで地面に沈んだが、頬が少し切れた。
び、びっくりした。
観葉植物の影に隠れるようにして地面からはい出た。包帯男を様子見していたが、槍は既に消えてる。と言うか胴体に収納されるように戻っていった。
仕方ない、いつまでも見てるだけじゃ終わらないし行きますかね。
何度かナイフで攻撃して分かったことは、体中から武器が飛び出てくる。背中、腕、足などなど、体に扉が出来て、開くと武器が飛び出してくる。
ビックリ箱かよ。いや、こんな危険なビックリ箱があってたまるか。つか、殺りづらい体だ。めんどい。
このまま時間稼ぎしてクラピーが来るのを待とうかな、と思っていた時に、包帯男が仕掛けてきた。
手のひらから鎖を出し、見事に俺の腕を捉えた。鎖に引っ張られて、たたらを踏んだ。意外に馬鹿力、腕がちぎれるわ。俺が頑張って踏ん張っていたら、包帯男が力を緩めたので、思わず前につんのめると、奴は素早く接近してきた。
ブラックラビットを使おうとしたが使えない。つまり、この鎖は包帯男の一部だと認識されてる訳で、能力を話さないとブラックラビットが使えない。使えたとしても包帯男も入って来れる、と。マジついてない。
それにドンドン鎖の長さが短くなってる。
そして取っ組み合いの距離、これはマズイな。
飛び出して来たら、よけるのムズイ。
そんな事を考えていたら額が開き、金棒が飛び出た。
金棒は俺の頭を直撃した。
脳が揺れ、視界も揺れ、記憶も揺れた。
頭、いた。
血がダラダラだよ。
うん、殺そう。
とりあえずキンタマを蹴り上げ、鎖を外した。あ〜あ、跡ついちゃってるなコレ。SMは趣味じゃないのに。
あぁ。それにしても。
頭が痛い。ズキズキする。
どうやら金棒の痛みだけじゃないみたいだ。本当に強い衝撃で思い出す事ってあるんだなぁ。
ボクは念能力を思い出した。
暗闇の落とし穴(ダークホール)
手を地面につけ、能力名を言い設置する。
黒兎と白兎と繋がっている。
入った者を殺すしかココから出られない。
出られるのは一人だけ。
さっさと殺ろう。
「どうしたの?攻めて来ないのかい?」
さっきまで怒涛の攻撃をして来てくせに、今は棒立ち、それから包帯男は慌てるように拳を構えた。
仕方ない。
「なら、こっちから行くよ」
ただナイフで斬りかかり、攻撃されても、斬りかかる。何度目かの包帯男の攻撃でわざと飛ばされ、地面を転がりながら「〜〜〜」ボクは呟いた。
大勢は崩したまま、そりゃ好機と見るよね。包帯男はボクに向かって走って来た。
ボクの少し手前で。
包帯男は地面に落ちていった。
ボクも暗闇に沈んだ。
暗闇がボクを塗り潰し染め上げる。