枯れた花は日を受け再び花開く(一発ネタ集 作:スクランブルエッグ
「静かになったものだな・・・」
三人が旅立ち暫くが過ぎた。
この家を照らす炉の灯りを見つめながら小さく溢す。
あの子達が出ていくまでの数週間弱。ここは本当ににぎやかだった。
にこやかな笑みを浮かべてワシの肩を揉む炭治郎。禰豆子に抱き付きながらワシにここでの炭治郎の様子を聞いてくるカナヲ。鬱陶しそうにカナヲを押し退けている禰豆子。
最終選別の傷を癒すまで三人はワシを父のように慕ってくれた。
たくさんの子供達を亡くしたワシの悲壮感を慰めてくれた。
あぁ、ワシは父としてなにが出来ただろうか。
ワシが渡すことができたのは水の呼吸と禰豆子に人を殺させない為の僅かばかりの足しになるかもわからない暗示のみ。
他に父代わりとしてやれることは・・・。
「父ならば息子夫婦と娘を守る為に一肌脱がねば・・・」
思い立ったが吉日。
ワシは手紙を認めることにした。
向ける先はワシ等鬼殺の剣士がお慕いするお館様。産屋敷様。
そう思い筆を取った時。
家の戸口を叩く音がした。
そちらに視線を向ければ戸口から姿を見せたのは鬼殺隊の制服と蝶の羽を模した髪飾りを身に付けた少女。
そして今代の水柱となった我が子の一人、義勇であった。
「ご無沙汰しております鱗滝様。此度前触れもないまま押し掛けてしまい申し訳ありません」
「よい。しのぶも健勝そうだな。風の噂から柱となったと聞く。遅れてすまないがおめでとうと言わせてもらおう」
「炭治郎君の稽古でお忙しいところでしたので致し方ありませんわ。しかし、鱗滝様からお褒めのお言葉を頂くとなると少しむずかゆいですね」
「ハッハッハッ。そう云うな。まぁ上がりなさい。茶でも出そう」
「鱗滝さん。俺がやります」
「義勇も元気そうだな。すまないが頼む」
二人を上げ、義勇が入れた茶を一口飲んだ後にワシは口を開く。
「で、此度は如何様か。ワシとしては二人が顔を見せにきてくれたことは嬉しいが二人が自由に動ける立場でないことは知っているつもりだ」
二人は鬼殺隊において今代最強の二柱。
幾多の任を任せられている身ゆえこのような場所ヘは簡単に来ることはできない。
もしや火急の任でもあったのか。
「えぇ、家の妹なのですが。カナヲと云いまして此方にご厄介になっていると・・・」
「ほう、カナヲはしのぶの妹であったか。あの娘は良く気が利く。最終選別のあとだと云うのにこの家の家事を引き受けてくれてな」
「か、カナヲが?カナヲが家事?」
いやはや、料理こそまだまだであったがワシが簡単な物を教えてやったら直ぐに作れるようになった。
アレを嫁に貰った炭治郎は果報者だ。
「炭治郎の妹の禰豆子とはまだ完全に打ち解けられてはいないが本人は積極的に仲良くなろうとしている。あれならば時間の問題であろう」
「カナヲが自分から!?」
「二週間ほど前までは賑やかでワシも思わず声を上げて笑ってしまった。おかげで今は少し寂しくてな。二人が顔を見せてくれて嬉しく思うよ」
「鱗滝さん。本当ならもっと顔を見せたかったのだが中々時間が取れずすみません」
「よい。こうしてしのぶも連れてきてくれたのだ。ワシとしてはそれで充分だ」
と義勇と話している間。しのぶは顔を伏せて震えている。
どうしたのかと聞こうとしたら。
「逃げられた!」
般若のような表情でしのぶは怒声を上げた。
義勇曰く、その時の表情は昔のしのぶだったそうだ。
ところで逃げられたとはどういうことだ?
私の旦那様は鴉のがもたらした鬼殺隊本部からの指示に従い。北西の町に赴き特殊な血鬼術を使う鬼と対峙した。
若い女の人を作り出した沼に引きずり込む鬼。結婚前の女性がたくさん殺されたそうだ。
炭治郎は私に禰豆子を任せると俺に任せろと云って鬼が作り出した沼に飛び込んだ。
カッコいい。
けど、いきなり相手の懐に飛び込むのは止めてほしい。私の心臓が幾つあっても足りない。
私は炭治郎の言い付け通り禰豆子とついでに依頼主を守りつつ分裂して襲ってきた鬼二人の首を跳ねておいた。
横と下だけに注意をしておけばいいなら後だしでも問題なく対処できる。
話しは変わるが驚いたことに禰豆子も鬼だった。
最初は驚いたが炭治郎が無惨に鬼にされたらしい。けれども今まで一度も人を食べた事がないらしい。
炭治郎がいうのならそうなのだろう。
しかし、ここで私はあることに悩んだ。
ここは炭治郎の嫁として禰豆子と仲良くなった方がいいのだろうか?
悩んだ私は亡き姉から貰った物事を決める為に使っている硬貨を使う事にした。
表なら仲良く。裏なら無視。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・裏。
指で跳ねて確認・・・・・表。
うん。やはり家族は仲良くしないといけない。
最初ははイヤイヤしているが最近は大人しく抱き付かせてくれている。
私の仲良くしたいという想いが伝わったのだろう。
そして新たな指令を受けて足を向けたのは浅草。
驚いた。明るくて人がいっぱい。
炭治郎が小さく笑みを浮かべながら『不謹慎だけどちょっとした新婚旅行だな』といったくれてキュンとした。
箱の中の禰豆子には悪いけど私達は手を繋ぎ街を練り歩いた。
しかし、山育ちの炭治郎はすぐ人混みに酔ってしまい。
私は町外れで懐抱することにした。
私に膝枕されながらうぅ、と唸る炭治郎は可愛いかった。
箱から出してあげた禰豆子にはなでなでしてあげて。
禰豆子は炭治郎の頭をなでなでしてた。
カワイイ。
そのあと炭治郎がちょっと買いたい物があると私達にうどんを食べて待っているように云って再び慣れない街へと一人走って行った。
そして戻ってきた時には知らない女性(鬼)を連れていた。
・・・・・・浮気?
少し修羅場があったが。
事の成り行きの説明を受けて納得した私は。
「もう!一度!二人の!顔を!見て!言ってみろ!何処が!醜女だ!誰の!妹と!嫁に!んな!事を!抜かして!やがる!」
招かれた女性(鬼)の屋敷にいた。
ところでそろそろ頭突きを止めた方がいいと思う。
その鬼の顔が凹んできてる。
珠世さん止めなくていいの?え?相応の罰?
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