今日も今日とて、いい天気だ。
俺達は今もマーロの町にいる。なんでもシズクさんは趣味で集めてる物を揃えたい、らしい。でも、この一週間何度も美術館に通っただけだっだ。
そして一週間が過ぎた日の夜にシズクさんは、俺にホテルで待ってるように言い、どっかに一人で出掛けてしまった。
忠犬よろしく俺は待っていたが、いつの間にかソファで寝落ちしていた。
翌朝になり起きるとシズクさんは普通に朝食を食べていた。
俺も一緒になって食べ、朝食を食べ終わりのんびりしている。
暇なので椅子に座り新聞を読んでいたら、あの何度も通った美術館で盗難事件があったと書かれていた。う〜ん、物騒だね。悪い奴が居るもんだ。
昼までホテルに居たが、外に飯を食いに行き、その後カフェに寄った。
ゆったり二人でカフェモカを飲んでいたらシズクさんに声が掛かった。
「シズク」
声の方を見るとピンク髪の女性が立って居た。
女性マチさんはシズクさんと仕事仲間のようだ。
先ほど軽い感じでマチさんは「暇な奴は集合、来る」と聞き。
シズクさんは「わかった。行く」と答えていた。
俺が「サークルか何かですか?」と聞いたら。
シズクさんは「ううん、仕事」と真面目に答えてくれた。
で、マチさんは話し終わったはずなのに今も居座り続けている。
しかも茶を飲みながら、ずっと俺をガン睨みだ。マジで人殺せるよ…
「ふ〜ん、拾った、ね…」
シズクさんが俺との経緯を話し、マチさんは呟いた。
「結局、名前以外は分からない…か。怪しいわね」
また俺をジロリとマチさんは睨んだ。スゲー、怖い…
「マチの勘は?」
シズクさんは、いつもの無表情で尋ねていた。
ほとばしる殺気を放つマチさんに平然とな。
「…残念だけど、信用は出来る、と思うわよ」
少し間があり嫌々ながらマチさんは答えていた。
つか、そんなに俺が嫌いなのか…
「そう」
シズクさんは一言、呟いた。
その後マチさんの尋問のような質問攻めをくらい、別れ際に小さい声で「シズクに手を出したら、殺すわよ」真顔で言われました。ちびった…
ピンクの悪魔が去り、俺はテーブルの上に頭をのせ草臥れていた。
「大丈夫?疲れた?」
ほぼ無表情だがシズクさんは優しい口調で俺の事を心配してくれた。
癒される〜、やっぱ本物の女神様や。
「大丈夫です。癒されました」
シズクさんのお陰です。とは言えなかったけどな。
「なら、船のチケット買いに行こ」
椅子から立ち上がりシズクさんは言った。
「了解っす」
何故に船のチケットが必要か分からんが、是非も無し。
だって飯代からホテル代まで何から何までお世話になっているからな。
で、船のチケットを買った。
えぇ何故に船のチケットが必要かと言うと流星街に帰る為だったらしい。
もちろん俺の分も買ってもらいホテルに戻った。完璧なヒモだよ…
この御恩は必ずや、御返しします、シズクさん!
「シズクさん、痛くないですか?」
「ううん、気持ちいいよ」
「…痛かったら、言ってくださいね」
「うぅん、わかったぁ」
「…じゃあ、続けます」
俺とシズクさんは。
ナニをやってるか…
耳掃除さ!
耳掃除だよ!馬鹿野郎!
ホテルに戻り、シズクさんが耳掃除を始めたが手つきが危なっかしいので俺が代わりを申し出あんな感じだ。声が、声がぁ!エロ過ぎ!
でも、ただただ虚しいし、泣けてくるわ…
で、耳掃除は終わったがシズクさんそのまま俺の膝の上で、寝てる!
軽く揺さぶったが、ちっとも起きる気配が無い。寝顔が可愛いけれども、あんまりにも、あんまりだよ!天国のような地獄だ…
なんとかギリギリ熱いモノを俺は抑え込み寝た。
最初は微妙だったが、すぐにぐっすり寝れた。
翌朝、港に来ました。
港に停泊していたのは一船、ボロボロの今にも沈みそうな船だった。
仕方ないのでボロボロの船に俺は乗った。文句など言えません。
最初シズクさんは本を読んでいたが、今はハンモックで寝ている。
可愛い寝顔だなぁ。あぁ癒されるわぁ。
数十分ほど眺め、外の様子を見に行く事にした。
甲板に出ると、遠くの空が薄暗くどんよりしていた。嫌な天気だな。
しばらく船を散策し、シズクさんの元に戻った。
俺が戻るとシズクさんは丁度、今起きたようで背伸びをしている所だった。背伸び姿が、チャーミング!素敵だ!
で、俺とシズクさんは飯を食いに食堂に向かった。
サンドイッチとスープを食べていた時に船がギシギシ軋みながら大きく揺れた。ちなみ俺とシズクさんはスープを素早く手に持ったので無事だ。
う〜ん、しかし、この船は大丈夫なのか?
夜も遅くなったので俺とシズクさんは寝た。
はい。で、深夜。
木が激しくメキメキ破裂する音が聞こえ俺は飛び起きた。
悲しいぐらいハッキリと聞こえた。
ハンモックから周りを見ると、既に水がチョロチョロ床に浸水していた。
いや?!マジで難破?!どんだけボロいんだよ!!
つかシズクさん、まだ寝てるし?!
「シズクさん!起きてください!船!浸水してます!」
何度も揺さぶり大声を出して、ようやくシズクさんは起きた。
「ふぁ?どうしたの?」
寝ぼけた声が、可愛いなぁ。じゃなくて!
「船が浸水してるんですよ!逃げましょう!」
俺は真剣に鬼気迫る顔で言ったが。
「ホントだ。逃げようか」
のほほんと無表情で返事をした。
甲板に出ると、外は大嵐だった。強風で雨粒が顔面に当たり、痛い!
波は被るは、しがみ付いてないと吹き飛ぶ!
そしてバキバキ激しい音がし船が90度に傾いた。あんまりだよ…
「飛ぶよ」
雨と風が吹き荒れる中でシズクさんは言い、マジで海に飛び込んだ。
あぁ…、クソ!もう!どうにでもなれ!南無三!
海に飛び込み、何度も荒波にのまれそうになりながら、運良くシズクさんの元に流れ着いた。
「あっち、島、泳ぐよ」
指差して示しシズクさんは泳ぎ出した。既に溺れそうなのに…
あっぷあっぷ何度も沈みそうになり、俺は泳ぎ切った。マジ、づがれだ…
砂浜にあがり、荒波から逃げるように陸地の中に入った。
少し歩き大きな木のウロを見つけ二人で入り、嵐が去るのを待った。